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安心して子育てができる地域交流の場/「相模原市立上鶴間こどもセンター」館長 松尾憲史さん

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住宅地に囲まれた閑静な場所にある「相模原市立上鶴間こどもセンター」は、相模原市内に24か所ある「こどもセンター」の1つ。0~18歳までの子どもとその保護者を対象に、集い、遊び、学ぶ場を提供している。特にこの「相模原市立上鶴間こどもセンター」は、広々とした敷地にワンフロアを広く開放的に使える造りになっているため人気が高く、比較的遠方から訪れる人も多いという。

今回はこのセンターの館長を務められている松尾憲史さんに、施設の魅力と講座やイベント、おすすめの利用方法などについてお話を伺った。

地域の人が気軽に訪れ、参加できる場所

相模原市立上鶴間こどもセンター 館長 松尾憲史さん

――まず、施設の概要について教えてください。

松尾さん:「相模原市立上鶴間こどもセンター」は市内に24か所ある「こどもセンター」の1つで、乳幼児から高校生まで、18歳以下の子どもとその保護者の方が自由に利用できる場所です。また、相模原市の「こどもセンター」は児童館としての機能をもち、地域の健全育成活動の場でもあり、児童クラブも併設しています。「こどもセンター」は相模原市内の各公民館区ごとに置かれているので、ここは近隣にお住まいの乳幼児と保護者の方、「相模原市立上鶴間小学校」、「相模原市立くぬぎ台小学校」、「相模原市立東林小学校」の3校の子どもたちが多く遊びに来ています。

当施設を利用する際は、1階に受付があるので、そこで入館票に記名して入館してください。1階にあるプレイルーム、図書室、集会室、だんらん室の4つの部屋は自由に使っていただけます。2階は児童クラブのための部屋になっています。

「相模原市立上鶴間こどもセンター」外観

――時間帯によって利用者の方の傾向は違いますか。

平日の午前中は乳幼児とその保護者の方が多くいらっしゃいます。毎週火曜日の午前中には「子育て広場」が、毎月1回、木曜日の午前中には「親子サロン」も開催しています。平日の午後は、2階の児童クラブの子どもたちが多く、土日については時間に関係なく、いろいろな方が利用されています。

子どもはもちろん、親御さんも楽しめるイベントを

「ふれあい親子サロン」の様子

――「ふれあい親子サロン」と「子育て広場」について、詳しく教えてください。

松尾さん:「ふれあい親子サロン」は、毎月1回、木曜日の午前中に開催しているものでして、乳幼児とその保護者の方を対象にしています。身体計測、育児相談、保育士と一緒に行う手遊びやリズム遊びなどが主な内容です。事前の予約は必要ありませんので、ぜひ、気軽にご参加ください。

毎週火曜日の午前に開催している「子育て広場」は、地域の「子育て広場スタッフ」の協力のもと、親子で一緒に遊び、子育てに関する情報交換ができる時間です。たとえば「ベビーヨガ」「子育て講座」「おしゃべり会」「ブックチャンス」「おゆずり会」などの企画があり、毎週組み合わせを変えながら行っています。

「ふれあい親子サロン」の様子

「ベビーヨガ」では保護者の方も一緒に参加できるので、赤ちゃんも保護者の方もほっこりします。「子育て講座」では個別の相談もできるので、日ごろの悩みを気軽に相談してみてください。「おしゃべり会」は同じ年頃の子どもをもつ親同士で気兼ねなくおしゃべりを楽しむ時間です。どのイベントも、たくさんの方に参加いただいています。

「布えほんの世界」は、布で絵本を作っている団体「おはなしワニーズ」さんにご協力いただき、たくさんの布の絵本や布のおもちゃを使って親子で一緒に遊ぶイベントです。どの企画も基本的に無料ですから、気軽に参加していただければと思います。

当施設は「UFO」と呼ばれ親しまれている

――そのほか、季節のイベント等があれば教えてください。

松尾さん:11月の「UFOバースデー」は比較的大きなイベントです。これは「相模原市立上鶴間こどもセンター」の誕生日のイベントで、このセンター愛称「UFO」にちなんでいます。建物ができた当初、子どもたちが建物がUFOみたい!、と呼び始めて、定着したそうです。

このほか、地域のアマチュアの演奏家の方に来ていただく7月の「七夕コンサート」、地域にお住まいの方に講師として昔の遊びなどを教えていただく「ふれあいめだか学校」などを開催しています。

ここは子どもだけではなく、大人にとっても「つながる場」でありたいと思っていますので、保護者の方も、いろいろな講座や催し物を通して、「楽しみ」「学び」「つながり」を感じていただければ嬉しいですね。

地域の人の“暖かさ”に支えられ、育まれる

児童クラブ

――東林間の街の魅力は、どんな点だと感じていらっしゃいますか?

松尾さん:地元に住んでいる指導員の方からは、静かで落ち着きがある街という声がよく聞かれます。それから、地域の方の「温かさ」も特筆すべきかと思います。

「こどもセンター」を支えてくださっている方々はもちろん、商店街ではいろいろなイベントやお祭りもあり、あらゆる世代の地域の方々がとても生き生きしていると感じます。そういう方々に温かく見守られながら、子育てを楽しめる街というところも、大きな魅力なのかと思います。

地域の方の「温かさ」を感じる

――最後に、東林間でこれから新しい暮らしを始められる方にメッセージをお願いします。

松尾さん:この「こどもセンター」の存在が、子育て中の皆さんにとって、「安心して子育てができる」ことにつながればと思いながら、日々運営をしております。子育てをされている保護者の方、特に小さなお子さんがいらっしゃる方にいらしていただき、子どもがすくすく成長できるように、また、親御さんご自身も子育てを楽しめるように、どんどん活用していただきたいです。

東林間は地域の方々の子どもたちに対する目線が本当に温かく、相模原市全体としても、保育園や児童クラブの待機児童ゼロを目指すなど、子育て政策に手厚い街です。そういった意味でも子育てしやすい地域だと思いますので、ぜひ、安心してお越しいただければと思います。

相模原市立上鶴間こどもセンター館長 松尾憲史さん

相模原市立上鶴間こどもセンター

館長 松尾憲史さん
所在地:神奈川県相模原市南区上鶴間8-10-12
電話番号:042-740-5655
URL:http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisetsu/child/kodomo_center/1002879.html
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

安心して子育てができる地域交流の場/「相模原市立上鶴間こどもセンター」館長 松尾憲史さん
所在地:神奈川県相模原市南区上鶴間8-10-12 
電話番号:042-740-5655
開館時間:9:00~17:00
休館日:偶数月の第3日曜日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/s..


地元主体のイベントで深まる絆・盛り上がる「東林間商店街振興組合」 理事長 大石さん

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イベントの多い商店街として知られる「東林間商店街」。その最たるものが「東林間サマーわぁ!ニバル」だ。2日間で約15万人を集める市内屈指のイベントだが、主体的に動いているのは「東林間商店街振興組合」をはじめ、地域に住んでいる人々。その特徴的なイベントや商店街の概要について「東林間商店街振興組合」の理事長・大石さんにお話をうかがった。

地域に根ざすということ

「東林間商店街振興組合」理事長の大石さん

――まずは、「東林間商店街」の概要を聞かせてください。

大石さん:「東林間商店街」は相模原市内で最も歴史のある商店街で、全長450メートルのシャンテ大通りを中心に、老舗菓子店からおしゃれなレストランまで色々なお店が加盟しています。その振興組合は1956(昭和31)年に設立された「東林間商栄会」を前身としていて、街の発展とともに会員数を増やし、1985(昭和60)年に「東林間商店街振興組合」として法人化をしました。

老舗から新しいお店まで軒を連ねる

――加盟されているお店についてですが、割合としてはどのようなジャンルが多いですか?

大石さん:ここ最近は、特に飲食店が増えてきましたね。家賃が安く、自分たちのペースで仕事がしたいという理由で相模大野から移ってきたレストランもあります。東林間の街の雰囲気を気に入っていただけたのでしょうか。

楽しみがたくさん、りんりんカード

――加盟店で利用できる「りんりんカード」について教えていただけますか?

大石さん:「りんりんカード」は加盟店で100円相当の買い物をすると、その度に1ポイントが付与されるポイントカードです。400ポイントで「満点カード」となり500円分のお買い物ができます。また、お楽しみ交換会で季節の美味しいものと交換したり、「小田急ホテルセンチュリー相模大野」のお食事券や「東京ディズニーランド」のチケット、商店街レストランのお食事券にも交換できます。「りんりんカード」はお客さんの間でも認知度が高く、日常の買い物が楽しみになると好評をいただいていますね。

育まれた絆がイベントを支えていく

東林間サマーわぁ!ニバル

――「東林間サマーわぁ!ニバル」をはじめ、「けんちん祭」、「東林間西口まつり」などイベントが多いですね。

大石さん:そうですね、イベントが多いことは「東林間商店街」の特徴の一つです。そのなかで最も規模が大きいのは「東林間サマーわぁ!ニバル」です。現在では、市内4大イベントのひとつに数えられるほどの規模になりました。

1992(平成4)年の第1回開催から始まり、2017(平成29)年で26回目を迎えました。このお祭りの特徴は、2日間で約15万人を集める大規模なイベントでありながら、地域住民が主体となって運営していることです。その住民には「相模原市立上鶴間中学校」の生徒たちも含まれていて、3年生が誘導や清掃、放送、声掛けなどを担当しています。また、地元の連は踊り手として参加するのはもちろん、設営と片付けも担当しています。

けんちん祭の様子

また、「東林間西口まつり」や「ちょい呑みフェスティバル」、けんちん汁をふるまう「けんちん祭」、「サマーセール」、「歳末感謝セール」についても住民が主体となって開催しています。イベントが終わってもまたすぐイベントという具合に、次の準備が始まるので休む間もありません(笑)。それくらい充実した1年を過ごしていますね。

趣味にも仕事にも、そしてイベントにも熱意をもって

東林間商店街

――ご自身の考える東林間エリアの魅力を教えてください。

大石さん:この街で生まれ育ったので、住みやすいとか、住みづらいとか比較ができませんが、ただ、元気な人は多いなとは思いますよ。

言い換えると、色々なことに熱意を持っている方が多いということです。先ほどお話ししたイベントはもちろん、趣味や仕事、そして街に対する熱意でもあります。妻も、大きな街ではないけれどもイベントが多く、人と人とのつながりを感じられる住みやすい街だと言っています。

――最後になりますが、東林間エリアに移ることを検討されている方にメッセージをいただけますか?

大石さん:古くから住んでいる人も多いですが、移り住んできた人でも住みやすい街だと思います。色々なイベントがある街ですから、手伝ってくれる仲間はいつでも大歓迎です。新しい仲間とともに、この街を盛り上げたいですね。

東林間商店街振興組合 理事長 大石さん

東林間商店街振興組合

理事長 大石さん
所在地:神奈川県相模原市南区東林間5-3-11 K-Ⅱビル2F
電話番号:042-742-4832
URL:http://www.higashi-rinkan.net/
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

地元主体のイベントで深まる絆・盛り上がる「東林間商店街振興組合」 理事長 大石さん
所在地:神奈川県相模原市南区東林間5-3-11 K-Ⅱビル2F (商店街事務所)
電話番号:042-742-4832
http://www.higashi-rinkan.net

街の古いアパートの一角で営まれる雑貨屋さん「海福雑貨」店長 遠藤和海さん

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お店があるのは「東林間駅」と「小田急相模原」駅のちょうど中間あたり、通りから一本入った住宅地の中。建物は昭和の風情が漂う木造アパートメント。その1階と2階の、幾つかの部屋の壁を取り払って店舗としている。

このユニークな雑貨店をオープンさせたのは、この街に生まれ育った遠藤和海さん。自分の感性が赴くままに、国内外の珍しいもの、可愛いもの、面白いもの、不思議なものなどを収集し販売している。そのほかにも作家さんを集めての展示即売イベントや、近隣個人店を集めての住民交流イベントなど、イベントの仕掛人としても活躍している遠藤さん。今回は「海福雑貨」に懸けた思いと見どころ、東林間エリアの魅力などについてお話を聞いた。

自分の感覚を大切に、好きなものにこだわったお店作り

「海福雑貨」店主の遠藤和海さん

――この春で10周年を迎えられたそうですが、お店を開いたきっかけと、お店の特徴について教えてください。

遠藤さん:「好きなものに囲まれて仕事をしたかった」という一言に尽きますが、それに加えて、会社で働くのではなく、自分で何か仕事を見つけて働きたいという思いもありました。大学を卒業してお店を開くまでは一般企業で働いていましたから、雑貨屋の仕事はまったく初めてでした。

お店のコンセプトは明確に決めていませんが、強いて言えば「好きなものを集める」。何系などではなく、店に合うと思ったもの、自分が好きだと思ったものを仕入れています。国内外の割合は、半々くらいです。

国内の商品は、半分くらいが作家さんからの委託販売品、もう半分が古物市場から仕入れた商品です。国外の商品については、エジプトの香水瓶や、ストームグラス(天気管)など。ある程度柱になっている商品については、直輸入で仕入れていますし、海外の古物市場で買い付けもしています。特にどこの国や地方というこだわりは無く、古くて味があって、かわいかったり、きれいな物だったりすれば、何でも仕入れています。

店舗は商店街から離れた住宅地の一角にある

――なぜ、商店街から離れた場所にあるアパートでお店を開かれたのですか?

遠藤さん:実は、ここで10年も営業できているのは“結果オーライ”なんです。大学時代には都内で暮らしていましたが、東林間は出身地で、就職を機に戻ってきました。その時からこの先も地元で生活したいと思っていたので、お店の物件も地元限定で探していて、この物件にたまたま出会って、直感で決めました。

まずは1階を借りて店を始め、5年ぐらいして2階の部屋が1つ空いたので、そこに新しい売り場を作りました。さらにその隣が空いたので、壁を取ってつなげて店を広くして、という感じで広げてきました。

エジプト香水瓶、ストームグラス、ウラングラスなどが所狭しと並ぶ

――ご自身で特に好きなもの、種類豊富な分野は何ですか?

遠藤さん:エジプトの香水瓶、ストームグラスのほか、「ウラングラス」などは珍しいと思います。100年以上前のものになると「銀化」といってガラスの表面が変色していたり、気泡が混ざっていたり、歪みがあったり、個性があって面白いです。石も好きなので、2階の売り場には鉱石も沢山置いています。

――ご自身でも「地図絵」を制作されているそうですね。これはどんなものですか?

遠藤さん:これはシャープペンを使って1つ1つ、違うブロックを組み合わせて描き、地図のように見せるというもので、商品化もしています。高校の頃から趣味で書いていて、店を始めるまでに書き溜めていたものを、プリントにしたり、製品化したりして販売しています。モチーフは架空の世界で、「こういう街があったら面白いな」というイメージです。

より面白く、より楽しめる空間へ、そして街へ

2階の分室は1回とはまた違った世界観

――2階は週末だけのオープンということですが、1階との住み分けはどのようになっていますか?

遠藤さん:2階は少しトーンを落とした雰囲気で、理科系や医療系のものを主に置いています。1階には可愛くて明るくてきれいなものを、2階には暗くてきれいで妖しいもの、という住み分けです。

――海福雑貨さんが主催して、イベントも開催しているそうですね。

遠藤さん:ひとつは「オダサガ文化祭」という比較的大きなイベントを主催しています。毎年1回、「小田急相模原」駅前の商業施設のホールを借りて、商品を置いてくださっている委託作家さんに来ていただき、展示販売のイベントをしています。

「オダサガ文化祭」の様子

もうひとつは「おさんぽマルシェ」、これは「いつでもおさんぽまっぷ」というマップに参加しているお店が、年に1回、神社に集まって、販売や飲食の露店を出すイベントです。こちらは「おさんぽマップ製作委員会」という組織を作って連合で開催しています。これも10年前から始めたもので、相模大野の「報徳二宮神社」でやっています。

神社にお店が集まる「おさんぽマルシェ」

――遠藤さんが今後チャレンジしたいこと、大切にしていきたいことを教えてください。

遠藤さん:まずはお店を熟成することを目指したいです。より面白いものを集め、空間も熟成し、より良い店にしていきたいと思っています。とにかく、「来て、見て、楽しい」という感覚を、もっともっと味わえるようにしていきたいですね。

いい意味で気を抜いて過ごせる、のんびりと楽しめる雰囲気

店内風景

――東林間の街の魅力は、どんなところでしょうか。

遠藤さん:この店は住所が東林間、最寄り駅が小田急相模原という場所で、どちらの街にも行ける立地ですが、僕は出身が東林間で住んでいるのも東林間なので、東林間のほうが好きですね。小田急相模原はにぎやかな街、東林間はおっとりとした、のどかな街という感じがします。リラックスして過ごせる、いい意味で「気を抜いて過ごせる街」ですね。

――これから東林間に引っ越してくる方にメッセージをお願いします。

遠藤さん:東林間はのどかで過ごしやすい街で、うち以外にもかわいい個人店が多くあります。休日などに散歩をして、お茶をして、買い物をして、地元でのんびり楽しみたいという人にとっては、すごくいい街だと思います。まずはぜひ一度、遊びに来ていただけばと思います。

「海福雑貨」店主 遠藤和海さん

海福雑貨

店主 遠藤和海さん
所在地:神奈川県相模原市南区東林間3-18-3
電話番号:042-705-3392
URL:http://umick.com/
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

街の古いアパートの一角で営まれる雑貨屋さん「海福雑貨」店長 遠藤和海さん
所在地:神奈川県相模原市南区東林間3-18-3 
電話番号:042-705-3392
営業時間:11:00~18:00(2F海福雑貨分室は12:00~17:00)
定休日:火・水曜日、祝日(海福雑貨分室は月~木曜日)
http://umick.com/

「東芝林間病院」病院長 清水直史さん 訪問看護・居宅介護支援 管理者 橋本美智子さん

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「東林間」駅の目の前に位置する「東芝林間病院」、1953(昭和28)年に東芝グループの健康保険組合によって設立され、現在は20の診療科と5つのセンターをもち、あらゆる分野の病気やけがに対応し、回復期リハビリにも力を入れている。大規模な訪問看護ステーションと専門スタッフが地域の医療機関と連携をはかり、地域との交流イベント「健康まつり」を開催するなど、街に開かれた取り組みが行われているのも特徴のひとつだ。今回は病院長の清水直史さんと、訪問看護・居宅介護支援管理者の橋本美智子さんにお話を伺った。

人にやさしい医療で社会に貢献

病院長の清水直史さん

――この病院の成り立ちや基本理念について教えてください。

清水さん:この病院は、1953(昭和28)年7月に東芝グループの7つの健康保険組合により設立され、その後東芝保険組合の一本化に伴って、東芝健康保険組合の直営病院となりました。2005(平成17)年には、高齢化社会に対応した40床の回復期リハビリテーション病棟や、病気の発見・早期治療を目指す健康管理センターなど、時代のニーズに合わせた新しい病棟が完成し、予防医学から治療医学、そして社会復帰まで、多彩な医療が提供できる施設に生まれ変わりました。

病院の基本理念は、人に対するやさしさです。患者さんに対してはもちろん、職員同士のコミュニケーションや意思統一においても、同じことが言えます。パートナーシップや触れ合いを大切に、地域の人たちに最善な医療を提供し、社会に貢献することを目指しています。

桜が美しい「東芝林間病院」

――風邪などの症状でも通院できるのでしょうか?

清水さん:駅の近くですし、比較的軽い症状の患者さんにもお越しいただいていますが、厚生労働省の方針で、病院は病院の、診療所は診療所の機能を担っているので、初診後は必要に応じて地域の診療所に通院していただき、診療所の先生と連携しながら対応させていただいています。

診療機関で適切な治療を受けられるよう連携の専用窓口を設け、地域の先生方とカンファレンスを開いたり、情報誌を発行したりと、診療所との円滑なコミュニケーションに力を入れ、有機的な医療活動を展開しています。

多様なサポート体制で時代のニーズに応える

患者さまサポートセンター

――東芝林間病院ならではの取り組みについて教えてください。

清水さん:「患者さまサポートセンター」を設置し、患者さんの入院前から退院後まで、すべての過程において、お手伝いをしています。入院前は症状に応じた診療科や病棟の選び方、入院中は医療費の相談、退院後は併設する訪問看護ステーションとも連携し、療養や生活についてなど、さまざまな相談に応じています。

管理部総務課主任 香川孝太さん(左)、病床管理部患者サポート課地域連携係 福井智子さん(中央)、清水直史 院長(右)

新緑の時期には過去23、4年にわたり、恒例の「健康まつり」を開催しているんですよ。病院の庭を開放して、地元の中学生のブラスバンド部に演奏してもらったり、お子様に喜ばれるような縁日を開催したり。皆さんの関心度が高い生活習慣病に関する医療講座や体力測定もあります。また、普段から地域における各診療科の医師たちの講演会なども、積極的に行っています。

――今後、こうした病院にしていきたいなど抱負はありますか?

清水さん:この病院は、もともと企業関連病院として始まった健康保険の施設なので、緑あふれる広々とした環境や、のどかな雰囲気が特徴です。現在は、高齢者の医療費が膨らんでいるため、健康保険組合の財政が大変な状況ですが、昔ながらののんびりとした病棟の作りや、職員が穏やかに仕事に取り組める環境は大切にしたいと思っています。

病棟の入口

患者さんにやさしい病院の雰囲気を守りながら、今後の高齢化社会で必要とされる改革を進めていきます。具体的には、普段元気な方が体調を崩されたときに対応できる急性期型の医療を拡充しつつ、脳卒中や骨折後のリハビリなど、従来から取り組んできた回復期の機能に力をいれたいと思っています。厚生労働省が言うところの地域包括ケア病床です。今後の医療のさまざまな問題に対して、地域に密着した形で、うまく対応できるよう頑張っていきたいですね。

誰もが自宅で安心して暮らせる地域医療を

訪問看護・居宅介護支援 管理者 橋本美智子さん

――地域包括ケアの一環として訪問看護にも取り組んでいらっしゃいますね。

高橋さん:病院のなかに大規模な「訪問看護ステーション」があり、訪問看護とリハビリを専門とした看護師が10人、ケアマネージャーが2名、機能訓練士が1名います。包括ケアとは、病気になっても安心して元気に暮らせる地域を作ること。それぞれの住宅地を管轄している自治会や近隣の「北里大学病院」、「国立相模原病院」、患者さんのかかりつけの医師や開業医の先生とも連携し、地域の方が病気になったときや障害をお持ちになったとき、最後まで大切な家で過ごせるよう、医療・介護の両面から支援しています。

訪問介護ステーションのみなさん

これから老後を迎える方のなかには、管理が大変な一戸建てを手放して老人ホームに入居するか、マンションを買うかで迷われる方も多いと思います。当医院の周辺であれば、施設に入らずとも、24時間年中無休の対応を受けられますし、看護師やリハビリストがご自宅を訪問し、必要に応じて医師にもつないでいます。独り暮らしであっても認知症や末期の病気を抱えていても、「ここで暮らしたい」という患者さんの気持ちをお支えするのが、私たちの仕事です。

――最後に東林間地域の魅力を伺えますか。

清水さん:生活に必要なものはすべて駅前に揃っていますし、少し歩けば森や林があるので、住環境として最適ですね。相模大野や中央林間にも近く、「相模大野」駅は「新宿」駅に、「中央林間」駅は「渋谷」駅に直結しているので便利です。江ノ島や箱根にも簡単に足を延ばせます。この利便性と豊かな自然環境が魅力だと思いますね。病院が近くにあるので、ご年配の方でも不安を感じることなく、のんびり暮らしていただけると思います。

高橋さん:この辺りは、とても丁寧な往診の先生が多く、医療面で恵まれた地域だと思います。病院そのものが緑にあふれていて、街全体にも活気があります。商店街のネットワークが生きていて、明るく助け合って生活をしていこうというエネルギーに満ちているんです。当院は地域とのネットワークも強く、昨年は近隣の自治会で5回ほど講演をさせていただいたのですが、「私たちのところにも!」と積極的に声をかけていただきました。健康な生活を続けていくために何が必要か、国を頼るのではなく、自分たちで考えていこうという前向きな強さを感じさせてくれる地域ですね。イベントも多いので、誰もが楽しく元気に暮らせる街だと思いますよ。

東芝林間病院

病院長 清水直史さん(右)
病床管理部患者サポート課地域連携係 福井智子さん(中央)
管理部総務課主任 香川孝太さん(左)
所在地:神奈川県相模原市南区上鶴間7-9-1
TEL:042-742-3577
URL:http://www.rinkanhp.com/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

「東芝林間病院」病院長 清水直史さん 訪問看護・居宅介護支援 管理者 橋本美智子さん
所在地:神奈川県相模原市南区上鶴間7-9-1 
電話番号:042-742-3577
初診受付時間:8:30~11:00 ※一部診療科により異なる
休診日:第2・4・5土曜日、日曜日、祝日、6/7、年末年始(12/29~1/3)
http://www.rinkanhp.com/

フィンテックグローバル株式会社 メッツア事業準備室 広報部杉山賢祐さん

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飯能市東部に広がる、周囲約3kmの人造湖、宮沢湖。周辺を緑豊かな木々に囲まれた湖畔は、多くのレジャー客が訪れる観光スポットだ。この宮沢湖を中心とした広いエリアに、ムーミンや北欧の世界を体験できる施設「メッツァ(Metsä)」が誕生する。2017(平成29)年予定のオープンを前に、東京をはじめとした首都圏から多くのレジャー客が訪れることが期待されている「メッツァ」。今回は、事業主体となる株式会社ムーミン物語をグループ会社とする、フィンテックグローバル株式会社 メッツア事業準備室 広報部の杉山賢祐さんに、「メッツァ」の魅力について伺った。

※開業時期は当初より変更となり、2017(平成29)年4月現在、「メッツァビレッジ」は2018(平成30)年秋に、「ムーミンバレーパーク」は2019(平成31)年春の開業を予定しています

豊かな自然の中に、ムーミンの世界を再現

「メッツァ(Metsä)」イメージ図

――「メッツァ事業」の概要について教えてください。

杉山さん:2017(平成29)年に、フィンランド及び日本でも人気の高い「ムーミン」や北欧の世界を体験できる施設「メッツァ」のオープンを予定しております。“メッツァ”は、森という意味のフィンランド語でして、メッツァ事業では森に囲まれた宮沢湖周辺で、ミュージアムやリゾート、公園、レジャーといった各要素を融合させた施設の展開を予定しております。

――建設地の決定にいたる経緯を聞かせてください。

杉山さん:宮沢湖では、かつてより「レイクサイドパーク宮沢湖」をはじめとしたレクリエーション施設が整備されていました。宮沢湖や周辺の森林をはじめとした雄大な自然は、「自然との共生」をテーマの一つとするムーミン谷の世界観にも相応しく、埼玉県飯能市の宮沢湖に建設する運びとなりました。

また、飯能市には、北欧童話の世界観を主題とした「あけぼの子どもの森公園」がありましたし、“森林文化都市”を宣言しているなど、「メッツァ」との親和性は高いものがありました。ムーミンを主題としたテーマパークのような施設は、日本が初めての海外進出先。当初の段階では屋内型施設をイメージしていたこともありましたが、検討を進めるなかでムーミン谷の世界や北欧をより“リアル”に体験できる施設にシフトしていきました。

飯能市南部にある「あけぼの子どもの森公園」

――どのような施設になる予定でしょうか。

杉山さん:ふたつの大きなゾーンがあります。ムーミンの世界観に浸ることができ、自然と触れ合いながら五感で楽しめる「ムーミンゾーン」には、ムーミンシリーズの作者、トーベ・ヤンソンやムーミン物語を紹介するミュージアムのような施設などを検討しています。一方の「パブリックゾーン」は、北欧をイメージし、雑貨などショッピングをお楽しみいただける予定です。宮沢湖周辺が地元の方々にジョギングや散策などで親しまれてきたことを踏まえて、日常的にお越しいただける公園としての機能を維持しつつ、自然を活用したアクティビティ等の展開も考えております。

※「ムーミンゾーン」とあるは「ムーミンバレーパーク」として、「パブリックゾーン」は「メッツァビレッジ」として開業の予定です。

ムーミンの世界観を再現した施設が建設予定

――初めて現地を視察されたときの印象はいかがでしたか?

杉山さん:当時視察したメンバーは、ムーミン谷や北欧をイメージしていた通りの光景だったので、“ここだ”といった感じだったようです。私も初めて訪れた際は、都心から電車で1時間も掛からないのに、これだけの景色を有する場所があるのかと驚いたくらいです。短か過ぎず、長過ぎない移動時間は、都会での日常を忘れるためには程よいものだと思います。

地域との強いつながりを持ち、観光事業の推進を図る

バーベキュースポットとして人気の「飯能河原」

――飯能市に新たに誕生したバーベキュースポット「リバランタ」の運営にも携わっているそうですね。

杉山さん:「リバランタ」は気軽にバーベキューが楽しめる施設として、西武池袋線「飯能」駅から徒歩15分の距離にある、「飯能河原」にオープンしました。機材・食材の用意があるので、何も持ち込まず、手ぶらでバーベキューが楽しめます。牛リブロース、豚ロース、あらびきウィンナーをはじめとした肉については、“物足りない”がないようにボリュームを重視し、4種400グラムが1人用となっています。また、地元飯能の契約農家から届けられた野菜は固定種野菜で安心・安全の食材となっています。

※「リバランタ」は2016(平成28)年10月末にクローズしました。

手ぶらでバーベキューが楽しめる「リバランタ」

杉山さん:「飯能河原」は、“河原バーベキューの聖地”としても知られています。飯能市の観光事業を推進していくための実証実験が必要になり、飯能市と連携してメッツァ事業に取り組んでいる弊社に声が掛かり、運営業務を受託しました。「メッツァ」だけでなく「リバランタ」でも、飯能市の魅力をたくさんの方に伝えていきたいと思っています。

――飯能市のふるさと納税「ムーミン基金」が2016(平成28)年にスタートしました。こちらにも関わっておられるのでしょうか。

杉山さん:「ムーミン基金」は、メッツァ開設に伴う周辺インフラ整備や飯能市の観光施策の推進を図るために活用するものです。謝礼品は食料品という自治体が多いなか、飯能市では1万円以上を寄付していただいた方にムーミングッズを差し上げています。日本では入手困難なムーミングッズに加え、ムーミン基金完全オリジナルグッズもご提供しています。大人気バッグブランド「anello」さんとのコラボリュックも人気です。

自然環境に恵まれた、休日レジャーに最適の街

「メッツァ(Metsä)」内のイメージ図

――杉山さんにとって飯能エリアの魅力はどこにありますか?

杉山さん:都心部の通勤圏でありながら豊かな自然があることですね。水も空気も美味しく、そこにいるだけで安らげる環境があります。アウトドアの遊びが充実していますし、スポーツが盛んということも特徴かもしれませんね。海外の有名サッカークラブのスクールがありますし、都心部ではあまり見かけないホッケー場もあります。カヌー競技も盛んでオリンピアンも輩出しています。

――今後、飯能市とどのような結びつきを持っていこうと考えていますか?

杉山さん:「メッツァ」を通して、飯能市の観光促進に寄与するだけでなく、地元の事業主や農家の皆さんと一緒に連携して飯能市を盛り上げていきたいと考えています。飯能市に来たことがある方には新しい魅力を。来たことがないという方には、足を運んでもらえるような魅力を発信していきたいですね。

メッツァ(Metsä)

フィンテック グローバル株式会社

メッツァ事業準備室 PR担当 杉山 賢祐 さん
所在地 : 埼玉県飯能市宮沢(メッツァ建設予定地)
URL: http://www.metsa.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年8月時点のものです。

フィンテックグローバル株式会社 メッツア事業準備室 広報部杉山賢祐さん
所在地:埼玉県飯能市宮沢 
http://www.metsa.co.jp/

「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」副理事長稲葉文子さん

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2002(平成14)年に、子育て中の親子が気軽に集まれる場としてボランティアからスタートした「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」。一軒家をリフォームした建物で、子育てファミリーをサポートするさまざまな事業を展開し、2007(平成19)年にはNPO法人化、一時保育や「つどいの広場」など子育てをしやすい地域づくりに貢献してきた。今回は、副理事長の稲葉文子さんに開設の経緯や、事業についてお話を伺った。

子育てで不安を抱えるお母さんを笑顔にしたい

「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」

――「子育てひろば」を開設した経緯を教えていただけますか

稲葉さん:開設当初は、働きながら子育てをする人より、専業で子育てをする人が多かったのです。家で子育てをしているお母さんたちには共通して「煮詰まってしまう」という悩みがありました。社会との接点がないために、子育てに対する不安感が高まってしまうんですね。そういった経験がある人が集まると、次の子育て世代のお母さんたちを支援したいね、という話になりました。

そこで、親子が気軽に集まって話せる場所として、子育てファミリーを対象にした「きずなサロン」を始めました。その後、杉並区が子育て支援策に力を入れ始め、「子育て応援券」という制度ができたのにあわせて、乳幼児の一時預かりをする「ひととき保育」と、親子の集いである「つどいの広場」を補助金事業として始めました。それから今年で11年目となります。普通の民家を使うことで友だちの家に遊びにきたようなくつろげる場所づくりを心がけています。

お昼寝の時間

――施設のそれぞれのお部屋や用途について教えてください。

稲葉さん:もともと二世帯住宅だった一軒家をリフォームしています。1階に「シュシュ保育室」と「ひととき保育」の部屋がそれぞれ別にあって、「シュシュ保育室」の中には、給食用のキッチンもあります。お庭もあるので、そちらで遊ぶこともできますよ。2階には「つどいのひろば」のお部屋があります。民家なので公共施設と違って天井が低く、逆にそれが来た人がほっとできるような空間をつくりだしているようで、そういう声を利用者からいただいたことがあります。

「保育園に入れるかな…」お母さんたちの不安の声をうけて

たくさんの親子連れが集まりにぎやか

――事業の概要について教えていただけますか

稲葉さん:「ひととき保育」と「つどいの広場」の2つがメインの事業です。「ひととき保育」は乳幼児を対象とした、理由を問わない一時預かりです。予約制で、9時から17時までの間、定員に空きがあれば時間の制限なくご利用いただけます。定員は6名で、3名の保育士で見ています。利用の目的はさまざまですが、お母さん自身が友だちとおでかけしたりリフレッシュしたりという理由が1番多いですね。兄弟の学校行事に参加するために預けられる方もいらっしゃいます。

次に「つどいの広場」は、私たちの原点となる事業で、親御さんにとっては子育てに関する情報交換、子どもたちにとっては友だちをつくる場にもなっています。常駐する私たちスタッフ一番の役割は、”つなぐ”ことです。お母さん同士、子ども同士、親子同士をつなぐというのはもちろんのこと、親御さんや親子を地域とつなげるサポートを心がけています。杉並区は子育て応援券もあるので、いずれの事業も応援券があるからこそ利用してみようという方もいらっしゃるようですね。

広々としたお庭

――4月からは「シュシュ保育室」も始められていますね。

こちらは、昨年度から法制化された小規模認可保育園の枠組みに該当するものです。「つどいの広場」を利用されるお母さんを見ていても、ここ数年で出産後職場復帰する方が目に見えて増え、「保育園に入れるかしら」という不安の声を聞くことも多くなりました。そこで自分たちにできることを考えたときに、施設の空いている部屋を有効活用できないかと思い、始めました。

「シュシュ保育室」は「ひととき保育」とスタッフも部屋も異なります。対象は0歳から2歳児のお子さん、定員は15名です。小さな施設なので、一人ひとりに向き合う丁寧な保育をめざしています。年齢によって担当の先生は異なりますが、目が行き届きやすいので、どの先生もみんなのことを知っているという良さがあると思います。

親子のコミュニケーションの場を

遊具も年齢に合わせていろいろ

――「赤ちゃんカフェ」や「きずなサロン プチシュシュ」というのはどのような内容ですか

稲葉さん:「赤ちゃんカフェ」は、0歳児親子専用の「ひろば」です。通常の「つどいの広場」だと、対象が0歳から未就学児までと幅広く、0歳児を初めて持つ親御さんはたくさん動き回れる大きなお子さんが同じ空間にいるので不安になってしまうことがあります。それが原因で足が遠のいてしまうケースがあったので、0歳児をもつお母さんがゆっくり過ごせる場所として始めました。週1回、2時間開催していて、0歳児は月齢が違うだけで発達段階がまったく変わるので、少し先輩のお母さんから話を聞けるなど、とても良い情報交換の場になっていると思います。

「きずなサロン プチシュシュ」は、「つどいの広場」と内容は同じです。子ども連れだと、移動範囲が限定されてしまい、参加が難しい地域の方もいらっしゃいます。そこで月に1回、「ひろば」がない地域に出張して、その地域のお母さんたちを対象に開催しています。

お友達の輪も広がってゆく

――「親子リトミック」というではどのようなことをするのでしょうか

「親子リトミック」は年齢別に4つのコースに分かれていて、月2回開催しています。今注目されているのでいろいろなところで教室が開かれていますが、ここでは稽古事としてのリトミックとは少し趣旨を変え、親子のコミュニケーションを助けたり、親子と地域をつなげたりするひとつの手段、という意味合いを大切にして行っています。定員があるので予約が必要ですが、継続してリトミックの上達を図ることを目的としているわけではないので、1回ごとに申し込んでいただけます。

”リトミックに参加する”という明確な目的があるので、初めての方にとっては「親子ひろば」よりもハードルが低くて参加しやすいようで、当施設に来ていただくきっかけにもなっています。

赤ちゃんにも安心な空間作り

――「小学生ひろば」について教えてください。

稲葉さん:小学生1年生から6年生を対象としていて、火・木の15時から18時半、1回100円で登録した方がご利用できます。「小学生ひろば」は親御さんが仕事で忙しく、家庭学習の時間をとることが難しくなり勉強が遅れがちになってしまう子どものための居場所をつくろう、というのがスタートでした。まず始めに宿題をして、残りの時間はみんなで一緒に話したり遊んだりして過ごせる場となっています。親でもない、学校の先生でもない、地域の大人が子どもと関わるというのは、子どもにとって良い逃げ場にもなると考えています。

「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」

「赤ちゃんカフェ」と「親子リトミック」「小学生ひろば」については、「お茶の間ひろば茶ちゃ」というレンタルスペースで行っています。ここから徒歩30秒ほどのところにあって、多世代が気軽に出会い交流できる地域の居場所を目指して運営を始めたところです。キッチンやピアノも備えていて、地域の方も広くご利用いただけます。

――最後に荻窪エリアの魅力について教えてください

稲葉さん:こちらの施設からは、「荻窪」駅と「西荻窪」駅の両方が利用できますが、JRの駅周辺は駅ビルもあり、なんでも揃っているので、交通の便も良く住みやすいエリアだと思います。この近くにある「桃井原っぱ公園」は遊具などもなく広い野原なのですが、小さい子どもがのびのびと走り回れる自然豊かなとても良い公園です。少し離れると「善福寺公園」もありますし、大きな公園がたくさんあるので子育てにはとてもいい環境ではないでしょうか。「荻窪病院」や「東京衛生病院」と大きな病院も駅の近くに2つあるので、万が一の時にも安心ですね。

子連れで歩いていると、おじいさん、おばあさんが親切に声をかけてくれると、お母さん方から聞いたことがあります。泣いている子を見て「大丈夫だよ」と温かい目で見守ってくれるそうです。杉並区は、地域で子育てがしやすい環境づくりに力を入れているので、当施設も子育てをするお母さんたちがいつ来てもほっとできる居場所でありたいと思っています。

すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)

「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」

副理事長 稲葉文子さん
住所:東京都杉並区上萩3-22-13
電話番号:03-3395-0135
URL:http://chouchou-suginami.com/
※この情報は2017(平成29)年7月時点のものです。

「すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)」副理事長稲葉文子さん
所在地:東京都杉並区上荻3-22-13 
電話番号:03-3395-0135
http://chouchou-suginami.com/

「京成津田沼」駅長 山内 克紀さん

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交通利便性に恵まれ、東京都心のベッドタウンとして発展している津田沼エリア。買い物や充実した子育て・教育施設に恵まれ、「住みたい街ランキング」でも2年連続千葉県1位に入るなど注目を集めている。「京成津田沼」駅を訪れ、駅長に周辺の街の魅力についてお話を伺った。

「京成津田沼」駅 山内 克紀 駅長

駅改良工事が完了、都心・空港へのアクセスが便利

――とてもキレイな駅ですね。

ありがとうございます!一昨年春に、駅舎耐震補強と、駅舎改良工事が完了しました。
耐震補強で駅の安全度がさらに向上しましたし、約2年にわたる駅舎改良により、ウォークインタイプの開放感のある改札窓口の設置、コンコース階の乗換通路幅の拡幅、上下ホームのエスカレーター設置、お客様用トイレのリニューアル・駅の美観向上を行いました。

「京成津田沼」駅改札

――駅長さんとして「京成津田沼」駅の“魅力”は何だと思われますか?

もちろん、キレイになった駅舎も自慢ですが、快特・特急・通勤特急・快速などすべての優等列車(有料特急を除く)が停車する一大ターミナルであることでしょうか。また都心や成田空港・羽田空港へは京成本線、新鎌ヶ谷・松戸方面へは新京成線、千葉方面へは京成千葉線を利用して行くことができるなど、各方面へのアクセスが良いところも「京成津田沼」駅の“魅力”だと思います。

――アクセスについて具体的に教えてください。

都心へのアクセスが良いので、都心勤務者に便利な駅です。
電車1本で「上野」「日本橋」「東銀座」「新橋」まで行けます。また成田・羽田の2大空港へのアクセスも良いです。
「成田空港」駅へは京成本線下り方面に乗れば34分で行けますし、「羽田空港国際線ターミナル」駅までもおよそ1時間で行けますよ。

「京成津田沼」駅ホーム階

――駅を利用されるのは主にどんな方でしょうか。

日暮里や日本橋、東銀座など都心方面に通勤する方や沿線の学校に通学する学生さんが多いと思います。松戸や成田、千葉など県内各所からいらっしゃった方々の乗換利用も多く、交通の要所として活気に満ちています。また京成沿線には「京成津田沼」駅近くにある「千葉工業大学」をはじめ大学・短大が29キャンパス、高校が54校と学校が充実しているため上下線ともに学生の利用も多いのが特徴です。都心の高校や大学へも通いやすいですから、津田沼に住めば、通う学校の選択肢も増えるのではないでしょうか。

千葉工業大学

――最近の「京成津田沼」駅周辺の街や人はどのように変わっていますか。

「住みたい街(駅)ランキング」では2016(平成28)年に続き2017(平成29)年も津田沼が千葉県1位(※)を獲得し、2年連続となりました。「習志野市役所」の新庁舎もできあがったばかりで、今後も発展が予想される街だと思います。
※出典:https://www.haseko-urbest.com/press/pdf/20170915_1.pdf

2017(平成29)年4月に竣工した「習志野市役所」新庁舎

住むことに適した落ち着いた街並み

――「京成津田沼」駅近くの住環境はどう思われますか?

緑も多く、バードウォッチングが楽しめる「菊田水鳥公園」なども良いですが、なんといってもJR「津田沼」駅周辺の繁華街とはまた違い、落ち着いた街並みが続くところが、「住む街」としては向いているのではないかと思います。

――最後に、「京成津田沼」駅近くのおすすめスポットを教えてください

少し贅沢をしたい気分の時によく利用するのが「レストランあけぼの」さんです。創業90年以上の老舗で、現在のシェフは洋食の老舗「日本橋たいめいけん」で修業を積んだ方だそうで、手間暇かけた昔ながらの洋食の味が絶品です。
お昼によく行くのは「京成津田沼駅前」交差点の南にある海鮮料理を提供する「たか丸」さん。650円でボリューム満点の日替わりランチがいただけます。お昼時は近隣のサラリーマンで賑わっています。

レストラン あけぼの

京成津田沼駅長

「京成津田沼」駅 山内 克紀 駅長

所在地:千葉県習志野市津田沼3-1-1
URL:http://www.shinkeisei.co.jp/station/navi_keiseitsudanuma/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

「京成津田沼」駅長 山内 克紀さん
所在地:千葉県習志野市津田沼3-1-1 
電話番号:047-478-1414
https://www.shinkeisei.co.jp/station/nav..

「習志野市立第五中学校」校長 小松﨑修男さん

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1978(昭和53)年に開校した「習志野市立第五中学校」は地域に見守られ、各方面に支えながら40周年を迎えた。友愛・自主・創造を校訓とする同校の第15代校長の小松﨑先生を訪ね、学校の特色や周辺地域の魅力についてお話を伺った。

「習志野市立第五中学校」校長 小松﨑修男 先生

生徒会活動を重視し自主性を育む

――まずは学校の沿革や概要について教えてください。

本校は、1978(昭和53)年に開校しました。教育目標には「自ら学び、心豊かで、たくましい生徒の育成」を掲げています。地域に見守られながら月日を重ね、迎えた創立40周年では、“時を守り、場を清め、身を正し、礼を尽くす”を基にする「時を守り、場を清め、礼を尽くし、一致団結」という生徒会宣言が採択されました。
“時を守る”というのは、時間をはじめ、人との約束を守ることで、“場を清める”とは、奉仕の精神で周囲を清掃することです。そして“身を正す”は服装を整え、行動に責任をもつことで、“礼を尽くす”というのは、相手を尊重して気遣うという意味です。学校というのは生徒、教師、家庭、地域など様々な方々が関わり運営をしていますから、この先も信頼関係に基づき、円滑な連携をとれるよう、生徒だけではなく教員も含めて行動の指針としたいと考えています。

習志野市立第五中学校

――教育目標とともに、力を入れて取り組まれていることはありますか?

開校以来、生徒の自主性を育てるために生徒会活動を重視してきました。5年ほど前から、生徒会が重きを置いているテーマが“いじめのない学校づくり”です。人にされて嫌だったこと、反対に人からされて嬉しかったことを紙に書いてもらい、それを集計したものを発表しました。悪気がなくても人を傷つけることはありますから、そうした無自覚の行動を自覚し、人に対する優しさを育むという意味では、意味のあることだと考えています。また、各委員会でもそれに関連した活動をしており、例えば掲示委員会ではポスターづくり、図書委員会では、いじめを扱った書籍を集めて紹介するなどしています。

友愛・自主・創造の校訓

良い伝統が継承される環境

――部活動についても聞かせていただけますか?

加入率は約90%で、年度によって異なるものの、常に人気があるのは吹奏楽部です。過去には全国大会で金賞を取ったこともあり、本年度は全国大会に出場できませんでしたが、昨年度は、全日本アンサンブルコンテストの全国大会で金賞を獲得しました。こうした実績は指導者の力も大きいのですが、公立学校には人事異動もありますから、そのなかで一定のレベルを維持できているのは、先輩の学んだことが後輩にしっかり伝わっているからだと思います。

ずらりと保管展示されている賞状や優勝旗

生徒・学校を支援する地域の和

――保護者や地域との連携、また協力体制などあれば聞かせてください。

開校当時、自分たちの住んでいる地区に学校ができると喜んでくれた方が多かったと聞いています。そうした地域の方々がいつも温かく見守ってくださっています。
たとえば花壇を作っていただいたり、グランドの整備もしていただきました。また、開校40周年を控えて組織された実行委員会からいただいた力強い支援には、本当に感謝しています。それ以外では、環境浄化と健全育成を目的に組織された「五中学区青少年健全育成連絡協議会」が月2回開催されており、生徒指導の担当教諭も参加して街の見回りをしています。

吹奏楽コンクールの表彰状

――通学区の印象や、特色を伺えますか?

少し足を延ばせば、長閑な田園風景と出会えるなど自然環境に恵まれている一方で、量販店も点在する過ごしやすい環境です。「津田沼」駅、「新津田沼」駅、「京成津田沼」駅を利用できるなど通学・通勤にも便利です。
それと、この地区で忘れてはならないのが「下総三山の七年祭り」です。6年(数え年で7年)ごとに開催される大規模な祭礼で、550年以上の歴史があり、船橋市・千葉市・八千代市・習志野市の4市にまたがって開催されます。津田沼地区からは「菊田神社」が神輿を出し、街全体が祭り一色になります。先人が伝えてくれた重みを感じるとともに、体験を通じて歴史に触れることができます。

習志野市立第五中学校

習志野市立第五中学校
校長 小松﨑 修男 先生

所在地:千葉県習志野市藤崎2-3-15
URL:http://www.nkc.city.narashino.chiba.jp/5chu/
※この情報は2017(平成29)年12月時点のものです。

「習志野市立第五中学校」校長 小松﨑修男さん
所在地:千葉県習志野市藤崎2-3-16 
電話番号:047-477-6622
http://www.nkc.city.narashino.chiba.jp/5..


一歩先行く英語教育と異年齢交流を推進する「島本町立第四小学校」

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日本の名水百選にも選ばれる「離宮の水」も三島郡島本町の自慢のひとつとなっているように、自然環境に恵まれ緑も豊かな大阪のオアシスのひとつになっている、三島郡島本町。それでいて生活に不便することもなく、JR・阪急で大阪・京都に約30分と交通の便にも恵まれている。そんな街のなかで一番若い小学校である「島本町立第四小学校」。その環境・交通の便のバランスの良さから注目され、児童数はここ数年で増加傾向にあるという同校ではどんな取り組みを行っているのか、堀田(ほった)校長に伺った。

静かな環境に元気な声がこだまする小学校

堀田守人校長先生

――まず、学校の歴史と概要についてお伺いさせていただきます。

堀田先生:本校は「島本町立第四小学校」という名前の通り島本町で4番目にできた小学校で、創立は1981(昭和56)年です。今年度の学級数は支援学級5つと通常学級16の合わせて21学級となっています。1年から4年までは3学級、5・6年が2学級の全校生徒数は502名となっています。ここ数年で近隣にマンションが建設され、児童数も増えてきていますので、それに伴い低学年から増加している傾向にあります。2年後くらいには600名くらいにまで増加が予想されていますので、本校もそれに対応して現在、中庭に新校舎を増築中で来春には新校舎が完成する運びとなっております。

――学校の教育目標を教えていただけますか。

堀田先生:「元気・勇気・根気」という、子どもたちにも分かりやすい3つを合言葉にしております。入学式の挨拶では「「元気・勇気・根気」の三つの”気”を”木”と見立て、今から3つの木の種をみんなに渡すので6年の間に大きく育てて花を咲かせて、大きな実をつけて卒業しようね」と話しています。またほかの学年の始業式には、入学式の時にしたこの話を「みんなどこまでできているかな?大きな実をつけられるように頑張ろうね」とあらためて話をしています。

英語教育に力を入れる

――校舎のなかを歩いていて英語の張り紙をいろんなところで拝見したのですが、英語教育に力を入れておられるのですか?

堀田先生:これは本校だけでなく島本町の小中学校全体で文部科学省の英語教育に関する特例校の指定を受けているためです。学校の指導は文部科学省の学習指導要領に基づいて行いますが、島本町の英語教育についてはこの特例校指定のもと、注力して英語教育にあたっています。現在の教育課程であれば英語教育は5・6年生で週1時間のところを2時間、1年生から4年生までは0時間を1時間という具合です。2020年度から始まる新教育課程では、3年生以上はこの時間割が標準となるの予定ですが、島本町ではそれを先取りする形で取り入れています。

楽しみながら取り組み、一歩先行く英語のレベルへ

子どもたちも興味を持って英語を学ぶ

――先駆けてその英語教育に取り組んでいる目的はあるのですか?

堀田先生:グローバル化に対応した教育環境づくりを進めるという、島本町の方針がありますね。中学3年までに英検3級の取得率を70%に高めることを目標にしておりまして、既に60%近くまで達成しています。これは大阪府内でも高いレベルで、先ほどお話しました新課程にある、中学3年までに英検3級の取得率を60%にする、という国の目標をほぼ達成しています。本校ではその取り組みを単に前倒しするだけでなく、英語に興味を持って楽しみながら学習に取り組むきっかけになればという思いを持っています。

――子どもたちの反応はどうですか?

堀田先生:以前はALT(外国語指導助手)の外国人講師の方に頼る部分が大きかったのですが、最近は担任が主となってALTの講師とTT(チーム・ティーチング)の形で英語授業を行っています。英語担当教員も加わってのゲームなど遊びの要素も取り入れて楽しみながら英語に慣れ親しむだけでなく、「読む」「書く」ことも進めており、子どもたちも非常に興味をもって取り組んでいます。

「島本町立第四小学校」校舎外観

――アクティブラーニングを活用した授業について何か特徴的なことがあれば教えていただけませんか。

堀田先生:「アクティブスクール」という、主体的で、対話的で、深い学びを追求していこうという取り組みがあり、専任の先生を中心として取り組んでいます。子どもたちにとって普段の授業を、より効果的に学習できる機会にする、と言うと分かりやすいでしょうか。例えば本校では「チャイムスタートと授業の仕組み」を行っています。「チャイムスタート」は中学校だとほとんど当たり前に行われていますが、チャイムが鳴ったと同時に授業が始められる体制のことです。「授業の仕組み」は、例えば、授業の始めに今日のめあてを明示するとともに、最後に「今日のふりかえり」をすることで、1回1回の授業をしっかりと理解できるようにしようという仕組みづくりです。

あいさつ運動の様子

じつはこれが英語授業にも関わってきまして、本校の英語授業は5・6年生に関しては週2時間とお話しましたが、このうちの1時間は1つの授業を15分のコマ割りにした計3回の授業としています。つまり、実際の授業回数としては週に4回となります。週に2回の授業よりも、間隔を空けず連続的に4回行うほうが学習効率として定着しやすく、メリハリも生まれます。こうした狙いも授業の仕組みの取り組みの一環になっています。本校ではこうして「島本町立第一中学校」とも連携して「アクティブスクール」の取組みを進めています。

元気・勇気・根気! 島本町の子どもたちの輪

「ゆめ本部」による支援活動

――保幼小中一貫の教育への取り組みについてはどうでしょうか?

堀田先生:これは「アクティブスクール」にも関わってくる部分にもなります。本校卒業生のほとんどが入学する「島本町立第一中学校」に6年生が訪問して授業参観を行ったり、体験授業をしたりする機会を年に何回か設けています。中学校の定期テスト前に合わせて「家庭学習週間」を設け、先輩のアドバイスをもらったりもしています。また、校門前での「あいさつ運動」を行っていまして、これに中学校の生徒さんにも参加してもらっています。中学校の生徒さんが大きな声であいさつしてくれるので、子どもたちのお手本にもなりますし、小学生と中学生のコミュニケーションの場にもなっています。

本校の近くに「島本町立第一幼稚園」と「高浜学園」(私立保育園)があるのですが、この2つの幼稚園・保育園の園児を招待して、本校の1年生が一緒にゲームをしながら、小学校を紹介する交流も年に何回か行っています。「自分がお兄ちゃんお姉ちゃんなんだ」「お手本にならなくちゃ」という自発的な芽生えにもなり、普段の子どもたちとは違った様子がうかがえますね。縦の関係が意識できるのもいいことではないかと思います。

――島本町学校支援「ゆめ本部」事業を活かした取り組みについてお話を伺いたいと思います。

堀田先生:「ゆめ本部」というのは地域の学校支援をしてくださる組織で、本校がお世話になっているのは放課後学習です。3年生と4年生については年間をとおして毎週1回、授業が終わった後、10人から20人ぐらいの希望者に対して4・5人のボランティアの方に来ていただいて、宿題を見てもらったり、自主学習のお手伝いをしてもらったりしています。また、6年生などの家庭科の授業の際には、ミシンの使い方など先生の補助をしていただいています。調理の授業などでも担当の先生1人では、なかなか目が届きにくいということがありますので、こうしたお手伝いをしていただけるのはとても助かっています。子どもにとっては先生や自分の親以外に、指導をしてもらえる人、人の知恵というものに触れられる刺激にもなっています。

読書活動にはこの小学校ならではの取り組みも

――読書活動についてのお話を聞かせてください。

堀田先生:国語の授業の中でこのように読書を行うことのほかに、本校ならではの取り組みであるのが、シーズンごとに読書週間を設定をして、絵本の会のボランティアの方による読み聞かせです。低学年の子どもから高学年の子どもにまでけっこう人気があるんですよ。6年生に読み聞かせというと意外かもしれませんが、どの子どもたちも嫌がることなく、むしろ喜んでいます。読書はやはり自分で読むことが最終目標ですが、読み聞かせてもらうことで作品の世界観に引き込まれ、本を読むということの面白さ、興味を持つきっかけになります。読みのものに対してのステップアップになる、そういうきっかけとしてはとても役に立っていますね。

――最後になりますが、校長先生から見た水無瀬エリアについてのイメージや、これからこの街に住まわれる方へメッセージをお願いしたいと思います。

堀田先生:京都・大阪のどちらにでも電車で30分ほどで行けますし、阪急・JRという2つの電車の路線があり便利な街です。また水がおいしく綺麗なことでも有名で、全国名水百選に選ばれた水は島本町の自慢ですね。 島本町の水は現在でも90%が地下水から供給されています。それだけ緑や自然が豊かな証拠でもあります。便利であるのに静かで綺麗。私が島本町に務め始めてから30年が経ちますが、本当に大好きな街です。この静かで便利な環境の街でみなさんも伸び伸びと生活をして一緒に島本町を盛り上げてほしいと思います。

堀田先生

島本町立第四小学校

校長 堀田 守人 先生
所在地:大阪府三島郡島本町高浜2-2-1
電話番号:075-962-2311
URL:http://www.shimamoto-ele04.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。

一歩先行く英語教育と異年齢交流を推進する「島本町立第四小学校」
所在地:大阪府三島郡島本町高浜2-2-1 
電話番号:075-962-2311
http://www.shimamoto-ele04.ed.jp/

集まる都市機能と生活拠点明日へと続くわたしたちのまち

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旧国鉄の貨物ヤード跡地を中心に開発が進む「あすと長町」。2013(平成25)年にスポーツ複合施設、2014(平成26)年には大型家具店や市立病院が完成し、泉中央地区と並ぶ「広域拠点」としての期待が高まっている。「明日・us(私たち)」と「都」を掛け、賑わいと発展を願い名付けられた「未来の私たちのまち」のいまを、都市整備局都市計画課の中塚祐一郎さんと志賀辰徳さんに伺った。

仙台市都市整備局 都市計画課 中塚祐一郎さん(奥)・志賀辰徳さん(手前)

―開発経緯を教えてください。

長町地区は、古くから交通の要所として人や物の往来で賑わいを見せていました。昭和に入ると、旧国鉄(現在の東北本線)が開通し、コンテナの仕分けを行う貨物ヤードが駅の周辺に出来ました。以来東北最大の貨物輸送の拠点として重要な役割を担っていました。高度経済成長期を経て貨物ヤードが廃止となった後、数十ヘクタールもの広大な土地を有効活用し、新しいまちを作ろうという拠点構想への期待が高まってきていました。

土地区画整理事業の都市計画が決定したのは1995(平成7)年のことです。翌々年の1997(平成9)年には、概ねの道路割りなど、具体的な骨格が決まり、以来10数年かけて新しく道路を整備したり、鉄道高架化などの基盤整備を進めてきました。

―仙台市あるいは東北地方の中で「あすと長町」の位置づけは、どのようにありたいと考えていますか?

仙台市の都市づくりは地下鉄南北線と東西線の沿線を十文字形の都市軸と位置づけ、それぞれの地域特性を活かした機能集約型市街地を形成しようという構想が基本になっています。拠点として仙台駅を中心とした中心市街地を「都心」と、泉中央地区と長町地区を「広域拠点」と呼び、利便性が高いこれらの地区に都市機能を集約することで、継続的な発展を支える活力と魅力あふれる都市の実現を目指しています。
長町地区は、仙台都市圏南部の中心として、古くからの既存市街地と、新しい都市機能が集積するあすと長町地区の連携のもと、魅力的で賑わいのあるまちづくりを目指しているところですが、あすと長町地区においては、充実した交通結節機能と都市基盤の特性を生かし、商業・業務・住宅が複合する街並みを誘導しています。

―まちづくりのコンセプトを教えてください。

あすと長町は、「くらし・にぎわい ヒューマンスケールの新環境都市」をコンセプトとして整備が進められてきました。市民生活の質を重視した市街地形成や、市民協働を基本とする持続的なまちづくりを目標としています。

―開発は計画全体のどの段階にありますか?

道路や鉄道、インフラを整える公共的な基盤整備は事業として完了しています。今はその上に建物を建てるという段階に入っていて、民間事業者さんの事業計画が各エリアで進行中といったところでしょうか。

2007(平成19)年に開通した「あすと長町大通り線」

あすと長町に建設された復興住宅

―新しく始まった市民活動やイベントなどはありますか?

地元の方々とまちづくりについて考えながら進めてきたこともあり、少しずつ市民活動が増えて来たように思います。長町駅の北側にある「杜の広場」では、随時イベントが開催され、多くの方でにぎわっています。

杜の広場

あすと長町中央公園

―以前と比べて街の住みやすさや利便性はどう変わりましたか?

今まで周辺に無かった機能ができて利便性は上がっていると思います。「仙台市立病院」が一昨年11月に新築移転されましたし、スーパーマーケットも数店舗新しくオープンしました。大型家具店のオープンの際に、多くの方で賑わったのも記憶に新しいところです。
また、ライブハウスも立地予定であり、文化機能の充実も期待されます。

2014(平成26)年11月に開院した「仙台市立病院」

2013(平成25)年6月に開業した「ホームセンターコーナン あすと長町店」

―人口増加の見込みはありますか?

民間のマンションが増えてきており、人口は増加傾向にあります。 2015(平成27)年10月現在のあすと長町(1丁目~4丁目)の人口は1,474人、715世帯となっています。

―あすと長町の魅力ついて教えて下さい。

長町地区にはJRや地下鉄の駅が複数ありますが、まち全体が比較的コンパクトにまとまっているため、それぞれ一つ先の駅までは歩けない距離ではありません。東北本線の高架化に合わせて、JR「長町」駅と地下鉄南北線「長町」駅が近づき、乗り換えの利便性も向上しました。仙台駅へも地下鉄で約8分ということも魅力の一つです。

区役所や図書館、文化センターなど、公共施設へアクセスしやすく、スーパーマーケットや飲食店、医療施設など、暮らしに必要な施設の立地も進んでいます。
今後も、長町地区の魅力や賑わいが向上するよう、市民の方々と協働しながら、まちづくりに取り組んでいきたいと思います。

仙台市営地下鉄「長町」駅

チームスマイル・仙台PIT(建設中・2015年10月末撮影)

今回お話を聞いた人

仙台市都市整備局 都市計画課
中塚祐一郎さん(左)・志賀辰徳さん(右)
所在地:宮城県仙台市青葉区国分町3-7−1
電話番号:022-261-1111(仙台市役所 代表電話)
HP:http://www.city.sendai.jp

※2015(平成27)年12月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

集まる都市機能と生活拠点
明日へと続くわたしたちのまち

所在地:宮城県仙台市青葉区国分町3-7-1 
電話番号:022-261-1111
開庁時間:8:30~17:00
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.sendai.jp/

異文化に触れ、子どもの個性を尊重し伸ばす手助けをする/岩国東幼稚園 冨津田香教頭先生

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街の玄関口である駅舎が全面改築で生まれ変わり、これからの期待感も高まる「岩国」駅周辺。「岩国航空基地」関係の住人が多いことでも知られており、そうした地域性を反映して幼稚園や保育園にもインターナショナルな雰囲気があふれている。そんな岩国の玄関口のすぐ東側、山口県の教育のモデル地区にもなっているというこのエリアで1929(昭和4)年に開設された長い歴史を持つ「岩国東幼稚園」の冨津田教頭にお話をうかがった。

「東っこ」を育む教育理念

岩国東幼稚園

――まずは園の概要と保育理念をお聞かせください。

設立は1929(昭和4)年、園児は現在180名で、この近隣では大規模の部類に入ると思います。当こども園は「清く、正しく、たくましく」という仏教理念の園となっています。1歳児から幼稚園まで子どもたちの人格形成の基盤をしっかりと作っていこうと心がけています。幼稚園では生きる力につながる、学びの基盤づくりを軸とした教育に力を入れています。

――送迎バスはどのあたりまで出ているのでしょうか?

2台のバスで東は広島の大竹市から、西は御庄・尾津・平田・川下(かわしも)・麻里布(まりふ)、この「岩国」駅周辺の人絹街(じんけんまち※かつて紡績が盛んだったことから付いた通称)までをカバーしています。

――どんな子どもたちが多いでしょうか。

学区になる「岩国市立東小学校」へは主に3つの幼稚園の卒園児が入学するのですが、当園の子どもたちは「元気にあいさつができる」とか「先生が話を始めるとしっかりと聞き入る」と小学校の先生からお褒めの言葉をいただきます。幼稚園から小学校への環境変化があっても馴染むのが早い子が多いようです。

園内の様子

――子どもたちと接する際に先生たちが心がけていることを教えてください。

子どもたちの気持ちを汲み取ることです。「指導」ではなく「手助け」をしてあげるというスタンスを大事にしています。これは子どもたちの自主性や自己解決力を形成するためで、子どもたちの個性を尊重しながら、力が伸びていくように、そっと背中を押してあげるということを大切に考えています。子どもの代弁者である保育者のサポートのもとで、子どもたちが興味を持ったことをつぶさに受け取って、それを日頃の保育に活かしたています。

多様性のある街ならではのコミュニケーション

――「岩国航空基地」関係のアメリカ人の子どもたちもたくさんいるようですね。

海外の方は自己を大切にするという文化の傾向があり、自己主張をきちんとできる子が多いのが特色です。言葉のやりとりで不自由なところがあっても、先生も子どもも、言葉以外のアイコンタクトや身振り手振りを使って意思疎通をしようと努めています。工夫をしてお互いの意思を伝えることで、信頼関係の構築ということに関しては、当園のように外国籍の子どもが多い環境のほうが、より学ぶ機会は多いと思っています。また保護者の方との連携も英語の先生を通じて、しっかりと行うように努めていますので、子どもたちが日本の幼稚園で負担なく、伸びやかに過ごせてもらえたらいいなと考えています。

異文化の子どもたちが仲良く過ごしている

――アメリカ人の保護者の方から、日本の幼稚園に入られたことへの反応はいかがでしょうか?

日本の幼稚園はアメリカの幼稚園より行事が多いようで、アメリカでは個々の活動で完結してしまうところが多いけれど、日本では学んだこと・覚えたことを行事として取り組むことが多いので、協調性や他人を思いやる心がとても良く身につくとおっしゃっていただきます。それから遊びに関しての幅広さがあると驚かれます。向こうは作られた物や施設で遊ぶというのが基本ですが、日本だと泥や砂を触って遊んだり、虫を捕まえたり、芋ほりをしたり、木の一本や葉っぱから何かを作ってみたりとか、ペットボトルのような廃材を利用した遊びなど、そういう遊びの幅、イマジネーションの幅が広いことに皆さん驚かれるようです。

“伸びやかに”個々の可能性を広げる手助けとして

――さまざまな取り組みを行っておられるようですが、まず造形や音楽活動についての取り組みに関して教えてください。

造形や音楽表現に関しては子どもたちの自己表現の可能性を広げる手段として取り入れています。絵を描く、音で表現する、リトミックのように感じたことを体で表現するなど、いろんな表現のスキルを身につけることができれば、子どもたちの自己表現や可能性が広がりますので、そうした部分を個性豊かに伸ばしてあげたいと考えて取り組んでいます。

子どもたちが描いた絵

――「うんどう遊び」に関してはいかがですか?

実は最近、幼児期の体力不足が叫ばれています。総合的な運動力は知力や精神面の育ちにも比例するという研究が幼児体育の研究機関から報告されています。そうしたところを踏まえて、子どもたちには平衡感覚や脚力など「うんどう遊び」という体を使った遊びを通じて知力・精神面の発達を図っていこうというカリキュラムを組んでいます。体を使って発散することは何よりもいい効果を生むと思いますし、自分の体を使ってできることの幅が広がるということは、単純に知力・体力という言葉の括りで語る以上の可能性があると考えています。また体の大切さを重要視して栄養のバランスのいい独自の手作りの給食を実施しています。

運動力を伸ばすカリキュラム

――英語教育に関してはどうでしょうか。前述の通り英語に触れ合う機会は多いと思いますが。

おっしゃるとおり、岩国という地域性があるからこその英語教育を行っていきたいと考えています。英語を話すことができるようになる、ということだけでなく、日本人は日本語を話すけど、アメリカ人は英語を話す、ということがお互いの文化、アイデンティティの基本になっているんだという、異文化への相互理解にもつながっていくようにできたらいいなと。そういう部分にも重きをおいた英語教育を行っています。

新しいメディア教育への取り組みも公開!

――メディアとの研究事業にも取り組まれているということですが、どのようなことを行っているのですか?

NHKとの共同企画で放送番組の企画や提案を頂いて、こういう活動を幼児教育に取り入れてみましょうという取り組みを行い、発表会も行う予定にもなっています。
『ノージーのひらめき工房』という番組があるのですが、そこでは作り方を教えるのではなく、それを使ってどんな遊びができるのかを考える、ということを行っています。例えばトイレットペーパーを使ってどんな遊びができるのかな?というようなことです。子どもたちがメディアで見た感覚を自分だけの知識に収めるのではなく、それを友達どうしで共有することによって、さらに発想の幅が広がるという面白い取り組みです。

もうひとつは『しぜんとあそぼ』という番組です。動物や昆虫の生態を観察する番組ですが、一方的に見せるだけではなく、紹介する素材は季節などタイムリ―に提供することになっています。例えば夏だとセミというようにですね。そうすると子どもたちはすぐに外に出てセミを見つけてこようとします。実際の生活体験と結び付けられるようなものを紹介します。私たちは「視聴覚教育」と呼んでいて、当園では実はパソコンなどを使った「パソコン遊び」から変化したものなんです。

自然を体験する研究事業

――パソコン教育に変わって、ですか?

そうなんです。パソコンはもう今では家庭に一台はあるのが当たり前で、それまで幼稚園で行っていたような「触って慣れる」というような教育コンセプトは古くなっています。そういうわけでこの「視聴覚教育」を新しいメディア教育として取り入れることにしました。メディアを原体験とコラボレートするというコンセプトです。

――「きららルーム」の開設や預かり保育の実施など、子育て支援についても教えてください。

「きららルーム」は2004(平成16)年から始めました。その当時、未就園児の子どもを持つお母さんたちが、子どもと常に一対一でないと安心して外で遊べないという状況が強くなっていました。そうした状況を踏まえて、未就園児の子どもを対象に安心して過ごせるプレイルーム、あそび場を提供しようということがきっかけとなって始まりました。様々な子育て情報の発信基地としての機能も兼ねています。お母さんたちの中には初めて子育てと向き合い、不安を抱えている方も多くいらっしゃいます。私たち保育の専門者は「こんなことしたら子どもは喜びますよ」ということを知っていますので、そういうちょっとしたコミュニケーションや相談をしていただくこともできます。預かり保育は働くお母さんが増えていらっしゃいますので、保育園並みのサポートを提供しなくては大変だということで、1歳から6歳までの預かり保育を午後6時まで行っています。

きららルーム

――最後に、「岩国」駅東口エリアの魅力をお聞かせください。

この岩国周辺は地域の結びつきがすごく強いところだと思います。子どもの教育に関しても「東っ子」と呼ばれていて、地域で育てていこうという昔ながらの考え方が今も根付いています。青年会や自治会の活動も活発で昔ながらのお祭りも賑やかに開催します。お祭りにも幼稚園・小学校・中学校が参加できる仮装行列や神楽の催しもあったり、街全体を地域の住民で盛り上げていこうという気概の残る街です。
子育てに関しても他の都会のようにお母さんが1人で孤立するというような状況も少ないのではないかなと思います。街中に公園がたくさんあって子どものあそび場にも困りません。それから幼・小・中との教育の連携が良いことも特徴ですね。「岩国市立東小学校」と「岩国市立東中学校」は間もなく小中一貫校に生まれ変わりますし、この東地域は山口県の教育のモデル地区になっています。教育も充実して、とっても人の温かみを感じる街だと思います。

岩国東幼稚園

岩国東幼稚園

冨津田香教頭先生
所在地:山口県岩国市三笠町2-2-16
URL:http://www.higashi-youchien.ed.jp/
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

異文化に触れ、子どもの個性を尊重し伸ばす手助けをする/岩国東幼稚園 冨津田香教頭先生
所在地:山口県岩国市三笠町2-2-16 
電話番号:0827-21-2081
保育時間:9:00~14:30
預かり保育:~18:00
http://www.higashi-youchien.ed.jp/

地区計画を定め、緑と調和する景観形成を図る調布市入間町/調布市役所 緑と公園課・島崎真司さん、都市計画課・阿部直人さん

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多摩川の左岸に沿って、国分寺市から多摩川河口付近まで続く緑のライン「国分寺崖線」は、多摩川が武蔵野台地を浸食して生み出した自然の地形。急峻な斜面にはかつての武蔵野を思わせる天然林が美しく茂り、人の手がほとんど入らずに豊かな生態系を維持してきた。

このうち調布市入間町付近では、今後の利活用の方法について検討を重ねている。今後、この緑地はどのように変わり、地域はこの緑地をどのように活用していくのか。今回は、調布市で緑地保全を担当されている調布市役所緑と公園課の島崎真司さんと、都市計画課で地区計画を担当されている阿部直人さんにお話を伺った。

「水と緑の軸」に位置付けられる入間町エリア

豊かな自然が残る入間町地区

――まず、調布市の都市計画の中での入間町地区と崖線緑地の位置付けや、現状について教えてください。

阿部さん:入間町は国分寺崖線の緑の軸と、野川の水の軸が交わっている、水と緑に囲まれた地域で、調布市の都市計画マスタープランの中では「水と緑の軸」として位置付けられています。また同時に、「桐朋学園」周辺と並んで、調布市の東部における「文化・交流の拠点」の一つとしても位置付けられています。

入間町では、このマスタープランの位置付けを踏まえたうえで、2014(平成26)年に「入間町周辺地区地区計画」を策定しました。

入間町周辺地区地区計画

「入間町周辺地区地区計画」ではまず、都有地及びNTT東日本から譲渡された土地からなる約3ヘクタールの斜面緑地について、入間町周辺地区の「地区施設」という形で位置付けました。これによって、斜面緑地が都市計画によって、将来にわたって担保されたという意味合いがあります。

また、斜面緑地に隣接する集合住宅などでは一定のルールを導入し、建築物の規模や、崖線との関連性、敷地内の緑化率など、景観形成に配慮しながら、細かな部分の具体的なルールを定めました。

調布市都市計画課 阿部直人さん

一方で、NTT中央研修センタの区域については、もともと宿舎やグラウンドなどがあった南側部分の活用の形が2015(平成27)年に決まってきましたので、この部分を「文教・福祉関連施設ゾーン」と位置付け、地区整備計画範囲に加えるという都市計画の変更を行いました。

なお、この土地については中高一貫校の設立を予定する学校法人「東京学園」と、高齢者にも対応した集合住宅と、特別養護老人ホームと、認可保育園が造られることになっています。都市計画マスタープランで「文化・交流の拠点」という位置付けがあった地区ですので、まさに、それに沿った土地利用の誘導が図れたと思っております。

調布市景観計画(国分寺崖線景観形成重点地区)の景観形成イメージ

自然あふれる「調布の森」を保全していくために

――斜面緑地部分については、今後どのような活用がなされていくのでしょう?

島崎さん:調布市の「緑の基本計画」では、入間町を含む一連の緑地帯を「調布の森」と位置付けています。斜面緑地については、「崖線の緑と湧水を守り、自然とふれあえる森づくり」をテーマとして、保全計画を検討しているところです。

ここは崖線で、連続した雑木林が斜面に広がっており、さまざまな生き物も生息しています。そういった点も踏まえ、崖線や樹林地については、市の緑地として管理しているところ、また、市民の方がお持ちになっている、保全などを図る必要があると認めた良好な樹林地を「保全地区」として指定して、一体的な保全を行うという方向で検討しています。

保全地区に関しては、入間町エリア全体で3か所、合計約7,800平方メートルを指定し、これとは別に保存樹木も17か所1,174本、生け垣も6か所約1,300メートルを指定しています。

調布市緑と公園課 島崎真司さん

「キンラン」「ギンラン」といった今や絶滅を危惧される珍しい植物も自生しています。そういうものを守っていくためにも、保全の活動をしていく必要があるんです。そうすることで、貴重な動物や植物も、また後世に残していくことができます。

多彩な動植物が生息している

――今後、一般市民が森を利用できるように整備がなされるのでしょうか?

島崎さん:東京都が所有している一部の部分については、すでに散策できるように整備されています。NTT東日本から調布市に寄付していただいた部分も含めて、現在まさに保全計画を作っているところで、具体的なことはこれから決めていく予定です。今後、保全をすべきエリアと、利活用できる可能性があるエリアの区分けをして、計画を策定していくという流れになります。

緑地を保全・活用・育成していく

緑と調和した街並みになることが完成形

――入間町地区がめざす将来像とは、どのようなものでしょう?

阿部さん:入間町一丁目から三丁目では、いくつかのゾーンに分けて地区計画を定めて、それぞれに方針を定めていますが、地区全体としては、緑地を「調布の森」として保全、活用、育成していく、という部分が大きな目標となります。また、景観についても、国分寺崖線を一般の地区よりも一段高いレベルで景観誘導をする地区に指定し、地区全体で緑と調和した景観形成のための取り組みを行っています。

今回具体的に建築物等のルールを定めたところは入間町のうちの一部分ですが、戸建住宅が集まる地区や、都営住宅がある地区も地区計画には含まれていますので、核となる緑地のあり方をしっかりと考え、保全や利活用の仕方も工夫しながら、より魅力的な地区にしていければと思っています。

緑地の活用については、住民の方にとっては、管理上の問題や、防犯・防災上の問題など、いろいろな心配事等もあると思いますので、地域の意見も聞きながら、緑を守り活用していくための仕組みを考えていただけたらと思います。また、その成果が今後の街づくりに波及できるのであれば、将来的には、戸建エリアなどにも一定のルールを策定して、地区全体が緑と調和した街並みに変わっていけば、それが、この街の完成形なのではないかと考えています。

入間町の戸建て住宅地区の様子

――最後に、入間町地区の魅力について一言お願いいたします。

島崎さん:この地区については、まだまだこれからの部分が多くありますので、ぜひ、もっと多くの住民の方にも緑の保全に参加していただきたいと思っています。ここは市内でも緑が豊かな地区ですので、緑や生態系を自分たちの手で守り、後世に残していきたい、という気持ちを持った方が来てくださるとうれしいです。また、それができることが、この地域の魅力でもあると思います。

阿部さん:これまでの話から、入間町は崖や斜面が多そうなイメージを持たれたかもしれませんが、成城方面には平坦な道のりで行けますので、自転車を使って成城方面に散策に行っていただければ、また違った文化を感じていただけると思います。「仙川」駅付近も「桐朋学園」などがあり文化の薫る地域ですから、そういう街が近接しているという点でも、暮らしやすいと思います。地区計画できめ細かいルールを定めていますので、安心してお住まいいただける地域だと思います。

島崎真司さん(左)と阿部直人さん(右)

調布市役所

調布市環境部 緑と公園課 みどりの推進係 主任・島崎真司さん(左)
調布市都市整備部 都市計画課 地域支援係 主任・阿部直人さん(右)
参考資料:
入間町周辺地区地区計画
調布市景観計画
緑の基本計画
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

地区計画を定め、緑と調和する景観形成を図る調布市入間町/調布市役所 緑と公園課・島崎真司さん、都市計画課・阿部直人さん
所在地:東京都調布市小島町2-35-1 
電話番号:042-481-7111
開庁時間:8:30~17:15 ※第2土曜日と第4日曜日の9:00~13:00に一部窓口を開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
http://www.city.chofu.tokyo.jp/

“楽しく”かつ“育成”にも取り組む/わかば学童クラブ 阿部純さん

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調布市立若葉小学校に近接して建つ「調布市立わかば学童クラブ」は、学童保育のニーズの高まりとともに2009(平成21)年に開所。調布市内5つの学童クラブと、放課後の居場所づくりとして行われている調布市放課後子供教室事業「ユーフォー」にも取り組む社会福祉法人「東京かたばみ会」が調布市から委託されて運営する施設だ。市内に居住し、保護者が就労などにより、昼間家庭にいない小学校1~6年生までが利用できます。今回は、施設を利用する子どもたちに“あべっち”の愛称で親しまれている児童支援員の阿部純さんに、「わかば学童クラブ」の日々の取り組みや特色についてお話を伺った。

ニーズの高まりを受け2009(平成21)年10月に開所

調布市立わかば学童クラブ

――まず、施設の概要についてお聞かせください。

阿部さん:「わかば学童クラブ」は、2009(平成21)年に開所した調布市立の学童クラブです。当時からこの地域には、「仙川」駅近くの「東部児童館」の中に「東部児童館学童クラブ」があったのですが、学童保育のニーズの高まりとともにこちらでも学童クラブの運営をスタートすることになりました。

現在は70名の児童が通う

道路をはさんで向かいにある「調布市立若葉小学校」と「つつじヶ丘」駅の北口にある「調布市立滝坂小学校」の2校が受入れの対象となっていますが、現在は「調布市立若葉小学校」から通うお子さんがほとんどです。

現在の利用児童数は70名で、1年生が20名、2年生が27名、3年生も20名で、1年生から3年生で全体の9割以上を占めています。

まず何よりも“学童クラブが楽しいところ”でなくてはならない

家庭に代わる“遊び”や“生活”の場を提供している

――「わかば学童クラブ」の特色についてお聞かせください。

阿部さん:利用している保護者の方からは、「自由な雰囲気のなかで元気いっぱい遊んでいる」という感想をいただいています。

なかには民間学童と呼ばれる施設と比較して、「もっと勉強をさせてください」や「英語を習わせてみては?」といったさまざまなご意見もいただくのですが、そもそも「学童クラブ」とは、家庭に代わる“遊び”や“生活”の場を提供し、集団生活の中で子どもの健全な育成を図ることを目的としています。

子どもたちが楽しく過ごせるように工夫している

そのため運営するうえで大切にしているのは、まず何よりも“学童クラブが楽しいところ”でなくてはならないと思っています。

学校が終わってから学童クラブに行くのが嫌だと、学校にも行かなくなってしまう可能性すらあるため、まず“楽しいところ”であることがもっとも重要だと感じています。職員の心構えとしても、子どもたちと関わるうえで一緒になって一生懸命遊びますし、職員みずからも楽しんで遊ぶことが大切です。

ルールを守ることも大切な学びである

また集団生活を送るうえでのルールや決まりごとを伝えることも重要で、時間を守ること、約束を守ること、おもちゃや道具を大切に扱うことなど、“楽しく”かつ“育成”をしっかり行うことが「わかば学童クラブ」の目指すところです。

先生ではなく育成者としての眼差しで接する児童支援員

子どもたちを温かく見守る児童支援員

――子どもたちと児童支援員の皆さんとの普段の関わりはどんな様子なのでしょう?

阿部さん:詳しい経緯は分からないのですが、調布市では、学童クラブを第二の家庭と捉え、スタッフは先生ではないという考え方から児童支援員はすべて子どもたちにニックネームで呼ばれています。玄関にスタッフの顔写真とニックネームを記した一覧を掲示して覚えてもらいます。ニックネームで呼び合うような関係性は、児童支援員は“育成者であって先生ではない”という意識から生まれるもので、子どもたちも学校とは違う雰囲気のなかでのびのびと過ごしています。

敷地内は広々としている

「わかば学童クラブ」は立地的にも恵まれた広い庭のある施設のため、外に遊びに行かなくてものびのびと敷地内で遊ぶことができます。庭には緑も多く、ダンゴムシやカマキリ、バッタをつかまえて遊ぶ子どもの姿も見られますし、5月にはさくらんぼ、6月には桃を収穫してみんなで美味しくいただきます。

8月の最終金曜日におこなわれる「わかば学童商店街」

季節ごとのイベントも行う

――年間を通したイベントにはどのようなものがありますか?

阿部さん:春の対面式や夏の学童プール、秋の親子ピクニックなど季節に合わせたイベントはもちろん大切にしていますが、8月の最終金曜日に行われる「わかば学童商店街」も特色のある催しのひとつです。子どもたちが「雑貨」「手芸」「おもちゃ」「ゲーム」の4つのお店に分かれて商品を売る人、買う人がそれぞれ買い物の楽しさを体験します。

また、「東部児童館」と「若葉小学校」へお出かけする機会があり、校舎内を利用して放課後の居場所づくりとして行われている「若葉小学校」の「ユーフォー事業」との交流には毎回150人もの子どもたちが集まり大いに賑わいます。

地域に開かれた施設運営を目指して

子どもの様子を見れる機会を提供している

――保護者や地域の方との関わりについてもお聞かせください

阿部さん:6月に保護者の方と個人面談を行わせていただいたのですが、お子さんのいる時間帯に来ていただけるように事前にアナウンスを行い、他のお子さんたちと遊んでいる普段の様子を見ていただきました。

これは学童クラブの現状をご理解いただくことにもつながり、子どもたちが限られたスペースと環境のなかでそれぞれ工夫をしながら過ごしている日々の頑張りを目にしていただくことができるからです。

「わかば学童クラブ」を運営する「社会福祉法人東京かたばみ会」では高齢者福祉施設も運営していますが、近隣に別の社会福祉法人のケアセンターがオープンしたのをきっかけに、定期的な交流の機会を持たせていただいています。 「夏まつり」の招待も受けていて、学童クラブでも希望者を募って遊びに伺う予定です。

地域のケアセンターとのつながりも持つ

おじいちゃん、おばあちゃんと接する機会も少ない時代ではありますし、フラフープを披露したり、歌ったりして、「すごいね!」とたくさん褒めてもらえると子どもたちにとっても楽しい貴重なひとときになっているようです。

過去には紙芝居の読み聞かせをしてくださる地域のボランティアや人形演劇を披露してくださる地域の団体もいらっしゃったようで、今後も地域に開かれた施設運営を行うことで、子どもたちにとってより良い環境を提供していきたいと思います。

調布市立わかば学童クラブ

児童支援員 阿部 純さん
所在地:東京都調布市若葉町3-1-25
電話番号:03-5314-3931
URL:http://www.katabamikai.jp/gakudou/wakaba.html
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

“楽しく”かつ“育成”にも取り組む/わかば学童クラブ 阿部純さん
所在地:東京都調布市若葉町3-1-25 
電話番号:03-5314-3931
http://www.katabamikai.jp/gakudou/wakaba..

仙川の地図制作を通じて街の魅力を掘り起こす/仙川地図研究所

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都心部への交通アクセスにすぐれ、文化の薫り漂う街並みが人気を集める調布市仙川エリア。「桐朋学園」や「白百合女子大学」のキャンパスがある街としても知られ、学生で賑わう活気ある駅前の商店街や郊外の個性的なカフェ、ギャラリー、国分寺崖線の豊かな自然など、多彩な魅力を併せ持っている。今回は仙川在住のメンバーを中心に活動している市民サークル「仙川地図研究所」に、地図づくりをはじめた経緯や、取材を通じて感じた仙川の街の魅力などについてお話を伺った。

■メンバー紹介
小森葵さん:「仙川地図研究所」発起人の一人。仙川手作り市も主宰している。
笠原真志さん、文代さん:ギャラリー&カフェ「ニワコヤ」を営むご夫妻。1999年より仙川に在住。
わだふみおさん:展示会をきっかけに研究所に参加。まち歩きが好き。
川西ゆうこさん:大阪出身。東京移住をきっかけにまち歩きにはまり、研究所の活動に参加。

写真左から、笠原真志さん、笠原文代さん、小森葵さん、わだふみおさん、川西ゆうこさん

ギャラリーカフェを運営するご夫婦と地図好き女子との出会い

最新版の「せんがわ地図」

――まずは「仙川地図研究所」の発足の経緯についてお教えください

小森葵さん:「仙川地図研究所」のはじまりは、仙川で「ニワコヤ」というギャラリーカフェを運営していた笠原夫婦との出会いがきっかけです。

笠原文代さん:もともと私たちがギャラリーの企画を案内するために月1回「ニワコヤ通信」という二つ折りの印刷物を作っていたのですが、そのなかに「独断と偏見によるご近所お散歩案内」というコーナーを設けて、街の紹介も兼ねて仙川の地図を載せていました。そんなとき、街のミニコミ誌を編集している“あおちゃん”こと小森葵さんと出会ったんです。

小森葵さん:私はグラフィックデザイナーとして活動するかたわら、街のミニコミ誌を編集したり、ローカルニュースを発信する「調布経済新聞」の仙川地区を担当していたこともあり、地域のお店とのつながりを生かした震災復興プロジェクトや「仙川手作り市」の企画など、仙川に根ざした活動をやっていました。
「仙川手作り市」をやるときに「ニワコヤ」にも声をかけさせていただき、それが、徐々にお客さんとお店という関係から、友人的な付き合いへと発展していったんです。

笠原文代さん:私たちも、いつかは広域の地図を作りたいと話していたんです。それで、これも何かのめぐり合わせだということで、2013(平成25)年に「仙川地図研究所」を発足しました。

「まずは仙川のすべての道を歩こう!」フィールドワークからスタート

わだふみおさん

――地図をつくるうえでまずは何を手はじめに行ったのですか?

笠原文代さん:最初は仙川の白地図を持って「まずはすべての道を歩こう!」と、フィールドワークするところからはじまりました。

小森葵さん:「あのビニールハウスでは何が育てられているんだろう?」みたいなちょっとした発見も含めて、インターネットには載っていないような情報を拾い集めながら、約半年間をかけて、2014(平成26)年4月1日に初版を発行することができました。どのくらい売れるのかまったく見当もつかず、はじめは1,500部を刷ったのですが、最初の10日間で売り切れたのには驚きました。すぐさま追加で2,000部を刷って、それも半年間で売れ切れてしまいました。

新メンバーの加入で気づく新たな視点

地図を見たりまち歩きをするたびに視点が広がり新たな発見が

――地図づくりにはどういったメンバーが携わっているのですか?

小森葵さん:イラストレーターの友人や地図を実際に作ったことのある人など、一緒に制作ができる人を探すところからはじまりました。

笠原真志さん:「ニワコヤ」でも「仙川地図研究所展」をやって、制作を進めていた仙川の作りかけの地図とあおちゃんが持っているヨーロッパの地図のコレクションを展示して活動のPRもしていました。

小森葵さん:メンバーのひとり、わだふみおさんはその展示をたまたま見に来てくださっていて、「活動に参加しませんか?」と声をかけ、参加してくださるようになったんです。その頃にはメンバーはすでに10名ほどになっていて、今は顧問を含めると14名の市民活動サークルになりました。

笠原文代さん:今もメンバーのひとりとして活動してくれている81歳の小室さんは、私たちの知らないひと昔前の仙川についての情報をたくさん持っているので、今ちょうど古地図のようなスケッチを描いてもらっているところです。

「せんがわ地図」がきっかけで引越してきた人も

「せんがわ地図」は主に仙川駅周辺の店舗で取り扱う

――地図を発行したことによって、どのような反響がありましたか?

笠原真志さん:今こうして活動の輪が広がっているのは、「仙川地図研究所」の取り組みを新聞が取り上げてくれたのも大きく、新聞を購読しているおじいちゃん、おばあちゃんの世代からも多くの反響がありました。

笠原文代さん:初版を発行した頃は、地図を手にした方が「ニワコヤ」に直接訪ねて来ることも多かったです。感想文がお店の看板に突き刺さっていたなんてこともありました。

わだふみおさん:僕のまち歩きの友だちの中には、「仙川地図研究所」で作成した地図を見たのがきっかけで仙川に引越してきた人もいるんです。

小森葵さん:まち歩きする人にとっては高低差もあるし市町村の境界もあるし、すごく魅力的な街なんだなぁということを、地図をつくってみてはじめて気がつきました。まち歩きを趣味にしている人にとって住みたい街の基準はそこなんだって。(笑)

「散歩×○○」“まち歩き”を主軸に置いた地図づくり

笠原真志さん

――掲載する情報やお店の選定、地図を制作するうえでの編集方針は?

小森葵さん:仙川の街を歩きまわって欲しい、知らない道を歩いて欲しいという思いがあるので、掲載するお店はまち歩きをしながら途中で立ち寄れるスポットというのをひとつのコンセプトにしてピックアップしました。

笠原真志さん:あとは個人店に限定した点ですね。チェーン店やコンビニは載せていません。まち歩きの途中でコンビニでコーヒーを買うんだったら、個人店でコーヒーを飲んでくださいというメッセージも込めているんです。

とことん話し合い、メンバーみんなが納得するものを作る

調布市というくくりではなく、仙川という街の意識

千歳烏山の地図作成にも協力

――地図を作るなかで気づいた仙川の地域性や魅力は?

小森葵さん:仙川は多くが調布市に属していますが、住民の感覚としては、調布と言うより仙川に住んでいるという感覚が強いんじゃないかと思います。

仙川はエリアによって調布の人、世田谷の人、三鷹の人、狛江の人とそれぞれ住んでいる人が異なっていて、成城寄りには小田急文化があって京王線との雰囲気も違いますし、駅から北の人は井の頭線の文化もあって、調布に住んでいるというより仙川っていう街のくくりで捉えている人が多いと思います。

笠原文代さん:地図をつくりはじめたときに、仙川をある地方都市として仮定したのを覚えていますが、仙川には観光案内所を開設したとしても、みんなを楽しませる充実のコンテンツがあると思いました。そういう小ネタを紙面に置いたことで仙川住民の方にも、まったく仙川のことを知らない人にも楽しめる地図になったんだと思います。

まちおこしを目的としたものではなく、地図づくりを通じて街を楽しむことが目的

「調布市・崖線樹林地ガイドマップ もりのちず」

――まちおこしを兼ねてまち歩きや地図づくりをしているケースもありますが?

笠原文代さん:3人ではじめた活動が市民サークルになって、それを楽しんでいたら結果としてそうなったら良いじゃんくらいの意識でいるので、「まちおこしがんばるぞー!」みたいな雰囲気とはまったく違うんです。

小森葵さん:私もまちおこしをしている感覚はないですね。街を観察して地図にまとめるのが目的。だから研究所という名前にしたんです。

笠原真志さん:仙川はまちおこしをしなくちゃならない状況でもなく、むしろどんどん人気が高まって盛り上がっている場所なので、あたらしい情報を追いかけているだけでも話題が尽きないんです。

川西ゆうこさん:年齢層の高い人が地図を作ると、「かつてはこういう場所でした」「こういうものがありました」という歴史的なところを重視しますが、「せんがわ地図」には新しい情報もたくさん載っているのでまち歩きを趣味にしていない人にも役立つ情報ですし、版を重ねて行くことでどこが変わったのかが見比べられるというのも面白いと思います。

2017(平成29)年10月、活動の拠点となる「ニワコヤ」がリニューアルオープン

地図を手にお店などをめぐる

――今後の予定や将来の展望についてお聞かせください

小森葵さん:「仙川地図研究所」の取り組みが知られるようになって、毎年5~6種類の地図や地理情報を使った制作物をあたらしく制作しているんですが、基本的には依頼をいただいた地図を作るということと、自主企画で作る活動と両方続けていきます。
それと、休業中の「ニワコヤ」が、10月にリニューアルするのも大きな出来事で、あたらしい拠点で何ができるかなと今から楽しみです。地図を見ながらみんなでご飯を食べる会じゃないですけど、私たちのミーティングをオープンにして「ニワコヤ」にいっぱい人が集まるのも楽しそうですね。

わだふみおさん:「せんがわ地図」をネタにして、仙川のオリエンテーリングをして地図に親しむみたいなイベントもやってみたいですね。

川西ゆうこさん:2015(平成27)年に開催した「せんがわパン遠足」は好評でしたね。仙川にある9つのパン屋さんと焼き菓子のお店をまち歩きしながらめぐったのですが、いつもはまち歩きなんてしなさそうな女性も多くいました。

パッと開いて情報が見やすい紙媒体にこだわる

――最後に仙川がどんな街になっていくのか、期待も込めた地元の方の思いとしてお聞かせください。

笠原文代さん:緑はこれ以上減らないでと思う一方、薄暗くて怖かったから綺麗になって良かったみたいないろんな意見もあって、街にはやっぱり住む人によっていろんな意見や考えがありますよね。あと駅前の商店街には、私たちが引越してきた10数年前は個人店がいっぱいあったのに、だんだんと減ってきてしまっているのは、ちょっと寂しいですね。

わだふみおさん:個人店が無くなるのは確かに寂しいし、緑が無くなっていくのも寂しい。でも街は街として動き続けていくものなので、チェーン店がひしめく商店街の様相も含めてなるようになっていくんだと思います。

小森葵さん:私は、仙川がありきたりな街にはなって欲しくないというのはあります。だからこそ商店街から離れた場所にお店を開く若い方を応援したくて、「せんがわ地図」に掲載したりもしています。
あとは、これまでと変わらず寛容な街であり続けて欲しいと思います。規制やルールが厳しくなる一方なので、そういう街にならないで欲しいなと思います。

笠原真志さん:今年で10年目になる「JAZZ ART せんがわ」の関連企画で、ダンスと音楽の即興パフォーマンスが街中で行われる「LAND FES」がやってくるのですが、規制だったりいろんな決まり事が増えると開催が難しくなってくる。そういうことが可能な寛容な場所であり続けて欲しいと思います。

小森葵さん:「仙川地図研究所」の今後の活動やイベントの案内については、webやfacebookでも発信しているので、そちらをご覧ください。クリエイターのメンバーは「仙川地図研究所」の活動を通じて、あたらしいソフトウェアの使い方や表現手法を覚えたり、制作のトレーニングにもなっています。最近ではVRや360°パノラマ撮影、ドローン撮影といった最新技術も使用していろいろなものを作っているんです。メンバーそれぞれのやってみたいことを実現できる場でありたいなと思います。

仙川地図研究所のみなさん

仙川地図研究所

上段左から横山圭さん、笠原真志さん、わだふみおさん
下段左から笠原文代さん、川西ゆうこさん、小森葵さん
所在地:東京都調布市若葉町1-28-28 ニワコヤ内
URL:http://sengawamap.com/
取材協力:J’arrive!!(ジャリーヴ)
※この情報は2017(平成29)年8月時点のものです。

仙川の地図制作を通じて街の魅力を掘り起こす/仙川地図研究所
所在地:東京都調布市若葉町1-28-28 ニワコヤ内
電話番号:03-5315-2848
http://sengawamap.com/
https://www.facebook.com/sengawamaplab

2019年春開校の“ドルトンプラン”に基づく中高一貫校

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2019年に開校した「ドルトン東京学園」。校舎が建つ入間町の地は、建設に入る前の調査で縄文時代の集落跡が見つかるなど、古くから良好な住環境を提供していた高台に位置している。“個”と向き合い、尊重する生徒中心の教育メソッド「ドルトンプラン」に基づく教育を推進する同校。見学会には予想以上の反響があったとのことだ。時代が求め、必要とされていた「ドルトン東京学園」を訪ね、理事・広報担当の髙野淳一さんにお話を伺った。

“その先”をつくるために

校舎の外観

――2019年に開校した「ドルトン東京学園」。まずは、そこにいたるまでの経緯を聞かせてください。

高野さん:本校は、1世紀も前に発案された教育メソッド「ドルトンプラン」を実践する中高一貫校です。「ドルトンプラン」と聞いても、すぐにイメージできる方は少ないと思うのですが、日本でも大正時代に幾つかの学校で展開されたという記録が残っています。国内で「ドルトンプラン」を本格的に実践したのは、「河合塾」が開校したドルトンスクールです。現在は、東京校と名古屋校があるのですが、いずれも幼児教育機関なので、その先がありませんでした。保護者の皆さまからも、“この先も同じメソッドで教育を受けさせたい”という強い要望がありました。そもそも教育というのは、時代とともに変化しつづけるもの。未来を見据え、この国が目指している教育は、本校の「ドルトンプラン」と軌を一にしているのではないかとの考えから、「ドルトン東京学園」を開校することになりました。

赤いカーペットが印象的な教室

――「ドルトンプラン」について、具体的に聞かせてください。

高野さん:今からおよそ100年前に、米国の教育家ヘレン・パーカストが、当時多くの学校で行われていた詰め込み型の教育に対する問題意識から提唱した、学習者中心の教育メソッドです。簡潔に言うと、“生徒中心の教育”ということです。一人ひとりの能力と興味、そして必要性を踏まえた上で、さらなる高みに導かんとする教育メソッドです。伸ばすところは伸ばし、足りないところはしっかりと補うための課題が提示されます。この課題についても、教員が一方的に押し付けることはせず、話し合いを通じて決定されます。教員の力量が試させる教育メソッドですが、それに対応できる教員を確保することができました。

自由な発想を描ける「教室315」

ドルトンプランの2つの原理と3つの教育の柱

高野さん:「ドルトンプラン」について少し踏み込んだ説明となりますが、当プランは、興味を出発点とした自主性・創造性を育む“自由の原理”と、人との交流を通じて社会性・協調性を身につける“協同の原理”という2つの原理で成り立っています。その実践として自由については、それぞれのペースに基づく時間を与えること。協同については、他クラス・他学年と積極的に交流させることで、他者への理解だけでなく、社会性・協調性を身につけます。

お話を伺った髙野さん

高野さん:“自由の原理”と“協同の原理”を支えるのが、「ハウス」「アサインメント」「ラボラトリー」の3つの柱です。

1つ目の「ハウス」は、異学年のグループからなる学校生活の基盤となるコミュニティです。いわゆるホームルームではなく、異学年の生徒で編成するグループで、生徒や保護者との連絡・相談役となるハウス担任がつきます。異学年の生徒との交流によって、多様な価値観との触れ合いが日常的になり、「異なること」を当然のこととして受け入れる意識が、自然と身についていきます。また、クラスでは硬直しがちな人間関係や集団の中での役割も、ハウスでは、違った立場として参加することができます。

木がふんだんに使われた講堂。窓の外には緑豊かな風景が広がる

2つ目の「アサインメント」は、学習意欲を引き出すとともに自主性・計画性を養うための仕組みです。授業・学習活動は、アサインメント(課題)を中心に進めていきます。アサインメントに取り組む第一歩として、生徒は自ら学習計画を創ります。どのようなペースで、誰と、どこで学ぶのか。教員はその手助けをします。学年とともに課題発見力、計画性、責任感が身についてくると、知的好奇心・学習意欲の高まりから、学習・研究のテーマを自ら設定できるようになります。

そして3つ目が、アサインメントを実践するための場所と時間「ラボラトリー」です。生徒は自ら立てた学習計画に沿って、個人または少人数のグループで、学びたいことを究めていきます。ラボラトリーの時間を通じて知的好奇心や知識、思考力、創造力がさらに高められます。学びは教科の枠に留まるものではありません。好奇心・意欲を原動力に、知識を繋げ、その輪を広げていくことが、「ドルトン東京学園」が目指す学びの本質です。

ドルトンプラン

「学びのアクティビティ」をコンセプトとした校舎

――学校の設備に関して、特徴的なものはありますか?

高野さん:ガラスを多く使用しているので、晴天時あれば自然光だけでも適度な明るさが確保できます。また、ソーラーパネルによる太陽光発電や、雨水を洗浄水にするなど環境への負荷をできる限り小さくしました。他にも、音楽会だけでなく演劇に対応したホールや、どこでもインターネット接続ができる情報通信環境、そして開放的な学習空間であるラーニング・コモンズなど、学びを楽しめる環境づくりも心がけました。学校裏手の斜面には豊かな植生も見られるので、身近な自然環境を学ぶときの教材にもなりそうです。

簡単なギャラリーも備わった体育館

――地域との連携についてですが、現時点で考えていることはありますか?

高野さん:まだ構想段階ですが、生徒に色々な体験をしてほしいとの考えから、各分野の専門家を招いて、例えば歴史であれば郷土史家の方に来ていただき、教科書・参考書だけでは得られない学びを体験してほしいと考えています。

音楽室

グローバル化が進む現代を生き抜く力を育む

――卒業後の生徒たちに対して、“こうなってほしい”という願望はありますか?

高野さん:本校の掲げる“自由と協同”を兼ね備えた大人になってもらいたいと思っています。自由というのは己の自由を大切にするだけでなく、同時に他者の自由を受け入れることが求められます。多様性への理解と、一切の偏見に囚われないという意味での自由でもあります。そして協同についてですが、生きていれば悩みを抱えたり、難しい問題に直面する場面もあると思います。そのようなときに協力し合える関係性とつながりを大切にしながら、社会に羽ばたいていってほしいと考えています。

アクティブスペース

――新たな拠点となる東京・調布市入間町についてですが、どのような印象をお持ちですか?

高野さん:本校との縁がなければ、訪れることのなかった街かもしれません。しかし、閑静な住宅街が広がっていること、緑が多いことも含めて本当にいい環境だなと感じています。通学にはバスを推奨していますが、京王線「つつじヶ丘」駅、「仙川」駅まで行けば、新宿、渋谷に出やすいなどアクセス面に優れているのもいいですね。

ドルトン東京学園

ドルトン東京学園中等部・高等部

理事・広報担当 髙野淳一さん
所在地:東京都調布市入間町2-28
URL:http://www.daltontokyo.ed.jp//
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。

2019年春開校の“ドルトンプラン”に基づく中高一貫校
所在地:東京都調布市入間町2-28 
https://www.daltontokyo.ed.jp/


副都心化が進む地域の子育て支援拠点「長町児童館」

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仙台市太白区長町地区は近年、街の開発が急ピッチで進み人口が増加している。ショッピング施設、医療施設、公園などが身近な距離に計画的に配置されており、住みやすい街として人気が高い。子育て世代の流入も多く、子どもたちの声が発展する街全体をさらに活気づけている印象だ。仙台市営地下鉄南北線「長町」駅より徒歩3分、複合施設「たいはっくる」内にある「長町児童館」は、遊びを通して子どもたちの健康な体と豊かな心を育てる、気軽に利用できるあそびの場として人気で、子育て支援の拠点として地域からの信頼も厚い。館長の飯坂新さんと主任の齋藤美江さん、児童厚生員の松本浩子さんに話を伺った。

増加する新規利用者でも楽しんでもらえる場づくり

――「長町児童館」について教えて下さい。

飯坂さん:「長町児童館」は、「太白区文化センター」と「太白図書館」、「太白区中央市民センター」、マンション、商店街区画からなる複合施設「たいはっくる」内にある施設です。長町周辺地域は、仙台の下町的な位置づけでしたが、JR貨物線の跡地開発が進められ住宅や施設が次々と建てられていまして、副都心化が進んでいます。「長町児童館」は、誰でも自由に来て遊ぶことができる場所で、遊びを通して子どもたちの健康な体と豊かな心を育てる場所です。児童健全育成機能、子育て支援機能、地域交流推進機能、放課後健全育成機能の大きく分けて4つの機能を基に運営をしています。

クラブ紹介やイベントに関する掲示

※「太白区中央児童館」は、2017(平成29)年4月1日より「長町児童館」へと名称変更しました。画像は2016(平成28)年12月現在のものです。

利用者は午前中の乳幼児親子、午後の小学生、夕方の中高生まで様々で、対象は0歳から18歳まで。街の開発が本格的に始まった2012(平成24)年度から2013(平成25)年度にかけては、当施設利用者が年間1万人程増えたこともありました。現在もすぐ近くに「IKEA」など大型商業施設ができたこともあり、年間1千人程のペースで利用者が増えています。当施設では、小さい子どもたちだけの利用ではなく平日に中学生の利用が多いのも特徴です。夕方5時から6時くらい、バドミントン部や卓球部の練習を補うのに利用しているようです。今後もたくさんの子どもたちに利用してほしいと思っています。当施設の屋上園庭からは、長町を横切る東北新幹線の姿を見ることができるんですよ。子どもたちにとても人気です。

ギャラリー部分はオープンスペースになっているため広々としている

――「子育て支援クラブ 長町おだづもっこ」について教えて下さい。

齋藤さん:「子育て支援クラブ 長町おだづもっこ」は、児童館を拠点として地域の子どもたちに健全育成活動を行っていく団体です。前身は、「母親クラブ」という地域で子育てを一緒に楽しむことを目的とした児童館と協力して運営をしているボランティア団体です。現在スタッフは20名で活動していまして「児童館フェスタ」等のイベントでも、心強いメンバーとしてお手伝いして頂いています。自主活動としては、児童館の協力を得て年4回の「のびのびストレッチ」や「おやつ作り」などのイベントの開催や、ハンドベルクラブの練習、夏の屋上園庭のお掃除などの美化活動、スイカ割りやミニコンサートなど様々な楽しいことを企画運営しています。「仙台七夕祭り」の時は、子どもたちと一緒に「むすび丸」や「くまもん」などのキャラクターの七夕飾りを作ってくださいました。

おだづもっこに関する掲示。イベントなどは定期的にチェックしたい

また「子育て支援クラブ 長町おだづもっこ」と民生委員・児童委員が月1回程度定期的に開催する地域ぐるみの子育て支援活動「子育てサロン」も開催しています。これは0歳から3歳のお子さんをお持ちのお母さんが対象になりまして、子育ての情報交換や悩みについて気軽に話し合えて解決できる場所になっています。参加したお母さんたちからは、いろいろな話や悩みを聞いてもらえたり、情報交換できたりして楽しい!と大変好評です。長町は転勤などで引っ越してくる新しい住民も多く、子どもの数が増え続けています。ここの児童館には毎日2、3組の新規の方が訪れて来ているのが現状です。みなさんが楽しく子育てができるように、「子育て支援クラブ 長町おだづもっこ」と連携して子育て支援の場、情報交換の場、みなさんが参加しやすいイベントなど、また来たいな、と思って頂けるような場をどんどん作っていきたいと思います。みなさんに真面目すぎない、“おだづ”(ふざけ)すぎない気軽な感じで、“おだづもっこ”で子育てを楽しんで頂ければと思います。

お話会の様子

複合施設の特性を活かした子どもたちが楽しめる企画

――「長町児童館」には「体育クラブ」もあり人気とお聞きしました。

松本さん:「体育クラブ」は体操的な遊びを通して児童の体力増進を図る登録制のクラブになります。主に小学校1年生から3年生が対象で、前期が2・3年生、後期が1年生を対象に各20名の少数で行っています。活動内容は担当の職員がそれぞれ考えていまして、ダンス系の運動を取り入れていたり、遊びながら体を動かしたりと内容は様々です。私の場合は、私自身が体育の教員免許を持っていて運動系が好きでしたので、おにあそびやボール運動、縄跳びは毎回取り入れていますね。時間があるときは「ドッチビー」のようなニュースポーツにも挑戦しています。どの活動も子どもたちが楽しく体を動かして基本的な運動のスキルを身につけられるような時間になるように心がけています。また3階にある「太白区中央市民センター」の体育施設を利用して、いつもより広い部屋で思いっきり体を動かすこともあり、子どもたちからも「また来年も続けていきたい!楽しい!」という声をたくさん頂いているので頑張りたいと思います。今後もこの「体育クラブ」を続けていくことによって子どもたちに運動の楽しさを知ってもらうチャンスを作り続けたらいいなあと思います。

児童館内の「遊戯室」も十分な広さがある

――イベントも多いようですが、なかでも「児童館まつり」や「児童館フェスタ」とはどんなものでしょうか?

齋藤さん:「児童館まつり おだづ村」は、児童館ってどんなところなの?という地域のみなさんに児童館をもっと知ってもらおうという児童館のお祭りで毎回たくさんの人が集まるイベントです。また日々児童館に来ている人にとっては、みなさんに見ていただく発表の場にもなるイベントです。今年は、ダンスを発表したり、けん玉を発表したりみんなで工作をしたりしました。今年は宮城県で人気の「伊達武将隊」のみなさんに来ていただいて、忍者遊びをみんなでしたり「伊達武将隊」のみなさんによるステージを見たりしてとても盛り上がりました。

「伊達武将隊」によるミニステージ

今年度の「児童館フェスタ」は太白区にある児童館が集まって「太白区文化センター」を使って行われた大規模なイベントで、約2,900人の来場がありました。「太白区文化センター」の大ホールでは、この日のために日々練習を重ねてきた乳幼児親子や子どもたちのステージ発表、合唱や太鼓演奏、チアリーディング等、多彩な文化芸術のステージが繰り広げられました。展示ホールや会議室では、それぞれの年齢に応じた様々な体験型の遊びのコーナーが設けられて、多くの子どもたちで賑わっていました。「児童館フェスタ」は家族で一日中楽しめる太白区をあげての大イベントですね。来年度は青葉区で開催されます。

「楽楽楽ホール」でのステージ発表

昔ながらの人情味と開発で生まれた利便性の高さを兼ね備えた街

――街の魅力について子育て環境の魅力について、ひと言お願いします。

飯坂さん:長町は、とても住みやすい街ですね。商業施設が充実していて買い物に便利ですし、坂道がないフラットな地形なのでどこへ行くにも移動がスムーズです。副都心として開発が進んでいますが、昔ながらの下町の温かい人情味が残されている優しい街でもあります。新しい住民も増えていますが、おじいちゃんおばあちゃんも多く住んでいて、都会と田舎が共存した街でもあります。子育て支援につきましても制度、施設共に大変充実していますので安心して暮らすことができる街だと思います。

長町駅前商店街

松本さん:長町は交通の便が良いのが魅力です。JRも地下鉄もあり幹線道路も整備されているのでどこへ行くにも交通手段を選ばずに便利ですよ。また、あすと長町近辺は開発が進み商業施設が多いのでショッピングにとても便利ですね。子育て環境は児童館や幼稚園・保育園がたくさんあって自分にあったところを選ぶことができますし、とても良いと思います。

「あすと長町大通り線」などインフラ整備が活発

齋藤さん:長町は、ここ「長町児童館」以外でも0歳から1歳くらいであれば「のびすく長町南」など子育て支援施設がたくさんあるのが魅力です。また小学生くらいからの塾やスポーツなどの習い事も歩いていくことができる距離にたくさんあるので便利ですね。図書館等の文化施設もたくさんあるので、やりたいことを選ぶことができる豊かな暮らしのできる街だと思います。ぜひ長町にお越しください。

長町児童館

長町児童館

館長:飯坂新さん、主任:齋藤美江さん、児童厚生員:松本浩子さん
所在地:宮城県仙台市太白区長町5-3-2
TEL:022-304-2743
URL:http://www.hm-sendai.jp/jidoukan/shisetsu/43.shtml
※記事内容は2016(平成28)年12月時点の情報です。
※2017(平成29)年4月1日より「太白区中央児童館」から「長町児童館」に変更しました。施設名称のみ「長町児童館」に変更しております。

副都心化が進む地域の子育て支援拠点「長町児童館」
所在地:宮城県仙台市太白区長町5-3-2 
電話番号:022-304-2743
開館時間:9:00~18:00(土曜日は17:00まで)
休館日:日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
http://www.hm-sendai.jp/jidoukan/shisets..

街の防災拠点にもなる、充実の設備が整った小学校「三原市立南小学校」

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広島県三原市といえばJR「三原」駅で新幹線を降りれば、四国への玄関口三原港、そして広島空港がある陸・海・空の高速交通の連結都市である。また、瀬戸内海国立公園に組み入れられる筆影山や竜王山からは瀬戸内の島々の絶景が眺められる海と山の自然に恵まれたエリアでもある。全国の小学校の学力レベルでは、常に上位には入るという教育熱心な広島県においても、その平均値よりも高い学力であるという「三原市立南小学校」。2014(平成26)年に移転新築された新校舎は全国的にも指折りの充実した施設であり、また様々なユニークな教育を取り入れている。そんな「三原市立南小学校」について池田彰夫校長先生にお話をうかがった。

全面芝生のグラウンドで遊ぶ子どもたち

――校舎に関しては設備面でかなり充実しているとお話をうかがっておりますが、その点についてお教えいただけますでしょうか?

池田校長先生:「三原市立南小学校」は1952(昭和27)年に創立して、現在は全校生徒が578名、校舎は2014(平成26)年4月に移転新築して現在に至っています。それまでは「三原市立第三中学校」と同じ敷地にあり、グラウンドを共用しておりました。グラウンド共用の不都合などが長年の教育課題になっておりましたので、小学校として完全に独立した施設にするために移転をしたという経緯があります。

設備に関しましては、全面芝生のグラウンド、屋上のプール、茶道や華道に活かせる畳敷きの「多目的教室」の設置、広い廊下やトイレのバリアフリー設計、4階建ての体育館は3・4階を学校の体育館として、1・2階を市の武道館として使い分けています。また学校は、防災拠点としての機能も合わせもった設計で、先般の豪雨災害においても、すでにその機能を発揮しています。例えば体育館には防災倉庫が完備され、中庭には災害時に下水道と直結させて使用するマンホールトイレが19基完備されています。

畳敷きの多目的教室

――学校施設だけでなく、街に必要とされるものをすべて兼ね備えた最新設計ですね。それでは学校のある円一(えんいち)地区の魅力についてお教えください

池田校長先生:南小学校の校区は三原市街の中心地で、「三原」駅からも近く交通の便のいいところです。市役所はすぐ隣にあり、中央公民館や様々な文化施設も集中した文教地域的な意味合いもあるエリアです。また救急外来やヘリポートまで備えた「興生総合病院」もすぐそばにあり、大型のショッピングモールである「三原フジグラン」など、ショッピング施設も充実していますので、衣食住がそろう非常に便利なエリアだと言えると思います。

市街地はほとんどが平地で徒歩や自転車での移動が楽というのも生活の利便性としてはいいところだと思います。目の前に三原港があり、南側には瀬戸内海国立公園にも指定されている筆影山や竜王山もありますので、海あり山ありの自然にも恵まれた、環境面ではいうことのない場所だと思っています。

多くの学びの機会を通じて過ごせる6年間

地域の防災拠点にもなっている

――教育活動で特に力を入れて取り組んでいることについてお教えください

池田校長先生:南小学校独自の取り組みはたくさんあります。まずは学校目標ですが「地域と協働し、深い学びを求めて、磨き合う児童の育成」としています。主体的に深い学びを行い、学びから得た知識の活用をする。知識を活用するにあたって積極的に人との触れ合いをする。例えば子ども同士、経験ある人との関わりなど、学校という枠だけで捉われる教育ではないということです。

学校の校庭に敷き詰められている芝生が本校の施設の特徴のひとつでもありますが、この芝生の校庭で思いっきり裸足で遊ぶ「みなみんタイム」という時間を設けています。校庭に芝生が敷き詰めてある学校は珍しいと思いますが、この芝生は地域の方々、保護者の方たちにも協力してもらって植えました。メンテナンスも必要になりますが、それも地域の方々に協力していただいています。そうした学校と地域の連携を行う「地域支援本部」も設けています。「みなみん」というマスコットキャラクターも子どもたちが考えました。今ではLINEスタンプにもなっています。

子どもたちが考案したマスコットキャラクター「みなみん」

また、芝生があることを活かして「タグラグビー」を体育に取り入れています。これはラグビーの入門のようなスポーツですが、小学生がタックルをするのは危険ですので、腰にタグという布を付けて、このタグを取ることでタックルとみなしてボールをリリースするというものです。またこれも芝生があることで行える活動のひとつですが、地域協働の一環で5・6年生が地域の方々に「グラウンドゴルフ」を教えていただいたりもしています。

打楽器の練習風景

――吹奏楽の活動についてもお教えください

池田校長先生:吹奏楽はクラブ活動で4年から取り組めるようになっているのですが、6年生になると全員で器楽合奏に取り組んで曲を完成させて、市民音楽祭に出場します。小学生がトランペットやトロンボーンなどを吹いている姿は珍しいと思いますが、本校には楽器庫があり、通常の小学校にはない楽器も充実しています。

――子どもやっさへの参加なども積極的に取り組んでおられるようですね

池田校長先生:三原の伝統芸能である「やっさ踊り」の大会があり、子ども部門の「子どもやっさ」では2015年と2016年に南小学校が大賞を獲っています。子どもたちが地元の伝統芸能を学び、練習して踊る、これが牽いてはふるさとへの誇りや郷土愛にもつながると考えています。昨年は成人式に呼ばれて新成人の前でやっさ踊りを披露しました。

学校の枠に捉われない。地域で育む教育方針

校長の池田先生

――地域と協力しながら行っている取り組みなどはありますでしょうか

池田校長先生:先程のお話のなかで出てきました「南小学校地域支援本部」の取り組みの4つの柱が「Welcome・ようこそ」「Watch・見守り」「Green・みどり」「Learning・学び」で地域協働の基本となっています。最後の「Learning・学び」はクラブ活動の講師やゲストティーチャーに関してのことを指しているのですが、これは南小学校が最も積極的に行っている取り組みのひとつです。先程のお話で出ましたグラウンドゴルフを教わっていることも含めて、子どもが教わることは学校の先生からだけではないというふうに考えています。クラブ活動では、生け花、お茶、イラスト、手芸、バドミントン、ダンスなど、小学校としてはユニークなものがたくさんありますが、それらは外部から先生をお招きして子どもたちに教えていただいています。

また一芸に秀でたゲストをお招きして、例えば紙飛行機の日本一の方をゲストとして来ていただいたこともあるのですが、継続的なものとスポット的なものと両方を取り入れて、学校以外の方からの学びの場を多く持つように心がけています。こういったことは、子どもたちにより多くの知識を得られるようにするためでもありますが、地域と共に、またそれをサポートしてくれる人との繋がりで実現できているんだよ、ということを教えるためでもあるのです。

4階建ての体育館

校長先生に教えてね! 校外活動も積極的に評価します!

――校長室にも廊下にもたくさんの校長先生と子どもたちの写真が貼られていますが、これはなんでしょうか?

池田校長先生:これは「ようこそ校長室へ」というものです。学校の中でがんばっていることなら校長先生は知っているよ。でも学校の外で、例えば放課後や休みの日に学校以外で習っていることや活動していることは分からないよ。だから、がんばって大会で優勝したよ、コンクールで賞状をもらったよ…と誉めてもらうことがあったら、校長先生に報告に来てね。そして、よくがんばったね!と評価してあげようというシステムなんです。これも学ぶのは学校だけでないということを積極的に発信して、同時に評価もしてあげようという取り組みです。

校長先生と子どもたちの写真

――三原の街の魅力や、子育て環境についてお教えください

池田校長先生:私立の幼稚園が多く、それぞれ特徴のある教育方針を持っておられますので、もともと教育熱心な保護者の方たちが多いのかなという印象です。また広島県は小学校の学力レベルが全国平均以上で常に上位に入ります。その広島県の中において南小学校は、特に国語や算数においては、広島県の平均値より学力が高いのです。

そうした事情と教育環境や力を伸ばせる豊富な経験ができるという理由で、全校児童の一割は校区外から南小学校に通わせたいと来る子どもたちなのです。そういう意味で南小学校は選ばれる学校といえます。また本校の子どもたちの多くが通うことになる「第三中学校」も昨年校舎が新築されていますので、このエリアの子どもたちは良い環境で教育を受けられるということになりますね。

学校の周りに広がる三原の街

――南小学校の子どもたちの中学受験に関してはどうでしょうか

池田校長先生:中学受験をするということは、自分の夢や希望に向けて挑戦することでもあり、ひとつの選択肢として素晴らしいことだと考えております。そういうなかで、中学校から寄せられる情報は本校からも子どもたち、保護者の方々にも積極的に発信しております。

三原市内にも「如水館」という中高一貫校があり、「広島大学附属」の中学校もあります。福山方面にも私立中学校が多く、尾道方面には「尾道中学」、東広島に行くと「県立中学校」や「近畿大学」の中学校・高校もあります。ここは駅が近く交通の便がいいので、私立を目指す人にとっては、実はとってもいい場所なんですよ。それぞれの学校は学業以外でもラグビー・演劇・チアリーディングなどが盛んといった特色がありますし、空手がやりたいということで本校から近大の附属中学に進んだ子どももいます。

屋上のプール

――三原に住むことを考えておられる方にメッセージをお願いします

池田校長先生:自然の環境、衣食住という住む環境においても充実して、気候も「晴れの国」といわれる岡山県にも負けない良い環境です。温暖な瀬戸内気候の過ごしやすさというものが、よく感じられる土地柄です。教育施設も充実している三原市で元気いっぱい子どもたちを育て、街を盛り上げていきましょう。

子どもと語らう校長先生

三原市立南小学校

三原市立南小学校

校長 池田彰夫 先生
所在地:広島県三原市円一町2-7-2
電話番号:0848-63-3181
URL:http://www.city.mihara.hiroshima.jp/site/es-minami/
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

街の防災拠点にもなる、充実の設備が整った小学校「三原市立南小学校」
所在地:広島県三原市円一町2-7-2 
電話番号:0848-63-3181
http://www.city.mihara.hiroshima.jp/site..

地域との結びつきが子どもたちの健やかな成長を促す/練馬区立泉新小学校 米田典子校長先生

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目白通りのすぐ南に立地する「練馬区立泉新小学校」は、児童約550名が通う公立小学校だ。地域住民の熱望によって設立されたとういう学校の名前には、「学びの泉を耕し育み、日々感動を新たにする」との願いが込められている。確かな学力の定着に力を入れる一方、多彩な音楽活動や地域資源を活用した課外学習など、泉新小ならではの取り組みも活発。子どもたちは生き生きとした学校生活を送っている。着任から4年目を迎えられた米田校長先生に、特色ある教育活動や地域とのつながりについてお話を伺った。

練馬区立泉新小学校

合唱から和太鼓まで多彩な音楽を楽しむ

――まずは学校の沿革や特色を教えてください。

「練馬区立泉新小学校」は1969(昭和44)年に開校し、今年度創立48周年を迎えました。住宅街に囲まれた落ち着いた環境の中にあり、子どもたちはのびのびと育っています。本校一番の特徴は地域とのつながりがとても深いことです。地域ボランティアが、子どもたちのためにいろいろなイベントを企画してくれる青少年育成地区委員会での活動をはじめ、歴代のPTA役員の方々が今も子どもたちとさまざまな形で関わってくれています。

――独自のカリキュラム、力を入れている取り組みはございますか?

算数は習熟度別に少人数指導を行っています。3年生以上は加配の先生を入れて3学級を4グループあるいは5グループに分け、2年生も東京都の教員派遣制度を利用して3学級を4展開で行っています。学力の伸びは学年によって違いますが、こうしたきめ細かい指導によって、少しずつ算数好きが増えてきたなという実感があります。
国語は練馬区の教育課題研究指定校として、子どもたちが自ら表現できる力を身につけさせたいと、校内研究に力を入れています。表現するには論理的な思考力を高めていくことが必要なので今は説明文をテーマに研究に取り組んでいます。

算数少人数教室

音楽活動もとても盛んです。本校は器楽が好きな子が多いのですが、運動会では4年生以上を対象に鼓笛隊を募集し、入場の時のファンファーレなどは子どもたちが演奏をしてくれます。合奏や合唱もふだんから熱心で、3月の「大泉青少年音楽祭」には、毎年有志の子どもたち約40人が合唱で出演しています。地域には「せんば太鼓」という和太鼓の保存会があって、本校の子どもたちがそこで太鼓を習っています。運動会では地域の活動を取り入れ、その子たちにパフォーマンスを披露してもらっています。

――近隣の「光和小学校」「橋戸小学校」「三原台中学校」との小中連携、小中一貫教育ではどのような取り組みを実施していますか?

本校と橋戸小の子どもたちが、三原中で理科の実験や社会科の体験授業を受けています。3小学校合同では、小学校のうちから家で自主的に勉強をする習慣をつけさせたいと、昨年度から家庭学習への取り組みを始めました。また、3小学校と1中学校の教員が、お互いの授業を見合うこともしています。
距離が近いため、本校と「三原台中学校」とで行う活動もあります。英語の先生による外国語活動の授業、6年生の部活動体験、あいさつ運動などです。昨年は、三原台中の合唱コンクールがすばらしいので、先ほどの音楽祭参加に向けて歌声を聴かせてほしいとお願いしたところ、有志の生徒100名が来て子どもたちの前で合唱してくれました。合唱やあいさつ運動では、生徒会の代表が子どもたちへの応援コメントを放送してくれますが、これから進む中学の生徒さんが話すのを聞くと、6年生の子たちは意識が変わります。褒められるのが嬉しいし、堂々とした話しぶりに刺激を受けるようです。

教室の様子

――オリンピック・パラリンピック教育にも取り組んでいらっしゃるそうですね。

特に力を入れているのが、アスリートと一緒に体を動かす体験交流です。昨年は北京オリンピックソフトボール金メダリストの三科真澄さんをお招きし、4年生と6年生が1クラスずつティーボールの実技指導をしてもらい、給食の時間には金メダルをつけた三科さんが全学年を回ってくれました。おそらく4、6年生は、全員がオリンピアンに触れることができたんじゃないでしょうか。その次の機会には、ブラインドサッカー日本代表の加藤健人さんに来ていただき、体育館で体験活動をしました。今年もいろいろな企画を考えています。

北京オリンピックソフトボール金メダリストにいただいた色紙

地域の魅力を子どもたちが発見、発信!

――総合的な学習の時間では、さまざまな課外活動に取り組んでいると伺いました。

三原台・大泉地区のよさを見つけて広めていくプロジェクトに取り組んでいます。5年生の後半から始めて、6年1組は大泉を源流とする白子川、2組は銭湯、3組はアニメをテーマにしています。1組の白子川プロジェクトは、川の保全活動をしている「白子川源流・水辺の会」の代表の方にゲストティーチャーとして協力していただき、廃材で作ったベンチを設置するなど、子どもたちのアイデアが実現する形でどんどんプロジェクトが進行しています。ほかの学年の子たちにも白子川のことを知ってもらいたいと、近々体育館で発表会も開こうと張りきっています。私もこれほど頑張るとは思っていなかったぐらい、みんな生き生きとやっています。

総合学習で取り組んでいる白子川のプロジェクト資料

6年1組の子どもたちが白子川プロジェクトについて紹介してくれました!

●学校周辺を探検しに行ったら、白子川テラスを見つけて、みんな「川に入りたいな」と思ったのがプロジェクトのきっかけです。「白子川源流・水辺の会」の人と実際に川に入ってみたら、意外にエビやザリガニがたくさんいてびっくり。そこから、この川をきれいにしていきたいと思いました。

●プロジェクト実践では、ゴミ拾いや生態調査、草むしり、ベンチ作りなどをしました。みんなで協力してやったのできれいになったし、「自然を守ることにつながり、やりがいを感じた」などの感想が出ました。地域の人からも、「こんなにきれいにしてくれてありがとう」など、嬉しい言葉をいただきました。

●手作りしたベンチを白子川へ置きに行き、地域の人に座ってもらいました。本当にテラスの上に置けてうれしかったです。白子川を紹介するパンフレットも作って、お店やマンションに置いてもらえるよう交渉に行きました。いろいろなお店が置かせてくれ、あるマンションでは400枚も置いてくれることになって、作ってよかったと思いました。

●白子川をより美しくしていくために、「泉新 WE LOVE 白子川の会」も作りました。毎週第3土・日曜に、ゴミ拾いや川のリフォーム、イベントなどをやっていくので、たくさんの人が来てくれるとうれしいです!

地域ぐるみで子どもたちを育んでいく街

――地域との交流や、保護者との連携体制についてお聞かせください。

元PTA役員など地域ボランティアによる「学校応援団」があり、子どもたちが放課後夕方5時まで学校で過ごせるように見守りをしてくれています。毎年秋には地域の諸団体が子どもたちに活動体験をさせてくれる「産土まつり」があるんですが、そのまとめ役も学校応援団です。「産土」は故郷という意味で、何代か前の校長先生が考えられた、大切な学校行事。ゲートボール、竹馬、サッカーのキックボード、野球のストラックアウトなど、いろいろな体験ができます。PTAのみなさんも、産土祭りには必ずブースを出してくれますし、学校公開の見回りや登下校時のパトロールなど、安全対策では特に協力をしてくださっています。

――校長先生が思う、三原台・石神井地域の子育て環境の魅力とはどのようなところでしょうか?

やはり、地域と保護者の結びつきがしっかりしていることです。地域の方たちが自分のお子さんが大きくなられてからも、自分の子どもと同じように泉新の子どもたちを大事にしてくれ、いろいろな場面で関わってくださる。昔からこの地域に住んでいる方たちがみなさん地域を大事にされていて、その中に学校があり、学校を大事にすることは地域の子どもを大事にすることにつながる。学校にも、地域にもいい作用があるなと思います。最近は新しい住民の方も増えてきましたが、歴代の住民の方たちと新しく来られたご家庭が関係づくりをして、学校のため、地域の子どもたちのためにボランティアで頑張ってくださる地域だと思います。

びくに公園

緑もあるし、子どもたちは公園が大好きです。三原台中のすぐそばにある公園ではたくさんの子が遊んでいます。自転車を使えば駅からも近いので、そういう面でも暮らしやすい環境だと思います。

練馬区立泉新小学校 米田典子校長先生

練馬区立泉新小学校

校長:米田典子 先生
所在地:東京都練馬区三原台3-18-30
TEL:03-3925-4343
URL:http://www.senshin-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2017(平成29)年7月時点のものです。

地域との結びつきが子どもたちの健やかな成長を促す/練馬区立泉新小学校 米田典子校長先生
所在地:東京都練馬区三原台3-18-30 
電話番号:03-3925-4343
http://www.senshin-e.nerima-tky.ed.jp/

歴史的建造物を活かし、多彩なイベントを開催。/守山市歴史文化まちづくり館「うの家」岸口明子さん

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中山道守山宿の新たなランドマークとして、平成24(2012)年1月にオープンした守山市歴史文化まちづくり館「うの家」。第75代内閣総理大臣、宇野宗佑氏の生家として知られており、現在はギャラリー・カフェ・レストランなどが入る地域住民の憩いの場となっています。今回、「うの家」の指定管理業務を行っている株式会社みらいもりやま21の岸口明子さんに、当施設の概要や利用状況などをお伺いしました。

▲守山市歴史文化まちづくり館「うの家」の外観

ーーまずは「うの家」の歴史について教えてください。

岸口さん:1677(延宝5)年の守山宿町絵図に宇野家の先祖である「長兵衛」の名前があり、宇野本家がこの地で「町年寄り」を務め、家業として宿場に馬や人足(労働力)を提供する事業を展開していたことが分かっています。明治初期に入ると家業が造り酒屋に変わり、それに応じて母屋や店舗、酒蔵が改築されました。1922(大正11)年には、のちに内閣総理大臣となる宇野宗佑さんがこの地で誕生。その後も造り酒屋として続きますが、2009(平成21)年に廃業し、2010(平成22)年に守山市が当建造物を譲り受け、2012(平成24)年に、守山市歴史文化まちづくり館「うの家」として改装オープンしました。宇野宗佑さんがお住まいの頃よりは3分の1に縮小されましたが、構造や梁(はり)、蔵など当時の風情が残る空間を市民交流の場として活用しています。

▲おくどさんや井戸、ジオラマなどの歴史的資料を展示するスペース

ーー施設の概要を教えてください。

岸口さん:約380坪(約1,150平方メートル)の敷地内には、江戸時代の中山道を再現したジオラマや宇野宗佑さんの所有物など、宇野家にまつわる展示を行っているスペースのほか、人間国宝である友禅作家の森口華弘(もりぐちかこう)さんの作品を常設している「文庫蔵」、暖炉跡や壁紙など品格のある装飾がなされた「応接室」、宇野宗佑さんがデザインしたふすまが残されている「和室」、かつて酒蔵や漬物蔵として使用され、現在はギャラリーとして使用している「東蔵」、広い土間空間を利用して、会議や上映会など様々な催し物を行っている「南蔵」、マルシェなどの大型イベントもできる「南庭」など、多種多様な交流スペースがあります。また、上質な近江牛を味わえる「咲蔵」や、スイーツの名店「merci」が新たに手がける「cafe de BOKU」(2019(平成31)年3月22日オープン予定)といったレストラン・カフェも併設しています。

▲	丸窓やふすまなど、創建当時の風情を残す和室

ーー様々なイベントが行われているそうですね。その内容についてぜひ具体的に教えてください。

岸口さん:イベントとしては、当館が主催となり開催するイベントの他に、別団体がスペースをレンタルして開催するイベントの2つがあります。 当館主催のもので人気があるのは、滋賀県野洲の糀屋吉右衛門(こうじやきちうえもん)さんによる「手作り味噌作り講座」や滋賀県産のそば粉を使用した「そば打ち体験」などの体験型イベントです。特にシニア世代の方には、自分で作ったものを後で食べられたり、作ったものを持ち帰ったりできるものが喜ばれる傾向があります。 ファミリー向けイベントとしては、けん玉、こま回し、紙飛行機などの昔の遊びが楽しめるイベントや、すごろくを使って中山道を探索できるイベントが人気です。

▲絵画展などのギャラリーとして利用されている東蔵

一方、別団体が行うイベントで人気があるのは、“南蔵”や“南庭”を利用して行われる「マルシェ」です。ママ向けのものから幅広い年代をターゲットにしたものませ内容はいろいろで、いつも多くの人でにぎわいます。その他に、蔵を利用したヨガ教室やママ英語サークル、和室を利用した書道教室、刺繍教室、お茶教室、着物の着付け教室など、各スペースで様々な教室が開かれています。和室、東蔵はそれぞれ3時間300円から、南蔵(1階)は3時間900円から利用でき、「教室を始めたい」という方が利用しやすい料金設定になっています。また、65歳以上の方の利用であればより安価で利用できるため、「友達と集まって茶話会をしたい」や「自分の趣味を展示したい」など、あらゆる場面で気軽に利用いただければと思います。

▲二階も利用可能な広いスペースを有する南蔵

ーーおすすめのイベントがあれば教えてください。

岸口さん:毎月17日、中山道守山宿一帯で行われる「中山道守山宿いいなめぐり」です。この日は東門院の「門前アート市」や守山宿の各箇所で様々なイベントが行われます。うの家でも町家空間を活かしたイベントを開催しますので、ぜひ多くの方にお越しいただきたいです。また、毎年12月23日に行われる「もりやまいち」は1418(応永25)年から続く歴史的な伝統行事で、中山道に守山市の特産物や正月用品、工芸品等の出店が軒を連ね、多くの人でにぎわいます。「うの家」ももちろん利用できますので、気軽にお立ち寄りいただければと思います。

▲歴史的建造物が点在する中山道

ーー地域交流の場としての役割について教えてください。

岸口さん:「うの家」は、近くの保育園の園児が南庭のどんぐりを拾いに来たり、小学生が授業の一環として歴史探索に立ち寄ったり、中学生が職業体験に来てくれたりと、地域の子どもたちにとって、一度は誰もが訪れたことのあるおなじみの場所として知られています。もちろん、子どもたち以外の方々にも、散歩の休憩場所として、友達との交流場所として、多くの方にご利用いただいています。これからも、「うの家」はあらゆる世代の方々にとって利用しやすい「憩いの場」であり続けたいと思っています。

ーー今後、力を入れて取り組んで行きたいことがありましたらぜひ教えてください。

岸口さん: 「うの家」はいわば、中山道守山宿のランドマークとしての存在意義があると思っています。つまり、地域の市民、商業者、事業者などと連携しながら、「うの家」に来ていただけるイベントを増やして、県内だけでなく県外からも守山に来ていただける機会を作り、守山の街の更なる活性の一助を担えればと考えています。

▲マルシェなどが開催される南庭

ーー最後に、守山の魅力やおすすめスポットについて教えてください。

岸口さん:JR「守山」駅を中心にスーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、生活に欠かせない施設が充実しており、とても素晴らしい住環境だと思います。おすすめスポットとしては、2012(平成24)年にオープンした地域交流施設「あまが池プラザ」です。当施設では、子育て世代のご家族にうれしいイベントが毎日のように開催されています。スタイルエクササイズやヨガ、フラダンスなどのママ向けの教室から「親子のつどい広場」、「知育の遊びの教室」などの親子で参加できるイベントまでとても種類が豊富です。守山エリアでは、今後も「あまが池プラザ」のような新しい施設の開発が進むようですし、まさに新旧が織りなす街「守山」として、より魅力が増して行くのだろうと、私自身とても楽しみにしています。

▲「あまが池プラザ」外観

うの家

守山市歴史文化まちづくり館「うの家」

株式会社みらいもりやま21
岸口明子さん
所在地 :滋賀県守山市守山1-10-2
電話番号:077-583-2366
URL:http://www.unoke.jp
※この情報は2018(平成30)年3月時点のものです。

歴史的建造物を活かし、多彩なイベントを開催。/守山市歴史文化まちづくり館「うの家」岸口明子さん
所在地:滋賀県守山市守山1-10-2 
電話番号:077-583-2366
開館時間:9:00~17:00(貸室のみ 9:00~22:00)
定休日:第1・第3火曜日

URL:http://www.unoke.jp/

シニアも通いやすい大学キャンパスの総合型地域スポーツクラブ/「帝京平成スポーツアカデミー」桂川保彦先生

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年齢やレベルに関わらず、誰もが身近な地域でさまざまなスポーツに親しめる場を提供しようと、全国で育成が進められてきた総合型地域スポーツクラブ。美しい街並みが広がるニュータウン、ちはら台では、健康医療スポーツ学部を擁する「帝京平成大学」が千葉キャンパスとちはら台キャンパスを拠点に「帝京平成スポーツアカデミー」を創設、総合型地域スポーツクラブの先進事例として地域のみならず全国から注目を集めているという。専門性を生かした多彩なプログラムへの参加は、健康づくりはもちろん、スポーツを通して豊かなライフスタイルを築く絶好の機会だ。創設に関わった帝京平成スポーツアカデミー運営委員長の桂川保彦先生に、大学ならではのプログラムの詳細についてお話を伺った。

帝京平成大学 ちはら台キャンパス

大学の知的財産をフル活用して地域に貢献していく

――大学を拠点に総合型地域スポーツクラブを創設された経緯についてお聞かせください

桂川さん:今日の大学にとって、「いかに社会とともに生きていくのか」ということが大きなテーマとなっています。そもそも、大学は教育・研究機関であるという観点から、地域の拠点であるべきです。そこで、大学の知的財産をフルに活用して地域に貢献していきたいと、2013(平成25)年3月に「帝京平成スポーツアカデミー(以下、THSアカデミー)」を創設しました。

住民主体の総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型)は、国によって1995(平成7)年度から育成事業が始まりました。中学校区にひとつというのが国の方針ですが、全国に約3,500、千葉県には約70あるのみというのが現状です。そんな中で、THSアカデミーは、地域の方々に大学が提供する知的財産の意義をよくご理解いただき、国・県・市のバックアップを受けています。運営面では、地域住民を代表する委員と大学側とで運営委員会を組織し、月1回クラブ運営について協議を行っていることが大きな特徴です。

お話しくださった桂川先生

――現在実施しているプログラムの数、会員数はどれぐらいですか?

桂川さん:千葉キャンパスとちはら台キャンパスを合わせ、文化講座プログラムを含めて約40種のプログラムを開催しています。レベルアップを目指す方のためのプログラムもありますが、健康増進を目的に無理なく利用できるのが特徴です。会員数はトータルで900名余り、そのうち700名弱が毎週利用されています。年齢層は幅広く、小学生が約50パーセント、60歳以上の高齢者が約30パーセントという割合です。シニア会員は、ご自分の健康を毎日管理されているような、健康意識がとても高い方が多いですね。

――会員の方はキャンパス周辺にお住いの方が多いのでしょうか?

桂川さん:ちはら台キャンパスは、千葉市緑区との境界にあるので、緑区の方とちはら台の方がどちらも来られています。車のご利用はありますが、電車を使わずに、多数の方が徒歩や自転車で来られる距離からお越しになっています。「ちはら台」駅からちはら台キャンパスまでは、「かずさの道」という緑にあふれた遊歩道を歩いて来られるので、四季折々の風情を感じながら通えます。

プログラム前の準備運動

スポーツ学専門の教員が指導、体力測定でさらなる健康増進へ

――「ラージボール卓球」の様子を拝見しましたが、みなさんが生き生きとプレーしていらっしゃる様子が印象的でした。

桂川さん:「ラージボール卓球」は、シニア対象のプログラムのひとつで、クラブ創設当初から続く人気のプログラムです。ボールが大きいため、見やすく、ラケットに当てやすいことから、全国的にシニア層に普及しています。THSアカデミーでは、ライセンスを持ち、長年卓球の指導者として活躍されてきた方に指導をお願いしているので、楽しみながら競技にも対応できるというプログラムになっています。やはり、楽しくないと、毎週続かないですから。学生時代に卓球をされていて、お勤めなどで中断していたけれど、シニアになって再開されたという方も多いようです。

通常よりも大きいピンポン球

――シニア向けには、他にどんなプログラムがありますか?

桂川さん:簡単なエクササイズやストレッチを取り入れた「エクササイズ&コンディショニングストレッチ」、身体に負担がかからない歩き方を学ぶ「シニアウォーキング」などがあります。一般向けでシニアの方にも適したプログラムとしては、ゆったりとした動きと呼吸法とともに体のコンディションを整えていく「太極拳」、自重を使って筋力を取り戻したい方向けの「かんたん筋力トレーニング教室」、幅広い年齢の女性に人気の各種ヨガ教室など、さまざま用意しています。中には、複数掛け持ちされている方もいらっしゃいます。

こうした健康増進を目標にしたプログラムが多い一方で、フルマラソンへ出場して記録を伸ばしていこうというプログラムもあります。そちらに参加される会員の中には、実際にいろいろな大会にエントリーして、フルマラソン、ハーフマラソンに挑戦されているシニアの方もいらっしゃいます。まさに、“アクティブシニア”ですね。

ラージボール卓球の様子

――大学にある総合型ならではの特徴はどんなところでしょうか?

桂川さん:いくつかのプログラムでは、大学の教員が指導し、その学科で学ぶ学生がサポートをしています。大学にとっては、学生が座学で勉強したことを実際に体験できる貴重な機会ですし、会員のみなさんにとっても、大学の専門性を生かした指導を受ける機会となります。今回のクールでは本学の理学療法学科の教授をはじめ教員、学生が、シニアプログラムに参加された会員を対象に身体測定をしています。前屈や継ぎ足歩行など、国が推奨する体力測定項目の中から10種目を測定して測定値の変化を確認し、足の痛みにはどんなリハビリがあるかといったワンポイントアドバイスまでしています。ここまでやっている総合型クラブは、なかなかないのではないでしょうか。

施設面でも、人工芝のグラウンドとテニスコート、空調を完備した体育館、全天候型走路など、ふだん学生が使用しているスポーツ施設をそのまま利用できます。空調のある体育館は珍しく、熱中症のリスクを減らすことができます。1周400メートルの全天候型走路は、雨が降っても水がたまらず凹凸がないのでケガをするリスクが少ないという利点があり、「シニアウォーキング」でお使いいただいています。千葉キャンパスの学生食堂やラウンジ、図書館なども開放しているので、プログラムに参加後、そうしたところで会員同士の交流も生まれています。

空調を完備した体育館

子どもから高齢者までがそれぞれのライフスタイルを実現できる街

――今後のクラブの展望についてお聞かせください

桂川さん:例えば体力測定など、THSアカデミーで行っていることについて、大学の教員や学生がデータをまとめて、専門領域で論文を発表していくという機会が増えていけば、総合型クラブがコミュニティの健康増進につながることに説得力が出てくると思います。国は成人が週1回30分以上の運動をすることをひとつの基準にしていますが、これぐらいの運動でも日本は実施率が45パーセントぐらいで、夫婦のどちらか一方がしているぐらいのレベルです。

ところが、市原市の調査では、THSアカデミーが開設してから運動する市民の数が確実に増えています。つまり、大学はそれだけの資産を持っているということです。しかし、大学が全面的に支援を行う総合型クラブは全国で26程度しかなく、事務所があって総合型クラブの仕事もする職員がいるクラブは私が知る限りここだけです。今後、将来の福祉の負担を減らし、また一人ひとりの健康維持のためにも、自分に適した運動を自分に適した方法で行えるような場を提供していくことが、大学の社会的使命だと思っています。

シニアも通いやすい大学キャンパスの総合型地域スポーツクラブ「帝京平成スポーツアカデミー」

――地域の拠点として、住民の方にますます活用されていくことが期待されますね

桂川さん:日本の総合型のモデルとなったドイツには、およそ8万のクラブがあり、施設の中にプールやバー、結婚式ができるようなレストランがあるなど、クラブがコミュニティの中心として機能しています。ほとんどが宿泊施設を併設していて、よその街や国と試合などで往来がある。欧米では、そうしたクラブを地域の人が自ら運営しています。それは、多種多様な人と交わり、それを受け入れる文化があるから。日本でも、年齢や性別、言葉の違いなどを問わず、誰もが受け入れられる総合型クラブができたら素晴らしいですね。

シニアウォーキングのプログラム

――最後にキャンパスがある、ちはら台周辺エリアの街の魅力、暮らしやすさについてお教えください

桂川さん:とても暮らしやすい街だと思います。その証拠に人口が増え続けていて、小中学校も増設されています。隣のおゆみ野エリアと合わせてまだまだ発展の余地があるのではないでしょうか。周辺には映画館が入った「unimoちはら台」や「イオンタウンおゆみ野」といったショッピングモールがあり、ホームセンターやスーパーマーケット、医療機関も揃っています。住環境としても、公園がたくさんあり、遊歩道や運動広場があって、都市計画に沿って作られた街らしく、ゾーニングがきちんとされている。落ち着いた街でありながら、ほどよい活気があります。幼児から高齢者までが、それぞれの年代に応じて、自分に合ったライフスタイルを実現できる街だと思います。

シニアウォーキングのプログラム

桂川 保彦 先生

帝京平成大学 健康医療スポーツ学部医療スポーツ学科 客員教授
帝京平成スポーツアカデミー 運営委員長
http://www.thsa.jp/
※この情報は2017(平成29)年11月時点のものです。

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