Quantcast
Channel: マチノコエ
Viewing all 1125 articles
Browse latest View live

地域と体験を共有する公立中学校/川崎市立日吉中学校 鈴木先生

$
0
0

「新川崎」駅から歩いて15分、目抜き通りを少し入ったところにある「川崎市立日吉中学校」は、先生も生徒も全員の顔がわかるというアットホームな小規模の学校。1小1中で日吉小学校からそのまま日吉中学校に進むため、生徒たちは9年間の長い付き合いになり、大人になって街を出てからもまた戻ってくる生徒が多く、親子三世代で通う家庭もあるとか。そんな「川崎市立日吉中学校」の鈴木校長先生に、日頃の生活から特徴的な教育活動までいろいろとお伺いしました。

コミュニケーションを大切にする教育

「川崎市立日吉中学校」

――川崎市立日吉中学校の歴史と概要を教えてください。

鈴木先生:本校は1950(昭和25)年、地域住民の強い希望が叶って市内17番目の中学校として開校したと聞いております。昨年、川崎市内の16の中学校が揃って創立70周年を迎えるなか、本校は少し遅れて再来年の2020年度に創立70周年を迎える予定です。

合計346名の生徒が在校しています。「新川崎」駅周辺の集合住宅建設もあり、生徒数増が見込まれておりますので、新しい校舎を建て、受け入れ体制を整えました。現在は規模的にこぢんまりとした人数で、生徒も先生も全員の顔と名前が一致しますので、文字通り生徒の1人1人に目が行き届くアットホームな雰囲気の学校です。

お話を伺った鈴木校長先生

――力をいれていらっしゃる教育活動などはありますか?

鈴木先生:この地域は1小1中、つまり「川崎市立日吉小学校」の児童がそのまま本校に入学します。他の小学校の児童と交わることなく、合計9年間一緒に過ごしますので、良い意味で兄弟のように安心してのびのびと育ち、マイナスの意味でいえば少し緊張感がないかなと感じることもあります。お互いがお互いを理解して、助けあったり高めあったりする雰囲気はありますね。

掲示板に掲げられた2年生の学年目標

2008(平成20)年から総合的な学習の時間・保健体育科・特別活動などの研究に取り組んでいらしたそうです。外部講師を呼んでの研修会を開いたり、研究授業などを行いながら先生方も全員で力を入れて取り組みました。子どもたちも自分の考えや思いを伝え合う地道な話し合い活動を通じて、「自分の意見を言う」「自己肯定感を持つ」といった目標を着実にクリアしました。研究10年目を迎えたことで一度この研究には区切りをつけますが、この取り組みの成果を土台にした教育活動は継続していきたいと考えています。

学校の教育活動を盛り上げ・支える地域・おやじたちの力

――秋の文化祭も特徴的だと伺いました。

鈴木先生:どの学校でもやっていらっしゃる行事だとは思いますが、毎年10月の土・日曜日2日間を使って、1日目は成果発表会と合唱コンクール、2日目にはステージ発表とフェスティバルを行なっています。

1日目午前中の成果発表会は普段の勉強の成果を保護者の方々や他の生徒たちに見てもらう会で、“見せるため”の特別な展示物などは作らず、日頃積み重ねたものを見てもらう機会と考えています。午後の合唱コンクールはクラス対抗で、全校合唱もあります。中学生くらいの年頃ですと照れしまう生徒も多いように思いますが、この学校の生徒は歌うのが好きな様子で皆楽しそうに取り組んでいますね。

2018年のフェスティバルの様子

2日目のステージ発表は、吹奏楽部の演奏や弁論大会、保健員会の発表を行います。午後のフェスティバルはPTA主催のお祭りで、校庭にやきそばなどの出店が出たり、バザーがあったりと賑やかな催しです。PTAや地域の方々もご協力くださり、卒業生も訪れたりとこの地域を象徴するような楽しく温かな雰囲気のイベントです。

2018年のフェスティバルの様子

――地域との交流について教えてください。

鈴木先生:地域の要望で学校が創立したという成り立ちにもあるように、本校は地域の方々との関わりが非常に強い学校です。例えば「おやじの会」というお父さんたちの会は珍しい活動ではないと思うのですが、本校の「おやじの会」は桁違いの活発さです(笑)。子どもが卒業したら終わりではなく、卒業後も残る方々が多く、歴代PTA会長の方たちも現役で在籍していらっしゃいます。

毎年5月には学校やその他施設にある梅の木から梅を収穫し、梅干しをつくり、毎年10月開催のフェスティバルで販売。その収益を毎年3月の紅白餅づくりに充てて、卒業生に手作り紅白餅をプレゼントしているそうです。また9月上旬には校内美化活動(清掃)を実施していますが、参加した生徒やPTAボランティアの方々に「流しそうめん」を振る舞うのが名物イベントになっています。この流しそうめんに使う竹も、おやじの会所属の元PTA会長のご自宅から伐採してくるものだそうです。

学年通信やPTA広報誌が並ぶ

このほか川崎市主催の駅伝大会にも応援に駆けつけてくださるなど、何かと学校と子どもたちを気にかけてくださり助かっています。「地域活性」ということを軸にいろいろと考えて活動されているということで、学校だけでなく地域にとって大切な「おやじの方々」です。本校には三代で通っているご家族も多いのですが、この地域への深い愛着を持った地域の人たちと、そんな方々が住む温かな土地柄なのだと思います。

――学校生活を通してどんな生徒に育ってほしいと思いますか?

鈴木先生:学校教育では「心・学・体」の3本柱がよく話されますが、私はやはり「心」を育てたいと思います。ぐっと力が加わったときにポキリと折れてしまうような強さではなく、“しなやかさ”“柔軟性”を身につけて、自信を持ち自己肯定感を感じられるような強さを兼ね備えた人に育ってほしいと思います。

小さなことではありますが、朝会や集会で人前で話す機会や部活の壮行会で1人ずつ目標を発表する機会など、とにかく自分の言葉で自分の思いを話すチャンスを多く作っていこうと思います。そこで頑張ったことを褒めてあげれば小さな自信になり、それを積み重ねていけば大きな自信になる。少し先の目標を設定して、一歩一歩到達していく。そんな地道なことの先に、しなやかな強さがあるような気がします。

校外で華々しく活躍する部活動

9年間一緒に育つ子どもたちは本当に仲が良く、全校生徒350人ほどの小さな学校ですから、部活動もギリギリの人数でやっています。そのため吹奏楽部の楽器運びは野球部が率先して手伝い、野球部の応援には吹奏楽部が駆けつける。そんな支え合い協力し合う関係は意識せずとも自然にできています。世の中は全て「人と人」、その人を育てるのが学校の役割ですから、先生方がちょっとしたアドバイスを与えることで、それをヒントに自ら成長できるような環境をつくりたいですね。

地域の「子育てを応援したい」思いから生まれたユニークなイベントも

――この地域の子育てをするうえでの魅力はどんなところでしょうか?

鈴木先生:毎年10月上旬に、本校体育館で「赤ちゃんハイハイあんよのつどい」というイベントが行われ、親子と本校の3年生が交流会を開いています。これは幸区の保険福祉センターが、「子育て中の親が子育てを支えてくれる近隣・地域の人と出会い、地域で子育てをするのだと感じてもらい安心して子育てできるようにする」という目的で開催しているもので、毎年200組前後の親子が参加しているそうです。当日は地域のボランティアの方々が参加し、体育館全体が大きな遊び場のようにセットされ、3年生はお母さんとお話ししながら抱っこさせてもらったり、赤ちゃんと一緒に遊んだりとふれあいの時間を過ごします。

そこで私が驚いたのは、多くの生徒がこの「赤ちゃんハイハイあんよのつどい」に、自分が赤ちゃんの時にお母さんと参加していることなのです。長い教師生活の中で、こんなに心温まるイベントを学校で実施しているところはとても貴重だと感じます。このイベントに象徴されるように、この幸区は非常に子育てに力を入れていて、地域の人たちもそれを助けようという雰囲気が潜在的にあるようです。この「赤ちゃんハイハイあんよのつどい」を通じてお友だちを作ったり、子育てボランティアさんと知り合いになったり、子育てをしている保護者たちが孤独にならないような工夫が行き渡っていると感じます。そんな地域で子育てをできるのは、親子双方にとって幸せなんじゃないでしょうか。

校内の様子

――暮らしやすさや生活の利便性についてはいかがですか?

鈴木先生:歩いて行かれる「新川崎」駅にはJR横須賀線とJR湘南新宿ラインが通っていますし、南武線の「鹿島田」駅もすぐ隣です。また東急東横線「元住吉」駅や「川崎」駅行きのバスも頻繁に出ていますので、どの線を使うにも非常に便利な地区だと思います。そのせいか私立中学校に進学するお子さんも少なくないと聞きますが、アットホームな本校にもぜひ進学してもらいたいですね。

――先生の個人的なおすすめスポットを教えてください。

鈴木先生:学校の斜向かいに「コトニアガーデン」という商業施設が新たにできたのですが、その中にある「地産マルシェ」がおすすめです。地域の野菜だけでなく、様々な地域の農産物が販売されている直売所で、質のいいものを安く購入できるので便利だと思います。お子さんを遊ばせられる芝生広場やクリニック、カフェなども併設されているので、お友だちと一緒にちょっと遊びに行くのもよいかもしれませんね。

鈴木先生

川崎市立日吉小学校

校長 鈴木理恵子先生
所在地:神奈川県川崎市幸区北加瀬2-3-1
電話番号:044-588-4551
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/3/ke301401/
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

地域と体験を共有する公立中学校/川崎市立日吉中学校 鈴木先生
所在地:神奈川県川崎市幸区北加瀬2-3-1
電話番号:044-588-4551/4552
http://www.keins.city.kawasaki.jp/3/ke30..


「すみよしさん」の愛称で親しまれる/「住吉大社」岡康史さん

$
0
0

1800年以上前に創祀され、地元の人々から「すみよしさん」の愛称で親しまれている「住吉大社」。初詣に多くの人々が訪れることでも知られている「住吉大社」の歴史や祭事、街との関わりについて、総務部庶務課長の岡康史さんにお話を伺った。

1800年以上の歴史を持つ、海の神様

丁寧に答えてくださった岡康史さん

――住吉大社の歴史について教えてください。

創祀(そうし)は、今から約1800年前の211(神功皇后摂政11)年に仲哀天皇のお妃様である神功皇后様が、この地に住吉大神をお祀りになったのが最初といわれています。 記録には残っていないのですが、住吉さんは奈良時代(西暦710(和胴3)年-794(延暦13)年)くらいからは厚い崇敬を受けていたと思われます。住吉さんは海の神様として知られていますので、古来より航海の安全を祈願する人や大漁を祈願する人が多くお参りをされてきました。忘れてはいけないのは、遣唐使と遣隋使です。彼らも住吉さんにお参りしてから、航海に出ました。実は当社の神主も遣唐使に同行しています。今ほど航海術も発達していませんし、船の造りもしっかりしていませんから、大変な船旅だったと思います。何か事ある毎に祈り、神様をお慰めし、場合によっては人身御供(ひとみごく)となって海に飛び込んだかもしれません。命がけの旅でしたので、海の神様である住吉さんというのは、必然的にお祀りされるようになったのだと思います。

反橋

江戸時代になると北前船など廻船(かいせん)が盛んになります。船の寄港地には、海の神様である住吉さんを祀る神社が多く建てられました。お寺の様に本山、末寺の関係はなく横一列なのですが、有名なところでは、山口、博多、そして大阪に住吉神社があります。その中でも当社は一番大きな所として知られています。今では、ここから海は大分離れてしまいましたが、江戸時代の中期頃までは、すぐそこに海岸線がありました。そして、白砂青松と言ってこの辺りはとても風光明媚な場所だったという事です。観光地としてよりも、非常に雅な場所として有名だったようです。そして、住吉大社の長い歴史の中でも、有り難い事は、1800年前からほとんどその姿形を変えていないという事ではないかと思います。

御本殿

第二次世界大戦時、大阪と堺では空襲がありましたが、この場所はほとんど空襲にあっていませんし、古くは戦国時代にもそれ程荒廃する事がありませんでした。現存する神社建築の中でも一番古い様式といわれています。もちろん改築、修造というのはありましたが、必ず昔のまま再建しています。古墳時代にいろいろな埴輪が作られ、その中で家形埴輪と言うのがありますが、住吉大社そっくりのものが出土しています。それだけ、古い様式を残しているという事です。

1年を通して行われる祭事の数々

卯之葉(うのは)神事

――それだけ長い歴史だと、古くから続く行事があるのでしょうか?

年に一回の神社の創立記念日のようなものなのですが、5月になると「卯之葉(うのは)神事」というのがあります。住吉さんが御鎮座になったのが、ちょうど卯の花が咲く頃でした。また神功皇后さんがこの場所にお鎮まりになったのが、神功皇后摂政11年卯の年(西暦211年)の卯の月、上の卯の日と伝えられています。祝詞(のりと)を読み上げて、始まりの場所というのがあるのですが、そこへ神主全員でお参りをします。そして、おめでたい日でもありますので、舞楽の奉納も行います。

こういった神事はもちろん一般の方にも拝観していただくことができます。最近は少し拝観に来られる方が増えているように思います。 それともう一つは、毎年変わらず6月14日に住吉大社の境内にある田んぼで行われる、御田植神事が古いものです。田んぼに植え付けをするのですが、日本に残る田植神事の中でも一番規模が大きく、一番古い形態だとも言われています。実際に牛を連れてきて、代掻きをしながら行います。形を変えずに古い様式のまま、現在に伝わっており、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。これも神功皇后様が、山口の方から植女(うえめ)を連れてこられて田んぼを始められたという事から始まっています。そしてここで作られたお米を、毎日神様にお供えをしています。

御田植神事

皆さんは、お祭りと聞くと、露店が出たりお囃子が聞こえたり、賑やかなものを想像するかもしれませんが、私たち神主にとっては毎日が神様に対するお祀りなのです。毎朝神様へのお供えをする、そして、祝詞を読むという、その全てがお祀りなのです。毎日徳をたたえて、お供えをし、日本の平安、世界の平安を祈るというのが、私たちの仕事です。毎日同じことをする、そして御田植神事や夏祭りであれば、毎年同じ日の同じ時刻に同じことをする、それが大事なのです。ですから、イベントとは少し違います。イベントは毎年同じことをやっていると飽きられますし集客力も減ってしまいます。しかし、神事は逆に変えてはいけません。毎年同じことをする、それでもお越しになられる方が沢山おられます。

価値の高い文化財を大切に継承していく

住吉祭の様子

――国宝や重要文化財として大切に保存されている建物や文化財があるかと思いますが、保存する上でのご苦労等を教えてください

沢山、守らなければならないものがあるのですが、住吉大社の屋根は桧皮葺(ひわだぶき)と言って、桧の皮を使っています。非常に火に弱いので、火の気にはとても神経を使います。防災設備も整ってはいますが、それだけではなく、当直して巡回なども行っています。放水訓練もし、いざというときには対応できるように準備をしています。

角鳥居

あと、何よりも大切なのは文化の継承です。「伊勢の神宮」と一緒で住吉大社でも20年に一度式年遷宮を行います。その際には御社殿を綺麗に改めるという決まりがあります。ただ「住吉大社」の場合建造物が国宝ですので、神宮のように全てを建て替えるというわけにはいきません。現在では傷んだところを修理するという方法を取っています。ただ、いろいろと難しい面もあります。今では、桧皮が大変希少価値のあるものになっています。この色が飽きたから、次は別の色にしようかというような事も出来ません。先ほどもお話した通り、前のまま、昔のまま、修繕をして伝えていきます。それはやはり神経を使います。

実は、そのような修理などをしていただく職人さんが減ってきているのも、一つ問題となっています。日本の伝統的な建築では、細かい分業制が敷かれていて、大工さんが全てをやる訳ではありません。木の部分は宮大工さん、金属の飾りの部分は飾り金具師さん、塗装は塗師(ぬし)さん、屋根を葺くのは屋根師さん、そしてその屋根の桧皮を剥ぐのは原皮師(もとかわし)さんと細かく分かれていて、なかなかそれだけの人材を集めるのが大変になってきています。やはりそう言った職人さんたちの技術も何代にもわたって受け継がれてきたものですから、そこを守っていくというのがとても重要で大変な事だと思います。国でも京都に職人さんを育成する学校を作ったりと、対策を取っていただいています。

茅の輪くぐり

――それでは、反対に何か新しい取り組みというのはありますか?

あまり知られていないと思いますが、住吉さんは、お相撲の神様でもあります。奈良時代から伝わる横綱伝説など相撲とゆかりのある場所でもあり、4年前から大相撲の大阪場所の際には「住吉大社」に注連縄を奉納し、土俵入りをしていただいています。それと、境内で立浪部屋の力士が合宿を行っていますので、幼稚園との交流を取り持ったりもしています。

地域の方々の協力によって復活する大神輿

住吉祭の様子

――地域との関わり、連携について教えてください

夏祭りの際にお神輿の渡御(とぎょ)があります。お神輿がここ「住吉大社」を出て8キロほど離れた堺の「宿院頓宮」まで巡行します。昭和30年台の中頃からの高度経済成長の中で、お神輿を出すと交通渋滞が起こるといった事や、経済的な問題もあって、昔ながらの肩にお神輿を担いで巡航する形は止めてしまい、トラックの荷台にお神輿を乗せて、味も素っ気も無い渡御をやっていました。そういった状況が続いていましたが、今から10年ほど前、先代の宮司さんがこれではお祭りも街も活性化しないと、肩にお神輿を担いで渡御する事を46年振りに復活させました。地域の方々にもご理解を頂いて、新しく神輿も奉納していただきました。ただ、復活した当初は皆神輿の担ぎ方も分からなかったので、京都の祇園祭で神輿を担いでおられる方に協力を仰ぎました。そうしていろんな方たちのご尽力もあって、少しずつ盛り上げて来る事が出来ました。実は当社には1881(明治14)年に奉納されたとても大きな神輿があります。古いものですから、大分傷んでいますが、奉納された当時は、この辺り、摂津・泉州・河内三国一の大神輿と言われるぐらい立派なものでした。

手水舎

その立派な神輿での渡御を復活させたいという事で、沢山のご寄付と援助を頂き、3年ほど前から準備を進めてきました。やはり、この街を盛り上げて欲しいという期待感や、その立派な神輿での渡御を見てみたいという方が沢山おられるのだなと思いました。そして、無事に修理も進みまして、今年の4月17日にお披露目をする事になりました。8月1日にはその大きな神輿で夏祭りの渡御が行われます。もちろん大きな神輿ですので、地域の若い方たちの力が沢山必要になります。春から皆で練習をして8月1日に向けて準備を整えているところです。祭りによって、地域も活性化し、結束し、また次の世代へと文化を伝承する事が出来ます。そういったように、祭りはただ賑やかで楽しいだけでなく、日本の歴史の流れの中でもとても大切な役割を担っているのだと思います。

御本殿

――住吉エリアに今後、新たに住まわれる方へメッセージをお願いします

「住吉大社」には1800年の歴史があります。いわば日本文化の宝庫みたいなものです。神社というのはタイムカプセルのように昔の日本文化がそのまま今に伝わっています。例えばギリシャの「パルテノン神殿」やエジプトの「ピラミッド」でも、今となっては全く使われていません。ところが神社というのは、今でも昔と全く同じ機能を持って、同じことが日々行われています。それは、世界中見渡してみてもとても稀なことだと思います。歴史が生きています。そういったものを肌で感じられる場所だと思います。

そして、交通の便も良く静かですし、災害にも強い場所です。大阪には台風もあまり来ませんし、大雪もありません。上町台地の端にあるのですが、地盤もしっかりしていて、安政の大地震の際にも津波は目の前を通って行ったけれど、この場所は無事だったと聞いています。やはり昔の人は地の利の良い場所にこのような神社を建てたのだろうと思います。

住吉大社

住吉大社

総務部庶務課長 岡康史さん
所在地:大阪市住吉区住吉2-9-89
TEL:06-6672-0753
URL:http://www.sumiyoshitaisha.net/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

「すみよしさん」の愛称で親しまれる/「住吉大社」岡康史さん
所在地:大阪府大阪市住吉区住吉2-9-89 
開門時間:6:00~16:00(10月~3月は6:30~、御垣内は~17:00)
※毎月一日と初辰日は6:00開門
http://www.sumiyoshitaisha.net/

懐かしくて新しい味/「洋食やろく 本店」多田喜景さん

$
0
0

「住吉大社」の近くに80年以上続く老舗洋食店「やろく」がある。当店を周知させたのはジャガイモを一切使用しないで玉子をメインに揚げた名物「玉子コロッケ」だ。今や「住吉大社」のお参りに合わせ、「玉子コロッケ」を食べに全国から人が来る。今回、三代目で代表を務める多田喜景さんに、当店の歴史やお料理のこだわりに加え、住吉大社エリアの魅力についてお話を伺った。

1978(昭和53)年、突然、家業を継ぐことに

洋食やろく 本店

――喜景さんは三代目で、現在四代目として喜景さんのご子息、吉孝さんが継がれているそうですが、まずはお店の歴史について教えてください。

1935(昭和10)年1月1日に、私の祖父がこの地で開業しました。祖父は戦時中、海軍で料理長を務め、終戦後、結婚をきっかけに大阪にやってきました。道頓堀にある洋食店「門屋食堂」で修業後独立、開業当時から「玉子コロッケ」を販売していたといいます。店を祖父と祖母で切り盛りし、その後、父も手伝うようになり、2代目として継承。私が幼い頃はカウンターしかない、こじんまりとした店でした。

改装前の「やろく」の外観

私が高校3年生の時に父が急逝してしまい、それまで私は家業を継ぐという意識がまだなく、大学の進学を考えていたのですが、残された祖母と母と私で生きていくために当店を継ぐことを決めました。しかし、調理法など知らない私はまさに手探り状態。その後、レシピを伝授されていた叔母夫婦や、祖父の頃に働いていた料理人にご指導いただき、当店の味を受け継ぐことができました。

初代の多田善松さんと、二代目の多田善一さん

周知のきっかけは新聞の掲載とデパートの催事

――カウンターしかない小さなお店が周知されていく転機について詳しく教えてください。

転機の1つは、文学者の石濱恒夫さんが産経新聞の夕刊で当店を取り上げてくれたことです。当店は祖父の頃から、升田幸三さんなどの将棋棋士や小説家の藤沢桓夫さんといった文化人が足繁く通っており、その中に石濱さんもいらっしゃいました。これらの方々は私が大変な状況で店を受け継いだことを知ってくれていて、アドバイスをいただくなど味の継承にも力添えをいただきました。石濱さんも私が必死にやっていたのを見かねて、記事にしてくれたのだと思います。

1980(昭和55)年7月31日の産経新聞の夕刊

もう1つの転機は1990(平成2)年に「大丸 心斎橋店」の催事に出店したことです。1週間も店を休んで催事に出店するリスクは大きかったのですが、「玉子コロッケ」の味を多くの方に知ってもらいたいという気持ちが勝り、出店を決めました。その時、催事の主催者から、「玉子コロッケ以外にも何か出して欲しい」と言われ、出したのが現在、当店で出している、開いたエビをコロッケで包んだ「スペシャルコロッケ」です。実は、父の代の頃、常連さんにだけ特別に、開いたエビをコロッケに包んで揚げていたと祖母から聞いていたので、それを実現しました。「スペシャルコロッケ」はとても評判が良く、100社くらい出店している中で売り上げがベスト3に入り、この催事がきっかけで他のバイヤーさんともつながり、周知されるきっかけとなりました。

のれんに将棋棋士・升田幸三さん、文学者・石濱恒夫さん、小説家・藤沢桓夫さんのお名前が

――「やろく」という店名の由来について教えてください。

店名は「住吉大社」で高名な占い師、髙田玄海先生に命名いただきました。「ご奉仕させていただく」という意味の南無阿弥の「弥」と、縁起の良い数字とされる「六」を合わせ、「弥六(やろく)」です。

洋食やろく本店の店内

今も変わらぬ、名物「玉子コロッケ」の味

――玉子コロッケは初代、多田善松さんのオリジナルだったのですか?

祖母からそう聞きました。実は、私が当店を受け継いでから、祖父がかつて修業していた「かど屋食堂」で一緒に働いていた同僚が開いた「とく兵衛」というお店に食べに行ったことがあるのですが、当店で出しているタンシチューやハンバーグと同じ味でした。しかし、「とく兵衛」では「玉子コロッケ」というメニューがなく、祖父オリジナルのメニューであったことを改めて知りました。海軍で料理長を務めるなど優秀な人だったので、発想も秀逸だったんだと思います。

当店一番人気の「やろく盛り合わせ (玉子コロッケとビーフカツ)」

――当店では「玉子コロッケ」を始め、長年提供しているメニューも多いかと思います。オススメとこだわりについてお聞かせください。

オススメは「玉子コロッケとビーフカツ」のサラダ・ライス・味噌汁のセットです。あと、タンシチューは文学者の石濱さんが「日本で一番おいしい」と表現してくれています。こだわりはやはり、初代から受け継いだ味と調理法を手を抜かず真面目に守ってきたということです。

今回、インタビューに答えていただいた三代目の多田喜景さん

あと、日頃から心がけているのは店内を清潔に常に保つということです。昼と夜の間の休憩でも油を新しく入れ替え、キッチン周り、店内をきれいに清掃して、お客様をお迎えします。もう1つ、こだわりといえば、店内に流れるBGMです。オープンリールのジャズ音源をヴィンテージスピーカーで流しています。耳ざわりの良い音楽を楽しんでいただければと思います。

懐かしのオープンリール

地元住民と住吉大社の参拝客に支えられ、今に至る

――喜景さんにとって、一番の喜びは何でしょう?

「おいしい」と言っていただけることは当然うれしいのですが、「やろく」という店名と「玉子コロッケ」という商品名を周知していただくことが何よりの喜びです。

――「住吉大社」とも長い付き合いだそうですが、どのような関係性なのでしょうか。

「住吉大社」には創業時から出前に行かせていただいております。また、正月は社務所へ、初辰まいりの時はその場所に、コロッケをお届けさせていただいております。そのことがきっかけとなり、今なお7月31日の住吉例大祭では獅子舞が店に来ておはらいをしてくださいます。

住吉大社

――来店される方は参拝客が多いのですか?

もちろん地元のお客様も多いですし、参拝客もたくさん来ていただけます。中には毎年、決まった時期に来てくださる方がいて、子どもの頃に来ていた人が子どもを連れてくるなど、この地でやり続けてきたという実感と喜びをいただいております。

――今後の展望について教えてください。

数年前からテイクアウトのお店を本店の近くで始めました。4代目の吉孝がやっているのですが、手軽に購入できるとあって、多くの方にご利用いただいています。本店同様、受け継がれるお店になれるように真面目に取り組んで行きたいと思います。

お持ち帰りのお店

四代目の多田吉孝さん

住吉大社近辺は緑が豊富で住みやすい環境

――最後に、住吉大社周辺の街の魅力を教えてください!

この辺りは少し路地に入ると昔ながらの家が残っていたり、駅前に緑が豊富な「住吉公園」もあるなど、住環境としては落ち着いた良い街です。また、住吉大社では四季折々の情景を楽しむことができますし、特に朝日が差し込む時間帯は本当に美しい景色ですよ。

広々とした住吉公園

三代目の多田喜景さん

洋食やろく 本店

三代目 多田喜景さん
所在地:大阪府大阪市住吉区東粉浜3-31-21
電話番号:06-6671-5080
URL:https://www.yaroku-tamagocorokke.jp/
※この情報は2018(平成30)年8月時点のものです。

懐かしくて新しい味/「洋食やろく 本店」多田喜景さん
所在地:大阪府大阪市住吉区東粉浜3-30-16 
電話番号:06-6671-5080
営業時間:11:00〜13:30、16:30〜19:30(売り切れ次第閉店)
定休日:水曜日・第4火曜日(ランチは営業)
http://www.yaroku-tamagocorokke.jp/

145年以上の歴史をもつ伝統校/「府中市立府中第一小学校」関修一先生

$
0
0

国道20号線に沿った場所に、広々とした芝生の校庭を抱えて建つ「府中市立府中第一小学校」。こちらは2018(平成30)年で創立から145年を数えるという、府中市内でも伝統校のひとつに数えられる。その広い学び舎にはおよそ950名の児童たちが学んでおり、いまもその数は増え続けているという。また、この小学校に入ると誰もが経験する「わかば鼓笛隊」が同校の象徴となっており、6年生たちが総勢100名以上の大部隊でさまざまなイベントに参加し、元気な演奏を響かせている。この歴史ある学校は21世紀のいま、どのような方向に向かおうとしているのか。校長の関修一先生にお話をうかがった。

開校145年を超える、地域に根付いた伝統校

歴史ある伝統校「府中市立府中第一小学校」

――まず、学校の沿革について教えてください

関先生:本校は今年で145周年を迎えるという非常に古い学校です。府中市には同じような古い学校が3校ありまして、一小、四小、五小が今年、それぞれ145周年を迎えました。旧府中町にあった第一小、西府にあった第五小(の前身)、多摩村にあった第四小(の前身)、この3町村が合併した時に、府中町にはすでに第一から第三小まであったものですから、ほかの2校が四小、五小となりました。

本校のいちばんの特徴と言えば、1964(昭和39)年、オリンピックの年から活動が始まった「わかば鼓笛隊」かと思います。昔はリコーダーや鍵盤ハーモニカなども含めた活動でしたが、最近は全員が金管楽器または打楽器に取り組んでいます。6年生全員で編成している鼓笛隊で、本年度は6年生が143人がおりますので、非常に迫力があるバンドとなっています。

今回お話を伺った関校長先生

この鼓笛隊は、4月の「府中市民桜まつり」のパレード、9月の「交通安全パレード」、10月の「府中市民体育大会」のオープニングパレードなど、地域の活動にもたくさん参加しています。ですから地域にも非常に親しまれていますし、保護者やおじいちゃん、おばあちゃんの中にも、「私もわかば鼓笛隊でした」という方が大勢いらっしゃるんですよ。

50周年を記念した「わかば鼓笛隊」の冊子

――校舎の特徴について教えてください

関先生:ひとつ特徴的なのは芝生の校庭でしょうか。導入から7年目を迎えてようやく安定し、児童も芝生でのびのびと遊んでいます。

青々とした芝生がまぶしい校庭

校舎は1階から3階の各階に、2教室分の広さをもった「ホール」という部屋がある点が特徴で、いろいろな形で活用しています。3階のホールはここ数年、児童数の増加で普通教室に転用していますが、1階のホールは「放課後児童教室」の府中市版である「けやキッズ」でも使っており、放課後には児童たちの居場所になっています。

けやキッズ

――教育目標と、教育・学習に関する取り組みを教えてください

関先生:教育目標は「よく考える子、なかよくたすけあう子、つよいからだの子、心ゆたかな子」を掲げ、その視点からあらゆる教育活動を行っています。

あらゆる教育活動の基本となっている教育目標

本校は昨年度まで英語の研究校だったので、英語の専科の教員が配置されています。その教員が中心になって5・6年生の英語の授業をしているのが、ひとつ特色になっているとか思います。専科の英語教員がいるのは、現状では市内で本校だけです。また、(専科が担当しない)1年生から4年生までの英語についても、研究の成果を生かしながら、絵本を使った英語活動などを積極的に行っています。

英語活動に使われる教材がたくさん

これからという部分では、国語の研究を今年から始めておりますので、今後は「言葉の活動」の質も高めていこう、という方向で取り組んでいるところです。

多くのボランティアが支える活動、生まれる交流

――地域の方々や保護者との交流活動、協力体制について教えてください

関先生:地域の方については、本校への思いが非常に強い方が多く、協力的な方がたくさんいらっしゃいます。イベントなどもたくさん企画していただいていて、たとえば、夏休み明けに行う「肝試しの会」や、2月に行っている「豚汁を作る会」などは、地域の方が主催してくださっているものです。

府中市内には、中学校区ごとに「青少年対策健全育成委員会」という地域の方々で構成されたボランティア団体があります。この委員会がいろいろなイベントを開催してくださるのですが、本校は第一中と第四中のふたつの地区と関わりがあるので、イベントも2倍です。一地区ではドッジボール大会、駅伝大会などが開催され、四地区では鼓笛隊が「四地区音楽祭」に参加、7月に「早朝ラリー」という地域清掃の取り組みなどもしています。

PTA主催のものにも、夏休みの「科学体験フェスティバル」をはじめ、児童たちが楽しみにしているイベントがいくつかあります。それから、PTAに関しては鼓笛隊へのサポートがなによりも大きいです。近年は児童の数が増え、楽器が足りない状況も出てきていますので、PTAの方が鼓笛隊を応援する組織を作ってくださり、募金活動などもしてくださっています。毎年2月の鼓笛隊の「移杖式(いじょうしき)」という式典では、PTAから学校に、楽器を寄付をしていただくという場面もあります。

「わかば鼓笛隊」が使用する金管楽器

ボランティアの方の活動も活発で、園芸、図書、英語、芝生の整備など、多くの方が参加してくださっていますし、校外学習に行く時などの「見守りボランティア」の活動も盛んになっています。

本当にいろいろな方が関わってくださって、児童たちを見守ったり楽しませてくれたり、これは本当にありがたいことだな、と日々感じております。

――学校の運営にも、地域の人々が参画しているそうですね

関先生:府中市では学校ごとに「スクールコミュニティ委員会」が置かれています。本校でもその委員会の席で、学校と地域の代表の方が意見を交わしながら、学校の運営や取り組みついて、一緒に考えていっています。

また、今年度からはこのコミュニティ委員会を中心とした、地域座談会も開催する予定です。より地域に根づいた学校を目指していきたいと考えております。

緑豊かな校舎の入口

――学校の周辺の幼・保・小・中との連携、交流について教えてください

関先生:小中連携については、府中市が施策として取り組んでいますので、第一中学校、第一小学校、第九小学校の3校で連携したイベントをいくつか行っています。教員レベルでは、各学期に1回、小学校の全教員が中学校に授業を見学に行ったり、逆に小学校の授業を中学校の先生に見ていただく、という取り組みを行っていますし、中学校の先生に来ていただく際には、小学生の授業に入って、担任とTT(チームティーチング)で授業をしていただくということも行っています。

本校は鼓笛の活動がありますので児童同士の日々の交流は難しい面があるのですが、今後は小中で一緒にあいさつ運動をするなどといった活動を検討しています。

幼保の連携については、幼稚園の児童たちに学校見学に来てもったり、幼保の先生方と小学校の教員とで積極的に情報交換を行ったりしています。

教室の様子

児童の笑顔を守るためにチーム一丸となって

――児童と接する時に、先生方が心がけていることは何でしょうか?

関先生:これは私の個人的な教育理念なのですが、「笑顔あふれるみんなの学校」という言葉をスローガンにしています。教員に対しても、笑顔のためには「みとめて、ほめて、はげまし育てる」ということが大事だといつも話をしております。そういったスタンスで、すべての教育活動に取り組んでいます。

創立100周年の際に贈られた武者小路実篤の書

――今後の学校経営のビジョンを教えて下さい

関先生:大規模な学校のため、細かなところに目が届きにくいという課題があることは事実です。その課題を乗り越えるためには、やはり「チーム」で取り組むことが大事だと思っています。たとえば「学年」というチーム、「低・中・高」というチーム、委員会をはじめとした仕事のチームなど、さまざまなチームが連携・協力して学校を動かす、「チーム学校」というというものを目指しています。

さらには、今までお話したような、地域の皆さん、PTAの皆さんも一緒になって学校に関わって地域全体で児童たちを育てていける、そんな学校を目指していきたいと思っています。

校内の様子

利便性と文化、歴史のバランスがとれた街

――府中エリアの魅力についてお聞かせください。

関先生:一つ目は都心へのアクセスが非常にいいという点です。京王線にライナーができて通勤も非常に快適になったと聞いていますし、最近の大きく変わったところですね。

二つ目は、その便利さがありながら、緑が非常に多いという点かと思います。本校のすぐ近くには「府中公園」がありますし、桜通りやけやき通りといった並木道もあります。少し行けば「府中の森公園」もありますし、多摩川沿いの緑も素晴らしい、本当に緑が多い地域だと感じでします。

音楽練習室や料理講習室もある「ルミエール府中」

三つ目は、文化施設が充実しているという点です。本校の近くには「中央文化センター」がありますし、「ルミエール府中」という中央図書館もあります。それぞれ、とても充実した活動もしていますから、児童たちが楽しめる場面も多いかと思います。

また、「大國魂神社」が近くにあるので、行事に参加しながら、伝統に触れる機会も多いかと思います。先日も、5月の連休中に「くらやみ祭り」が開催され「子ども神輿」や山車行列のおはやしに、本校の児童たちも大勢参加していました。それぞれの地域にお囃子のグループがありますから、そこに入れば、お祭りで活躍する機会もあるかと思います。「大國魂神社」では年間を通じていろいろな行事がありますので、参加するのも楽しみのひとつだと思います。

――最後に、校長先生の「おすすめのスポット」を教えてください。

関先生:今の一番を上げるなら「郷土の森博物館」のプラネタリウムでしょうか。こちらが2018(平成30)年5月にリニューアルしたばかりで、五藤光学研究所という、府中市内にあるプラネタリムの製作会社が作ったプラネタリウムなんです。これは非常にいいものができたと思っています。

あとは「府中の森公園」の中にある「府中市立府中美術館」でしょうか。市町村レベルで美術館を持っているのは非常に珍しいと思います。企画展も含め、市内に住む小中学生であれば無料で観覧できますし、ワークショップなどもよく行われます。

市民参加プログラムも開催される「府中市美術館」

ほかにも探してみれば、親子で楽しめるような場所はたくさんあるかと思いますし、少子高齢化と言われているこの時代に、府中市は人口が増え続けていますから、それも「住みやすさ」のひとつのバロメーターになっているのかな、と思います。

関修一 先生

府中市立府中第一小学校

統括校長 関修一 先生
所在地:東京都府中市寿町2-6
電話番号:042-361-9001
URL:http://www.fuchu01s.fuchu-tokyo.ed.jp/
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。

145年以上の歴史をもつ伝統校/「府中市立府中第一小学校」関修一先生
所在地:東京都府中市寿町2-6 
電話番号:042-361-9001
http://www.fuchu01s.fuchu-tokyo.ed.jp/

整備再開発事業で変貌を遂げる国分寺駅北口エリア/国分寺市まちづくり部駅周辺整備課 久保さん、蜂須さん

$
0
0

JR中央線「国分寺」駅の北口側で進められている再開発事業「国分寺駅北口地区第一種市街地再開発事業」。半世紀以上前から計画されていたこの事業は、ここ10年ほどで一気に工事が進み、2018(平成30)年の春に駅直結の2つの再開発ビル「cocobunji WEST」と「cocobunji EAST」が完成、さらに現在は、広々とした交通広場を整備するために工事が進められている。
今後、国分寺エリアはどのような姿に変わっていくのか。今回、国分寺市のまちづくり部駅周辺整備課の久保さんと蜂須さんのお二人にお話を聞いた。

再開発ビルの1つ、「cocobunji WEST」

再開発でさらに魅力を増す「国分寺」駅北口エリア

――まず、この再開発事業の位置づけと、今後の整備スケジュールを教えてください

久保さん:「国分寺駅北口地区第一種市街地再開発事業」は、市が開発対象のすべて土地を所有しているというわけではなく、以前から住んでいらっしゃる方々の建物を集約して、その有効性を追求するという目的のもと進められてきました。最初に開発の案が出たのは今から50年以上も前、1965(昭和40)年のことになります。(「国分寺」駅北口側には)狭小な建物がたくさんあり、街の安全性や、快適な環境という面で課題を抱えていましたので、その課題を解決しよう、ということが始まりだったようです。

それから半世紀を経て都市計画として決定しまして、ようやく2017(平成29)年度、駅前の再開発ビル部分の工事が終わったという段階です。今は再開発ビルの北側に広がる、交通広場の整備を進めておりまして、これについては2019年度末の工事完了、2020年度4月以降の供用開始を目指して進めています。

久保さん

再開発ビル「cocobunji」(ココブンジ)について

――再開発地区全体に「cocobunji」(ココブンジ)というタウンネーミングを付けられていますね。この名前はどのようにして生まれたのでしょうか?

久保さん:この名前は市民の方からの公募で決まったもので、約380の案の中から選ばれたものです。有識者、地元の商店会の代表者、市民公募の方などで組織される検討委員会で、応募のあった全ての案を様々な視点から検討して、3案まで絞り、市民投票を行いました。その結果、子どもたちから特に支持された「cocobunji」が、2位に約1600票差を付けて選ばれました。

この名前の応募者は市内在住、在勤の方なのですが、「coco」は「communication」と、「宇宙開発」にちなんだ「cosmic」の頭文字を取っており、そこに国分寺の名前を合わせています。宇宙開発というのは、昔、国分寺にある早稲田実業でペンシルロケットの水平発射実験に初めて成功した、というエピソードがあり、「宇宙開発の発祥の地」であるという点にちなんでいるんです。

市民投票により決まったタウンネーミング「cocobunji」

久保さん:再開発ビルはあくまでも民地ですので、本来は権利者さんたちの所有なのですが、今回、国分寺駅から交通広場に至る自由通路の部分については、「国分寺市が維持管理の相当分のお金をビルの管理組合にお支払いして、公共の通路として通させてもらう」という協定を結びまして、24時間、誰でも通れるようになっています。こういった、「民間のビルの中に公共の通路がある」というケースは、全国的にも非常に珍しいかと思います。
ほかにも、ビルの外周には、建物をぐるっと廻るように歩行者デッキが設けられていまして、いろんな方向に抜けられるような作りになっています。

「cocobunji EAST」

――「cocobunji WEST」の5階には、市の施設である「cocobunjiプラザ」がありますね。これはどういった施設なのでしょうか?

久保さん:こちらは文化振興課所管になりますが、わかる範囲でお話ししますと、ここには、市の部署としての文化振興課が配置されておりましてさまざまな業務を行っています。そのほか、もともと西武多摩湖線の橋梁の下にあった「市民サービスコーナー」の機能を、同プラザの開設と同時に移転させています。

「cocobunjiプラザ」内にある「市民サービスコーナー」

それ以外のスペースについては、「リオンホール」をはじめ、セミナールーム、カフェスペースに分かれていまして、これらについては市の直轄ではなく、委託事業者に運営してもらっています。「リオンホール」は遮音性が高いホールですので、商業的なコンサートも可能ですし、先日は結婚式をホールで開いて、カフェで二次会をされた、という方もいらっしゃいました。将来的には、もっといろいろな使い方をしていただけるような体制を整えていきたい、と考えております。

また、カフェについては、市内にある「カフェスロウ」というお店が、支店として「カフェローカル」という店舗をやってくださっていて、地産野菜などを使用したメニューを召し上がっていただけます。館内にはフリーWi-Fiも整備しており、誰でもご利用いただけるようになっています。

「cocobunjiプラザ」内にある「カフェローカル」では地産メニューを楽しめる

交通広場の整理で、より便利になる駅前

――これから駅前に完成する交通広場の特徴と、新しく生まれる利便性について教えてください。

久保さん:もともと「国分寺」駅北口周辺に関しては、道路整備が脆弱で、駅前に緊急車両が入れない、といった課題がありましたので、その解決が今回の目的のひとつになっています。ですので、駅前を再開発したことで、新しい交通渋滞を生み出すことがないように、今回の再開発事業では、「駅前に車を入れ込まずに、自転車や歩行者を優先する」ということもコンセプトにしています。

また、この交通広場の中には5つのバス停留所と、2つのタクシーの乗降場を集約していく予定ですが、一般自動車については基本的に乗り入れ禁止にしました。「kiss-and-ride(キスアンドライド)」といって、車を一時的に寄り付けて、降車後にすぐ離れてもらうような形をとっていきます。また、これらの乗降場はすべて屋根のある通路で駅とつなげまして、雨の日でも濡れずに駅の中まで行ける、あるいは、駅からバス乗り場に行ける、といった形にして、利用者の利便性を図りたいと考えています。こちらの図を見ていただければ、一目瞭然でしょうか。

「国分寺」駅交通広場の完成予想図

――駅前から北に伸びる、新しい道も敷設予定されているそうですね。

久保さん:そうですね。交通広場から北に向かって新しい道路(都市計画道路3・4・12号線)が整備される予定です。こちらは5年後くらいの供用開始を目指していまして、幅員22メートルという広い道路になる予定です。

再開発をきっかけに安心・安全な街へ

――ここ数年の街の変化について、どのようにお感じですか?

久保さん:私は国分寺の生まれ育ちなので、昔に比べると「ずいぶんきれいになったな」と感じますね。ビルができて一気ににぎやかになりましたし、商店街のにぎわいも戻ってきたと思います。
街はより明るくなったと思います。以前は狭隘な道が多くて、車が入れないようなところも多々あったのですが、電柱もなくなって、歩道も広くなって、特に子どもを持つ世代、年配の世代の方を中心に、安心して、楽しみながら歩ける環境ができてきたと思います。

蜂須さん:私も同感ですね。やはり以前の狭隘だった駅前空間から、見通しのいい空間になった、というところで、「安心・安全」といったイメージを持つ街になったと思います。店舗についても、工事中に一旦撤退されたチェーン店などが、再開発ビルの中にまた入ってきましたし、もちろん権利者さんの店舗も入っていますので、街の人にとっては「昔のなじみのお店が戻ってきた」と感じていただけているのかな、と思います。

蜂須さん

久保さん:国分寺は学生さんが非常に多い街なのですが、とくに最近は、駅前周辺の学生の利用が、非常に多くなってきていると思います。芝生の広場(「cocobunji WEST」5階にある「リヨン広場」)の部分については、親子連れの方の利用も多いですし、放課後になると、学生さんが芝の上で座ったりごろ寝をしながら、談笑をしたり、お茶を飲んだりという和やかな姿も見られます。

あと、最近は町会の方が非常に積極的ですね。この駅前地区にはもともと4つの町会があったのですが、再開発ビルができたことをきっかけに、「国分寺全体を盛り上げていくためには、町会がまとまらなければ」という思いから、1つの町会にとりまとめる動きが進んでいます。この再開発をきっかけに、「街をもっと良くしていこう」という雰囲気は、すごく出てきていると思います。

――街のみなさんがこの開発によって、明るい気持ちになっているんですね。

久保さん:そうですね。ただ、今の段階ではまだ「点整備」ですので、今後新しい道路によって「線」が生まれて、そこからさらに「面」になっていくのかな、と思っています。まだまだこれから、街が変わってくると思いますので、期待していただきたいですね。

――最後に、これから国分寺市に住みたいという方に向けて、メッセージをお願いします。

久保さん:今回の再開発は、50年も前から進められていた、まさに「市民待望」の大きな事業ですので、今後も末永く市民に愛される、素晴らしい街並みを作っていければと考えています。ますます便利で、魅力的な街になる国分寺に、ぜひ期待していただければと思います。

蜂須さん:今はようやくビルが立ち上がったという段階ですが、これから交通広場と、ゆくゆくは道路も整備していきますので、今まで以上に安心、かつ便利に暮らせる街になっていくかと思います。一度国分寺の街を見に来ていただいて、気に入ったらぜひ、お住まいになっていただければと思います。

国分寺市役所

国分寺市まちづくり部駅周辺整備課

係長 久保崇徳さん(左)、蜂須英嗣さん(右)
所在地 :東京都国分寺市戸倉1-6-1
電話番号:042-325-0111(代表)
URL:http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/faq/soshiki/1006832.html
※この情報は2019(平成31)年1月時点のものです。

整備再開発事業で変貌を遂げる国分寺駅北口エリア/国分寺市まちづくり部駅周辺整備課 久保さん、蜂須さん
所在地:東京都国分寺市戸倉1-6-1 
電話番号:042-325-0111
開庁時間:8:30~17:00
休庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.kokubunji.tokyo.jp/

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり/さいたま市浦和西部まちづくり事務所

$
0
0

JR埼京線と武蔵野線の2路線が利用できる「武蔵浦和」駅の周辺には、再開発事業によって整備された綺麗な街並が広がり、都心部への交通アクセスに優れた住環境を求めて移り住む人も多い。さいたま市南区役所や図書館など行政の窓口やサービスの拠点が集まる「サウスピア」が駅前にあるほか、日々の生活に役立つ商業施設も多彩で、住みやすい街として注目を集めている。今回は武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりを推進する「浦和西部まちづくり事務所」に伺い、まちづくりの概要と現状について教えていただきました。

「武蔵浦和」駅の開業を契機としてはじまった武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり

――武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりに関する事業の概要についてお聞かせください。

JR埼京線と武蔵野線の2路線が利用できる武蔵浦和駅周辺地区は、さいたま市の“副都心”として位置づけられており、1985(昭和60)年9月の「武蔵浦和」駅の開業が契機となって周辺地区のまちづくりがはじまりました。

「武蔵浦和」駅周辺の航空写真

現在のまちづくりの概要をまとめた図がこちら(※)ですが、南北に埼京線、東西方向に武蔵野線が走り、赤い太線で囲まれた部分がまちづくりの対象となっている区域です。

現在のまちづくりの概要図(※)

青く塗られているところが市街地再開発事業によってまちづくりが完了した地区になります。これまでに6つの街区の整備を終えているのですが、1998(平成10)年に完成した第2街区の「LAMZA(ラムザ)」からはじまりまして、今年の3月に事業が終わった第3街区の「OASIS(オアシス)」がもっとも新しいものになります。

駅周辺には高層マンションが立ち並ぶ

その他は黄色いところが地区計画を定めている地区、緑のところは市としてまちづくりを行っている、あるいは呼びかけを行っている計画検討地区となります。

すでに整備事業が完了した地区の中では、「MUSE CITY(ミューズシティ)」(武蔵浦和駅第 8-1 街区再開発事業)が、「平成19年度土地活用モデル大賞」の「審査委員長賞」を受賞しています。

これから行われるまちづくりの取り組み

――現在進行中の事業または取り組みについてお聞かせください。

先ほどの図をご覧いただいてもお分かりになるかと思いますが、街区としても面積としても半分を超える部分のまちづくりが完了しているといえます。

整備された駅前の通り

現在進行中の事業のひとつに駅の北側に位置する第8-2街区がありますが、昨年、2017(平成29)年9月に地元のまちづくり協議会が発足いたしました。土地や建物をお持ちの方の任意の集まりですが、これからどんなまちづくりを進めていこうかと今まさに話し合いを進めているところです。

街並みの様子

一方、第7-1街区につきましては、地元の方の集まりといったものは特に無いので、市のほうでまちづくりの機運を高めようと勉強会を開催したり、まちづくりニュースと題した情報紙を発行したりしています。私たち「浦和西部まちづくり事務所」では、武蔵浦和駅周辺地区の市街地再開発事業に関することやまちづくりの推進に関することを主な業務としており、まちづくりの骨子として掲げられている商業・業務・行政機能と住宅との均衡のとれた“職住近接型高次複合都市”の実現を目指しています。

「さいたま市 浦和西部まちづくり事務所」

――まちづくり協議会ではどんな話し合いが行われているのでしょうか。

第8–2街区で地元の方からは、「スーパーマーケットや日々の生活に必要な施設はだいぶ充足していて便利。地域の方の交流や憩いの場になるような場所がもっと増えると嬉しい」といった内容のご意見がありました。

歩車分離で整備された道路

生活における利便性は高いと思いますが、バランスよく自然を取り入れる、また、他の地域から人を呼び込んで、賑わいを生み出せるような施設やコンテンツが増えると良いのかもしれません。

「ミューズシティショッピングスクエア」

具体的にどういったものが良いのか、どういった施設が足りていないのかについてはこれから先の議論ではありますが、着々とまちづくりが進められていますね。

市街地再開発事業によって、街区ごとにまちづくりを実施

――武蔵浦和駅周辺地区のまちづくりの特色はどのようなものでしょうか?

まちづくりの手法にもいろいろあり、たとえば同じ市内の「みそのウイングシティ」で行っているのは土地区画整理事業です。およそ313haもの広大な地区にまずは街の基盤となる道路を作って、そこからそこに地権者や民間の事業者が個々で建物を建てていくことになると思うので、完成には時間がかかります。

一方、武蔵浦和では、駅前広場等が未整備な状態で駅開業を迎えたことから、都市基盤整備が喫緊の課題でした。また同時に空閑地が多く見られ副都心として発展していくために必要な生活基盤施設が不足していました。このため、都市基盤整備と施設建築物のビルドアップが一体的に行えるまちづくり手法である市街地再開発事業が当地区の主要な整備方策になった経緯があります。まちづくりの合意等事業実施の条件が整った街区から順次、民間活力で事業が進められ、様々な都市機能が集積しています。

駅前のロータリー

例えば、第3街区には「プロムナードガーデン」という名前のひろば的な空間がありまして、一般の方にも広く開放された場所になっています。草花が植えられていたりひと休みできるベンチが設置されていたりと、民間事業者のお考えで地域の方が安らげる環境を整備していただいているのは、まちづくりの観点からしても注目すべきところですね。

再開発事業によって整備された利便性の高い街

――武蔵浦和駅周辺地区の魅力はなんでしょうか?

これはあくまで個人的な見解になってしまいますけれども、交通の利便性というのが大きいと思います。JR埼京線は各駅停車のほか、通勤快速・快速も含めたすべての電車が停車します。「池袋」駅までは18分、「新宿」駅までは24分、「渋谷」駅までは29分ほどでダイレクトアクセスできるほか、朝の通勤時間帯には「武蔵浦和」駅始発の電車が出ているのも魅力的だと思います。加えてJR武蔵野線を使用すると、乗り換え1回でアクセスできるエリアは、埼玉県内をはじめ首都圏各地に広がります。

また整備の完了した街区が多く街の基盤が整っているところや、再開発によって商業施設も含めさまざまな都市機能が集積してきているところです。またそういう意味でも生活の利便性が高まっているんじゃないかと思います。

 子育て世代にも優しいまちづくり

各街区の建物の低層階にも飲食店が入っていますが、武蔵野線の線路の下で飲食店が集まっている場所もあり、ちょっとしたひろば的なもの、小径を作っているのが興味深いですね。

「ビーンズ武蔵浦和」

他には、武蔵浦和駅周辺地区から出てしまうのですが、「花と緑の散歩道」と呼ばれる整備された緑道があり、その先にある「別所沼公園」も魅力的ですね。第8-2街区の方とお話したときに、武蔵浦和の公園といえば「別所沼公園」と仰っている方がいました。

「花と緑の散歩道」

街区ごとで行われる地域のイベントやお祭り

――武蔵浦和駅周辺地区を象徴するイベントやお祭りなどはありますか?

毎年春の季節には、JR「武蔵浦和」駅から「別所沼公園」までつづく、「花と緑の散歩道」周辺で「西南さくら祭り」が開催されます。綺麗な桜の木の下で、地域の方々による出し物や、出店もあって賑やかですよ。親子で遊びに行かれる方も多いようです。

また、再開発ビルの自治会さんでは、年に数回フリーマーケットなどのイベントを開催しているようです。全てを把握しているわけではありませんが、その他にも色々な自治会さんでイベントや催し物があるようですね。

一般に開かれた空間も多い

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺のまちづくり

――今後のまちづくりを踏まえて、武蔵浦和に住まれる方へメッセージをいただけますでしょうか。

先日、再開発事業とまちづくりをテーマにした某番組の取材を受けたのですが、再開発の成功例として扱われていたのが印象的でした。武蔵浦和の再開発自体は、民間活力により市街地再開発事業を進めてきたのが、今日のような成功例として語られるまちづくりに至った要因のひとつかと思われます。

駅周辺の街並み

現在進行中の第8−2街区、まちづくりの機運を高めるための取り組みをしている第7–1街区におきましても、これからまちづくりの手法をどうするかといったところの検討がはじまるので、地域の方の声を伺いながらまちづくりのお手伝いをしていければと思います。これからさらに発展が見込まれるエリアでもありますので、まずはお気軽に武蔵浦和までお越しください。きっと暮らしのイメージもつくと思いますよ。

今回お伺いしたインタビューでも分かるように、武蔵浦和エリアは継続した発展が見込まれそうです。武蔵浦和の地価は近年上昇傾向にあり、国土交通省の調査によると、2016年→2017年の地価総平均 (公示地価、基準地価の総平均)は+15.72%の上昇があります。これからも開発が進められる、注目の武蔵浦和エリア。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

再開発事業の成功例として語られる武蔵浦和駅周辺地区のまちづくり

さいたま市浦和西部まちづくり事務所

所在地:さいたま市南区鹿手袋3-11-1
TEL:048-861-5905
URL:http://www.city.saitama.jp/006/015/049/002/p000627.html
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。

地域に愛される伝統校/「江東区立北砂小学校」原校長先生

$
0
0

住吉・西大島エリアは、河川に囲まれた自然がある下町情緒あふれる街。「西大島」駅から南西側の北砂地区は、幕末から明治時代にかけて日米の架け橋役として活躍したジョン万次郎が晩年を過ごした地としても有名で、その功績は地域の人により受け継がれ、「江東区立北砂小学校」校門には、邸宅跡の案内板も設置されている。地域と人々と共に歩み続ける「江東区立北砂小学校」の歴史と取り組み、地域の魅力について原弘義校長に話を伺った。

地域に愛される歴史ある伝統校

北砂小学校

――小学校の概要についてお教えください

原校長:本校は2019年度で45周年を迎える、長い間地域の方々と共に歩み続けている小学校です。近年は周辺にマンションが増え、全学年2~3クラスの構成で、全校生徒400~500名くらいで推移しています。多くの子どもたちが通う活気のある学校です。

本校は幕末から明治にかけて通訳や「東京大学」の前身である「開成学校」の教授を勤めた中浜万次郎ことジョン万次郎の屋敷跡地に建っています。その歴史や功績をこれから世界に出ていく子どもたちに継承するべく、学校と地域、PTAが一体となって様々なイベントや取り組みを行っているのも特徴です。その背景から校章には、航海に向かう船の舵と進路の目印となる北極星がデザインされています。

分かりやすく楽しい授業を!あいさつも運動も実施

教育指針

――教育内容についてお教えください

原校長:本校の教育目標は、「思いやりのある子ども」、「進んで学習する子ども」、「心も体も健康な子ども」です。徳・知・体の調和のとれた子どもの育成に向け、教育活動を進めています。さらに今年度は、“思いやりのある子ども”の育成に重点に置き、指導を展開しています。具体的には、4つの言葉(はい、ありがとう、ごめんなさい、お願いします)と丁寧語(です、ます)の指導を重点的に行い、丁寧な言葉遣いができる子を育てること。そしてPTAとも協力して、あいさつ運動にも力を入れています。

子どもたちが楽しく学べて、安全で安心して通える学校を目指す

また、特別支援教室(学びの教室)による巡回指導により、“自分の気持ちを言葉で伝える”、“気持ちをコントロールする”、“話し合う”、“協力する”、“助け合う”等にチャレンジして、教室に通う子どもを温かく見守り応援していくことも行っています。道徳を中心とした教育活動全般で、相手を思いやる温かい心を育てていき、規範意識や連帯意識を高めるため、人と豊かにかかわり合う活動も展開しています。

学びの教室

さらに全教員が“わかる・楽しい”授業の展開に努め、授業を通してコミュニケーション活動を実践しています。日常の漢字・計算テストでは、できるまで取り組む繰り返し学習、パソコンやICT環境、ユニバーサルデザインも取り入れて、よりわかりやすい授業を行っています。

その他にも、高学年の英語、中学年の外国語活動など、2020年から実施される新学習指導要領に向けての授業も開始しています。子どもたちが楽しく学べて、安全で安心して通える学校を目指します。

地域と学校が連携した学びと交流の場

――課外活動や学校間の連携も積極的に行っていますね

原校長:4年生以上の児童を中心に、琴や三味線の先生をお呼びして邦楽の勉強をしています。校内での発表会のほか、先日は地域のイベント「砂町パレード」にも出演しました。前日には、学校の近くにある鉄工所のトラックをお借りして、保護者や地域の皆さんと花自動車を作成。よさこいソーラン隊約100名の大人数でイベントに参加してパレードは大成功でした。

また、本校のすぐ近くに「川村義肢株式会社」という義足を製作する会社があるのですが、そこでは子どもたちの社会科見学で度々お世話になっています。これからも課外活動を通して地域の方々と子どもたちが触れ合い、成長していくきっかけになればと考えます。

北砂邦楽合奏団

砂町パレード

原校長:学校間の連携では「第二南砂中学校」を中心に「第四砂町小学校」と本校、「つばめ幼稚園」、「北砂保育園」、「小名木川保育園」で一つのチームを作り、先生・学校同士の授業研究を行っているのも特徴です。

さらに本校では、幼稚園の年長さんと先生が1年生の授業に訪問する交流会も定期的に行っています。お世話になった幼稚園の先生と久しぶりに会えて、子どもたちは嬉しそうですよ。

プロスポーツ選手と一緒に実技体験も!

標語をつくろう

――オリパラ教育が盛んとお聞きしました

原校長:東京都では都内区市町村と連携し、オリンピック・パラリンピックの旗を全区市町村で引き継いでいく「東京2020オリンピック・パラリンピックフラッグツアー」を展開しています。江東区においては旗の滞在期間中に、リレー形式でオリンピック旗・パラリンピック旗を全小学校で引き継ぐ「小学校フラッグリレー」を実施。本校の子どもたちも参加しました。また、4~6年生対象に、車いすレーサーやブラインドサッカーの選手を本校に招いて、見学や体験も行いプロスポーツに親しむ機会も設けています。

また、校内では「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の掲示物を展示するなどの工夫もしています。「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」を機に子どもたちには様々なスポーツに親しんで、個々の可能性を広げて欲しいと思います。

オリンピック・パラリンピック教育コーナー

子供たちに安心安全な居場所を

――「江東きっずクラブ」についてお教えください

原校長:「江東きっずクラブ」では放課後の学校施設を活用した、子どもたちの安全で安心な居場所を提供しています。遊びや学習、スポーツなどを通して、異学年児童の交流を図り、子どもたちの創造性や自主性、協調性を育むのが目的です。クラブでは自主的な遊びの場を提供する「放課後子ども教室」と、就労世帯の小学生が利用できる「学童クラブ」があり、2つの機能が連携・一体化しているのも特徴で、合わせて280名以上の子ども供たちが登録しています。「江東きっずクラブ」と学校側、子どもたちや親御さんとコミュニケーションをとり、各対応なども連携するよう努めていますので、安心して利用できる体制が整っています。

芝生で遊ぶこどもたち

地域ぐるみで学校と子供たちを見守る温かい環境

――「学校支援地域本部」の活動についてお教えください

原校長:「学校支援地域本部」は、学校・家庭・地域が一体となって、地域ぐるみで子どもを育てることを目的としています。普段はPTAなどの活動に参加できなくても、単発で参加できる方など、多くの保護者や地域の方々によって支えられている組織です。

活動内容は様々で、運動会時の防犯や前述の「砂町パレード」といったイベント、お祭り時の子どもたちの誘導・管理、放課後学習教室の指導、本校校庭の芝刈りや校舎外の植栽の管理など多岐に渡ります。本校にとってPTAと「学校支援地域本部」の皆様の支えはとても重要です。地域と保護者、学校が一体となって子どもたちを育てていく環境が、安心安全な教育環境には不可欠と考えます。

あたたかな下町情緒溢れる水辺の街

小名木川

――最後に、住吉・西大島エリアの魅力についてお教えください

原校長:このエリアには家族三世で住んでいる方や、新しく暮らし始めた若い方など、様々な人たちが暮らしています。街全体に地域や子どもたちを大切にしようという風潮があり、顔見知りの近所のおじいちゃんと子どもたちが気さくに挨拶を交わす場面も見られます。

街は温かい雰囲気に包まれていて、子育てにも良いエリアだと思います。小名木川などの河川に囲まれているので、水辺を見ると暑い夏でも気持ちはどことなく涼しげです。都心にも近いのでショッピングやレジャーにも最適ですね。

原弘義校長

江東区立北砂小学校

校長 原弘義 先生
所在地:東京都江東区北砂1-3-36
電話番号:03-3649-3463
URL:http://kitasuna-sho.koto.ed.jp/
※この情報は2019(平成31)年1月時点のものです。

地域に愛される伝統校/「江東区立北砂小学校」原校長先生
所在地:東京都江東区北砂1-3-36 
電話番号:03-3649-3463
http://kitasuna-sho.koto.ed.jp/

大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合 江口博之理事長

$
0
0

西大島エリアは、江東区の中央に位置する交通の要所。各方面へのアクセスの良さと公共公益施設の利便性、歴史と自然を感じることのできる街並みは住みやすく快適だ。下町情緒あふれる魅力的な街だが、時代とともに求められる街の姿も変化。明治通りと新大橋通りが交差する大島三丁目では再開発計画が進められ、より魅力のある街づくりへの動きが始まっている。そんな「大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合」の江口博之理事長にお話を伺った。

お話頂いた江口博之理事長

より安心・安全で賑々しい街づくりを

――再開発準備組合の発足までの経緯をお教えください

江口理事長:2004(平成16)年に「大島三丁目街づくり協議会」の発足から始動した「大島三丁目1番地地区市街地再開発事業」は、2013(平成25)年2月に準備組合が発足し、現在活動を本格化させています。明治通り沿いの商店街には、数多くの店舗が軒を連ねていましたが、近年は店舗数が減少して、かつての賑わいは喪失傾向にありました。また、新しいマンションの建築により外からの住人も着実に増えていますが、エリア内は昔からの住人が多く高齢化や家屋の老朽化も課題となっていました。商店街の賑わい喪失、木造家屋密集による防災面の課題、高齢化によるコミュニティの衰退など、多くの問題に直面をしています。また「西大島」駅がある交差点に位置していますが、ギリギリまで建物があり駅は出入り口のみ、駅前らしい魅力のあるスポットも多くありません。

現在の再開発予定地の様子

このようなことから私たちは、西大島エリア全体に“安心・安全”と“にぎわい”をもたらし、世代を超えた多くの方々に「住み続けたい」と思っていただけるような魅力ある街を作りたいと思いました。「防災性の向上」、「交通基盤の整備・改善」、「にぎわいの創出」を3本の柱とし、再開発事業を通して諸問題を解消していく目的で発足しました。

通過するだけではもったいない!駅前ランドマークで魅力的な街へ

地域コミュニティ、賑わいの核となる広場

――再開発事業について詳しくお教えください

江口理事長:西大島エリアの新しいランドマークとして、低層部には地域の利便性に配慮した大型店や地元商店街と連携した商業施設を計画、公益施設も地域のニーズに合わせて検討を行い、その上に住宅を計画しております。また敷地内に都営新宿線「西大島駅」出入口の改良も検討しており、駅からのアクセスも良好になるよう計画しております。

隣接する住宅地の防災性を考慮した防災広場も整備

周辺の環境にも配慮し、明治通りや新大橋通りの拡幅整備、西側の「羅漢寺」との間には南北貫通通路を設け、歩行空間の整備を行い利便性も向上させます。また、敷地内には賑わいや防災の拠点となるような広場を整備します。災害時には帰宅困難者の一時滞留スペースとしての活用も想定しています。たくさんの木々など緑で彩られる広場は、街の憩いの場として癒しの空間を目指しています。

都営地下鉄新宿線 「西大島」駅

西大島はバスや地下鉄の交通網が発達していて、電車からバスへ、バスから電車へ乗り換え街を通過していきます。そういった方にも、西大島で買い物や食事をしていって欲しい、つい立ち寄ってみたくなる魅力的な街になって欲しいと考えています。この再開発によって街に住んでいる方にはより便利に、外から来る方にはショッピングやイベントを楽しみに西大島に来ていただき滞在者が増えて、その結果街全体が活性化していくことを望んでいます。

新大橋通りの賑わいを演出するよう建築物低層部と合わせて、一体的に整備

江東区では、2018(平成30)年3月に「西大島地域まちづくり協議会」から提出された「西大島地域まちづくり提案書」を受け、具体的なまちづくりにおいて実現すべきまちの将来像を示す「西大島地域まちづくり方針」を策定し公表しました。今後は様々な課題をクリアしながら、まちづくり方針に沿った再開発計画とし、区と協議しながら都市計画決定へと進めていきたいと思っています。

住環境・アクセス良好!今後の街づくりに注目

――西大島・住吉エリアの特色・魅力についてお教えください

江口理事長:西大島は街が明るく賑々しい、人情味あふれるエリア。再開発によって街の中が活性化され外からは新しいものをどんどん取り入れて、より元気な街に発展していって欲しいと思います。今後がとても楽しみな街です。

江東区総合区民センター

江口理事長:駅周辺には「江東区総合区民センター」があり、利便性も高く住みやすい街ですね。西大島は江東区のほぼ中央に位置する交通の要所で、地下鉄は乗り換え1回で都内のどこへでも行くことができる便利さ、バス路線は四方へ伸びていて本数も多くアクセス良好です。再開発によって、より賑わいのある住みやすい街になって欲しいです。

「大島3丁目」停留所

※パース画像出典:大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合HP
※完成予想パースは、今後の協議によって変更になる可能性があります。

安全とにぎわいを創出する、魅力ある街づくりで西大島を地域の拠点に。「大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合」

大島三丁目1番地地区市街地再開発準備組合

理事長 江口博之さん(写真)
http://ojima3-1saikaihatu.com/
※この情報は2018(平成30)年12月時点のものです。


松戸市立牧野原小学校 校長 野﨑隆先生 インタビュー

$
0
0

学校の枠を超えた球技大会や体育大会、「家庭教育学級」や「モジュール時間」など独自の取り組みが際立つ松戸市。2018(平成30)年で44年目を迎える牧野原小学校は、今年度「言語活用能力の向上」に力を入れ、言葉を使ってコミュニケーション力を鍛え身につけることを目指すという。そんな「松戸市立牧野原小学校」の野﨑校長に、日々の教育活動や街の魅力についてお伺いした。

「言葉」を手段に、コミュニケーションをとって分かち合う

「松戸市立牧野原小学校」外観

――まずは「松戸市立牧野原小学校」の概要について教えてください。

野﨑先生:本校は牧の原団地造成に伴って常一小・常三小・松飛台小から分離し、1975(昭和50)年4月1日に全校生徒284名で開校いたしました。2018(平成30)年度は1年生から6年生、計19クラス、全校生徒623名の児童が通学しています。

「新しい時代を担う、社会の変化に自ら対応できる豊かでねばりつよい心、確かな学力を備えた健やかな子どもを育てる」という教育目標のもと、「よく考えて学ぶ子・思いやりがあり助け合う子・ねばり強く最後までがんばる子」を目指す児童像として掲げ、日々の教育活動を行っています。

お話を伺った野﨑校長先生

――今年度、力を入れていく活動などはありますか?

野﨑先生:学校経営方針に新たに加えた「言語活用能力の向上」は、今年度特に注力したいと考えています。文字にすると少々堅苦しくなってしまいますが、話し合い、対話しながら学ぶことで自己表現する力を習得し、同時に相手の気持ちも理解できるようになるのが目標です。

3年生以上の総合的学習の時間で日本語の表現方法を詳しく学ぶほか、1年生の時から授業内でも対話活動を進めていきます。国語や社会などはもちろん、算数においても、まずは2~4名の小グループ内で自分の考えを述べ、相手の意見を聞きます。次は6~10名の大グループに拡大し、最終的には大勢の人の前でも臆することなく自分の意見を言えることが目標です。

コミュニケーション力を鍛えて笑顔溢れる学校に

自分の考えを言うことと、人の意見を聞くことは表裏一体で、人間関係の一番基本となる部分です。授業の中で日々訓練をしていくことで、子どもたちのコミュニケーション力を鍛え、身に付けられればと考えています。

――「言語活用能力の向上」は子どもたちの学習だけでなく、日常生活でも必要なスキルなのですね。

野﨑先生:そうですね。例えば友だちとの関わりでも、気持ちのすれ違いや誤解したり・されたりということはよくあります。そんな時でも「言葉」を使って気持ちを伝えたり、相手の考えを聞いたり予想したりすることができれば、かなりの確率で相手のことを理解できるようになる。相手が理解できれば、友だち同士の様々な問題が解決できます。小学生ですから、そんなに複雑な心理は伝えられないにしても、「言葉を使えば相手とコミュニケーションが取れるんだ」「自分を理解してもらえるんだ」ということが分かるだけでも十分だと思います。

学校は子どもたちが一番長い時間を過ごす場所ですし、コミュニケーションを取る人材が豊富にいるわけですから、トレーニングの場所としては最適です。これを発展させれば、インクルーシブ教育(※)にもつながっていきます。

緑豊かな中庭の様子

その第一歩として、私が4月に着任してからは校門で生活委員会の子どもたちと一緒に「朝の挨拶」をはじめました。挨拶はコミュニケーションの基本ですから。2ヶ月目に入って、以前は恥ずかしがっていた子が多かったのですが、最近は大きな声で挨拶してくれる子どもたちが増えてきてとても嬉しいですね。

※インクルーシブ教育…インクルーシブは「包括的・包み込む」という意味。子どもたち一人ひとりが多様であることを前提に、障害のあるなしに関係なく、子どもたちの能力や困りごとに配慮された「すべての子どものための教育」のこと。

基礎力を重ね、心を落ち着けるための「モジュール時間」

校内の様子

――毎日昼休みの後に、「モジュール時間」が設定されているのですね。

野﨑先生:月・火・水・金曜日は昼休みと清掃の後、木曜日はロング昼休みの後、弾力的に15分間を「モジュール」として、毎日漢字ドリルや計算問題、読書など基本的な学習の時間に充てています。これは授業内ではなかなかじっくり行うことが難しい基本の反復練習を、毎日15分ずつ行うことで基礎力を身につけるために実施しているものです。15分でも3回行えば45分になり、1時間授業を行うのと同じ積み重ねにもなります。また昼休み後の掃除が終わって、「さぁ5時間目が始まる」というタイミングで15分間基本学習を行うことは、ざわざわした気持ちを落ち着かせる効果もあり、5時間目の学習の導入にもなり非常にプラスに作用しています。

――音楽部の活動も活発だとお聞きしました。

野﨑先生:音楽部は4年生から希望者が入部でき、現在50名ほどの部員がいます。毎日、朝と放課後に合唱を中心に練習しており、音楽専科の教師が熱心に指導をしています。毎年NHKコンクールに出場し入賞することも多かったようで、これまでの最高位は関東大会での銅賞だと聞いています。

部活動の輝かしい成績が飾られている

秋には地域のお祭りで歌を披露したり、保護者や地域の方々を招待してのクリスマスコンサートを開いたり、出番が多いのも活動が活発になる所以でしょうか。今年11月に開かれる関東音楽教育研究会でも、松戸市の小学校では東松戸小と本校の2校が選ばれ、集まった先生方の前で歌うことになっています。日頃の練習の成果を皆様の前で披露できるのは、緊張もすると思いますが、子どもたちにとって非常によい経験になりますね。

――松戸市では市内で球技大会や体育大会が開かれるのですね。

野﨑先生:まずは6月中旬に開かれる「球技大会」を目指して、男子はサッカー、女子はミニバスケットボールのチームを編成し、朝と放課後にそれぞれ練習します。球技大会は市内の小学校を15ブロックに分け、総当たり戦でブロック勝者を決定。その後、各ブロックの優勝者15チームで中央大会を行います。今年は市内ベスト8を目指して、目下子どもたちが練習に励んでいるところです。

元気に走り回る子どもたち

そしてこの「球技大会」が終わると、一度このサッカーやミニバスケットボールのチームは解散し、10月上旬に行われる「市内体育大会」に向けて陸上競技の練習が始まります。この体育大会はブロックに分けてではなく、松戸市の全小中学校が集まって競う大きな大会です。100メートル走や走り幅取り、中距離走などの各種目に2名ずつ参加します。

このように、音楽部は通年での活動になりますが、運動部はそれぞれの大会に向けて練習する、固定された種目ではなく様々な運動の経験ができるような仕組みになっています。

保護者同士が交流し、悩みも疑問も共有できる場を学校に

――地域との交流について教えてください。

野﨑先生:先ほどお話しした、松戸市内の小中学校が集まって開かれる「市内体育大会」の前には学区の常盤平中学校と牧野原中学校の陸上部の生徒が小学校を訪れ、同じ競技の子どもたちを指導してくれたり、一緒に練習を行っています。またサッカーやミニバスケットボールの小学生チームと、サッカー部・バスケットボール部の中学1年生たちが練習試合をしたり、合同練習を行うこともあり、小中連携の活動となっています。

また、地域と学校が連携して「地域防災会議」という会議も開かれており、避難所となる本校での災害時の運営や対応などを日頃から話し合っています。近隣の町会の方々や自治体のメンバーの方などが参加してくださり、いざという時のために準備を整えています。このほかにも、近隣の老人会の方々が子どもたちの登下校の見守りをボランティアでしてくださっており、地域の皆様が温かく子どもたちをサポートしてくださっています。

学校生活の思い出が飾られていく掲示版

――松戸市の「家庭教育学級」というのは、どのような取り組みなのですか?

野﨑先生:小学生の保護者同士が家庭教育や家庭ついて、学校と連携しながら学年を超えて交流し、自主的・集団的に学習する場です。年度始めに興味がある方を募集して、随時途中からでも参加できます。現在本校では30名ほどの参加者がいらっしゃいます。

具体的には、子育てについての悩みを話し合ったり、校長や教頭と懇親会を開いたり、講師の方を招いて講演会を開いたり、ワークショップを企画したりとその内容は様々です。これは学校ごとにテーマや内容を決め、独自に運営する仕組みになっています。私も昨年、別の小学校の教頭をしていた際に、この家庭教育学級の講師として参加し、自分の子育て中の悩みを話すなどして、お母さん・お父さんたちと胸襟を開いて本音で話し合った記憶があります。

「教室」というと何か学ぶ場のように感じるかもしれませんが、同じ学校に子どもを通わせる親同士の交流でもありますし、また校長や教頭とも言葉を交わすチャンスにもなりますので、興味のある方はぜひ参加していただければと思います。

お祭りも賑やかな「常盤平さくら通り」

――最後に、この地区の魅力について教えてください。

野﨑先生:団地が近いせいでしょうか、とにかく公園や広場が多く、遠くまで行かなくても子どもたちが外で元気に体を動かせる環境が整っているところですね。放課後は本校の校庭も解放しているのですが、「カブト公園」「サミット広場」など独自の呼称で呼ばれる公園で待ち合わせをして、子どもたちが集まって遊ぶ姿がよく見られます。最近の子どもたちはゲームばかりだと言われて久しいですが、本校の児童は体をよく動かして遊んでいますよ。

また「常盤平さくら通り」は、日本の道100選にも選ばれた桜並木が有名で、2.2kmにも渡る桜のトンネルを見るために春には多くの人が訪れます。都心までの利便性もよく、同時に自然も多く残るこの地域は、子どもも育てやすく暮らしやすい街だと思います。

これからの子どもたちに必要なコミュニケーション能力を鍛える「松戸市立牧野原小学校」

松戸市立牧野原小学校

校長 野﨑隆先生
所在地:千葉県松戸市牧の原435-1
電話番号:047-385-0996
URL:http://www.matsudo.ed.jp/maki-e/
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。

松戸市立牧野原小学校 校長 野﨑隆先生 インタビュー
所在地:千葉県松戸市牧の原435-1
電話番号:047-385-0996
http://www.matsudo.ed.jp/maki-e/

日本体育施設グループ(中野区運動施設および哲学堂公園指定管理者) 統括責任者 植竹薫さん

$
0
0

中野区にある「哲学堂公園」は、普段なかなか触れることのない哲学について視覚的、立体的に実体験として感じることができる全国でも例を見ない“哲学のテーマパーク”となっている。「哲学のまち・中野」をテーマに掲げる中野区では、「哲学堂公園」を中心としたまちづくりの整備計画が進められており、あらたな観光の拠点として注目が集まっている。今回は「哲学堂公園」の運営、管理を担う日本体育施設グループの植竹薫さんに「哲学堂公園」の概要や魅力についてお話を伺った。

東洋大学の創立者であり哲学者の故・井上円了が創設した精神修養の場

屋根の軒先には印象的な「哲」の字が

――公園の概要、沿革について教えてください

植竹さん:「哲学堂公園」は中野区にある区立公園のひとつで、東洋大学の創立者であり哲学者の故・井上円了(いのうええんりょう)博士によって1904(明治37)年に創設されました。哲学世界を視覚的に表現し、精神修養や社会教育の場として整備された全国でも例を見ない“哲学のテーマパーク”となっています。

公園の敷地内には井上円了の哲学観を立体的に表現した77ヵ所の見どころ「哲学堂七十七場(てつがくどうななじゅうななば)」があるほか、野球場やテニスコート、弓道場といった運動施設も整備されています。

文献によると1955(昭和30)年の後半までにほぼ現在の公園のかたちが整えられたようで、1975(昭和50)年に東京都から中野区へ移管された後は、1984(昭和59)年に古建築物6棟が中野区の有形文化財に指定されると、1988(昭和63)年には公園全体が中野区の有形文化財として指定され、2009(平成21)年には東京都名勝公園の指定も受けました。

世界的な哲学者を一堂に会し祀られた歴史的な古建築物

孔子と釈迦、ソクラテスとカントの四大哲学者を祀る「四聖堂」

――有形文化財に指定されている建物についてご紹介ください

植竹さん:これまでに中野区の有形文化財に指定されている建物は12棟で、1984(昭和59)年に指定された哲理門・四聖堂・宇宙館・絶対城・六賢台・三学亭と、1988(昭和63)年に指定された常識門・髑髏庵・鬼神窟・無尽蔵・演繹観・四阿があります。

代表的な建物をいくつかご紹介すると、「四聖堂(しせいどう)」は哲学堂の本尊が置かれている中心的な建物で、世界的な哲学者の孔子・釈迦・カント・ソクラテスの四聖が祀られています。

またその隣にある朱塗りの塔は「六賢台(ろっけんだい)」と呼ばれ、東洋的な哲学者として、日本の聖徳太子・菅原道真、中国の荘子・朱子、印度の龍樹・迦毘羅仙の6人が六賢として祀られています。

朱塗りの塔「六賢台」

その他にも、大正天皇の即位を記念する図書館として建設された「絶対城(ぜったいじょう)」や、井上円了が国内各地を周遊した時に収集した記念品などを展示した陳列所「無尽蔵(むじんぞう)」など、一部の建物は春期(4/29~5/5)と秋期(10/1~10/30※土日祝日のみ)、毎月第一日曜日にも公開されています。

“ものの考え方”が体系的に学べるよう設計された「哲学堂七十七場」

不可解の象徴「哲理門」

――公園が表現する哲学についてお教えください

植竹さん:「哲学堂公園」には、井上円了の哲学観を視覚的、立体的に表現した「哲学堂七十七場」があり、この「哲学堂七十七場」を巡ることで“ものの考え方”が体系的に学べるよう設計されています。

哲学と聞くと何だかすごく難しい学問に感じられるかと思いますが、古代のギリシア哲学は現在の自然科学と同じように、ある現象に法則性を見出していったり、どうしてそういう現象が起こるのかといった未知の探求からはじまった学問です。

円了が刻まれた碑

哲学にも唯心論や唯物論のようにまったく異なる正反対の考え方もあるのですが、どの考えが正しくてどれが間違っているかということが大切なのではなく、未知のものへの探求のアプローチが違うというだけであって、その違いを含めて視覚的に表現しているのがこの公園の特徴です。

ものの考え方というのもいきなり答えにたどり着くものもあれば、まわりの状況を踏まえて結論づけるものまでさまざまです。それをたとえば直登ルートの園路と迂回してくねくねしている園路との違いで表現していたりと、井上円了の哲学観が表現されています。

「哲学堂公園」を“哲学のテーマパーク”という表現で紹介しているのは、哲学に関する説明書きを読んでただ頭で理解するというだけではなく、七十七場に実際に足を運び、目で見て、または体験することによって実体験として哲学やものの考え方が分かるように構成された特殊な空間であることからそう名付けました。

東洋大学との連携事業で制作した「哲学堂七十七場紹介ビデオ」

おやつにぴったりの「哲学堂揚煎」

――東洋大学と連携して行った取り組みについてもお聞かせください

植竹さん:東洋大学との連携事業で「哲学堂公園」がどのような場所なのかということを理解いただくためのひとつの手段として「哲学堂七十七場紹介ビデオ」というVTRを制作いたしました。

東洋大学の社会学部メディアコミュニケーション学科の学生さんにご協力をいただき、約1年という歳月をかけて撮影・編集いただきました。映像がリリースされたのは平成27年度末のことで、全22巻に総集編3巻を加えた作品として仕上がりました。

公園のホームページからもご覧いただけるのですが、1巻がおよそ5分前後の作品で、YouTubeに公開し一般の方にも広くご覧いただけるようにしています。

東洋大学の学生と協力し、公園を紹介するVTRを制作

また現在は、井上円了研究の第一人者であるドイツ人のライナ・シュルツァ先生にもご協力をいただき、制作したVTRの翻訳作業をお願いしているところです。

特に哲学の用語は難解なものが多く、英語でどう表現するかという大きな課題があるのですが、井上円了に造詣の深いライナ・シュルツァ先生だからこそ、より多くの方にご理解いただける訳文を本作品を通じてご紹介できると思います。

現在、YouTubeでも映像を公開しているのは、国内だけではなく海外の方にも「哲学堂公園」を発信していきたいと考えているためで、英語のテロップを付けることで公園の魅力やその価値を世界中の方に知っていただくひとつのきっかけになればと考えています。

幼児から高齢者まで幅広い年齢層が参加できる多彩なプログラムを実施

イベント掲示板

――「哲学堂公園」で開催されているイベントはございますか?

植竹さん:「哲学堂公園」には、野球場やテニスコート、弓道場といった運動施設も整備されているため、スポーツに関連した事業から文化的な取り組みまで年間を通じてさまざまなイベントやプログラムが行われています。

たとえばスポーツに関連する事業では、毎月第1・3月曜日に行われる「健康体操教室」や子育てママを対象にした「ママフィット」、毎月第2水曜日の「ノルディックウォーキング教室」といった大人向けのプログラムから、小学6年生までの子どもを対象にした「中野ベースボールアカデミー」(毎週金曜日)や毎月第4土曜日には「スポーツ吹矢体験教室」もあり、幼児から高齢者まで幅広い年齢層が参加できる運動プログラムを提供しています。

また文化的な取り組みでは、東洋大学と連携して行う「哲学堂公園講座」を9月と3月に開催したり、中野区と東洋大学との連携事業として行う無料の公開講座「一から学ぶ哲学堂」を12月に開催したりと、公園や井上円了について多くの方に知っていただく事業にも取り組んでいます。

階段ひとつにも意味がある

古建築物を利活用した事業や伝統的な文化・芸能に親しむことのできるイベントも開催し、5月と10月に行う「茶の湯体験」や「美味しいお茶のいれ方教室」など、ホームページでも情報を発信していますのでぜひご覧ください。

「哲学堂公園」で行われている取り組みは他にも、都心部では貴重な公園の自然環境を生かしたプログラムもあり、「哲学堂公園」の植栽や樹林等の育成・活用に関わる事業や、管理作業のなかで得られた廃材等を活用した工作教室など、公園の資源を活かして身近な自然に触れられる機会も提供しています。

7月の「七夕飾り」や夏休みを利用して行われる「廃材クラフト」、公園内で集められた自然の材料で作る「クリスマスリース作り」など親子で楽しめる人気のプログラムです。

地域の人と一緒に活動し整備している公園内の美しい景観

唯心庭とともに哲学的二名勝の一つ、唯物園

――園内の見どころや楽しみ方についてお教えください

植竹さん:「哲学堂七十七場」を散策しながら井上円了の哲学観に触れていただけるのはもちろん、春には桜が咲き誇り都内でも有数の桜の名所として賑わいます。

また2009(平成21)年度には「哲学の庭」という場所も新たに見どころとして加わりました。ハンガリー出身の彫刻家で日本でも活動していたワグナー・ナンドール(Wagner Nandor、和久奈南都留)氏が制作した作品で、老子やキリスト、ガンジーや聖徳太子といった世界を代表する11人の立像が配置されています。

日本とハンガリーの外交関係開設140年と国交回復50周年の記念事業の一環として中野区に寄贈されたもので、同様のものがハンガリーの首都ブダペストにも設置されているそうです。

本作品には民族や歴史、文化などを超えた人類の恒久的な平和を理想として追求した作者の思いが込められていて、中野区から管理を委託されている私たちとしても気軽に写真撮影をしたり芝生の上で休憩などをしたりする場所とは違いますよということを啓発しています。

新たな見どころ「哲学の庭」

園内には私たち「日本体育施設グループ」のスタッフのほかにも、区民の自主的な活動を推進する「哲学堂パーククラブ」という組織のメンバーもいらっしゃって、「公園ガイド活動」や「花壇育成活動」などさまざまな場面でご協力いただいています。

「公園ガイド活動」は、春と秋の古建築物公開日や月一の月例公開時を中心に、公園ガイドメンバーが希望する観覧者に対して園内のガイド活動を実施しています。

また「花壇育成活動」は、毎月第1・3土曜日に活動を実施し、園内各所の花壇のお手入れや野草の増殖等さまざまな活動に取り組んでおられます。

「物」という字が造形された「物字壇」

ほかにも地域団体等との連携事業の一環として、近隣の幼稚園や高齢者施設に入所する皆さまと協働して花苗を植える「ふれあい区民花壇」もあり、地域の皆さまと一緒になって整備している公園の美しい景観をぜひ楽しんでください。

また「歴史民俗資料館」との連携事業として実施している「文化財クイズラリー」もあり、両施設に関連したクイズの参加用紙も配布しているため、園内の散策がてら挑戦してみてください。全問正答された参加者には、賞品として哲理門の幽霊と天狗をモチーフとしたキャラクターシールをプレゼントしています。

「哲学のまち・なかの」をテーマに掲げ「哲学堂公園」を中心としたまちづくりを進めるために

哲学堂通り

――最後に「哲学のまち・なかの」について、地域の皆さまへのメッセージも含めてお聞かせください

植竹さん:中野区では現在、「哲学のまち・なかの」をテーマに掲げて「哲学堂公園」を中心としたまちづくりと環境整備を進めていますが、「哲学堂公園」でムーブメントを興していくには、まず近隣地域の方々が「哲学堂公園」とはどういった場所なのか、井上円了がどういう思いでこの公園を創設したかということについて知る機会が必要であり、まだまだ知られていない部分が多いかと思います。

定期的に開催している講座や展示を通じて、「はじめて公園の成り立ちを知りました!」という方もいらっしゃいますし、地域の教育または郷土の勉強をする機会の大切さを感じています。

私たちが作ったVTRもそういったことを醸成してくれるひとつの手段として機能してくれれば良いのかなとも思いますし、ライナ・シュルツァ先生による翻訳をはじめ、園内のサインを多言語表記にしたり、ケータイ端末の普及に合わせた情報提供の仕組みに変えていこうといったアイデアもあったり、2020年をひとつの契機にしてさまざまな取り組みを進めて参ります。

多言語表示のパンフレット

中野区の整備計画によると、当時の姿に復元していこうとする保存管理計画と称された大きい事業計画もあり、現存している建物の調査、再整備をしつつ、当時の資料や写真を参考に植栽や園路構成も見直していくようです。

最近、街では哲学好きが集まる哲学バーといった場所もあるようですが、哲学というものを観光として打ち出していくためには管理、運営を託された私たちも少なからず勉強しておかないといけませんし、東洋大学との連携事業で実施する講演講座等にスタッフも参加させていただき、「哲学堂公園」の魅力を国内外に広めていけるよう今後も努力して参ります。

哲学を視覚的、立体的に実体験として感じることができる“哲学のテーマパーク”

日本体育施設グループ(中野区運動施設および哲学堂公園指定管理者)

統括責任者 植竹薫さん
所在地 :東京都中野区松が丘1−34−28
電話番号:03-3951-2515
URL:http://www.tetsugakudo.jp/top.htm
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

日本体育施設グループ(中野区運動施設および哲学堂公園指定管理者) 統括責任者 植竹薫さん
所在地:東京都中野区松が丘1-34-28
電話番号:03-3951-2515
開園時間:8:00~18:00(10・11月は17:00まで、12月~2月は9:00~17:00)
休園日:年末(12/29~12/31)
http://tetsugakudo.jp/

にじいろ保育園 勝島 園長 大塚純子先生

$
0
0

京急本線「立会川」駅、「大森海岸」駅から徒歩約10分。「にじいろ保育園 勝島」は、2018(平成30)年4月に誕生した新しい認可保育園だ。「しながわ区民公園」内に位置し、地域に開かれた保育園として注目されている。今回は園長の大塚純子先生に、同園の特徴や南大井エリアの魅力についてお話を伺った。

「にじいろ保育園 勝島」

3つの“愛”を大切にする保育理念

――まずは園の概要をお聞かせください。

大塚園長:対象は生後57日以降の未就学児で、定員は92名、2018(平成30)年度現在は63名の子どもたちがいます。0歳児が6名、1歳児が10名、2歳児が16名、3歳児が19名、4歳児が8名、定期利用組が4名。通常の保育時間は午前7時半~午後6時半ですが、午前7時~午前7時半、午後6時半~午後7時半の延長保育も実施しています。また、午前8時半から午後4時半までの短時間保育を利用される方もいらっしゃいます。

園長先生と笑顔で話す、幼児クラスの園児たち

――保育理念をお聞かせください。

大塚園長:保育理念は「のびやかに育て 大地の芽」です。互いの信頼や共感から生まれる3つの愛「みとめ愛」、「みつめ愛」、「ひびき愛」を保育方針にしています。一人ひとりのつぶやきや発見に共感し、個性を大事にすること。そして何より、子どもたちが安心して遊べる環境を整えること。その点を意識し、保護者の方が安心してお子様を預けられる、ひだまりのような場所を目指しています。

保育室は明るく清潔で、木材を使用した机やいすなどあたたかみが感じられる

――子どもたちと接する際に心がけていることを教えてください。また、保護者の方々とコミュニケーションをとっていくうえではどんなことを大切にされていらっしゃいますか。

大塚園長:乳幼児も一人ひとり異なる人格や人権を持った人間だということを意識し、常に愛情をもって接するよう心がけています。職員には、穏やかに優しく接することの大切さを日々伝えています。子どもたちだけでなく、保護者の方に対しても、些細な言葉や何気ない行動をていねいに気遣うよう心がけています。ちょっとした立ち話をしている間に「こういうことに悩んでいるんだな」と気づくこともあるので、そんなときは「いつでも相談に乗りますよ」と伝えるようにしています。

午後のおやつを楽しむ乳児クラスの園児

区民公園内の緑豊かな保育環境

――「にじいろ幼稚園 勝島」さんの特色について教えてください。

大塚園長:一番の特色は、やはり「しながわ区民公園」内にあるということですね。保護者の方もその点を大きく評価されているように感じます。もちろん室内の設備も整っていますよ。保育室は、間伐材の国産ヒノキをふんだんに使用した家具や遊具など、木の温もりを感じられる空間になっています。提供する食事やおやつは、毎日手作りしているものです。ワンプレートではなく、一品ずつお茶碗やお皿に盛り付けているのもこだわりで、環境ホルモンの少ない陶器の食器を使っています。

公園に面したベランダのデッキ

――「しながわ区民公園」内に園があるとのことですが、この立地ならではの強みはどんなところでしょうか。

大塚園長:一番の強みは、気軽に戸外活動ができること。天気が許す限り、毎日お出かけを楽しんでいます。木々や花など四季折々の自然を身近に感じられますし、公園内にある水族館は4歳以下は入場無料。気軽に魚を見ることができるので、子どもたちも喜んでいます。

先生に声をかけられ、帰り支度をする子どもたち

――園外で地域との連携などがございましたらお聞かせください。

大塚園長:一歩外に出るだけで、公園だけでなく、地域の人々とふれあえるのも魅力です。子どもたちを連れて公園内を歩いていると、散歩や日向ぼっこをされている地域の年配の方々が、笑顔で優しく声をかけてくださるんです。子どもたちもうれしいようで、「お歌を歌っていいですか」とその場で練習の成果を披露してみせるなど、あたたかな交流が芽生えています。今年度は園内で楽しんだ夏祭りの行事を、来年度は園の外でやろうかと考えています。おみこしなど、地域の人と一緒に楽しめると思うので。

子どもたちの描いた絵などで飾られた廊下

今後に向けて、さまざまな取り組みを計画中

――今後の取り組みについて、構想やアイディアがあれば教えてください。

大塚園長:考えているのは、入園を考えて見学に来る方を対象に、園児たちと一緒に遊ぶ機会を設けることです。同じ年齢の子たちがどんな遊びをしているか知ることができますし、なにより園の実際を知れて安心につながると思います。 また、担当職員が盛り付けている給食を、園児が自分にとって必要な量を自分で取るバイキング形式にする計画も進行中です。開園してからまだ1年目なので、現在は基盤固めに集中していますが、静と動の動きをバランスよく取り入れながら、質の高い保育を提供していきたいと思います。

園の目の前にある遊具スペースは、地域の子どもたちの遊び場

――最後に、南大井エリアの子育て環境の魅力を教えてください。

大塚園長:地域の人々のあたたかさが、何よりも大きな魅力だと思います。子どもの声を騒音だと迷惑がる人もいる中、子どもたちを街ぐるみで一緒に育てていこうという雰囲気が感じられます。私自身はこの園ができるまで実はまったく知らない土地でしたが、仕事で通うようになってから、街のあたたかさにこの地域が好きになりました。

園長 大塚純子先生

にじいろ保育園 勝島

園長 大塚純子先生
所在地 :東京都品川区勝島3-2-2
電話番号:03-6450-0447
URL:https://www.like-kn.co.jp/academy/establishment/nijiiro/katushima/index.html
※この情報は2019(平成31)年1月時点のものです。

にじいろ保育園 勝島 園長 大塚純子先生
所在地:東京都品川区勝島3-2-2 
電話番号:03-6450-0447
定員:92名
入園対象:生後57日~就学前
開園時間:7:00~19:30
https://www.like-kn.co.jp/academy/establ..

長浜鮮魚市場 係長 浦和己さん 古賀太一朗さん

$
0
0

「魚の美味しいまち・福岡」を支える博多の台所「長浜鮮魚市場」。玄界灘の豊かな漁場で獲れた魚は、荒波に揉まれ身が引き締まった逸品となります。この市場は食文化の普及と交流を目的として、セリの見学が自由にできるよう一般開放されているのも特徴。そのほか、定期的にイベントを開催するなど、他市場とは一線を画す動きが人の交流を呼び、街の活性化に貢献しています。今回は、「長浜鮮魚市場」を訪れ、浦和己係長と古賀太一朗さんにお話を伺いました。

九州を支える鮮魚市場として

写真左から係長の浦和己さんと古賀太一郎さん

――「長浜鮮魚市場」の概要について教えてください。

浦さん:福岡は海に向かって開かれた街であり、古くから中国や韓国、アジア諸国との海外交流の窓口として発展してきました。かつて「那の津」や「袖の港」として活躍してきた場所に1955(昭和30)年に開場。博多漁港を擁した全国でも屈指の産地市場でもあり、西日本有数の消費地市場として、玄界灘や日本海、東シナ海から獲れた年間300種類の新鮮な魚介類を取り扱い、福岡都市圏をはじめ全国各地に供給しています。市場では消費者ニーズの多様化や物流環境の変化・情報化など、新しい流通環境に対応できる機能を盛り込んだ市場作りを今後も目指しています。

「長浜鮮魚市場」

この街の食文化をもっと身近に

――「市場会館」の建物もすごく綺麗ですね。

浦さん:地下1階から地上13階建の「市場会館」には、卸売会社をはじめとした市場関係者の事務所が入居していて、たくさんの人達が働いています。オフィス機能だけではなく、1階には鮮魚市場ならではの旬の鮮魚加工品が毎日特価でお求めいただけるお土産コーナー「鮮座(SENZA)」と、市場で仕入れた新鮮な魚介類を使った料理が楽しめる飲食店街を併設。2階には、鮮魚市場の仕組みや日本の魚文化について学べる「魚っちんぐプラザ」や「料理講習室」、2階デッキ側には鮮魚市場の迫力のセリが24時間見学できる西卸売場棟への見学者通路があります。最上階の13階には、天神の街や博多湾を望む「展望プラザ」があり、どなたでも気軽にご利用いただけます。

街を学ぶパネル展示も

コミュニケーションを生む新しい市場イベント

――「長浜鮮魚市場」では多くのイベントを開催されているとお聞きしました。

古賀さん:今年7月に開催10周年となった「市民感謝デー」は、毎月第2土曜日に開催しています。当日は、仲卸売場棟など普段は一般の方が入ることができないエリアを解放して、皆さまにお買い物を楽しんでいただいています。新鮮な魚を市場で購入できるということもあり、福岡市内はもちろん、県内外から毎回約1万人の来場者がある一大イベントになっています。
定例イベントとしましては、大きな包丁でさばく姿が大迫力の「本マグロの解体ショー」や「お魚さばき方体験」、寿司職人から握り方を学べる「子どもお寿司握り体験(小学生限定)」、旬の魚を使って親子で料理を楽しむ「こどもおさかな料理教室」など毎回たくさんの楽しい企画をご用意しています。

マグロの解体ショー

同じく、今年7月には10周年記念の特別イベントとして「活魚のつかみ獲り」を行い、子どもたちは活きの良い魚に悪戦苦闘しながらも、つかみ獲りを楽しんでいる様子が印象的でした。とても盛り上がりましたね。

活魚つかみ取り

場内は新鮮な魚介類、冷凍品、加工品なども目白押しなので、イベントからお買い物までいろんな楽しみ方を過ごしていただけたらと思っています。今後も多くのイベントを開催する予定ですので、見て食べて体験して日本の魚食文化に親しんでいただければと思います。

都会的な魅力と昔ながらの食文化が共存

――このまちの魅力とこれからこのエリアに住まわれる方に向けて一言メッセージをお願いします!

浦さん:赤坂エリアは、港からも近く福岡市街もすぐの立地が魅力です。福岡市営地下鉄「赤坂」駅もすぐのところにあるので、どこへ行くにもアクセスが良いですね。また、周辺は魚に限らず美味しい飲食店が点在していて、食べ歩きも楽しいです。「長浜ラーメン」は特にオススメですよ! また、暮らす街としての魅力がある一方で、市場が近く、いつでも新鮮で美味しいものを楽しめるのがここ、赤坂エリアです。ぜひ皆さんもお越しください。

「魚の美味しいまち・福岡」を支える博多の台所「長浜鮮魚市場」

古賀さん:市場というと街から離れたところにあるイメージですが、ここ赤坂エリアはすごく身近に市場があります。鮮度が良い魚介類を都心部でも楽しめるというのが魅力の1つだと思っています。生活利便性の高い環境でありながら、魚食文化に親しみやすい立地であることも赤坂エリアの良さ。ぜひ市場の美味しい魚を愉しんだり、イベントに参加したり、家族みんなで遊びに来てほしいですね!

係長の浦和己さん(左)古賀太一郎さん(右)

「長浜鮮魚市場」

係長 浦和己さん(左)
古賀太一朗さん(右)
所在地 :福岡市中央区長浜3-11-3
電話番号:092-711-6412
URL:https://nagahamafish.jp/
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

長浜鮮魚市場 係長 浦和己さん 古賀太一朗さん
所在地:福岡県福岡市中央区長浜3丁目11番3号
http://nagahamafish.jp/

児童主導の取り組みを⽀え、将来活躍できる⼦どもたちを育てる/大津市立平野小学校 小林校長先生

$
0
0

太陽の光を浴び、キラキラ輝く校舎から今日もたくさんの児童の声が聞こえる。JR琵琶湖線・京阪石山坂本線「膳所」駅を中心として南北に長い学区を持つ「大津市立平野小学校」は少子高齢化の昨今において、いまだ児童数1000人以上を誇る大規模校だ。そんな平野小学校で2017(平成29)年4月から校長を務められているのは小林典也先生。児童数が多いからこそ、児童1人1人の個性を尊重する教育を心がけていると語る。小林校長先生は30年近く教員を務めた後、大津市教育委員会に配属され、昨年再び教員として本校にやってきた。「校長になったのは本校が初めてで、赴任当初は子どもたちの声が聞こえる場所に戻って来られたという喜びと、大規模校の校長を務めるという責任の重さを感じました。」と語る。今回はそんな小林先生に平野小学校の特色と地域の魅力についてお話を伺った。

今回取材にご協力頂いた小林典也校長先生

――まず、学校の沿革と概要について教えてください。

小林校長先生:本校は今年で142年目を迎える歴史の古い小学校です。学制発布の4年後、1876(明治9)年に本校の前身となる「松本学校」と「峻明学校」が設立され、やがて2つの学校は統合し、「大津東尋常小学校」、「平野国民学校」と名前を変え、1947(昭和22)年に「平野小学校」という名称になりました。1970年代後半から琵琶湖の埋め立てや山側の開発が進み、1982(昭和57)年には1,540名もの在校生を抱える滋賀県有数の大規模校となり、現在でも全38学級を持つ大津市内で2番目に児童数の多い小学校です。1973(昭和48)年に建てられた校舎は2015(平成27)年に大規改修工事を行い、美しく生まれ変わりました。

創立140年を記念して撮影された航空写真

――学習の特色や教育目標について教えてください。

小林校長先生:本校は1993(平成5)年に市のコンピューター研究指定校に選ばれ、「平野小学校=コンピューター」と言われるほどコンピュータ学習をいち早く取り入れてきました。現在は「メディアルーム」と呼ばれるコンピューター室でコンピュータ学習を行っています。プログラム学習もこの教育の1つで、コンピュータ上でキャラクターを選び、動きの指示(プログラム)を組み込むことで、キャラクターを実際に動かす学習をしています。プログラミングを学ぶのではなく、順番や段取りを踏みながら物事を進めるという論理的思考を育てるための大切な教育です。そして、コンピュータから得た情報をグループの中でディスカッションするなど、これからの社会で必要な力を育てるためにコンピューター学習を活用しています。

コンピュータ学習の様子

――人権やいじめに対する取り組みにも力を入れているとお聞きしました。取り組み内容について教えてください。

小林校長先生:本校では子どもたちによる委員会がいくつかあり、その中にいじめや人権に対する取り組みを行う「にこにこ委員会」があります。いじめ防止啓発月間に当たる6月と10月には「にこにこ委員会」の主導のもと、命の大切さを全校生徒に伝える約1時間の集会を行います。今年は、「いじめとはどういうことか。」をテーマに、「にこにこ委員会」のメンバーが劇を通して表現してくれました。
また、いじめ防止の取り組みとして、本校のいじめ防止キャラクター「くじゃの」がイラストされたバッチを「にこにこ委員会」から1年生にプレゼントしました。「くじゃの」は2013(平成25)年に子どもたちが当時本校で飼っていた孔雀をイラスト化したもので、毎年1年生にはこのバッチをプレゼントしています。

「平野小学校」のオリジナルキャラクター「くじゃの」のバッチでいじめ防止を促進

小林校長先生:もう1つ特徴的な取り組みとしては、本校の宝である青い目の人形「ジェーン・ハイランド」に関する取り組みです。現在、ジェーンは大津市の歴史博物館に保管されているのですが、毎年秋になると本校に里帰りします。
ジェーンを始めとする青い目の人形は戦前、日米友好のためにアメリカから全国各地の学校にたくさん送られたそうです。しかし、第2次世界大戦が起き、敵国の人形だということでその大半は燃やされてしまいました。しかし、人形自体には何の罪もないと、密かに隠したり、保管した先生がいたようで、本校でも家庭科室の壁の裏に隠されていて、戦後改修しようと壁を外したところ、このジェーンが出てきたそうです。ジェーンにまつわる話とともに戦争の悲惨さ、ジェーンを守ろうとした先生の想いを子どもたちに伝えることで、改めて命の大切さを学ぶ機会にしています。

青い目の人形「ジェーン・ハイランド」

――地域との交流について教えてください。

小林校長先生:本校では地域の方との交流をとても大切にしています。ゲストティーチャーとして地域の方に来ていただき、昔の遊びや野菜の栽培方法、防災への取り組みなどを子どもたちに伝えていただいています。リアルな話に子どもたちも熱心に耳を傾け、質問もよく飛び交います。地域の方以外にも企業の方に来ていただくなど、さまざまな交流を行っているのも本校の特徴ですね。

JAFによる1年生の交通安全教室

――近隣の小学校や中学校、幼稚園や保育園との交流について教えてください。

小林校長先生:「中央小学校」、「逢坂小学校」、そして進学先にあたる「打出中学校」と本校を合わせた4校の生徒会、もしくはそれに代わる組織(本校では「にこにこ委員会」)の子どもたちによる「打出サミット」と呼ばれる会議が年に数回行われます。学校の取り組みや地域での情報発信方法などを相談し、時には子どもたちのグループの中に地域の方々が参加して会議を進めていきます。
昨年の「打出サミット」では各学校で決めた「いじめ防止のスローガン」を表現したCMをそれぞれの学校で作り、各学校の学内放送で流しました。子どもたちが率先して行うことで達成感が得られ、また次の活動へ意欲をもって取り組むことができるのもこのサミットの良いところです。

「打出サミット」から生まれた「いじめ防止のスローガン」を表したポスター

小林校長先生:幼稚園・保育園との交流としては、次の1年生として入ってくる年長の園児たちと本校の5年生との「55(ゴーゴー)交流」という交流の機会を増やして、園児の入学する際の不安を取り除く取り組みを行っています。例えば、年長の園児たちに小学校に来ていただき、5年生が手を引いて校内を案内したり。5年生にとっても、園児とふれ合うことで人と関わる愛おしさを培ってほしいという狙いもあります。また、1年生と年長の園児とが一緒になって、折り紙や塗り絵などのものづくりを行う交流なども行っています。

――今後、小林先生が進めたい教育方針について教えてください。

小林校長先生:本校の教育目標である「考える子ども がんばる子ども やさしい子ども 元気な子ども」の頭文字をとった「かがやけ」に向けた教育を進めることは大前提として、今年は「目と耳と心で聞いて、頭で考えて行動に移そう」というスローガンを子どもたちに伝えています。耳で聞くだけではなく、話している相手をしっかり見て、何を伝えたいのかを心で感じ取り、自分なりに考えて行動につなげていこうという取り組みです。これは教員にとっても大切なことで、子どもの思いをしっかり受け止めたいという思いでもあります。

子どもたちへの思いを語る小林先生

――「平野小学校」での生活を通して、子どもたちにどのように育ってほしいとお考えですか。

小林校長先生:これからの時代は、日本にいながらも海外のいろんな国の人とつながる機会が増えてくると思うので、その時に国の違いや言葉の違いでシャットアウトするのではなく、自分から扉を開いて関わっていけるような力を身につけてほしいと思っています。そのためには身近にいる人とのコミュニケーションがとても大切です。だからこそ、障害のある子どもたちも含めて、子どもたちが多くの人たちとどのように関わり、自分に何ができるのかということを考えられるようになってもらえたらと思っています。そして、将来的にもし平野地区から出ることがあっても、いつかはまたここに戻ってきてほしいというのが地域の願いでもありますし、私の願いでもあります。

――今後、どういう学校にしていきたいとお考えでしょうか。

小林校長先生:学校という閉ざされた空間の中だけで学ぶだけではなく、より地域に出て行って、地域のことについて学び、地域の人と関わり、「この地域に対して自分に何かできることはないだろうか。」と考えることはとても大事だと思っています。その1つの方策として、大津市が進めている「コミュニティ・スクール」という取り組みを来年度からスタートできるように進めていきたいと思っています。「コミュニティ・スクール」とは学校運営を地域の方々にも積極的に関わっていただくという仕組みで、地域や保護者の方の意見を取り入れ、連携して子どもたちの将来を考えた学校運営を進めていきたいと考えています。

3年生以上の代表委員会の様子

――最後に、 小林先生にとってこの街の魅力について教えてください。

小林校長先生:本校の学区には松尾芭蕉の墓がある「義仲寺」や「けまり祭」が行われる「平野神社」など、歴史を感じられる名所がたくさんあるだけでなく、山手から見た「琵琶湖」の眺望など、自然と歴史と街が調和した素晴らしい地域です。交通の便もいいですし、改めて子どもたちが育つ環境には申し分のない環境と言えるでしょう。

平野小学校の外観

大津市平野小学校

校長 小林 典也先生
所在地:滋賀県大津市馬場1-2-1
TEL:077-522-2335
URL:http://www.otsu.ed.jp/hirano/
※この情報は2018(平成30)年8月時点のものです。

児童主導の取り組みを⽀え、将来活躍できる⼦どもたちを育てる/大津市立平野小学校 小林校長先生
所在地:滋賀県大津市馬場1-2-1 
電話番号:077-522-2335
http://www.otsu.ed.jp/hirano/

伝統芸能を学び、心を育てる。/大津市立長等小学校 鈴木校長先生

$
0
0

長等山と琵琶湖に挟まれた大津市中心部。目の前には1000年以上の歴史を誇る「三井寺」があり、歴史と伝統を感じる街並みが広がっている。そんな街で140年以上の歴史を持つのがこの「大津市立長等小学校」。6年生になると全員で狂言「附子(ぶす)」を本格様式で演じることが度々話題にもなる同校であるが、その歴史的資産を生かした学校独自の教育観とはどのようなものだろうか。今回は同校の校長である鈴木靖彦先生にお話を伺った。

歴史と自然の恵みにあふれるロケーション

今回取材にご協力頂いた鈴木校長先生

――まずは学校の沿革と概要を教えてください。

鈴木先生:1873(明治6)年に創立し、現在140年以上の歴史がある学校です。そして2023年には150周年を迎えます。児童数は630人で、1学年で3~4クラスあり、支援学級も含めて全26クラスとなっています。元の校舎はここからほんの少し離れた場所でしたが、1967(昭和42)年に現在の場所に移転しました。

校舎

――学校の施設や周辺環境に関して教えてください。

鈴木先生:琵琶湖の潤いと歴史的な建造物、文化的遺産がたくさんあることは本当に恵まれていると思います。運動場の向こうの山には、1000年以上の歴史ある「三井寺(みいでら・天台寺門宗総本山園城寺)」の山門が見え、すぐ隣には琵琶湖疎水が流れています。そして、その近くには観光客も多く訪れる桜の名所があり、本当に風光明媚な場所の中心にある学校だと言えると思います。また、東西に100メートル以上ある長い校舎も本校の特徴です。自由選択ですが、学校には校舎が移転した1967(昭和42)年から50年変わらない標準服と帽子があり、子どもたちも好んで着用しています。地域の方からの評判も良いんですよ。

50年間変わらないという帽子

多くの恵みと伝統から学ぶ、長等イズム!

――学習の特色や教育目標について教えてください。

鈴木先生:教育目標は「心豊かでたくましい子ども」という言葉を掲げています。そして、伝統文化を生かした教育にも特に力を入れています。本校には長い歴史と伝統、そして豊かな自然環境があり、さらに子どもたちを見守ってくださる多くの地域の方々がいてくださっているからこそ、この目標を実践できているのだと日々実感しています。

――“伝統文化を生かした教育”について具体的に教えてください。

鈴木先生:これは本校きっての取り組みとして色んな形で取り上げて頂く機会が多いのですが、6年生になると「大津市伝統芸能会館」で狂言の「附子(ぶす)」の発表会を行います。これは本校に入学してくる1年生もみんな知っていますし、幼稚園の子どもたちも見に来ます。言葉は子ども向けに簡単にしたものではなく、室町時代の狂言をそのままの言葉で演じます。本校に入学したら6年生は全員でこれをやって卒業するという伝統があるのです。”伝統あふれる地域、系統的・断続的な活動をなすことによって学ぶ、地域とともに育てる”。これらの視点から、本校の6年間で学んだ総まとめとしての発表会となっています。

――例えば6年生が発表会で演じるのに先立って下の学年では基礎の勉強を行うのですか。

鈴木先生:その通りです。でもそれは狂言だけに限定したものではなく、例えば5年生だと「大津絵」や「三井寺」について学んだり、4年生では疎水の歴史を学んだりと、狂言の発表会という特別活動に色んな教科の学習を絡めて勉強します。それを経て6年生になるという流れなのです。

学びを深める

――そのような取り組みには地域の方も関わられているのでしょうか。

鈴木先生:現在はお亡くなりになられましたが、「大津絵」の学習では本校出身の大津絵画家である高橋松山(たかはし しょうざん)先生に1977(昭和52)年から来て頂いてご指導を頂いておりました。現在は、5代目の息子さんに引き続いてご指導頂いております。狂言の練習では「大津なごみの会」の皆さんの指導を受けて、文化としての狂言だけではなく、狂言の舞台にふれる人の生き方まで学びます。このような活動の中で、地域の歴史や地域の方々とのふれ合い、守りぬかれてきたものに対しての想いなど、学校のなかだけではできない貴重な体験ができることを大切にしています。

大津絵

――子どもたち自身の反応はどうですか?

鈴木先生:子どもたちは6年生で「附子」を演じるということを見据えて、それまでに下地の勉強をしているので、6年生になった時にはこれまでの学習を通してグッと成長した姿に見えます。そして6年生でそれをやり切った時には子どもたち自身もとても自信に満ちていて、達成感も高いのではないでしょうか。

6年生になると「附子」を演じる(提供:長等小学校)

認め合い、分かち合う。学校独自の取り組みとは

――その他に学業に関しての取り組みはありますか。

鈴木先生:学力向上にも取り組んでおりますが、その取り組みの特徴が実は学級会にあるのです。みんなで課題を解決していく“協働的課題解決”の仕組みを授業でも取り入れています。例えば、算数で分からないことがあれば、子どもたちがちゃんと「わからない」と言える空気を作り、それをみんなで一緒に解決できるように考えることを大切にしています。主体的で対話的な深い学びを実践するために、この“協働的課題解決”の仕組みを取り入れています。また、子どもたち自身で街づくりについて考え、それを発表する「街づくり発表会」も行っています。

街づくり発表会の資料作り

――学年や学校を超えた交流についてはいかがでしょうか。

鈴木先生:学内での縦割り遊び、縦割り運動会応援、縦割り掃除など、ほかの小学校でも行っていることもありますが、本校は日常的に異学年交流の取り組みが多いと思います。例えば、幼稚園の5歳児と小学5年生が一緒にふれ合う「5・5交流」など。また、「三井寺」では地域の方が主催している「寺子屋」を開催しています。「寺子屋」を通して子ども同士で勉強を教え合ったり、地元の中学生に教えてもらったり、それを地域の方がサポートしてくれたりなど、色んな形で交流をしています。小中連携では、子どもたちが呼び名を決めた「OSK(皇子山中学校区・小学生中学生・こども会議)」というものを小中一貫の柱として活動しています。各小学校から「皇子山中学校」に通う子どもたちが特に善悪などの道徳面について共通の認識を持ち、個性の違いを認め合えるようになって、中学校生活を送れるようにする取り組みとなっています。

――本当に色んなことに取り組んでいるのですね。

鈴木先生:このような取り組みは特別活動を重視していることから発展してきたもので、もっと全体的に教科を横断して学校内だけでなく、周辺地域の皆さんまで取り込んだ包括的なものにしていきたいと考えています。そのために学校の取り組みについては、情報公開をして地域の皆さんにも理解してもらい、ご協力頂くサイクルを回していきたいのです。本校の近くにはそういった地域の資源が豊富にありますし、実際にその取り組みを理解して頂いていますので、学校からお願いしなくても地域の皆さんで自主的に運営してくださることがとても多いのです。

校舎からの眺め

――長等小学校をどんな学校にしていきたいですか。今後の展望をお伺いできればと思います。

鈴木先生:今までお話したことのまとめにもなるのですが、本校ではいかに6年生を育てていくか、そこを重視しています。1年生を担当する教師でも「この子どもたちをいかに立派な6年生に育てるか」「下学年の子どもたちに憧れられる6年生になるにはどうしたらよいか」など、子どもたちの将来を見通した教育をこれからも行っていきたいなと考えています。

――学校周辺の街としての魅力や、鈴木校長先生のおすすめスポットを教えてください。

鈴木先生:なんといっても長等の街と言えば「桜」ですね。桜の咲く4月の初めに来ていただくと素晴らしい景色が見られると思います。そのなかでも「三井寺」の桜は特におすすめです。周りには美味しいお店もたくさんありますので、そういうお店にも寄りながら綺麗な桜を楽しんで頂きたいと思います。

長等の街といえば「桜」

校長 鈴木靖彦先生

大津市立長等小学校

校長 鈴木靖彦先生
所在地 :滋賀県大津市大門通5-1
電話番号:077-522-6669
URL:http://www.otsu.ed.jp/nagara/
※この情報は2019(平成31)年3月時点のものです。

伝統芸能を学び、心を育てる。/大津市立長等小学校 鈴木校長先生
所在地:滋賀県大津市大門通5-1 
電話番号:077-522-6669
http://www.otsu.ed.jp/nagara/

エリアの仕上げともいうべき開発が進行中で注目される「みなとみらい21地区」/横浜市都市整備局みなとみらい21推進課 課長 白井正和さん

$
0
0

今から半世紀以上も前に、横浜市が21世紀の新しい港湾都市の姿を求めて計画した「みなとみらい21」の開発プロジェクト。そこから長い年月の間に、「横浜ランドマークタワー」「クイーンズスクエア横浜」「よこはまコスモワールド」「赤レンガ倉庫」など、数々の横浜の新名所が生まれてきたことは、多くの人が知るところだろう。しかし一方で、地区の北側では数年前まで空き地が大部分を占め、やや寂しげな光景を見せていたことも事実だ。
ところがこの2、3年の間に、これらの空き地に今大きな変化が起きている。「新高島」駅周辺を中心としたエリアで、数々の大規模な建物の工事が始まっているのだ。これからこの界隈はどのように変わっていくのだろうか。横浜市で「みなとみらい21」地区の開発を担当されている、横浜市都市整備局都心再生部みなとみらい21推進課・課長の白井正和さんにお話を伺った。

 横浜市都市整備局 みなとみら い21推進課 課長 白井正和さん

横浜市を「個性ある自立都市」にすべく始まったプロジェクト

――そもそも「みなとみらい21」の開発とは、どのような事業なのでしょうか?

事業の発端は、1950年代から70年代初めの高度経済成長期に、東京への「一極集中」が顕著になったということがあります。横浜は東京のすぐ隣にあるので、東京に通われる方が(横浜に)多く住まわれるという状況が生まれ、人口が急増していきました。ところが、インフラの整備が人口増加に追いつかなかったため、都市としていろんな歪みが発生してしまったのです。

事業着手前の「みなとみらい21」地区(1980年)。写真左奥が「横浜」駅、右手前が「関内」駅周辺。

横浜市ではそれらの“歪み”に対応しながら、横浜を「個性ある自立都市」とするために、1965(昭和40)年に「六大事業」を発表しました。そのひとつの柱が「都心部強化事業」というものでしたが、その事業の中核的なプロジェクトが、「みなとみらい21」の開発事業でした。
もともとこの地区には造船所や国鉄の貨物の操車場があったのですが、それらの施設には移転をしていただいて、また一部は新しく埋め立てを行い、今のようなまとまった敷地になりました。こうして横浜市が主体となって区画整理をした土地を、民間事業者に売却して、開発をしていただいているというのが、この「みなとみらい21」という地区になります。

――「みなとみらい21」地区は3つのエリアに分けられているそうですね。それぞれのコンセプトの違いを教えてください。

「みなとみらい21」地区は「中央地区」「新港地区」「横浜駅東口地区」という3つの地区の総称になります。全体コンセプトとして、「24時間活動する国際文化都市」「21世紀の情報都市」「水と緑と歴史に囲まれた人間環境都市」といった言葉を使っておりまして、この目標に向けてまちづくりを進めています。

現在の中央地区

3つのエリアのうち一番広い「中央地区」は、皆さんがよくイメージされる「ランドマークタワー」等もある地区です。この地区では「賑わいと活力ある都市空間の創造」ということをキーワードにしています。1988(昭和63)年には中央地区の地権者等の間で「みなとみらい21街づくり基本協定」を締結し、水、緑、パブリックスペース等の配置や、建物の色調などについても、自主的なルールを定めました。それに沿って、調和のとれたまちづくりを進めています。

「横浜赤レンガ倉庫(赤レンガパーク)」のある「新港地区」

一方、「横浜赤レンガ倉庫」などがある地区を「新港(しんこう)地区」と呼んでいます。こちらは「歴史と景観を活かした再開発」という目標を掲げています。歴史的なシンボルを大事にしながら、開港の地にふさわしい街並み形成を進めて、水辺のうるおいや港の歴史が感じられる街に、また、国際性があふれる街にしていこう、という趣旨です。こちらでも「新港地区街並み景観ガイドライン」というルールを別に定めまして、良好な景観にも配慮しながら、開発を行ってきました。

両地区の違いをわかりやすい数字でご紹介しますと、「中央地区」については、建てられる建物の最大の高さを「300メートルまで」としていますが、「新港地区」については「30メートルまで」としています。10倍も違うんですね。高さ以外にも、用途や形態についてもそれぞれ異なる制限をかけていまして、それに従いながら、個性的な街づくりが行われています。

もうひとつ、「東口地区」はそごうとスカイビルがある面積も小さいエリアで、「横浜」駅との結節点として位置づけられる地区になります。

地区ごとに綿密な計画を練り、民間事業者と協力しながら進行中

――インフラは横浜市が整備し、建物は民間事業者が開発する、とのお話でしたが、開発内容に横浜市は関与されないのでしょうか?

いえ、個別の案件ごとにしっかりと内容を協議、吟味させていただいています。「みなとみらい21」地区で建物を開発する時には、単に「法律に合っていればOK」ということではなく、建物の見た目についても、色についても、施設の内容についても、「この地区が目指すところにふさわしい中身になるように」ということで、細かなことまで協議をさせていただいています。

――現在は段階として、どんな状況なのでしょうか?

街区開発状況図(みなとみらい21推進課WEBページより転載)

現在の状況はこちらの図にあるとおりですが、ピンク色の部分が完成済み、紫色の部分が工事中、青色の部分が着工準備中、ということになっています。特にこの3、4年くらいで決まったプロジェクトが、現在動いているという状態です。いよいよ、残るところ(未売却地)も少なくなってきた、という段階です。

――すべてが完成するのはいつになりますか?

現在工事中のものや、着工準備中のものは、2019年から2021年にかけて順次完成していく予定です。ただ、その他の未定区画に関しては、早いに越したことはないと思いますが明確な時期の目標というものは立てていません。今はこの開発の最後の仕上げの段階だと思っていますし、これから開発する地区は「横浜」駅に近いエリアで、区画も比較的大きいですから、「いつまでにそこを埋める」というよりは、「どれだけいいものを作るか」ということに注力したいと考えています。

世界最大級の音楽専用アリーナなど注目の施設が続々完成予定!

――今後完成する施設の中から、特に見どころとなるものをご紹介ください。

注目が高いところで言えば、やはり2つの「音楽専用アリーナ」かと思います。ひとつは「(仮称)MMアリーナ」。「ぴあ」さんが実施している事業になりますが、1万人規模の音楽専用アリーナが首都高の出口付近で建設中です。こちらは2020年春の完成予定です。実は、音楽専用アリーナはもうひとつ計画されていまして、以前「マリノスタウン」があった辺りに、「(仮称)Kアリーナ」という2万人規模の非常に大きなアリーナが造られる予定です。こちらは2021年度中の完成予定です。聞いたところでは、音楽専用アリーナとしては世界最大級の規模だということです。このふたつの新しい音楽アリーナができることで、街の雰囲気もだいぶ変わるのではないか、と思っています。

(仮称)MMアリーナ 外観イメージ(出典:ぴあ株式会社ニュースリリース)

そのほかの施設については、「みなとみらい21」の最近の特徴として、企業のR&D(研究開発)系の施設が集積してきている、ということがあり、特に「新高島」駅の周辺を中心にそういった施設が多くできていきます。「(仮称)資生堂のグローバルイノベーションセンター」を皮切りに、「(仮称)LGグローバルR&Dセンター」「(仮称)京急グループ本社ビル」「村田製作所みなとみらいイノベーションセンター」「神奈川大学みなとみらいキャンパス」などが、今後この地区に誕生します。

左奥が「(仮称)LGグローバルR&Dセンター」と「(仮称)資生堂のグローバルイノベーションセンター」予定地、右奥が「横浜グランゲート」

――今後完成していく施設の中に、横浜市が関わっている施設はありますか?

「パシフィコ横浜」では拡張工事を現在行っていまして、現在の施設の隣に6階建てのコンベンション施設を作っていますが、こちらは民間事業者に開発していただいたものを、市が借り受けて運営するという形をとります。高級ホテルも併設されます。
もうひとつは、「新港地区」で工事中の新しい客船ターミナルです。こちらにはターミナルとともに、にぎわい施設、商業施設も作られる予定で、「パシフィコ横浜」と同様に、民間事業者の力を借りて造っていただいています。

拡張工事中の「パシフィコ横浜」

――今後、「横浜」駅側からのアプローチが改良される計画はあるのでしょうか?

現段階で決まっているものはありませんが、現時点で(「横浜」駅から徒歩で)来にくい、わかりにくいというご指摘はよく頂いていますし、今後は音楽アリーナ等の大きな施設もできてきますので、課題として考えているところです。

盛り上がるまちづくりの最後の仕上げ

――今後のこの地区に対する思いをお聞かせください!

「みなとみらい21」地区は昨年度の来街者数が約7,900万人、就業者数が約10万5千人、事業所数が約1,810社ということで、特に就業者数と事業所数については過去最高を記録して、さらに右肩上がりになることが予想されています。そんな中で、残りの未開発街区も少なくなってきているという状況ですが、これらは「横浜」駅にも近い、非常に重要な街区だと認識していますので、開発の最後の仕上げとして、事業者の皆様によりよい提案をいただけるように、引き続き頑張っていきたいと思います。

また、「みなとみらい21」といえばビルのイメージが強いかと思いますが、実は公園や緑も非常に多くありますし、野鳥や昆虫など、いろんな生き物も棲んでいます。ぜひそういったものにも触れながら、街を楽しんでいただけたらと思います。

課長 白井正和さん

横浜市都市整備局 みなとみら い21推進課

課長 白井正和さん
所在地:横浜市中区港町1-1
URL:http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/mm21/
※この情報は2018(平成30)年9月時点のものです。

エリアの仕上げともいうべき開発が進行中で注目される「みなとみらい21地区」/横浜市都市整備局みなとみらい21推進課 課長 白井正和さん
所在地:神奈川県横浜市中区港町1-1 
電話番号:045-664-2525(横浜市コールセンター)
開庁時間:8:45~17:15
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.city.yokohama.lg.jp/


江戸川区共育プラザ小岩 子育て専門指導員 内藤成子さん

$
0
0

地域ボランティアによるプログラムも充実
「来てよかった」と思える子育てひろば作り

子育て支援を充実させている江戸川区では区内6カ所の共育プラザ内に「子育てひろば」を開設している。そのひとつが京成線「小岩」駅から徒歩5分の場所にある「江戸川区共育プラザ小岩」だ。建物の2・3階には子育てひろばや音楽スタジオ、スポーツルームなどが完備され、多彩な子育て・中高生支援事業を実施している。今回は、子育て専門指導員として長年、地域の子育てファミリーに寄り添ってきた内藤成子さんにお話を伺った。

「江戸川区共育プラザ小岩」の概要をお教えください

江戸川区共育プラザ小岩

就学前の乳幼児とその保護者を対象とした子育て支援、中高生支援、世代間交流を3本の柱に活動している施設です。子育て支援の部屋としては、お子さんと保護者が自由に遊べる子育てひろばと、おやつやお昼を食べられる談話室があります。

江戸川区共育プラザ小岩

中高生支援としては、ダンスができるスポーツルーム、完全防音の音楽スタジオ、バスケットやフットサルのできる屋外の球技場や学習室などがあります。子育て支援と共同の談話室には、日本プロビリヤード連盟に所属する世界チャンピオンから寄贈されたビリヤード台もあります。

なお、各部屋はすべて無料で、子育て支援の部屋は9時から17時まで、中高生支援の部屋は中学生が9時から19時まで、高校生が9時から21時まで(土・日曜日は中高生とも17時まで)利用できます。
※共育プラザの対象は未就学児までと中高生ですが、江戸川区では区内73小学校で「すくすくスクール」という小学生対象の事業も行っていて、そこに学童クラブの機能を持たせています。

子育てひろばについて詳しく教えてください

江戸川区共育プラザ小岩

乳幼児と保護者が自由に遊び、交流をしながら、子育ての仲間づくりや情報交換ができるひろばです。滑り台やプレイハウスといった遊具やままごと遊びのおもちゃ、ブロックなどが置いてあって、絵本コーナーもかなり充実しています。また、授乳コーナーやベビーベッドも用意して、ママがリラックスして過ごせるようにしています。

江戸川区共育プラザ小岩

利用にあたっては、お子さんのお名前で利用登録証を作って頂いていますが、これがあれば区内6カ所の「共育プラザ」のどこでも入館できます。ここは南小岩の共育プラザと距離が近いので、プログラムによっては南小岩から来る方もいらっしゃいます。

どんなプログラムを実施していますか?

江戸川区共育プラザ小岩

定例行事として大きな遊具などで遊べる「自由ひろば」と「アスレチックひろば」、「ベビー&ママタイム」、「パパと遊ぼう」、読み聞かせや、わらべうたの集いなどを毎月開催しています。それから、スプーンなどを使ったツボ健康法やバルーンアートのワークショップ、美容師さんによるキッズカット講座、応急救命講座など、利用者のニーズに沿ったプログラムを月替わりで開催しています。このほか、保育園と合同で開催する「子育てフェスティバル」、「夏まつり」や「クリスマス会」といった季節イベントなどもあります。

江戸川区共育プラザ小岩

特に「ベビー&ママタイム」はとても人気があります。0歳児とママに限ったプログラムなので、初めてママになったばかりでどうしたらいいのかわからず、お友達や相談相手がほしいというママたちの集いの場になっています。前半は遊びの指導、後半はグループでのおしゃべり会になりますが、そこでおしゃべりしながら同じ月齢ぐらいのお子さんのママ同士で親しくなれて、とても心強いのではないでしょうか。

地域ボランティアを活用されていると伺いました

「江戸川総合人生大学」で子育て支援について勉強された方や、長く園長をされていた方などに地域ボランティアとして登録してもらい、子育てひろばの見守りのお手伝いや各種プログラムの講師などをして頂いています。

年配の方が多いので、若いママが年の離れたボランティアさんから、わらべ歌のように昔のいいもの・身近なものでお子さんを楽しませてあげるスキル、そうした“おばあちゃんの知恵”みたいなものを教えてもらえる。そして何より、年配の方たちと関わることで、ママたちがちょっとゆったりした気持ちになれるというのが大きな利点だと思います。

子育て相談も行っていらっしゃるのですか?

江戸川区共育プラザ小岩

ちょっとした工夫で解決できるような質問については、子育てひろばの中で職員がアドバイスしています。さらに、毎月1回個別相談日を設けていて、予約をとっていただいた上で、別室で30分ぐらいお話するというシステムにしています。

ただ、職員が子育てひろばでいろいろな話をしてくれているので、個別相談にくる方はそれほど多くはないですね。また、心配なケースについては小岩健康サポートセンターなどの専門機関につなぐようにしています。

子育て中のママと接する際に心掛けていることはありますか?

江戸川区共育プラザ小岩

あいさつや送り出しの言葉掛け、ママの気持ちに添うような形での優しい対応を通して、少しでも「ここへ来てよかった」と思っていただけるような場づくりを心掛けています。例えば、2人目が生まれて上のお子さんが赤ちゃん返りしてしまい、お家でお子さん2人を抱えて困っているというママがけっこういらっしゃいますが、そういう方には「下のお子さんを見ている間にお姉ちゃんと遊んであげて」とか、サポートしてさしあげる。そうすることで、行き詰っているママがちょっとでもほっとして帰られればうれしいですね。今のママたちはとてもまじめで一生懸命子育てしていらっしゃいますが、ぜひここにいらして、一人で悩まず楽しく子育てしてもらえたらと思います。

6つの共育プラザのうち、「江戸川区共育プラザ小岩」の特色はどんな点ですか?

江戸川区共育プラザ小岩

子育て中のスタッフを含めて職員の年齢の幅が広いので、そうした職員と触れ合い、それをきっかけにお友達作りできるところが魅力だと思います。また、6館の中でも特に地域ボランティアさんのプログラムが充実しているので、職員だけでなく、いろいろな方と触れ合うことができます。例えば、「自由ひろば」と「アスレチックひろば」では毎回、年配のボランティアのご夫婦が来てくださり、子どもたちをゆったりと遊ばせてくれています。

江戸川区共育プラザ小岩

それから、おじいちゃん、おばあちゃんの同伴が多いことも小岩の特色ですね。おじいちゃん、おばあちゃんの面倒見がよくて、お子さんもとても懐いていらっしゃいます。お子さんをおじいちゃん、おばあちゃんに任せて稼業を手伝っているママもいらっしゃるようです。

小岩の子育て環境について教えてください

江戸川区共育プラザ小岩

このあたりは古い土地なので穏やかな方たちが多く、おじいちゃん、おばあちゃんを交えた3世代交流が根付いていて、どこへ行っても安心していられるような場所だと思います。周りに緑も多くて、ちょっと行けば江戸川の土手があるなど、子育てにはとてもいい環境ですよ。駅前には商店街や大型スーパーマーケットがあって、生活するにも便利です。

江戸川区共育プラザ小岩

今回、話を聞いた人

江戸川区共育プラザ小岩

子育て専門指導員 内藤成子さん

住所:江戸川区北小岩2-14-17
電話番号:03-3672-0604
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/plaza_koiwa/index.html

江戸川区共育プラザ小岩 子育て専門指導員 内藤成子さん
所在地:東京都江戸川区北小岩2丁目14番17号 
電話番号:03-3672-0604
開館時間:9:00~21:00(土・日曜日は~17:00)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日も休館)、祝日、年末年始
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kyoiku..

「3つのシンボル」が開校以来の伝統/文京区立窪町小学校 松本絵美子校長先生

$
0
0

「茗荷谷」駅からも近い、春日通り沿いの一等地にある「文京区立窪町小学校」。創立から90年を超えるこの歴史ある小学校は、創立以来「3つのシンボル」を掲げながら、進取の気風とともに育まれてきた学校である。10年ほど前には校舎が建替えられ、5階建ての立派な建物となった。現在は約730名ほどの子どもたちが学んでいるという。
今回はこちらで校長を務められている松本絵美子先生を訪ね、学校の特徴と地域の魅力についてお話を伺った。

文京区立窪町小学校 松本絵美子校長先生

「進取の気風」と「3つのシンボル」を継承

――まずは、学校の概要について教えてください。

本校は1926(大正15)年の4月1日に開校し、平成28年度に90周年を迎えました。開校当初から「進取の気風」といいますか、大正の時代背景を受けながら進んできたという小学校です。戦後も、学校全体として培われてきた進取の気風や、学習への意欲というものが依然あり、教育界をリードするさまざまな教育活動にも取り組んだと聞いています。戦後すぐの1946(昭和21)年に、昭和天皇が視察のためにご来校されたということも、そのあたりを踏まえての学校だったことの表れかと思います。

学校の歴史を紹介する教室

初代校舎は大正時代の設計で、モダンな大正文化の影響を受けた建物でした。開校直前には関東大震災もありましたので、震災にも耐えうる建物ということで堅牢に作られ、実際に戦災にも耐えたということです。
しかしそのモダンな校舎も、時代の推移とともに老朽化が進みまして、児童数も増えてきたことから、2002(平成14)年に惜しまれながら取り壊し、本校の80周年となる2006(平成18)年に、新たな校舎が落成し、現在に至っています。

2代目の現在の校舎

校舎に刻まれる校名の看板

校舎は2代目となりましたが、90年間一貫して変わらないものとして、「3つのシンボル」というものがあります。これは開学のころから本校の教育理念となっていまして、「菊の花」「水辺の馬」「かやの木」の3つです。それが今も子どもたちに連綿と受け継がれ、教職員もつねにこの3つを念頭に置きながら、教育活動を展開しているところです。

――「3つのシンボル」について詳しく教えてください。

「菊の花」については、「窪町小学校」の校章にもなっていますが、「自分の良さを輝かせて、思いやりの心をもってともに生きよう」という願いが込められています。大輪の菊は、ひとつの大きな花に見えますが、実は小さな花が寄り集まってひとつの花になっているんです。そういった点から、“思いやり”や“共生”、また色とりどりの菊があるという点から子どもたちそれぞれの“個性”を象徴していまして、「個性を発揮して伸びていってほしい」という思いが込められています。

「3つのシンボル」について

「水辺の馬」は、「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」という西洋のことわざをそのまま引いている形になりますが、「自分からすすんで学び、意欲をもって生きなさい」という教えが、この「水辺の馬」という言葉には込められています。

「かやの木」は、開校当初から本校の校庭にありまして、子どもたちにも最も馴染みのある、本校のシンボルになっています。今は2代目のかやの木となりましたが、「どこまでもすくすくと、まっすぐに高く伸びていってほしい」という願いが込められています。

――2代目校舎の建物の特徴を教えてください。

まずひとつは、5階に屋根付きのプールが備え付けられている点かと思います。夏には天候に左右されずに水泳指導ができますし、冬場はプールを閉じてその上に人工芝を敷きますので、オープンスペースとして、多目的に活用することができます。
また、玄関を入ったところに広い空間がありまして、普段は開放的な空間になっていますが、可動式の壁で仕切って、独立した部屋にすることも可能です。図書室とコンピュータールームが「メディアセンター」という形で一体化しているのも特徴かと思います。

5階、夏場はプールになるオープンスペース

デザインについても工夫されたところが多く、たとえば、校舎の両側にある階段のへりには、丸や四角の穴がデザインされていまして、子どもたちからは「まる階段」「しかく階段」と親しまれています。階段の色も階ごとに色分けされていますが、これは、校舎を改築する当時の校長先生が、新校舎への願いを込めて、低・中・高学年のフロアにふさわしい色にされたと伺っています。

児童が「まる階段」と呼ぶ階段

さまざまな人やモノと関わる体験を通じた学習

――特徴的な教育活動がありましたら教えてください。

今年度から、ひとりひと鉢の菊の花を育てる活動を、5年生の「総合的な学習の時間」の中で始めました。外部のゲストティーチャーにご指導いただいたり、保護者ボランティアに助けていただくなど、さまざまな方に関わっていただきながら育て、先日は「湯島天神」の「菊まつり」にも出展しました。子どもたちには菊作りを通じて、シンボルに込められている意味や、学校の歴史などをより深く学び、その思いをしっかりと受け止めてもらいたい、と考えています。

「菊まつり」に出展した菊

もうひとつ、今年度から始めた活動に「窪町小の100冊」という取り組みがあります。こちらは読書活動の一環なのですが、卒業までに読破してほしい本を100冊選定し、6年間かけてそれをクリアして卒業していこう、という取り組みです。
また以前から積極的に取り組んでいる教育活動としては、「縦割り班」の活動があるでしょうか。1年生から6年生までで「縦割り班」を組み、月に1回ほどの頻度で一緒に給食を食べて、そのあと一緒に遊ぶ、といった活動をしています。

教室内の様子

――オリンピック、パラリンピック教育にも取り組んでいるそうですね。

この事業については、東京都全体で力を取り組んでいるものになりますが、オリンピアンやパラリンピアンをお招きして、スポーツの素晴らしさや、スポーツに取り組むその方々の生き方の素晴らしさに触れると同時に、子どもたちが考えている「障がい観」というものを変えていきたいと考えています。
たとえばパラリンピックに出ているマラソンランナーの方と一緒に走ってみると、子どもたちは本気になってランナーの方についていくわけですが、そういった体験から「障がい」ということに対しての新たな認識が生まれてくると思っています。

――「窪町スタンダード」とは何でしょうか。

簡単にいえば、「窪町小の生活の約束」です。登校してから下校までの約束をコンパクトにまとめているものになります。内容は登校時間や授業中の約束、あいさつの仕方といったものです。
児童数が大変多い大規模校のため、少しのズレが、とても大きなズレになってしまうことがあります。生活の約束を明文化することで、子どもたちにも、保護者にも、教職員にも、わかりやすく目に見える形で、共通理解を図っていくことができると思っています。

「窪町スタンダード」について

保護者、地域の方々の協力で築かれる、より良い教育環境

――保護者・地域の方々の協力体制はいかがですか?

まずは「父母と先生の会」(本校PTA)による学校支援が大きいです。会長を始め、役員、各種委員の方々が中心となって、様々な場面で学校の教育活動を支えてくださっています。
また、本校の学区には以前から「学校支援地域本部」というものがあり、大勢のボランティアの方々が、さまざまな場面で学校に入って、活動をしてくださっています。図書ボランティア、読み聞かせボランティア、菊づくりボランティアというのが3つの柱としてあり、今年から新たに学習補助ボランティアも加わり、4つの柱で活動を行っています。
ボランティアの方は現役の保護者の方が多いのですが、事業のコンセプトとしては、お子さんたちが卒業しても、保護者OBの方に「地域の方」として引き続き学校を支えていただきたい、という考えがあります。現在、本部を中心に保護者OBの方々が推進役を担ってくださっています。

ほかにも、青少年の健全育成の関係の方々が、いろんなかたちで学校を支援してくださっています。

可動式の壁で仕切れる空間

――近隣の大学との交流はいかがでしょうか?

「跡見学園女子大学」の学生さんが大学の先生に引率されて、本校の授業を参観する、ということが以前から行われています。「お茶の水女子大学」の付属小学校に、学校評議員として参加させていただいているのもその一環といえるでしょうか。

――近隣の学校と、子どもたち同士の交流もあるのでしょうか?

文京区の施策として、保幼小中連携推進事業があります。本校では、毎年「文京区立第一中学校」さんから、生徒会の生徒たちがやってきて、6年生に中学校生活の紹介をしてくれる、という機会があります。また近隣の幼稚園、保育園の年長児を招いて、1年生の生活科の学習の中で交流したり、本校の展覧会に保育園児が鑑賞に来てくれたこともありました。

アカデミックな環境で安心して子育てできる環境

――学校の周辺地域の、教育環境としての魅力を教えてください。

やはり、非常に治安のよい地域ですし、多くの小中学校や大学などに囲まれて、アカデミックな雰囲気が漂っていてるということが挙げられると思います。そういう環境の中で日々生活をしたり学習をしたりできるということは、子どもたちの人間性を形成していく上で、非常に大きな影響を与えていると思っています。この周辺に限らず、文京区は「安全・安心なまちづくり」をモットーに掲げていますので、そういう意味では、安心して、安全に子育てができる環境があるといえるのではないでしょうか。

(※この情報は2018(平成30)年3月時点のものです。 )

「3つのシンボル」が開校以来の伝統/文京区立窪町小学校 松本絵美子校長先生
所在地:東京都文京区大塚3-2-3 
電話番号:03-3946-8261
http://www.bunkyo-tky.ed.jp/kubomachi-ps..

自然に囲まれ、地域の温かい眼差しに恵まれている/横須賀市立山崎小学校 校長 松山雅彦先生

$
0
0

「横須賀市立山崎小学校」は1912(明治45)年に開校した。校舎の最上階からは海が望め、横須賀のシンボルとも言える猿島も見える。潮風を浴びながらたたずむ校舎を歩くことは、同校の歴史を散策することでもある。創立100年を超える歴史、教育目標、同校が大切にしていることを中心に伺ってきた。

横須賀市立山崎小学校

1世紀以上にわたり、子どもを温かく見守りのびのび育てる

――長い歴史を誇る小学校と伺いました。まずは学校の沿革から聞かせてください。

本校が開校したのは1912(明治45)年。当時の校名は、「尋常山崎小学校」でした。1941(昭和16)年の国民学校令により「横須賀市立山崎国民学校」に改称し、現在の校名になったのは1947(昭和22)年4月1日のことです。創立100周年の記念式典では、卒業生でもある小泉純一郎元首相にご臨席賜りました。市内には創立150年近い学校もありますから、本校が特別に歴史のある学校というわけではないのですが、それでも筆で書かれた戦前の記録などを前にすると、やはり1世紀という重みを感じずにはいられません。

学校に受け継がれている戦前の学校日誌

――教育目標と児童数、それと子どもたちに対する印象などありましたら聞かせていただけますか?

まず教育目標についてですが、本校は“すこやかに 育む友情 のびゆく学び”を掲げています。心技体に当てはめると、“すこやか”は体で、“育む友情”が心。そして“のびゆく学び”が学力、つまり技に該当します。そうした要素をバランスよく伸ばすことで、強く、優しい大人になってもらえたらと思っています。児童数ですが、2018年度が始まったときは475名で、小さく増減を繰り返しながら現在(8月10日時点)は473名となっています。
子どもたちの印象ですが、“子どもらしいな”と感じる瞬間が多いですね。屋外で昆虫を追いかけ回すような、いわゆる“私たち世代の子ども”が多いように思います。町場ではなく、田舎でもないこの地区には、昔から子どもを温かく見守りながらのびのびと育てようという傾向があります。そのような背景も関係しているのかもしれませんね。

教室風景

――特に力を入れている取組みや行事はありますか?

本校は毎年春に運動会があるのですが、この時期に開催しているのは、仲間づくり・集団づくりに最適なタイミングと考えているからです。入学したばかり、また新しいクラスになったばかりでは居場所をつくるだけでも大変です。そこで、運動会を通じて仲間をつくってもらうというわけです。
前期の山場が運動会とすれば、後期は「夢工場」が最大の行事です。これは文化祭のようなもので、クラスごとに出し物をします。演劇を選ぶクラスもあれば、展示物、映像作品を制作するクラスもあります。クラスの仲間と協力しながら、どのようなもてなしをするかというのがテーマになります。

人に優しくできるよう、成功体験をさせる

――学校生活のなかで、先生方が大切にされていることを教えてください。

意識的に取り組んでいることは、子どもたちの自己肯定感を高めることですね。自分を認め、受け入れないことには他者への気遣いや優しさも生まれません。そこで必要になってくるものが成功体験だと考えています。逆上がりができるようになったこと、みんなの前で発言できるようになったことなど、“できなかったことができるようになった体験”をさせてあげることで自己肯定感を高めるのです。それによって得られた自信が、他者への優しさへとつながっていきます。

松山 雅彦校長先生

地域が学校に愛着を持ち、自主的に協力してくれる関係性

――地域・保護者との交流について教えてください。

「山崎小学校区愛のパトロール」というものがあります。夏休みの夜に学校職員と町内会の方などが2グループに分かれ、夜遅くに出歩いている子どもに声掛けをしたり、地域の公園に変わった点はないかを確認し歩くというものです。
その他では、図書ボランティアの制度もあります。本校だけの制度ではありませんが、あえて本校の特徴を言えば、自律的に率先して動いてくださること。それと、役割別に3タイプがあることが挙げられます。図書の整理や貸出の手伝いをしてくれる「ブックママ」。朝の時間帯で月2回、読み聞かせをしてくださる「ひだまり会」の方。図書室に行きたくなるような空間づくりをしてくれる「雰囲気づくり」の方がいます。子どもが卒業して何年も経つのに、引き続き図書ボランティアをしてくださる方もいらっしゃいます。

校舎内

それとこれは個人的な話になりますが、学校の近くを歩いていると、昔を懐かしんで“◯◯先生はお元気ですか”と声を掛けてくださる方が多くいらっしゃいます。その度に、地域に大切にされ、色々な方の想いが詰まった学校なのだなと思います。

――「オヤジ組」についても聞かせていただけますか?

大きな活動の柱に、より上手に自転車を操るというのを主眼に置いた「自転車安全教室」、そしてPTAと共同で開催する「ふれあい祭り」、親子で工夫しながら、より遠くに飛ばすことを目指す「紙飛行機ワークショップ」があります。親子と一緒に何かをするという機会は、意識的に設けないとなかなか確保できない忙しい時代ですから、子どもたちにとっても、保護者の方々にとっても良い活動となっていると思います。

緑も海も、地域の温かな眼差しもある街

――最後になりますが、学校周辺の特徴や魅力などありましたらぜひお聞かせください。

校舎からも緑豊かな景色が望める

一口に言うと、“すべてがある”ことでしょうか。木々の生い茂る小山が近くにあり、10分も歩けば海もあります。すぐそこの小高い丘からは街を一望できます。それだけでなく京浜急行「堀ノ内」駅は実にアクセスがよく、久里浜・三浦海岸、浦賀方面や、横浜、品川方面へ行くにも便利です。また、本校に向けられる温かい眼差しからも感じることですが、子どものことを気にかけてくれる方が多いというのも、この街のいいところかなと思います。

横須賀市立山崎小学校 校長 松山 雅彦さん

横須賀市立山崎小学校

校長 松山 雅彦先生
所在地:神奈川県横須賀市三春町6-4
URL:http://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/schoolnet/element/114yamazaki/
※この情報は2018(平成30)年8月時点のものです。

自然に囲まれ、地域の温かい眼差しに恵まれている/横須賀市立山崎小学校 校長 松山雅彦先生
所在地:神奈川県横須賀市三春町6-4 
電話番号:046-822-0059
http://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanag..

健全で健やかな育児が実現する絶好の環境/神戸鹿の子幼稚園 宮城和子園長・宮城豊副園長

$
0
0

近年、ニュータウン開発が進んでいる神戸市北区。神戸市の面積の44%を占める広大な土地は六甲山系の北西に位置する山林・農村地区となる。ベッドタウンとして注目を集め人口増加が目覚ましい地域だが、広大な自然に囲まれた環境を活かしたバランスの良い都市整備は近隣地域のなかでも抜群と言える。そんな恵まれた環境を活かして、教育・保育を行っている「神戸鹿の子幼稚園」。子どもたちの元気な笑顔が街のアクセントのようにも思える、そんな子どもたちが集う当園の宮城和子園長と、宮城豊副園長にお話を伺った。

元気に遊ぶ子どもたち

――園の沿革について教えてください。

宮城和子園長:本園は尼崎市にあり、今年で創立65年を迎えるのですが、神戸鹿の子幼稚園は神戸市からの要請を受けて1991(平成3)年に開園、今年で27年になります。今年、幼保連携型の認定子ども園になりました。現在の園児数は296名。3歳児が3クラス、4歳児が4クラス、5歳児が4クラスで0歳から2歳児が19名です。0歳から2歳の受け入れは今年からということもあり、まだ園児数は少ないですが、これから少しずつ増えていくのではないかと感じています。

――園内での1日の流れを教えてください。

宮城和子園長:登園は歩いてくる子どもたちは8時半から9時くらいまで、バス通園は8時半から9時半くらいまでの間にバスのコース別で到着します。全員が揃うのが9時40分くらいですが、全員が集まるまでは園内で自由遊びをしています。10時からは設定保育の活動が入ります。朝の会をして歌を歌ったり、今の時期(4月)ではこいのぼり製作をしています。お昼になると給食が出ますが、今年完成した新しい南館の2階が給食室となっていて、給食は自園調理を行なっています。昼食後は絵本を読んだり、外遊びをした後、帰る準備をします。

また、幼稚園の施設で専門の図書室を持っているのは珍しいのですが、本園には3,000冊の絵本がある図書室があり、絵本の貸し出しや、「お話の時間」として読み聞かせ、お話の先生として専任の先生がストーリーテリングを行ったりしています。

 

情緒豊かに、健全に。将来の綺羅星を育てる

園庭の遊具と後ろは新設した南館

――ストーリーテリングとはどのようなものか教えていただけませんか。

宮城和子園長:本園の特徴として取り上げている事のひとつなのですが、読み聞かせとは違い、図書館の部屋のなかで照明を落とし、ろうそくの灯をともして夢や希望を与えるお話を聞かせるのです。素話と言ったりもしますが、絵本の読み聞かせだと絵を見ますが、このストーリーテリングは何も見ないで、お話だけに意識を集中させます。そうすると、お話を聞いている子どもたちは、自分の頭の中でお話の情景を思い浮かべるので、より、お話のなかに入り込みやすくなります。子どもの幼児期には言葉や情操の発達の重要な時期なので、非常に良いとされています。

――クラブ活動や二科展などの独自の取り組みを行っておられるようですが、お話を伺えますか。

宮城和子園長:年長組の子どもたちがクラスを離れて自分の希望するクラブに参加して、ほかのクラスの友だちと一緒にクラブ活動を行っています。週に1回の時間割で1年間クラブ活動の時間を割り当てています。クラブの種類は「音楽クラブ」「体育クラブ」「飼育栽培クラブ」「絵画制作クラブ」の4つです。音楽クラブは洋楽器からラテン楽器、和太鼓までたくさんの楽器を体験でき、マーチングなども行なっています。体育クラブでは組体操、跳び箱、ボールを使った遊びなどを中心にのびのびと体を動かしています。
飼育栽培クラブでは草花の栽培や小動物の飼育を行います。鈴虫も飼っているのですが、農園ではナスやキュウリを育てていますので、それが鈴虫のエサにもなるという自然のサイクルを体験できます。また、自園の田んぼで米作りを行い、田植え、稲刈り、脱穀など自分たちで作ったお米を食べるまでを体験しています。絵画制作クラブは絵を描いたり手作りおもちゃを作っています。3学期に行うクラブ参観では子どもたちが作った衣裳、品物などを使って「お店屋さんごっこ」を行っています。
また絵画の活動にも力を入れ、年中・年長組の園児が「こども二科展」へ応募し、入選もしています。「こども二科展」でこれまで多くの表彰を受けていますが、当園では専門の講師の指導ではなく、担任の指導のみで成果を出しています。

広々としたホール

――そういった活動の成果とかメリットについて感じておられることはありますか。

宮城和子園長:この時期の子どもというのは、いろんな可能性を秘めていますので、運動面であったり、情操面であったり、できるだけいろんなことに触れ、刺激を与えてあげることが、その後の成長にとても役立つと考えています。

 

自然のなかで育む豊かな心

農園を通して自然に触れることができる

――農園など豊かな自然環境を大事にされている理由はなんですか?

宮城和子園長:当園の理事長は90歳を超えているのですが、自身がトンボを追いかけたり、魚釣りをしたり、木になる実を食べたりと自然のなかでのびのびとした子ども時代を過ごして、そこからいろんなことを学んだという経験から、現代の子どもであってもできるだけ、自然と共生して学ぶということを大切にしたいと考えています。自然と共生して自らも成長するということは、いつの時代であっても有効なことだと、創立から65年の運営をしてきたなかで最も大切なことだと考えています。またこの鹿の子台という場所が今でもそれが可能な環境であることが、とても幸いなことだということです。

――年間の行事はどんなものがありますか?

宮城和子園長:6月には「父の日参観」があります。父の日参観という名前がついていますが、どなたが参加していただいてもいい行事で、年少組は紙飛行機を作って飛ばしたり、保護者の方と一緒に体操などをして親子で遊び、年中組は動くおもちゃを手作りします。年長組では竹馬を作って、竹馬に乗る練習もします。10月には隣の小学校の運動場を借りて運動会を行っています。11月には作品展を行なっていて、絵などの作品と、保護者の方にペットボトルやダンボールなどいろんな廃品を持ち寄っていただいて、それらを使ってクラスごとに作品を作って展示します。保護者の方にも協力していただいて焼きそばやカレーなどの模擬店の出店もしています。毎月、さまざまな行事やたくさんの活動を通じて、子どもたちがたくましく、感性豊かに成長していく姿を見守っています。

――下の子どもも通わせたいという親御さんも多いということですが、何が神戸鹿の子幼稚園の魅力になっていると感じておられますか?

宮城和子園長:バランスがとれているということでしょうか。豊かな情操と可能性を持った人間に育つよう、子どもの時には子どもらしくのびのびと育てるという方針に理解を示していただいているのではないかと思います。

東正門側、緑豊かな外観

 

学ぶこと・教えること。未来のこと

優しい笑顔で子どもたちを見守るお地蔵様(※当園は無宗教)

――今後、予定されている取り組みや行事などはありますか?

宮城豊副園長:国際交流の一環で、アイセック(AIESEC)を通じてメキシコの20代の学生さんが2ヵ月間、当園に来て交流を行うことが決まっています。学校などで国際交流というテーマになれば、とかく英語教育とか手段のみで語られてしまうところがあるのですが、例え同じ言葉が喋れなくとも、肌感覚のコミニュケーションを行えば、異文化に対する興味や関心が生まれ、もっと知りたいという意欲が湧くのではないかと思っています。幼児期からそういう体験があれば、異文化に対するアレルギーみたいなものはなくなり、より広い目で物事を見ることができる、そういう体験をさせてあげたいというのが、この取り組みの着眼点です。

外で元気に遊ぶ子どもたちが印象的だった

――具体的にはどんなことを行うのでしょうか?

宮城豊副園長:初めての取り組みになるので、未知数な部分はあるのですが、メキシコの幼稚園の写真などを持ち寄っていただいて、日本の幼稚園との比較、文化の違いなどを発表してもらいながら交流を行っていくことになると思います。また、メキシコの学生さんが、いろいろと日本のことについて質問をされると思います。ですが、日本人である我々が答えられないことも、たくさん出てくると思います。そうなった時に「日本ってなんだろう?日本人って何だろう?」と自分の国の文化や自分たちのことに目を向けることになります。子どもたちだけでなく我々職員含め、そういった今までにない体験ができるのではないかと考えています。

――地域の魅力について教えていただけないですか。

宮城和子園長:やはりこの鹿の子台や周辺地域は自然の環境に恵まれていることですね。よく園児とお散歩しますが、園の隣には甲子園球場のグラウンドの1.5倍の広さの「千代が谷公園」など公園もたくさんあります。開発が進んでいるとはいえ、緑は十分に残されていて街路樹も大きく綺麗です。ショッピングにはイオンモールもすぐ近くにあって生活するのに不自由はないと思います。子育てするのにはこれだけの良い環境はないと私は思っています。いつも卒園の時にお話させてもらうのですが、この鹿の子台の地名の由来なんですが、ケガをした鹿の子どもが小川に沸いた温泉で傷を癒やしたという逸話からついたそうです。

「千代が谷公園」

認定こども園 神戸鹿の子幼稚園

宮城和子園長
所在地:兵庫県神戸市北区鹿の子台北町6-34-2
電話番号:078-951-9901
URL:http://kobe-kanoko.net/
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。

健全で健やかな育児が実現する絶好の環境/神戸鹿の子幼稚園 宮城和子園長・宮城豊副園長
所在地:兵庫県神戸市北区鹿の子台北町6-34-2 
電話番号:078-951-9901
保育時間:9:00~14:00(午前保育日は11:30まで)
預かり保育:7:00~8:30、保育終了後~19:00 ※予約制で休園日の預かり保育もあり
http://kobe-kanoko.net/

独自の授業研究で学力向上と、文武両道を目指す/岡崎市立竜海中学校 加藤勝巳先生

$
0
0

自然が残る丘の上に建つ「岡崎市立竜海中学校」。気持ちの良い環境で授業を受けている生徒は、50年以上続く「わかる学習指導」の研究で培われてきた学習方法によって基礎学力を定着させている。また、部活動で優秀な成績を収めるなど、運動部、文化部、どちらも一生懸命に活動している。文武両道を目指すために、生徒はどのような学校生活を送っているのか、校長の加藤勝巳先生にお話を伺った。

歴史と伝統の中で育まれてきた、生徒主体の学校づくり

岡崎市立竜海中学校の加藤勝巳校長先生

――学校の概要について教えてください。

加藤校長:戦後、教育改革のスタートとなる1947(昭和22)年4月に開校し、2017(平成29)年度に創立71年目を迎えた歴史と伝統のある学校です。1960(昭和35)年には全校生徒数が1762名となり、大規模校となったため、翌1961(昭和36)年4月に「城北中学校」を分離新設し、現在の校区となりました。生徒は主に「六名小学校」、「三島小学校」、「竜美丘小学校」の3小学校から入学してきます。現在の生徒数は885人とピーク時よりも減少していますが、新しい住宅も増えているので、今後は徐々に生徒数が増加していくのではないかと予想しています。

竜海中学校のプレート

――学校の教育目標について教えてください。

加藤校長:校訓は「進取創造」で、「正義と真理を愛する心身ともに健康で自主的な人間の育成をめざす」を教育目標に掲げています。生徒は自主・自立を大切にしながら、生徒会執行部が中心となって、体育大会・文化祭・新入生歓迎レクなどの行事を企画・運営しています。2015(平成27)年度の後期生徒会執行部が「あたりまえ五か条」を作成し、「礼儀・整理整頓・給食当番・掃除・時間」の規律に全校で取り組んでいます。

校内にある校訓が書かれたベンチ

「わかる学習指導」の研究から導いた学習法を実践

――学力向上のためにしている取り組みはありますか。

加藤校長:本校では、1963(昭和38)年から「わかる学習指導」の研究を継続しています。生徒の将来を展望しながら学ぶ力を高めるとともに、基礎学力定着のため教職員が一丸となり、一生懸命取り組んでいます。毎年、開催している授業研究協議会には300名を超える教育関係者に参加していただいており、公開授業と教科別研究協議会により、教員の指導力向上のための研修を行っています。

竜海中学校の授業風景

――具体的に、どのような学習をしていますか。

加藤校長:研究会から生まれたオリジナルの「竜中ワーク」があり、生徒は繰り返し取り組んでいます。3年生の数学と2年生の英語の授業は少人数指導を取り入れておりますし、2015(平成27)年度からは「チャレンジ 竜海式Active Learning」をテーマに授業実践を行っています。アクティブ・ラーニングの中に、持続可能な社会づくりの担い手として生徒を育てる「ESD」の視点とコミュニケーションを取り入れた教科学習を行い、生徒自身の主体的な学びをさらに確かなものにしたいと考えています。

竜中ワーク

――伝統的に行なわれている「CMT」という時間もあるそうですが、どのような時間でしょうか。

加藤校長:「わかる学習指導」が始まった1963(昭和38)年に、生徒の自主性を育てるために、30分間の「MT(ミドル・タイム)」を行っていました。これが形を変えながら受け継がれ、現在は、その日に行った5教科の授業内容を想起し、ノートに再現するという「再現法」を取り入れた「CMT(コミュニケーション・ミドル・タイム)」を実践しています。「CMT」とは、1日の終わりに15分間の時間をとり、少人数グループで学習の振り返りをする時間です。お互いに意見、交流を図った後、個人でノートにまとめることで、学びを確かなものにしていきます。

文武両道で部活動も活発、地域交流も盛ん

――竜海中学校は部活動での活躍も目覚ましいですね。

加藤校長:本校は文武両道を目指しています。2017(平成29)年度は多くの生徒が県大会や東海・全国大会で活躍しました。特に陸上部の女子が県大会で総合優勝、熊本で開催された「全日本中学校陸上競技選手権大会」では、女子400メートルリレーで優勝しました。また、駅伝部は男女ともに西三河地区予選を勝ち抜いて県大会出場、男子は準優勝しました。

プールからの風景

吹奏楽部は「日本学校合奏コンクール全国大会」で銀賞、合唱部も「中部日本決勝大会」で優良賞を受賞しました。このように、過去をさかのぼっても、多数の部活動が数々の大会で優秀な成績を収めています。さらに、優勝を目指すだけでなく、吹奏楽部や合唱部が地域の福祉施設などで訪問演奏をするなど、人の心に寄り添う活動もしています。

たくさん置かれている受賞トロフィー

――他校との交流はありますか?

加藤校長:「竜盲交流」と呼んでいますが、1979(昭和54)年から「愛知県立岡崎盲学校」と交流をしています。七夕やクリスマスなどの行事で、演奏交流をしたり、アイマスク着用の歩行体験をしたりしています。歩行体験で感じたことや、盲学校の中で工夫されていることについては、交流したクラスが全校に報告をしています。また、「六名小学校」の6年生と本校の1年生が英語の合同授業を行い、みんなで楽しく英語に慣れ親しんでいます。

「岡崎盲学校」との交流活動「竜盲交流」

――PTA活動も盛んだとお聞きしました。

加藤校長:毎年、12月に開催する「長距離継走大会」では、終了後に食べるおしるこを用意していただいており、生徒も楽しみにしています。校庭に置いてあるベンチは「おやじの会」が施設で不要になったものを引き取り、生徒がデザインしたペインティングとコラボして設置したものです。今年の夏は玄関前の池の清掃を行うなど、精力的に活動していただいています。ほかにも、年3回の「制服リサイクルバザー」を開催したり、文化祭で「PTA食品バザー」を行ったりするなど、多くの行事にPTAの皆さんが関わってくださっています。

PTAボランティアによる「お汁粉作り」

幅広い選択肢がある生徒の進路

――進学についてはいかがでしょうか。

加藤校長:公立の高校はもちろん、交通の便が良いことから私立校を目指す生徒もいます。運動部の活動が盛んなので、スポーツの力を伸ばすための高校を選ぶ生徒もいて、進学先はさまざまです。また、本校の特徴として、校区内に「愛知教育大学附属岡崎中学校」、「愛知県立岡崎高等学校」、「光ヶ丘女子高等学校」など教育施設が多数集まっています。すぐ近くには「自然科学研究機構」があり、研究員のお子さんも地域の学校に通学している状況です。そのため、教育に関心のあるご家庭が多いように感じます。「東岡崎」駅周辺には学習塾もたくさんあるので、学習環境が充実している雰囲気があります。

「竜海中学校」に愛着をもつ加藤校長

――加藤校長は普段、どのように生徒と接していらっしゃいますか。

加藤校長:私は、2000(平成12)年から5年間、生徒指導担当として本校に赴任していました。その後、2012(平成24)年に教頭として再び赴任、そのまま2015(平成27)年から校長を拝命したという縁で、本校にはとても愛着があります。生徒には「謙虚」に、そして「誠心誠意」を念頭に接しています。中でも生活の基本である「挨拶」は特に大切にしております。「率先垂範(自らが行動して模範を示すこと)」を教職員にも生徒にも勧めているので、生徒会が作成した「あたりまえ五か条」の第一条に挨拶のことが書かれていたことも嬉しく感じています。

多くの盾も飾られている

そして、これから自分の人生を模索しながら歩んでいく生徒には、可能な限り「実物」を見たり、「本物」を体験したりしてもらいたいと考えています。本校では年に何回か、卒業生を招き、自分の夢の実現について語っていただく機会を設けています。先日は、城西高校チアリーディング部のみなさんに全国レベルの演技を披露してもらい、夢に向かって頑張る先輩のメッセージを聞くことができました。努力したことが見事に報われるときもあれば、そうでないときもあります。先輩のメッセージには、そうした様々な思いが込められていました。

校庭の様子

――学校がある地域の特徴や加藤先生お気に入りの場所がありましたら、教えてください。

加藤校長:かつて、生徒数が増加したことからも分かるように、1975(昭和50)年頃から校区にマンションや一戸建ての宅地が増えてきた地域です。しかし、縄文時代の真宮遺跡や徳川家康公にまつわる寺社など、名所旧跡が存在する歴史ある地域でもあります。私も家康公ゆかりの「六所神社」や「龍海院」はよく訪れています。学校の北と西には乙川と矢作川が流れ、「岡崎公園」、「東公園」、「南公園」などの自然も豊富。本校は小高い丘の上に立っているので、プールから南西の方角を見渡すと、岡崎市内を見下ろす風景が見られます。自然、交通、教育といった環境が整っているので、暮らしやすい地域ではないでしょうか。これからますます子育て世帯が増え、本校も賑やかになっていきそうです。

加藤校長お気に入りの六所神社

岡崎市立竜海中学校

岡崎市立竜海中学校

校長 加藤勝巳先生
所在地 :愛知県岡崎市明大寺町字栗林48-1
電話番号:0564-51-4538
URL:http://www.oklab.ed.jp/weblog/ryukai/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

独自の授業研究で学力向上と、文武両道を目指す/岡崎市立竜海中学校 加藤勝巳先生
所在地:愛知県岡崎市明大寺町字栗林48-1
電話番号:0564-51-4538
http://www.oklab.ed.jp/weblog/ryukai/

Viewing all 1125 articles
Browse latest View live