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地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市/川越市都市計画部都市計画課 副課長 小林武さん 都市計画担当 関河将也さん

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蔵の街として有名な川越市。この街には歴史的な街並み以外にも買い物や交通アクセスの利便性が高いなど多くの魅力があり、住まいの場としても人気だ。川越市都市計画部都市計画課副課長の小林武さんと都市計画担当の関河将也さんに川越市のまちづくりと街の魅力についてお話を伺った。

川越の街並み

 地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市

川越市の都市計画図

――都市計画課ではどのような仕事をされているのでしょうか。

小林さん:その名の通り、都市計画=まちづくりの将来ビジョンを作成し、川越のまちの魅力を高め、安全で快適なまちづくりを進めることが一番の業務です。具体的には、まちの課題を抽出し、それに対するまちづくりの方向性や目標を定めるとともに地区ごとに土地利用の方針や道路、公園等の整備方針などを定めていきます。その作成過程では、住民の方々との意見交換も十分に行います。また、市民の皆様や民間事業者の開発計画、建築計画の際にその地区のまちづくりビジョンや都市計画として位置付けられた道路計画、用途地域などの土地利用の制限を情報提供することも課の業務です。

住民と行政が協働で蔵の街を保全

小林さん:川越市には有名な蔵の街があります。ここは明治時代の蔵造りの建物が並んでいますが、この建物を解体し、道路を拡張する計画がありました。しかし、地元の方々から「貴重な街並みを残したい」という意向があり、都市計画を見直して道路拡張計画を廃止しました。それと同時に、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定し、蔵造りの建物を保全することになったのです。

蔵の街の方々のまちづくりに対する熱意は、市へのさまざまな提案の原動力となったようです。例えば、蔵の街では電線の地中化をしています。通常は変圧器を歩道に設置します。ところが、蔵の街では歩道にスペースを確保できなかったため、対策として民地に変圧器を置くことまで提案されました。 こうした蔵の街での取り組みが、川越市で住民と行政が協働でまちづくりを行った先行事例となりました。

地区まちづくり推進条例の概要

――蔵の街での事例は川越市のまちづくりにどのような影響が与えたのでしょうか。

小林さん:川越市では2012(平成24)年に地区まちづくり推進条例が制定され、地区の特性を活かしたまちづくりを推進しています。これは地域の方々が主体となって、商店街の活性化や住環境の保全といった地域のまちづくりの方針を考えていただき、市と一緒にルールとして決めていくという取り組みです。 また、川越市では都市計画法による地区計画が14地区で指定され、建物の高さ制限や壁面後退などのルールを定めています。これも市民と行政が協働でまちづくりのルールを作る手法の一つです。

――「都市計画マスタープラン」も市民との協働で作られたそうですね。

小林さん:現在の川越市の「都市計画マスタープラン」は2004(平成12)年に策定され、計画完了を市制100周年を迎える2022(平成34)年を目標としています。 この「都市計画マスタープラン」も市民の皆さんとワークショップを何回も行い、地域の魅力や課題を一緒に研究し、作り上げました。ですから、「都市計画マスタープラン」は「こんな街にしたい!」という市民の声そのものであるのです。

 

2020年東京オリンピック開催を目指して、より魅力的な街へ

――川越市では現在どのようなまちづくりが行われているのでしょうか。

小林さん:川越市は市域の約3割が都市計画法上の市街化区域、残りが市街化調整区域です。は郊外に大型の商業施設が立地した影響で中心市街地が衰退してしまったというような問題がありますが、川越市ではそのような商業施設の進出はなく、今も中心市街地には賑わいがあります。川越市では、こうした中心市街地の機能を維持することが市民の暮らしやすさにつながると考えています。

2016(平成28)年2月に「本川越」駅の西口が誕生

小林さん:中心市街地整備は積極的に進めており、「川越」駅西口のベデストリアンデッキや再開発ビル「ウエスタ」が完成しています。「本川越」駅の西口も誕生し、「川越市」駅との乗り換え時間が短縮されるなどの効果ができました。 また、中心市街地を保管する拠点として、「新河岸」駅、「南古谷」駅、「霞が関」駅、「南大塚」駅の4駅周辺を拠点核に位置付け、商業施設や医療機関、公共施設などの立地を維持または誘導したいと考えています。

――具体的に進んでいる事業はありますか。

小林さん:「新河岸」駅では駅舎の橋上化を進めており、2018(平成30)年度完成予定です。駅前広場の整備も行っていますし、地区計画のルールができましたから、今後はさらに便利で快適なまちになると期待しています。

「本川越」駅北側の道路拡張工事

中心市街地の交通集中の緩和という点では、北環状線の今成二丁目交差点から今成交差点の区間が2018(平成30)年度に完成する予定です。「本川越」駅から連雀町交差点の拡幅と電線地中化も2018(平成30)年度に完成することになっています。 2020(平成32)年「東京オリンピック」では川越市でゴルフ競技が行われることになりました。これに合わせて川越をより魅力的な街にしようと市役所全体で努力しています。

蔵の街周辺では小道を石畳に整備

――観光の魅力をアップさせる取り組みはされているのでしょうか。

小林さん:かつて、蔵の街は閑散としていたのですが、おかげさまで、今では多くの観光客に来ていただけるようになりました。 この蔵の街では大通りから周辺に伸びる道路を「歴史的地区環境整備街路事業」として街並みに調和した石畳にしました。その結果、こうした道路のある場所にも観光客が訪れるようになり、カフェや雑貨のお店が新たに開店するなど、観光の幅が広がりました。

大正時代の街並みを再現した「大正浪漫夢通り」

――大正をテーマとした街も誕生したそうですね。

小林さん:蔵の街の南側にある「銀座通り商店街」では町屋造りや看板建築の建物が見られるようにアーケードを撤去し、電線を地中化しました。ここも今では多くの観光客が行き来するようになり、商店街の名前も「大正浪漫夢通り」と変わりました。

まもなく昭和の街も誕生する

小林さん:さらに連雀町交差点の北側から蔵の街の間は、商店会の方を中心に「昭和の街」としてまちづくりを進めていくことになっています。ここは「本川越」駅の開通に合わせて新しく開通した道路で、昭和初期の建物が多く残っています。こうした建物を残し、無電柱化を推進して魅力を高め、地中化することで、川越は蔵の街の”明治”、「大正浪漫夢通り」の”大正”、そして「昭和の街」の”昭和”と3つの時代を体験できることになります。

 

都市から田園まであらゆる魅力を併せ持つ川越市

中心市街地の商店街

――川越の街の魅力を教えてください。

小林さん:川越にはいろいろな顔があります。歴史的な街並みはもちろん、中心市街地には賑やかな商店街があり都会的な雰囲気が漂います。周辺には田んぼや畑などののどかな風景が広がっていますし、雑木林も残っています。 これは暮らしの魅力となりますし、子育てファミリーの方にはさまざまな体験ができるという魅力にもなるでしょう。子育てという点では、川越市内には人気の高い学校がありますし、交通が便利で東京都心方面の学校にも簡単に通えます。 川越市にはあらゆる世代の方が快適に暮らせる街という魅力があります。

地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市

川越市都市計画部都市計画課

副課長 小林 武 さん 都市計画担当 関河 将也 さん
所在地 :埼玉県川越市元町1-3-1
TEL :049-224-8811
URL:https://www.city.kawagoe.saitama.jp
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

地域と行政が協働でまちづくりを進めてきた川越市/川越市都市計画部都市計画課 副課長 小林武さん 都市計画担当 関河将也さん
所在地:埼玉県川越市元町1-3-1 
電話番号:049-224-8811(代表)
開庁時間:8:30~17:15(第2・4土曜日8:30~12:00)
閉館日:土・日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shise..


“西高生”としての誇りが伝統を培う学校/東京都立西高等学校 校長 宮本久也先生

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久我山の閑静な住宅街の中にある「東京都立西高等学校」は、金田一秀穂氏や鎌田實氏など多くの学識者や著名人を輩出し続ける名門高校。とかくその華々しい進学成績を語られることの多い“西高”だが、その根底を支えていたのは日々の質の高い授業と先輩から引き継いできた伝統と誇り。“器の大きな人材”の育成を目指し、日々真剣勝負の教育活動を行う宮本校長先生にお話しを伺った。

育てたいのは「器の大きな人材」

東京都立西高等学校

――まず学校の概要について教えてください。

宮本校長:本校は1937(昭和12)年に創立された「東京府立第十中学校」を母体とする都立高校で、今年創立79年目を迎えます。現在は3学年24学級、全校生徒968名、職員69名で運営しており、卒業生の総数は28,000人を超える伝統ある学校です。

「文武二道」「自主自立」を教育理念とし、国際社会で活躍できるような“器の大きな人材”の育成を目指して、毎日の教育活動を行っています。

――“器の大きな人材”とは、どのような人物像なのでしょうか?

宮本校長:私たちが育てたいのは国際社会で活躍できる人材、日々変化し進化する世界に対応できる度量のある人間です。社会の変化は激しく、知識・技量・価値観すべてにおいて求められる能力も変わっていきます。その変化を取り入れ、自分のものとするには“大きな器”を持つしかない。キャパシティの大きい器をつくるには、本校でしかできない体験を多くし、質の高い授業で知識力を高め、視野を広げることが必要です。

「東京都立西高等学校」 宮本久也校長先生

しかしそれでも充分とは言えません。大きな器を支える厚い底は、“人から信頼される人間性”。知識だけの薄っぺらな人間では、底に穴の開いたバケツと同じです。人との交わりを多く持ち、人間的な幅を広げてしっかりとした底をつくることで、初めて大きな器に入った知識や能力を生かすことができます。多くの人との交わりの中から真のリーダーシップが生まれ、他を思いやる心やコミュニケーション能力が養われると考えています。

――生徒たちの器を大きくするために、具体的にはどんな教育活動をされていますか?

宮本校長:本校ではウィークデーの3日を7時間授業とし、その代わり土曜授業は行わないので、土曜日は自分の器を大きく育てるための活動をしてもらいたいと考えています。部活を頑張る生徒や、自分の好きなことに時間を割く生徒など様々ですが、学校としては土曜特別講座という、授業とはあまり関連しない大学の授業のような教養講座を開いて見聞を広めてもらおうと考えています。内容自体は先生にお任せしているので実に多岐に渡りますが、例えば「精神分析学に学ぶ」「シェイクスピアを読む」など一見受験には関係ないような、でも興味があれば非常に楽しい講座を学年問わず自由に受けることができるので、毎回100名以上の生徒が参加しています。

また年に4回、生徒と保護者を対象に西高の卒業生による訪問講義を開いています。例えば、「科学警察研究所」の研究室に勤務する今泉さんからは「犯罪捜査における個人識別の方法」、「NHK」アナウンス室の兼清さんからは報道全般に関するお話など、広い分野の卒業生に声をかけ、自分の西高時代の話も絡めながら楽しく話をしてもらっています。

校舎の様子

それとは別に、西高出身者以外の方の話も聞いてみようと、今年は青色発光ダイオード開発者の中村修二氏にも講義もお願いしました。とにかく西高の生徒は素直で吸収力が高いので、「これを聞かせたい」「次はこっちを教えてみよう」と我々教師たちも刺激され、前のめりに色々と講座などを企画してしまいますね

文も武も極める「文武二道」の精神

――貴校の教育理念の柱、「文武二道」は文武両道とは違うのでしょうか?

宮本校長:「文武両道」は、勉強と運動を“両立させる”という意味で使われますが、本校の「文武二道」は両立だけでは満足せず、文と武のそれぞれの道を“極めよ”という意味です。「文」はもちろん教養や知識も含めた世界各国の文化的背景など、幅広く興味を持って学ぶこと全体を指しています。「武」は高校生ですとどうしても部活動に限られてしまいがちなので、学校内だけの活動に留まらず、課外授業や外部チームとの交流試合などで経験を広げられるようにしています。

課外活動にも熱が入っている

「文武二道」とひと言で言っても、これはこれで実に欲張りな話で、子どもに多くを求める学校なのかもしれません。しかし、少なくとも西高の生徒たちはこれを実行し、やり遂げています。要はマネジメント能力の問題であって、大学生・社会人になれば一つのことに集中していればいいなんていう楽な環境はありません。いくつもの案件を同時進行させながら、上手にバランスを取る練習をしているのと同じです。

上級生や先生方が1年生に「早く西高生になろうね」とよく声をかけるのは、勉強にも部活にも手を抜かない西高生としては当たり前の姿を指しているのですが、入学したての新入生からすると実に大変なことのようですね。でも子どもたちは、文武二道を体現する先輩たちを見、共に頑張る同級生たちとお互い励まし合って、試行錯誤しながら少しずつ「西高生」へと成長していきます。

中庭

――“授業で勝負”というのも西高らしい合言葉ですね。

宮本校長:とにかく西高は部活や課外活動が盛んなので、生徒たちが忙しくて時間がない。ならば質の高い授業を行い、集中力を高めて、授業内ですべて解決すればいいという考え方です。授業は知識を教えるだけでなく、先生と生徒、生徒同士の意見の交換が活発になるような“考えさせる授業”を心がけています。

私が赴任当初に一番驚いたのは、授業終了時に教師の周囲に多くの質問する生徒たちが集まることでした。しかも「先生の推奨する解き方とは違うこの解き方ではどうか?」など、高レベルな質問も多く、時には教師たちが持ち帰って答えを用意することもあるくらい。教師たちは質問タイムが長くて職員室に帰る時間がないので、次の授業の道具を持ち歩くという姿もよく見られます。

――まさに真剣勝負の授業という印象を受けます。

宮本校長:教師にとっては毎日試されるような厳しい職場ではあります。毎日の授業もクオリティの高さを求められますし、鋭い質問も多い。職員室でも教科担任の自分の前を素通りして別の先生に質問に行かれてしまうこともある訳ですから。でも私は、こんなに「教えてほしい!」と熱望している生徒が多いのは、教師にとってこれ以上の幸せはないと思います。本校の先生は、ベテランの先生であっても次々と新しいことに取り組んでいますし、赴任当初は思い通りの授業ができなかった先生も自ら考えて勉強し、もがき苦しみながら改善して、生徒たちの信頼を勝ち得る先生も多い。生徒たちもよく授業を聞いているので、先生側の努力もよく理解し敏感に感じ取って、正当に評価します。授業を通じて生徒と真剣に勝負ができる環境は、教師として力をつけるためにも最高の環境だと思います。

校舎内の様子

綿々と受け継がれる先輩たちからの“伝統”という名のバトン

――卒業生との関わりが深いともお聞きしました。

宮本校長:こんな風に卒業生がよく訪れる学校が他にあるだろうか、と思うほど日常的に卒業生が学校にいますね(笑)。部活のコーチや進路指導のチューター、教育実習生や外部講師として大学進学した先輩たちが身近にウロウロしています。特に進路指導のチューターは、部活も勉強も頑張っていたメンバーを中心に、昨年進学した卒業生が毎日日替わりで進路指導室に待機して3年生の指導にあたります。先輩たちの指導は実にリアルで多岐に渡り、「部活と勉強のバランス」「時間の有効な使い方」といった正統派のアドバイスから、「この教科はどの先生に聞くのが早い」などの裏ワザ系の知識まで、実に様々です。

駒場キャンパスから近いこともあって「東京大学」の学生が週に3名ほど来てくれていますが、高校生からしたら「部活も行事も頑張りながら現役で国立トップ大学に入学する」という今現在の自分と比べたら宇宙人のような人物が、実際に目の前にいて「俺(私)も授業中眠くて困った」なんて話をしてくれる。すると宇宙人の存在を一足飛びに身近に感じられて、“もしかしたら自分もできるかも”“いけるんじゃないか?”という錯覚を起こす(笑)。このプラスの錯覚こそが非常に大事で、人間の“やればできる”という気持ちを引き出すんですね。

また卒業生からすると、学校から声をかけてもらえるのも後輩たちの模範や目標として認められたということですから、嬉しいことのようです。自分が目標としてきた先輩に、今自分がなっている。そうやって綿々と先輩から後輩へ、バトンが受け継がれて現在の西高があるのだと思います。

――校則がないというのは本当なのでしょうか?

宮本校長:一応、「上履きをはこう」という校則はひとつだけあります。以前は「授業中に麻雀と花札は禁止」という校則もあったのですが、最近はそういう生徒もいないので(笑)。生徒たちは、服装も髪型も髪の毛の色も自由です。スマホも禁止はしていませんが、授業中に触る生徒もいない。それはそうですよね、自分に不利になるだけですから。

生徒たちのなかに強くあるのは「西高生として恥ずかしくない」という、先輩たちから受け継いだ伝統というバトンです。私が生徒たちによく話すのは、そういった西高の雰囲気、つまり校則がなくても個々に誇りを持って恥ずかしくない行動をするのは、28,000人を超える先輩方が脈々と守ってきたものだということ。これを君たちが「べからず」的な校則がなければ自分を律することができないような学校にするなよと、それだけは口がすっぱくなるほど伝えているつもりです。

緑豊かな中庭

――進路指導重点校に指定されたということですが。

宮本校長:はい。東京都教育委員会から指定を受けていますが、創立以来変わらない自由で大らかな雰囲気のなか、優れた実績を残してきました。本校では「東大に何人入れよう」「国公立医学系に○○人目標」といった目標数値は一切設定していません。あえて言うなら、「生徒に合う進路先に入れる」ということでしょうか。実は今年(2016年)の3月、現役・現浪人併せて3名が「東京芸術大学」に入学しました。また「京都大学」へは15名、「北海道大学」も12名と、とにかく日本全国各地、様々な分野へと子どもたちが巣立っています。名古屋以東で、「京都大学」に進む人数は本校が一番多いと聞いたことがありますが、生徒が自分に合うと思ったところへ進学させることが進路指導の基本と考え、彼らの背中を精一杯押して具体的にアドバイスをしています。

私が考える、この学校の一番の美点は「誰ひとり他人の足を引っぱらない」ところ。内申点を上げて推薦を取ろうと考える生徒もいませんし、何より“やりたいこと”や“目標”のベクトルが各自バラバラすぎて足の引っぱりようがないんでしょうね。ひがみ合い、人を羨むのは、同じベクトルの人間に対してでしょう? 学校が「1人でも多く東大に行け」となったら東大という同じ目標を持つ生徒たちの間で無意味な競争や足の引っぱり合いが生まれます。教師たちも「どこかに居場所があればいい」と考えて彼らの生活を見守っていますので、西高の生徒たちは見事なまでに頑張りどころが各自バラバラ。自分の得意とする場所でそれぞれが力を出し、それぞれの進路へと進んでいく。これは理想的な形だと私は思っています。

部活動や課外活動、行事にも手を抜かない西高生としての姿

――部活動が盛んで40以上の活動が現在あるそうですね?

宮本校長:運動部を中心に、週5~6日の練習は当たり前で頑張っています。2名以上集まればサークルが自由につくれることと、先生方は顧問を頼まれたら断らないのが基本なので、今は40以上の団体になったようですね。文化部を中心に兼部をしている生徒が多いので、現在の部活入部率は141%です。

アメリカンフットボール部の活動の様子

アメリカンフットボール部は昨年の関東大会ベスト8、男子硬式テニス部は都立対抗大会で優勝、女子硬式テニス部も同大会で3位、吹奏楽部も東京都高等学校吹奏楽コンクールで金賞を受賞するなど、その頑張りが結果につながっています。

――海外交流事業としてアメリカ研修も実施されていますね?

宮本校長:これも“器の大きな人材の育成”の取り組みのひとつで、国際社会で活躍できる大きな器を目指して2014(平成26)年から新たにはじめたプログラムです。毎年100名近くの希望者があり、論文や面接の選考を経て、男子20名、女子20名の合計40名に参加資格が与えられます。

海外交流事業のアメリカ研修

10日間のボストンでの研修ですが、事前研修もしっかりと行い、2・3日目は「ハーバード大学」や「MIT(マサチューセッツ工科大学)」での模擬授業や実験を体験し、現地の高校での授業など、朝早くから夜遅くまで文字通りみっちりと勉強してきます。

西高の生徒たちは観光旅行のような研修では絶対に満足しないだろうと考え、他にはない現地の教育機関に入り込んだ研修内容を毎年考えています。でも参加する生徒たちの熱心さや鋭さに、現地の先生方やスタッフが非常に好意的に受け入れてくださり、「来年もまた」と言ってくれます。これもまたよき風習のバトンだと思いますので、研修に参加する生徒たちには「君たちでこの研修が終わらないように、心して授業を受けるように」と伝えています。

――保護者の方々のお話も聞かせてください。

宮本校長:保護者会の出席率はほぼ100%で、学校や教育への感心は高いと思います。ただ意外に思われるかもしれませんが、「受験のこと」「テストの点数のこと」はあまりお話されませんね。それよりも、エネルギッシュな保護者の方々が多く、保護者自身が高校生活を楽しんでいらっしゃる感じさえします。年3回広報担当のPTAが発行している広報紙も、フルカラーで情報量が多くて初めて見たときは非常に驚きました。

PTAが制作する広報誌「ひと粒の麦」

年に2回、私を含めた「先生方と保護者が語る会」と称して交流の機会を設けていまして、保護者10名程度のテーブルに先生が1人ついて話をし、時間になると先生が移動する、という形でたっぷり語り合います。この保護者のグループも先輩保護者と新入学保護者が同じテーブルにつくように組み分けされていて、学校の話も先輩保護者から聞けるような仕組みになっています。

学校と保護者、学校と地域など問題が起こる場合というのは、相互不信が根底にある場合がほとんどです。学校運営にOBやOG、保護者、地域の方々のご協力は不可欠ですので、まず学校を広く開き、お互いコミュニケーションを取り合い、理解し合って協力関係を築いていきたいと思っています。

夏休み中も記念祭の準備

――先生が考える久我山の街の魅力とはどんなところでしょうか?

宮本校長:落ち着いていて、ゆったりとした街。昔から変わらない街、ですね。西高のこの雰囲気は、この久我山の街によってつくられた部分もあるでしょう。近所にコンビニが一軒あるだけなので、生徒からは少々物足りないという声も出ることはありますが、学校環境としては最高ではないでしょうか。

2016(平成28)年度の入学者を見ても、杉並区から65名、隣の世田谷区から42名、練馬区から32名と、地元からの人気が非常に高いのが特徴でもあります。つまり地域と密着した、地域に愛される学校だということです。近隣の「杉並区立西宮中学校」の図書委員の子どもたちが本校の図書館を利用したり、進路説明会を本校で行ったりと、日々の交流もよく行っています。

9月末に行われる「記念祭」は西高生たちにとってもかなり力の入ったイベントなのですが、高校のというよりも大学の文化祭に近い雰囲気ですね。その記念祭には、本校を目指す中学生親子をはじめ、近隣の方々など多くの人たちが足を運んでくださいますよ。

東京都立西高等学校 校長 インタビュー

東京都立西高等学校

校長 宮本久也先生
所在地 :東京都杉並区宮前4-21-32
TEL :03-3333-7771
URL:http://www.nishi-h.metro.tokyo.jp/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

“西高生”としての誇りが伝統を培う学校/東京都立西高等学校 校長 宮本久也先生
所在地:東京都杉並区宮前4-21-32 
電話番号:03-3333-7771
http://www.nishi-h.metro.tokyo.jp/

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を 算数科の研究にまい進する地域の伝統校/鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校 校長 松岡康太郎先生

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鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校
松岡康太郎 校長先生

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を
算数科の研究にまい進する地域の伝統校

開発著しい新鎌ケ谷エリアで、1874(明治7)年創立の伝統校として長らく地域で親しまれてきた「鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校」。「生きる力を身につける児童の育成」を学校教育目標に掲げ、心身ともに健やかな子どもの育成に力を注いできた。とりわけ、2012(平成24)年度から始まった算数科の研究で、子どもたちが「算数の楽しさ」を実感できるような授業づくりを追求していることに注目したい。1年生を迎える会でにぎわう同校を訪ね、鎌ケ谷市教育委員会時代から算数科の研究に携わってこられた松岡校長先生に、研究成果を交えて学校の特色を伺った。

伝統校として、地域とのつながりをどのように感じていらっしゃいますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

本校は1874(明治7)年に鎌ケ谷市で最初に開校した小学校です。その後しばらく鎌ケ谷の小学校は本校だけでしたから、保護者をはじめ、この地域には「祖父母も鎌ケ谷小出身」という方がとても多いです。母校を大事に思ってくださる方が多く、非常に伝統のある学校だなと感じています。登校時には通学路に立って見守ってくださる地域の方もいらっしゃいます。 PTAも熱心で、大規模校ということもありますが、昨年末に集めたベルマークが500万点になり、ベルマーク教育育成財団から表彰されました。

現在の児童数や今後の見込みを教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

現在(2015年4月時点)の児童数は1,042人で、特別支援学級を含めて全34クラスあります。2008(平成20)年度からずっと1,000人を超えていて、ここ数年は毎年、新入生が170人ぐらい入ってくるという状況が続いています。本校の学区は新鎌ケ谷から初富にかけてとても広く、北初富から電車通学している子どもが20数名ほどいます。また、新鎌ケ谷地区は宅地開発がとても盛んな地域で、開発が進むにつれてそちらの方面から通ってくる子どもがかなり増えてきました。今も周辺に100戸近い新築の戸建てが分譲中のようですから、今後も児童数が増えると見込んでいます。

子どもたちをどのように指導していらっしゃいますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

入学式や全校集会でいつも話すのは、“元気なあいさつ”と“友達と仲良くすること”、“交通ルールを守る”ということ。本校の児童は遊ぶときは遊ぶ、話を聞くときは真剣に聞くというメリハリがしっかりとできています。校内に掲げているように、「元気なあいさつ・輝け鎌小っ子」を目指し、わたしも毎朝校門に立って元気なあいさつを子どもたちと交わしています。

2012~2014(平成24~26)年度の3カ年、鎌ケ谷市教育委員会から算数科の研究指定を受けていらっしゃいましたね。研究の内容や成果、今後の目標についてお聞かせください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

研究主題は「算数の楽しさを実感できる授業」で、副主題が「子どもの『なぜ』『どうして』を引き出す授業づくり」です。2年目からは「筑波大学」の清水美憲教授にご指導をいただいています。昨年は、北は岩手県から南は岡山県といった、県内外から約150名もの先生方に授業を参観していただきました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

「算数の楽しさ」とは、計算ができるといった“できる楽しさ”と、課題に関心を持ち自分で問題を解決していける“わかる楽しさ”があります。本校では“わかる楽しさ”に重点を置き、主に思考力・表現力の向上を目指しました。そして、「思考が動き出す問題解決学習を重ねていけば、算数の楽しさを実感できるだろう」という研究仮説を立て、「思考を動かすための導入や発問の工夫」「子どもが主体的に問題解決できる場の工夫」「『算数の楽しさ』を評価する『振り返りカード』の活用」という3つの手立で取り組んできました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

問題解決学習では、ある問題に対して単に答えを出すだけでなく、どう解くのか自分の考えを書いて明らかにしていきます。また、振り返りカードとは授業後に子どもたちに満足度を表してもらうカードで、1~3年はマークから選んでもらい、4~6年は満足度のパーセンテージと感想を書いてもらいます。「算数の楽しさ」という気持ちを評価するのはとても難しいことです。そこで、子どもたちに自己判断してもらい、評価の基準を探っていくためにこのカードを設けました。カードの感想は、教師が自分の授業を見直す反省材料としても活用できます。そのほか、学習の流れの作成、ノート作り、朝15分のモジュールの時間の活用などでも工夫しました。また、長さや大きさが実感できるように壁に動物の絵を描いたり、階段やフロアに単位換算や図形を描くなどして、発見や気づきが生まれる環境を整えました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

こうした研究を進めるにつれ、子どもたちの算数への意欲が全体的に高まってきました。教師からみても、「意欲的に学習に取り組むようになった」「問題解決力が身についてきた」など、子どもたちの変化が感じられるようになりました。私も1年生の授業を見せてもらった際に、4月に入学したばかりの子どもたちが自分の考えを文章で書いていたことにたいへん驚きました。一方、教員の側にも、学習の流れが統一され、学習素材を工夫するようになるなど、よい変化が生まれました。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

指定校は昨年度で終了しましたが、研究は継続し、今後は話し合い活動の充実や、より意欲を高める導入の工夫などに力を入れていきます。本校では6年生の全国学力・学習状況調査に加え、5年生は鎌ケ谷市の学力調査、2~4年生は保護者にご協力いただき学校独自で調査を実施しています。これらの結果もふまえながら子どもたちがさらに力をつけられるよう取り組んでいきたいと思います。

2011(平成23)年度より千葉県の『ちばっ子「学力向上」総合プラン(※)』がスタートしましたが、さまざまなプランがある中で、特に力を入れている項目などはありますか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

今年度は若手教員育成推進活用授業として、2年目の教員が11月に本校で公開授業を行います。本校は毎年新しく採用した教員が2名以上いて、今年度は5年目以下の教員が14人おりますが、こうした若手育成というのも大規模校で教員数も多い本校の役割かと思っています。もちろん、そうした役目も担いつつ、責任を持ってお子さんをお預かりしています。若い先生方はベテランの先生方と一緒に前向きに頑張ってくれていて、チームワークもとてもいいです。

ちばっ子「学力向上」総合プランについて

行事の特色について教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

5、6年生で組織する児童会が中心となって、いろいろな行事を行っています。毎週火曜は掃除を短時間にして昼休みを長くしていますが、そうした時間をうまく利用してドッジボール大会やハロウィンパーティー、カラオケ大会などを開いています。自由参加の行事が多いですが、例えば、ドッジボール大会はほとんどの児童が参加してすごく盛り上がります。ハロウィンパーティーでは、凝った衣装を着てくる子が結構います。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

昨年は仮装をしたまま妖怪ウォッチの体操をし、鎌ケ谷のキャラクター“かまたん”も来て一緒に踊りました。本日の「1年生を迎える会」をはじめ、どの行事も子どもたちが企画・運営をしていますが、一生懸命に取り組む姿が本当にいいなと思います。

部活動について、活動内容や参加状況について教えてください。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

部活動は5、6年生主体で、3学期近くになると4年生が加わります。陸上部、サッカー部、ミニバスケット部、音楽部、美術部があり、陸上部は6月開催の市内陸上大会に向けて4~6月の期間限定です。体力アップも目的に、6年生は全員参加という形で、5年生は30人ぐらい。ほかの部では、サッカー約70人、ミニバス部50人、音楽約40人、美術約100人が参加しています。朝7時半から朝練習をするなどどの部もとても一生懸命で、陸上部は昨年の陸上大会で総合優勝しました。音楽部は例年マーチング大会へ出場していて、昨年金賞を受賞しました。

「きらり先生」「ほほえみ先生」というのはどういった方々なのですか?

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

どちらも鎌ケ谷市から派遣される非常勤講師のことです。「きらり先生」は少人数教育指導教員で、林間学校の引率もします。本校には1名派遣されていて、ふだんは5、6年の算数にTTでついていただいています。 「ほほえみ先生」は特別な支援を必要とする児童に対応する教員です。「ほほえみ先生」は教室でそうしたお子さんに付き添い、場合によっては別室で個別に対応します。1校につき1人のところ、大規模校の本校には2人配置していただいています。担任の先生は安心してクラス経営ができますし、児童本人の困り感も減っているようです。 「ほほえみ先生」は他市の先生方から感心されるような先進的な制度です。鎌ケ谷市では「きらり先生」「ほほえみ先生」だけでなく、先進的に図書館司書も全校に配置しています。

最後に、学校周辺の魅力について教えてください

駅や市役所、ショッピングモールなどが近く、生活するにも子育てするにも良い環境だと思います。住宅街としては緑も多いのではないでしょうか。校庭にやぐらを建てて盆踊り大会が開かれるなど、地域の行事も盛んです。 見学先になるような施設も周辺にたくさんあり、1年生は市川動植物園まで電車で出かけていきます。徒歩圏内には「きらりホール(鎌ケ谷市民会館)」や「郷土資料館」があり、きらりホールでは音楽部が「鎌ケ谷中学校」の吹奏楽部や鎌ケ谷吹奏楽団と連携して毎年秋に演奏会を開いています。

鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校

今回、話を聞いた人

松岡康太郎 校長先生

※記事の内容は2015(平成26)年4月末に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

問題解決学習を通じて“わかる楽しさ”を 算数科の研究にまい進する地域の伝統校/鎌ケ谷市立鎌ケ谷小学校 校長 松岡康太郎先生
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央2-1-1 
電話番号:047-442-1105
http://kamagaya.ed.jp/kamasyo/

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける店/サイクルセンター永瀬 店主 永瀬勇介さん

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サイクルセンター永瀬
4代目店主 永瀬勇介さん

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける
「サイクルセンター永瀬」

「サイクルセンター永瀬」は60年も前から続く自転車・バイク・スクーターの販売を中心とした老舗。出張修理も行っており、自転車・バイク・スクーターだけでなく車イスの修理も受け付けている。近年、アウトドアで人気のロードバイクにも力を入れており、どういう自転車が自分に合っているかなどアドバイスをしてくれるので、初めての方でも安心して購入することができる。そんな「サイクルセンター永瀬」について4代目の永瀬勇介さんにお店での取り組みや、街の魅力についてお話を伺った。

まず始めに、「サイクルセンター永瀬」の概要・沿革について教えてください。

サイクルセンター永瀬

およそ60年前に僕の曽祖父がお店をオープンしました。僕の代で4代目になります。昔は大通り沿いに、お店を構えていたのですが、排気ガスなどの影響もあり、もう少し落ち着いた静かな環境で自転車等を選んでもらいたいと、35年前にこの地域に移転しました。

お店をリニューアルし、外観などおしゃれになっていますが、リニューアルによる変化などはありましたか。

サイクルセンター永瀬 永瀬勇介さん インタビュー

3年前にリニューアルしたのですが、外観もがらりとイメージが変わったので、気付かず通り過ぎてしまった方が結構います(笑)。店先に沢山自転車を出しているのですが、前のお店の印象が強かったみたいですね。まだリニューアルして3年なので、徐々に慣れてくれると嬉しいです。来店された方は「きれいになってよかったね」、「おしゃれだね」と言ってくれますね。

周辺には、小学校や中学校がありますが、兄弟揃って自転車を購入されるなど、 家族ぐるみの交流もあるのでしょうか。

サイクルセンター永瀬

お店には、中学校への進学を機に、大人用に買い替えに来られる方や、小学生未満の子ども用の自転車はカタログ販売で取り扱っているので、そのカタログを見て子どもの自転車を注文しに来てくれる方もいらっしゃいますね。お店に昔から来てくれている方の息子さんや、僕の同級生で地元にいる方はたまに顔を出してくれます。

出張修理についても教えてください。

サイクルセンター永瀬 永瀬勇介さん インタビュー

出張は鎌ケ谷全域とその周辺で行っています。中には、前からずっと買ってくれている方で、「サイクルセンター永瀬にお願いしたい」と野田市まで修理に行ったこともあります。他にも、中学校から「常備している自転車の修理で来てほしい」との依頼もあるので、その都度対応しています。

サイクルセンター永瀬

車イスや手押し車の修理や販売もできます。車イスの修理を車で持ってくる方もいますし、高齢になるとご自身で持ってくるのが難しい方もいるので、出張して修理を行ったりしています。車イスは普通は黒いタイヤですが、室内用で跡がつかないように白いタイヤに変更したりなど、対応する内容もさまざまですね。

出張修理などもされていますが、長く使って頂くために、どのような工夫をされていますか。

サイクルセンター永瀬

お客さんには空気をこまめに入れるようにお願いしています。空気を減らして乗るのが自転車には一番負担がかかるんです。パンクの原因やタイヤがダメになったり、地面と接する唯一の部分で空気がクッションの役目をしているので、振動がそのまま車体に伝わります。最低1か月に1回は空気を入れてあげた方がいいです。指で押してほとんど凹まないぐらいが丁度良いですね。

この街での自転車の利便性について教えてください。駅前にはショッピングセンター、また公園などの自然環境も揃っていますが、周辺の方々は、自転車をどのように活用されていますか。

サイクルセンター永瀬

車を出すほどじゃない距離にスーパーマーケットや公園がありますし、徐々に道が細くなっている通りもあるので、そのような場所や距離を考えると自転車の方がいいと思います。周辺では、ほとんどの方が自転車で買い物に出かける姿がよく見られます。「印旛沼」にサイクリングロードがあるので、そこまでいけばサイクリングもできますよ。僕は趣味でロードバイクに乗っていますが、「印旛沼」のサイクリングロードまでは距離にして10kmくらいです。佐倉にある風車とチューリップ畑までは往復で48kmくらいなので、2時間で行って帰って来れる距離です。このように楽しめる施設が沢山あるので、風の気持ち良い季節に自転車で訪れてみるのも良いと思います。

この街で長年お店を営まれてきたからこその”街の魅力”について教えてください。

新鎌ヶ谷駅

都内のように大きなビルがないので、空が大きく自然豊かでそれに加えて周辺は閑静な住宅街です。「新鎌ケ谷駅」は北総線と新京成線と東武野田線の3線が乗り入れているので東京に出るのも便利です。近隣に行くなら東武野田線、「東京」駅に行くなら北総線といったように、時と場合に応じて選べる環境なのが嬉しいですね。アクセス特急が止まり、成田空港に行きやすいのも魅力だと思います。成田から来て新鎌ケ谷で一泊してから東京に行く人もいるみたいです。

サイクルセンター永瀬

また、周辺には魅力的なお店も沢山あり、僕も頻繁に利用しています。「リーヴルディマージュ」のロールケーキや、「茂野製麺鎌ヶ谷工場直売所」の麺を贈り物としてよく買いますね。あとは梨。この辺りは梨の産地なので、知り合いの農家からいつも購入しています。スーパーマーケットで買うより直売所で買う方がオススメですね。また、僕の同級生がいちごを栽培していて、旬の時期にはいちご狩りも行っています。たまに頂くのですが、とてもおいしいいちごなんですよ。

昔と今とでは、街の光景はどのように変化しましたか。

イオン鎌ヶ谷ショッピングセンター

「新鎌ケ谷」駅の辺りが一番変わりました。以前は、全て農地で梨畑だったんです。目立った施設は特になかったのですが、2004(平成16)年に「イオン鎌ヶ谷ショッピングセンター」ができてから周りに色々な施設が出来てきました。 「新鎌ケ谷」駅の辺りは開発されて新しい人が増えてきていますね。恐らく今後平均年齢が若くなると思います。年配の方は昔から住んでいる方が多いので、新しく住まわれる方と、昔から住んでいる方が混同している面白い街ですよ。

お店では、修理以外にも、個人的に言葉を交わす機会が多い店だと思います。自然とお客さんの様子もよくわかると思いますが、この街の方はどのような方が多いでしょうか?

サイクルセンター永瀬

親切な方が多いですね。「畑で採れたから」と野菜を持って来てくれる方もいます。勤め先は、東京などの都心部に出られている方が多いようです。主婦の方以外にも、通勤で使用したいと自転車を購入されるサラリーマンの方もいますね。最近では、通勤用にロードバイクを検討される方もいます。

住まいの場として、「サイクルセンター永瀬」周辺の環境はいかがでしょうか。

サイクルセンター永瀬

都会よりも自然に囲まれたのどかな環境を好まれる方は、この辺りに住むことをオススメします。この辺りは東京にも行きやすいので通勤も便利ですし、仕事とプライベートなどオンオフも付けやすいと思います。

今後どんなお店を目指していきたいとお考えですか。

サイクルセンター永瀬

自転車で困ったことがあれば何でも気軽に相談してほしいです。どんな風に乗ったらいいのか教えることもできますし、自転車のメンテナンスも含めて、お客さんがずっと健康で自転車に乗って頂ければいいなと思います。自転車は自分のペースで何kmも走っていけるので、サイクリングを楽しみ、行った先で写真を撮るなど、楽しみも広がると思います。

サイクルセンター永瀬

今回、話を聞いた人

サイクルセンター永瀬

4代目店主 永瀬勇介さん

※記事の内容は2015(平成26)年8月に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

地域に愛され60年!自転車の魅力を伝え続ける店/サイクルセンター永瀬 店主 永瀬勇介さん
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央1-19-27 
電話番号:047-443-4551
営業時間:9:00~18:30
定休日:水曜日
http://www7b.biglobe.ne.jp/saikurunagase..

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」 図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える図書館/鎌ケ谷市立図書館 館長 髙橋さん、主査 米井さん、株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん

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鎌ケ谷市立図書館
館長 髙橋さん
主査 米井さん
株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」
図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える「鎌ケ谷市立図書館」

新京成線「初富」駅を降りた先にある「鎌ケ谷市立図書館」。30万冊を超える蔵書があり、児童書にも力を入れ、充実した図書館として利用者も増加している。民間の「すばる書店」が運営に携わっており、選書やディスプレイなど様々な所に趣向を凝らす「鎌ケ谷市立図書館」。近くには「鎌ケ谷市郷土資料館」もあり地域の事を学ぶには最適なエリアだ。そんな「鎌ケ谷市立図書館」について館長の髙橋さん、主査の米井さん、株式会社すばる 図書館事業室の椎名さんにお話を伺った。

まず始めに、「鎌ケ谷市立図書館」の概要について教えてください。

施設内

髙橋館長:「鎌ケ谷市立図書館」は、1987(昭和62)年にオープンしました。当時は、1・2階が図書館、3階が公民館としてスタートしました。その後公民館が移転しましたので、全ての階を図書館が管理するようになり、現在3階は学習室と集会室として使用しています。1階が主に一般書、2階には児童書や参考資料室、読み聞かせなどをする部屋を完備しています。開館時間は、午前9時から午後8時までで、日曜・祝日は午後5時に閉館です。蔵書数は2015(平成27)年の4月1日現在で30万1319冊あり、その中で児童書は9万815冊あります。

椎名さん:公共図書館では限られたジャンルではなく、幅広いジャンルの本を手に取って頂けるように、全ての分野において万遍無く揃えることを意識しています。

自習室

髙橋館長:選定の基準はずっと読み継がれてきたものや、話題性のある本は必ず内容を理解し、スタッフと検討してから購入しています。児童書は特に、長く親しまれているものを買い揃えていますね。リクエストも受付けているので、なるべく要望に応えていきたいと思っています。

ジャンル別本

利用者に関しては幅広い世代の方々に、お使い頂いています。2階が児童書中心になっているので、両親やおじいちゃんおばあちゃんと来館されるお子さんが多く、ご家族でご利用して頂いていると思いますね。1階の新聞等を見られている方はご高齢の方が多いですが、昼頃になると主婦の方々が買い物のついでに寄られたり、5時以降になるとお仕事帰りの方や、お子さんを保育園や学童に迎えに行った帰りに寄られる方もいます。

利用方法は利用者カードがあり、登録が必要になります。登録するにあたり、鎌ケ谷市に在住、在勤、在学の方、もしくは隣接している柏市、松戸市、船橋市、白井市、市川市の方も登録が可能です。

「鎌ケ谷市立図書館」の特徴について教えてください。

児童書

髙橋館長:数年来、児童書に力を入れています。また選書はじっくりと考えていいものを提供したいと考えており、何かに突出してもいないので、割と手軽にいろんなものが読めるという点も特色だと思います。

平成生まれの作家

米井主査:図書館によっては複本を揃えているところもあるかと思いますが、鎌ケ谷市は全体的に、柔軟に幅広い選書にしています。分館があり、取り寄せも可能ですので、同じものを5冊置くよりはいろんな分野のものを置くという配本の仕方を取り入れています。一館にまとめてというよりも、市内全部に行き渡るように配置しています。

ホームページには、こども向け、ヤングアダルト向け、ベイビーアンドママ向けのページがあり、展示やイベントなども、それぞれの世代に向けて行なっているようですね。

バーバパパ

髙橋館長:ホームページではなるべく詳しくイベント等を紹介させて頂いています。展示にも力を入れており、話題性のある物や、作者を限定して本を展示したり、その年の干支の作家さんを選定して特集を組んだり、亡くなった方の遺作を展示することもあります。

お知らせボード

児童書はクリスマスやハロウィンなど季節に合ったものをボードで特集して、「こんな本があるから読んでね」と紹介しています。スタッフさんがとても頑張ってくれているので掲示板も見応えのあるものになっています。選書も本を紹介するのも、お子さんが読みたいと思えるような展示をしたり、スペースがない所でも壁に絵を描いたりと工夫しています。先月はバーバパパのぬいぐるみを置いたりと、バリエーションも豊かです。

米井主査:このような工夫は、民間の力だと思いますね。ホームページの華やかさや展示のレイアウトの工夫など、選書に一般企業ならではのエッセンスを盛り込んで頂く中で、特色がよく出ていると思います。

イベントは、おはなし会をはじめ、クリスマス会のような季節のもの、創作教室、図書館で映画を見ようなど、幅広く行われているようですね。

年賀状関連の本

髙橋館長:2016(平成28)年に初めてお正月に向けて福袋を用意する予定です。中に3冊入れて何が入っているかお見せしないで貸出しをします。みなさんに楽しんで頂けるといいですね。

椎名:イベントのおはなし会については4種類あり、小学生向けが第1日曜日、乳幼児向けが第2第4水曜日、東部分館で第2日曜日開催しているイベントが図書館主催のもので、第3土曜日にボランティアの方々が開催しているものもあります。

クリスマスの飾りもの

髙橋館長:第3土曜日に「ザ・チャレンジ」という創作教室を開催しています。対象は小学生ですが、保護者同伴であれば幼児も参加可能です。日本レクリエーション協会の方が講師をして下さっています。2015(平成27)年はハロウィンでかぼちゃの大きな被り物やクリスマスの飾り物、万華鏡やコマ、絵ローソクなどを作りました。最初から全部作るものもありますし、基本の物を作っておいてそこに手を加えるというものもあります。毎月開催しているので、継続的に参加している子どもがお友達を連れてきたり、イベントを通して仲良くなったりと、みんな楽しく取り組んでいます。

マンガ

映画は東部学習センターで年に10回ほど上映しています。DVD資料も東部分館に所蔵しており、映画にまつわるお話や本の紹介をしてから上映しています。2015(平成27)年に上映した「ローマの休日」は特に好評だったので、初めて2回目を上映します。子ども向けのものでは「おさるのジョージ」などを上映しています。

おはなしひろば

1つのテーマに沿って何冊かの本を順に紹介し、子どもたちに本絵への興味を持ってもらい、読書の楽しさを知って、もっといろいろな本を読んでみようと思ってもらう「ブックトーク」を学校を訪れ行っています。私たちは生涯本を読み続けてほしいという思いがあり、健康増進課と一緒に「ブックスタート」という事業も行っています。4か月健診の時にボランティアさんが読み聞かせを行ってくださり、そこで本も2冊プレゼントしています。

この街の魅力やおすすめスポットについて教えてください。

親子

鎌ケ谷市は駅が多く、その周辺を中心に発達した住宅都市なのでとても静かですね。緑が多く畑や梨畑やあってのどかな環境が住むにはピッタリの場所だと思います。ゆったりと住むということに特化した街だと思います。市役所の上の階からは富士山やスカイツリーが見られるんです!よく写真を撮っている方もいらっしゃいますよ。

貝柄山公園

大きな公園では「貝柄山公園」や「鎌ケ谷市市制記念公園」があり、そこにはテニスコートがあったり野球場があったりするので、小さなお子さんから大人までのびのび遊べると思いますね。

これから街に住まわれる方にメッセージをお願いします。

レファレンスサービス

鎌ケ谷市は治安の面でも良く、子育て支援にも力を入れている市なので安心してお住まい頂けると思います。「鎌ケ谷市立図書館」も本の相談窓口、コンシェルジュが充実してきています。隣接して、「鎌ケ谷市郷土資料館」もあるので図書館に立ち寄って頂けたらと思います。ぜひ一度住んでほしい街ですね。

職員

今回、話を聞いた人

鎌ケ谷市立図書館

館長 髙橋さん(写真:真ん中)
主査 米井さん(写真:右)
株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん(写真:左)

※記事の内容は2015(平成27)年12月に実施した取材をもとに作成しており、今後変わる場合がございます。

「生涯ずっと本を読み続けてほしい。」 図書館の枠を超えた取り組みで想いを伝える図書館/鎌ケ谷市立図書館 館長 髙橋さん、主査 米井さん、株式会社すばる 図書館事業室 椎名さん
所在地:千葉県鎌ケ谷市中央1-8-35 
電話番号:047-443-4946
開館時間:本館・東部分館 平日(火曜~土曜)9時~20時/日曜日、祝日9時~17時
分館(北部・南部・西部・東初富)9時~16時45分

休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は、翌日)、年末年始、館内整理日(月末、月末が土・日・月の場合はその前の金曜日)、特別整理期間
https://www.library-kamagaya-chiba.jp/

本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん

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「菓子工房ガトーマスダ」は、2000(平成12)年9月20日にオープン。本店(高島平)をはじめ、志村坂上店、成増ダイエー店、カスミ前野町店、横須賀店の全5店舗を構える名店だ。代表の増田嘉嗣(ますだよしつぐ)さんは、フルーツの加工会社「三啓商事」を経営し50年以上に渡りフルーツの加工及び製造・販売を行ってきた。そこで培ってきた技術を生かし開発してきたお菓子の数々を、直接お客様に届けたいとの思いで始めたのが同店の始まりである。増田さんに話を伺い、店の特色やこだわり、今後の展望について語っていただいた。

素材へのこだわりがおいしさへ繋がる

笑顔で取材に答える増田さん

――お店の特色、ケーキ作りで一番大切にしていることついて教えてください。

増田さん:ガトーマスダの製品には、食品添加物を使用することはありません。また、マーガリンやホイップクリームは当社製品には使用しておりません。お客様の健康を考えて、体に良くないものは一切使用しないことが当社の一番大切にしているポリシーです。一般的にケーキ類や焼菓子類に合成着色料、合成香料、合成保存料などの食品添加物が使われていることは、よくご存じだと思います。また、洋菓子作りに欠かせないもので重要な食材に、マーガリン(コンパウンドバター含む)、ホイップクリーム、ショートニングがあります。実はこれらはフレッシュバター及び純生クリームの代用品なのです。そしてこれらの製造に用いられる添加物が乳化剤です。この乳化剤こそが時として、小さなお子様(乳幼児)や胃腸の弱い方には大変な負担をかける原因になっています。

ケーキから焼き菓子まで豊富な洋菓子が並ぶ店内

お菓子屋として、食を提供する側として安心安全なものを召し上がって頂くことは当たり前です。食品添加物は、摂取しなくても良いのであればしないほうが良いのですし、使用しない方が3倍美味しいお菓子になります。おかげさまで多くのお客様から「ガトーマスダのケーキやお菓子はどれを食べても美味しいね!」と言って頂いております。当店が食材の全てに天然のもの、自然のものにこだわってきた結果が、お客様の評価につながっていると思います。

おすすめ商品の「完熟アップルパイ」

――おすすめの商品について教えてください。

増田さん:「完熟アップルパイ」がオススメです。山形・寒河江産の完熟リンゴを使用し、レモン果汁だけでソテーして濃縮した白いリンゴと赤ワインに漬け込んだ赤いリンゴの2種類のリンゴの良さを組み合わせたもので、アップルパイのイメージを一変させる逸品ですよ。また、「純生ロールケーキ」「レモンパイ」「熟成ショコラケーキ」「フルーツケーキ」などもオススメですね。

人の10倍の努力と100倍の実験

食品添加物は一切使わない安心安全なケーキ

――お店を始めた経緯について教えていただけますか。

増田さん:戦後間もない昭和30年代に、元々は東京の大学の工学部に進学しようと思い九州から東京に出てきたのですが、食べていくだけでも大変な毎日を送っていました。そこで、将来設計を見直し、就職することにしたのですが、私は子どものころから“ものづくり”が好きでしたので、“ものづくり”に携わることができる仕事はないのか、と探し始めました。

そこでたまたま就職したのが合羽橋の菓子問屋でした。ある日取引先を周っているとフルーツケーキを目にする機会がありまして、それに私は刺激的なひらめきを感じたのです。フルーツの洋酒漬けはまだ一般的ではないし、今後大きなマーケットになる予感がしました。洋酒漬けの技術を磨くには年数がかかるものなので、若いうちに独立して腕を磨いていこうと決めました。

分子レベルでケーキを研究して日々新たな商品を生み出していく

そして、人の10倍の努力と人の100倍の実験をすればなんとかなる、と腹を決めて弟子入りをせずに独立しました。こうして始まったフルーツ加工、製造・販売を行う「三啓商事」は、後にガトーマスダの母体となったのです。ここ高島平を選んだ理由は、フルーツ等の全国発送をするための運送業社が近くにあり利便性に優れていたこと、一緒に働いてくださるパートさんが多く集まる地域だったことも大きいですね。そして1977(昭和52)年には新工場を構えて、フルーツの洋酒漬け、糖漬け、りんごの加工品、マロンペースト等の菓子材料をここ高島平から製造し、2001(平成13)年に洋菓子店のモデル店として「ガトーマスダ本店」をオープンしました。「三啓商事」で培われたフルーツ加工のノウハウは、ガトーマスダの洋菓子には欠かせないものになりました。

フルーツ加工から始まったガトーマスダ

――「いたばしのいっぴん」に選ばれた「完熟アップルパイ」について商品開発のコンセプトや苦労などについて聞かせてください。

増田さん:40年ほど前取引先を訪問していた時に、山形のりんご農家でりんごの「ふじ」に出会いまして、その時に「こんな美味しいりんごがあるんだ!」と衝撃を受けました。それまでのリンゴにはない甘さとジューシーさに大変驚きました。私自身アップルパイは甘くて好きではなかったこともありまして、このリンゴを使って日本一のアップルパイを作ろう、と闘争心に火がつきました。リンゴ農家に土作りから依頼して納得のいくリンゴに辿り着くまで10年、それからリンゴの水分を抜き糖度を高める製法を編み出すのに15年の歳月を要しました。リンゴの漬け込みに使用するにも一流の酒を使用し、良い材料、良い食材と味のバランスを徹底して研究し開発しました。その結果、他にはないリンゴは甘さがすっきりとしてサクサクの食感、パイはパリパリ香ばしい、リンゴの自然な美味しさが生きる「完熟アップルパイ」が生まれました。

「完熟アップルパイ」は「いたばしのいっぴん」にも選ばれた

落ち着きがあり暮らしやすい街、高島平に根付いた本店

――本店ならではの特徴がありましたら教えてください。

増田さん:本店では、以前ランチ営業をしていた名残もありましてイートインスペースがあります。お客様にゆっくりと寛いで本物のケーキを味わっていただきたく、ちょっと贅沢なイタリー家具やステンドグラス等が楽しめる空間をご用意しています。ぜひご利用ください。

店内にはイートインスペースもある

――このあたりの方は、どういう目的でケーキを買いに来られる方が多いですか?

増田さん:お客様には高島平近辺の方はもちろん、埼玉や神奈川からも来ていただいています。ちょっと贅沢したい時や大事な方へのワンランク上のギフト商品として買い求められる方が多いですね。

――高島平の街の魅力、住みやすさについて教えて下さい。

増田さん:「赤塚公園」や「高島平緑地」など緑や公園が多いところが良いと思います。また、治安が保たれていて街に落ち着きがありとても暮らしやすいですね。「高島平中央病院」をはじめ医療機関が多くあるところも安心です。都心からのアクセスも良いですし、買い物も楽しめる。自然にもたくさん触れ合うことができる、そんな街だと思います。私は、高島平が好きですし、この街の人との関わりはとても大事だと考えていまして、店では年に3,4回中小企業診断士音楽隊とのコラボレーションでミニコンサートを開催しています。前回はのばら、オンブラマイフ、ヴァイオリンとオーボエのためのコンチェルトなど盛りだくさんの演奏をしたり、「おかしなはなし」と題しケーキのこだわりについてお伝えしたりしました。今後も続けていきたい活動のひとつです。

ガトーマスダはまちのつながりも大切にしている

――「ガトーマスダ」のほかに、高島平エリアでおすすめのお店がありましたら、教えてください。

増田さん:「中国四川料理 剣閣」がオススメですね。あらゆる面でレベルが高く美味しいです。お店の息子さんが修行から戻ってきてから更に良くなったと思いますよ。同じものづくりをする人、食を扱う人として共感します。

――何か、次に挑戦、研究したいことなどありましたらお願いします。

増田さん:現在もガトーマスダのホームページ上で「おかしなはなし」を連載しています。私の中では既に100話分ほどありまして、随時記事にして公開していきたいと思っています。お菓子に興味がある人や現在業界で働いている人に、私が積み上げてきた考え方、経験、哲学をどんどん知らせていきたいと思っています。そして刺激を受けた人たちが、ガトーマスダは面白い、働いてみたい、と思っていただき最終的には技術を身につけて、お菓子業界全体が活性化されたり雇用に繋がったりすることができれば良いと思っています。

菓子工房ガトーマスダ増田嘉嗣さん

菓子工房ガトーマスダ

代表 増田嘉嗣さん
所在地 :東京都板橋区高島平7-14-21
TEL :03-3939-2992
URL:http://www.gato-masuda.co.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

本物の素材と確かな技術が生む絶品洋菓子「菓子工房ガトーマスダ」/菓子工房ガトーマスダ 増田嘉嗣さん
所在地:東京都板橋区高島平7-14-21 
電話番号:03-3939-2992
営業時間:10:00~20:00
定休日:1月1日
http://www.gato-masuda.co.jp/

“お母さんたちがゆっくりできるお店”を目指して/Cafe de KOTO 店主 桑原さん

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2012(平成24)年5月のオープンより子ども連れでも気軽に利用できる個人経営のカフェとして親しまれている「Cafe de KOTO(カフェ デ コト)」。この店の店主、桑原さんは子育て真っ最中のママで、日々育児や家事に奔走する近隣のママたちが多く訪れるオアシスのような空間です。今回は「Cafe de KOTO」の店主として、また子育て中だからこそ気がつくママの目線から、「鶴瀬」駅周辺エリアの魅力についてお話を伺いました。

会社員時代からの夢を、形に

Cafe de KOTO

Q.まず、お店を開いたきっかけについてお聞かせください。

“いつか自分のお店をやりたい”という思いは、都内に通勤するOLの頃から常に思い描いていた夢なのですが、より具体的に考えるようになったのは結婚して子どもができて実際に子育てをするようになってからのことです。子育てや家事に追われる毎日のなかで、身近な場所に子どもを連れて行けるお店がなかなか無く、ほんの5分、10分でも落ち着いて過ごせる場所があったら良いなという思いから、“だったら自分でつくってしまおう♪”と思い至ったのがはじまりです。

店外にはテラス席も

当時はまだ何のお店をやるかという具体的なイメージまではなく、子育てや家事で奔走する“お母さんたちがゆっくりできるお店”を第一に考えたとき、“カフェ”という業態にたどりつきました。

壁には手作りのメニュー表が

Q.金・土・日曜日のみの営業ということですが、どのようなお客さんが多くいらっしゃいますか?

育児・家事をしながらの営業のうえ、調理からサービスまですべてをひとりでこなしてきたため、オープンから丸3年は金・土・日曜日のみの営業で手一杯でしたが、信頼できるスタッフとの出会いや来年の4月には一番下の娘が小学校に入学するのを見越して、2015(平成27)年10月からは平日の営業に切り替える予定です。

店内の様子

自宅の一部を店舗にしたわずか12席の店内のため、あっという間に満席になってしまいますが、およそ8割はリピーターのお客さまで、平日昼間は近隣のママ友を中心に、土日はお子さまを連れていらっしゃるご家族や“カフェ”好きのカップルにもお越しいただいています。

店内に散りばめられた雑貨

それと女性ひとりでいらっしゃる方も多く、コーヒー一杯のわずかな時間を静かにゆっくり過ごして“リセット”してからまた日常へと戻られる姿もよく見かけます。

特に子育て中のお母さんは自分の状況とも重なってしまい、お店を開くときの原動力ともなった“お母さんたちがゆっくりできるお店をつくりたい”という思いが今こうやって現実のものとなっていることに喜びを感じます。

自慢のメニューもバラエティ豊か

シフォンケーキセット

Q.おすすめのメニュー、料理へのこだわりについても教えてください。

看板メニューとして謳っている“シフォンケーキ”も、1日10食限定の「今月のオープンサンドセット」などの食事メニューも、全て独学で研究を重ね提供しているものです。お母さんたちに食べていただくものとして、カロリー控えめで健康志向のメニューをまず考えたのですが、バター不使用の「シフォンケーキ」をはじめて作ったときに、使ったサラダ油の量に驚いたんです。その時から日本全国のからだに良い食材を研究する日々がはじまりました。

白ごま油

シフォンケーキに使用している「白胡麻油」は、抗酸化作用のあるセサミンを豊富に含んでいるので、美容やダイエットにも効果があり、ごま油特有の香りもしないためシフォンケーキにはぴったりの食材でした。それと、食事メニューにもかならずと言って良いほど使用している卵も、美味しいシフォンケーキを作るには欠かせない食材で、やはり全国から取り寄せてひとつひとつ試してみたのですが、九州から仕入れる新鮮なたまごは白身の部分も弾力があり、たまごかけご飯としてそのまま召し上がっていただいても、その美味しさがよく分かるお気に入りの食材です。

オープンサンドセット

実は営業スタイルを10月以降に切り替えるのですが、これまで提供してきたメニューのなかでも特に好評だったメニューを一部復活させて、これまで以上に美味しく、からだに良い料理を提供していく予定です。ぜひ、多くの方にお越しいただければと思います。

コーヒーサーバー

Q.ホームページの「photo」ギャラリーにあった“パン教室”はいつ開催しているのでしょうか?

週末の金・土・日曜日は営業のため、平日にお子さんが参加できる春休みなどを利用して不定期で開催してきたイベントなのですが、“親子参加”を前提にひと家族3,000円プラスワンドリンクで実施しています。作りはじめてから焼き上がりまでおよそ2時間30分から3時間ほどをかけてパンづくりを楽しむのですが、“いつも食べるパンより100倍美味しい”と子どもたちにも好評のイベントです。

“パン教室”を通じて食べることの“楽しさ”や“感動”を味わっていただければと思い、今後も続けていきたい取り組みのひとつです。

桑原さんが感じる、鶴瀬エリアの魅力

Q.「ららぽーと富士見」ができたことで、親子で楽しめるお店やおしゃれなスポットなども増えてきているかと思いますが、近隣のおすすめのお店を教えていただけますか?

「ららぽーと富士見」ができて、すごく便利になったと思います。日常生活に必要なものはほとんど揃いますし、東上線で都内へ買い物やお出かけやすいのもエリアの魅力です。

お店の表札

近隣に飲食店や雑貨店などのお店がもっと増えてくれたらいいなと思いますが、私自身がよく行くお店としては、「ららぽーと富士見」の近くにある「chapot cafe(チャポットカフェ)」さんや、ふじみ野市の「PARTS-C CAFE(パーツシーカフェ)」さんなどは、ちょっとした時間を利用して行ける貴重なお店です。

それとふじみ野の郊外にある「Smile Bakery 9603」さんもこのあたりでは人気のお店で、手作りの美味しいパンがいただけます。

Q.子育てをする方にとっての生活環境という点ではいかがでしょうか?

お店のある関沢地区は富士見市と三芳町がつながる市境にあり、「鶴瀬」という駅を中心とした生活エリアよりももっと広範な意識で生活圏を捉えているように思えます。

店舗外観

お店で提供している野菜は三芳町から仕入れることもよくありますし、「ららぽーと富士見」も身近で仕入れることのできるお店のひとつです。東上線を利用すれば「志木」の駅前で買い物もできますし、「大宮」まで車で出かけることもあります。

近隣のご家族は車を利用する世帯が多いので、「ダイエー三芳店」をはじめ、スーパーやコンビニ、ホームセンターなど、ひろびろとした駐車スペースを備えたお店が揃っていて、車で移動する機会の多い子育て世帯には特に便利な生活エリアだと思います。

Q.最後に、今後の展望や目標についてお聞かせください。

これまでは育児、家事、お店とそれこそ目の前のことだけで精一杯でしたが、営業スタイルを変える10月以降は少しずつ外に目を向けていろいろな活動にも取り組んでいきたいなと今ようやく思えるようになったところです。具体的にはまだこれからですが、“パン教室”を通じて子どもたちの食育のきっかけづくりをしたり、生まれ故郷の“京都”にちなんだメニューや“鶴瀬”にちなんだ商品の開発をあらためて考えてみるのも面白いかも知れませんね。10月1日からあらたな一歩を踏み出す「Cafe de KOTO(カフェ デ コト)」に、ぜひご期待ください!

Cafe de KOTO(カフェ デ コト)

Cafe de KOTO(カフェ デ コト)

店主 桑原さん
住所:埼玉県富士見市関沢2-25-3
TEL : 049-203-0056
URL:http://koto-cafe.com/index.html
※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

“お母さんたちがゆっくりできるお店”を目指して/Cafe de KOTO 店主 桑原さん
所在地:埼玉県富士見市関沢2-25-3 
電話番号:049-203-0056
営業時間:11:00~15:00 L.O.
定休日:水・日曜日、祝日
http://koto-cafe.com/

住民の想いがこもった夏の催し。“良きふるさと”を多くの人に伝える「みよしまつり」/みよしまつり実行委員会 山田政弘さん・小川智東さん

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ベッドタウンとして開発が進められている三芳町は、東京都に最も近い町。都心部へのアクセスに優れている一方で穏やかな住環境が整っている。その三芳町で、毎年夏の終わりの風物詩として開催されている「みよしまつり」。“ふるさとのお祭り”とも言うべき「みよしまつり」を主催・運営する、実行委員会の山田さん(三芳町商工会会長)と三芳町自治安心課の小川さんに、祭りの概要や三芳町の魅力について伺った。

楽しさいっぱいの「みよしまつり」

三芳町商工会 会長 山田政弘さん(左)と三芳町自治安心課 副課長 小川智東さん(右)

―2015(平成27)年9月5日(土)に開催される「みよしまつり」。まずは、概要から聞かせてください。

小川:「みよしまつり」は、今年で25回目の開催となります。「三芳町立運動公園」をメイン会場に、子どもたちが生涯忘れ得ぬ故郷での楽しい思い出になるように、町民と力をあわせて築いていく“住民手づくり”のお祭りです。

―どれくらいの方が来場されるのですか?

山田:昨年は45,000人が来場されました。しかし会場内だけでなく、遠くから花火を楽しんでいる方も多いので、間接的な参加者を含めると相当な数になると思います。来場されなくても、例えばそれぞれご自宅の玄関先などからも花火を眺めて楽しめるお祭りになっています。

フィナーレの花火(※写真提供三芳町)

―やはり花火がイチオシですか?

小川:花火も魅力のひとつですが、“花火大会”というわけではないので、それ以外のイベントにも注目してもらえたら嬉しいですね。「みよしまつり」を担当している部署は、観光を担当する課ではなく自治安心課。つまり、もともと外部から人を集めようというよりも、地域のコミュニティづくりや活性化を図り、子どもたちに“良きふるさと”を感じてもらいたいというのが大きなテーマです。地元を離れても“みよしまつりがあるから久しぶりに行ってみよう”と思ってもらえることが理想ですね。

祭りを彩るイベントも多数

御輿練り歩き(※写真提供三芳町)

―「みよしまつり」の催し物について聞かせてください。

山田:子どもロックソーラン節、流し踊り、鳴子踊り、組太鼓、御輿練り歩き、阿波踊り、輪踊り、組太鼓、そして最後の花火と続きます。また、ロビーコンサートとして「三芳中学校吹奏楽部」の演奏や、「ぱふぉーまんす広場」でヒーローショー、ダンスなども予定されています。また地域の伝統芸能として、祭囃子の演奏もあります。各地区から4団体が参加するのですが、地区によって形態が異なるので、それぞれの音色が重ならないように会場の四隅で場所を離してあります。三芳町に受け継がれてきた伝統芸能を、次世代に繋げていきたいですね。

お囃子獅子舞(※写真提供三芳町)

―当日は、模擬店は出るのですか?

山田:そうですね。町内で活動しているサークルや各県人会も出店します。模擬店を出すことで生まれる繋がりや交流もあると思います。今回から、“お世話になっているこの町で汗をかきたい“という企業も参加しますよ。

模擬店を楽しむ子ども達(※写真提供三芳町)

―三芳町に限らず地域根ざしたお祭りは、各市・各区でも開かれています。そのなかで「みよしまつり」ならではの特徴はありますか?

山田:少し変わった取り組みとしては、ほんの5分間程度ですが参加者全員でゴミ拾いタイムを設けていることですね。短い時間とはいえ、ゴミを拾うお祭りというのはないでしょう(笑)。イベントとしてゴミを拾うことで、子どもたちも張り切って拾ってくれますよ。「みよしまつり」は作り上げるのも、片付けるのも住民の手でやっていますから、文字通り“住民手づくり”のお祭りなんです。

多くの来場者でにぎわう祭り会場(※写真提供三芳町)

祭りだけではない、三芳町に感じる魅力とは

―三芳町の魅力について聞かせてください。

小川:都心部から30キロ圏内でありながら、“町”としての穏やかな雰囲気が残っていることが三芳町の大きな魅力ではないかと思います。それと、町立図書館の人口一人あたりの貸出冊数が県内1位ということも小さな自慢です(笑)。貸出冊数の上限が多めに設定されていることもありますが、住民の方に図書館などの公共施設を普段からよく使っていただけている証拠ではないでしょうか。

三芳町産の夏野菜(※写真提供三芳町)

山田:生まれも育ちも三芳町の私ですが、自然災害の少ない街だなという印象ですね。大きな河もなく、周囲エリアよりも僅かに高台になっているので水害もありません。また、住宅街でありながら農地が残されており、そこで若い就農者が美味しい小松菜や白菜、ほうれん草などを育てています。スーパーマーケットにも新鮮な地元野菜が並べられ、飲食店でも地元野菜を使ったメニューがあったりと、地産地消が楽しめる街です。

みよしまつり

(左)三芳町商工会
会長 山田政弘さん

(右)三芳町自治安心課
副課長 小川智東さん

※この情報は2015(平成27)年9月時点のものです。

住民の想いがこもった夏の催し。“良きふるさと”を多くの人に伝える「みよしまつり」/みよしまつり実行委員会 山田政弘さん・小川智東さん
所在地:埼玉県入間郡三芳町藤久保1100-1 
電話番号:049-258-0019
開庁時間:平日 8:30~17:15、第1土曜日 8:30~12:00(庁舎1Fのみ)
閉所日:土・日曜日、祝日、年末年始
http://www.town.saitama-miyoshi.lg.jp/


この街をもっと魅力的に!草加に新たな流れを生むカフェ/cafe gallery CONVERSION 店主 今井慶子さん

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2006(平成18)年のオープンより、市内でも数少ない個人経営のカフェとして親しまれている「cafe gallery CONVERSION(カフェギャラリーコンバーション)。築50余年の空き家を活用した趣のある佇まいは、小さな子どもを連れたお母さんからご年配の方まで幅広い層のファンが訪れる地域の憩いの場のような空間です。今回はこちらの店主であり2歳のお子さんのママでもある今井慶子さんに、お店へのこだわりや、草加の街の魅力についてお話を伺いました。

地元にあった築50年の空き家を活用して念願のカフェをオープン

cafe gallery CONVERSION(コンバージョン)

――まず、お店をオープンしたきっかけについて教えてください。この場所を選んだ特別な理由がったのでしょうか。

今井:この場所にお店を開いたのは、私自身が草加で生まれ育ったというのがもっとも大きな理由のひとつで、「いつか自分のお店を開くんだったら、地元でやってみたい」という想いは常にありました。市役所から近いこの物件にしたのは地元の知人からのすすめがあったこと、そして築50年の空き家で安く借り受けることができたという決め手があったからです。

お仕事中の今井さん

今井:お店をオープンした当時は、まだ“リノベーション”とか“古民家カフェ”といった言葉がまだ広く知られていない時期で、業者に頼らず内装から家具、インテリアもすべて地元の同級生や前の職場の仲間にも手伝ってもらって手づくりで仕上げました。

歴史や作り手の想いが伝わるような居心地の良い空間づくり

落ち着いた雰囲気の店内

――お店の特色、コンセプトについても教えてください。

今井:私自身が新しいものよりも歴史の感じられる古いものが好きなため、店内にある家具やインテリア、食器、雑貨類などもすべてアンティークや手づくりのものを中心に使っています。オープン当初は私が陶芸作家として制作していた頃の食器ですべてを揃えていたのですが、今は知り合いの作家さんやいろいろな作品を料理や季節に合わせながら使っています。

店主作成のタイルを使用した机

今井:ちなみにこのテーブルにタイルを貼ったのは私ですし、隣の木製のテーブルも仲間が作ってくれたものです。店内にある一つひとつのものに作り手の想いが込められている、私自身も大好きな居心地の良い空間です。店名の「CONVERSION(コンバーション)」とは、今でこそ耳にするようになりましたが建築分野の専門用語で、「改装、改築」「改変」を意味する言葉で、「このお店を通じて草加の街の流れを変えてやろう!」という意気込みでつけました。今となってはちょっと恥ずかしい気持ちもあり、当時よりもう少し気楽に構えて気負わずにやっています。

地元の野菜を積極的に取り入れた食事メニュー

ボリューム感のある「ほっとけーき」

――おすすめのメニューや、こだわりのポイントはありますか。

今井:ボリューム感のある「ほっとけーき」と16時までゆっくりお楽しみただけるランチがおすすめです。ランチは日替わりの定食をはじめ、パスタ、カレー、「ほっとけーきランチプレート」(950円)など季節や仕入れによって内容が変わります。

日替わり定食も人気

今井:小さな子どもを連れたお母さんからカフェめぐりをしている若い女性の方、年配のご夫婦まで幅広い層のお客さまがいらっしゃるため、扱う食材についても化学肥料をなるべく使わないで栽培された野菜をはじめ、安心・安全なものに配慮して仕入れるようにしていますし、また地元で採れた野菜も積極的に取り入れるようにしています。なかでも小松菜、えだまめ、くわいは草加の特産品としても有名で、こうした地元の食材を活かしたメニューもぜひお楽しみください。

小さな子どものいるお母さんも参加しやすいイベントも開催

――お店ではカフェだけでけでなく、イベントも主催されているそうですね。

今井:はい。飲食だけでなく、音楽イベントや手づくり市、絵本の読み聞かせなど小さなお子さんのいるお母さんも参加しやすいさまざまなイベントを開催しています。また、店内には作家さんによる展示や物販コーナーも用意して、展示している絵本や雑貨など実際に手にとって感じることができるギャラリーとしての役割も担っています。

絵本や雑貨などの展示コーナー

今井:イベントや展示は私が企画することもありますし、持ち込みのイベントもあるので、「やってみたい」とか「興味がある」といった方はぜひ一度ご来店ください。開催スケジュールやイベントの詳細についてはホームページやブログ、フェイスブックでも紹介しているのでそちらも合わせて覗いてみてください。

草加に生まれ育ったからこそ言える“もっと素敵な街にしたい”

お店の雰囲気が伝わる看板

――地元、地域の魅力について教えてください。おすすめのスポットはありますか?

今井:「草加の魅力は?」と聞かれて、ぱっとは思いつかないのが草加に生まれ育った私にとっての率直な感想です。もちろん地場産業として有名な「草加せんべい」や観光名所としても知られる「草加松原」の松並木もありますけれどね。当時、「CONVERSION」という名前でお店を開いたのも「草加の街の流れを変えたい! 人の流れを変えたい!」と思ったからですし、お店について言えば、草加市内には全国チェーンのお店こそ数多くあるものの、個人のお店はまだまだ少なくもっと魅力的なお店が増えることを願っています。

笑顔が素敵な今井さん

今井:このお店で飲食だけではなくイベントやギャラリーなど幅広くチャレンジしてきたのも、地元にお店を開いて子どもも産まれ、このままこの街に住み続けていくのであれば、これからこの街で成長していく子どものためにも“もっと素敵な街にしたい”という想いがあるからこそで、お店を通じて草加の魅力を発信していきたいと思います。

今井:また2015(平成27)年度から縁あって草加市の産業振興課による「そうかリノベーションまちづくり構想検討委員会」にも参加させていただいています。遊休不動産をリノベーションしてあたらしいまちづくりへと挑戦する試みが今ちょうど動きはじめたところなので、行政と民間、大学などの外部有識者による取り組みにも注目してほしいですね。

草加市在住フルーティスト宮川悦子による草加市への提供楽曲、【草加松原】

今井:参加者のなかには小さな子どもを連れたお母さんや、まちおこしに関心のあるOLの方もいらっしゃったりとさまざまで、「そうかリノベーションまちづくり」の活動を通じて子どもも一緒に楽しめるイベントなども企画してきたいと思います。

身近な場所に生活施設も揃う、自転車でも生活しやすい子育て環境

礼場川岸公園

――子育ての環境としてはいかがですか?

今井:子育て環境という点では、市内には子どもと遊べる公園が身近な場所にありますし、買い物も身近な場所ですませられるため子育て世帯にとっては生活しやすい環境だと思います。

通称SL公園

今井:以前、子どもを自転車に乗せて市内4ヵ所の公園を巡ったこともあるのですが、「草加」駅の西口にある「草加神社」に隣接した通称SL公園をはじめ、「日枝神社」の境内にもちょっとした遊具があり、車よりも自転車のほうが散策しやすく、近所の小学校にある藤棚など季節の変化を子どもと楽しむこともできておすすめです。

また「草加松原」の遊歩道は散歩やジョギング、朝はラジオ体操なども行われているようで、草加市民にとっての憩いの場になっています。それと草加では“よさこい”への取り組みも盛んで、11月3日(祝)に開催される「草加ふささら祭り」で披露されるよさこいは、お子さんと一緒に足を運んで見ていただきたい草加ならではのイベントです。

cafe gallery CONVERSION(コンバーション)

cafe gallery CONVERSION(カフェギャラリーコンバーション)

店主 今井慶子さん
所在地 :埼玉県草加市高砂1-10-3
URL:http://www.cafegalleryconversion.com
※この情報は2016(平成28)年2月時点のものです。

この街をもっと魅力的に!草加に新たな流れを生むカフェ/cafe gallery CONVERSION 店主 今井慶子さん
所在地:埼玉県草加市高砂1-10-3 
電話番号:048-928-0188
営業時間:11:00~19:00(L.O.18:00)※ランチは11:00~16:00
定休日:日曜日
http://www.cafegalleryconversion.com/

自ら考え表現する力の育成に力をいれる学校/練馬区立光が丘四季の香小学校 校長 高野博文先生

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都営大江戸線「光が丘」駅周辺には、「都立光が丘公園」のほかに、「四季の香公園」、「春の風公園」、「夏の雲公園」、「秋の陽公園」と4つの大きな公園があり、それぞれの公園近くには、公園と同じ名を持つ小学校がある。今回は「四季の香公園」に隣接した「練馬区立光が丘四季の香小学校」の教育方針や活動、さらには地域の魅力について、校長の高野博文先生にお話を伺った。

2010年に開校した新しい学校

高野博文校長先生

――2010(平成12)年開校と新しい学校ですが、開校までの経緯を教えてください

高野先生:2008(平成20)年に「光が丘第一小学校」と「光が丘第二小学校」の統合準備委員会を発足し、2009(平成21)年に「光が丘四季の香小学校」という校名に決定しました。2年間の統合準備期間を経て、2010(平成22)年4月に正式に開校しました。2つの小学校が統合してできた学校ですが、教職員、保護者の方々も1つに結束しており、とくに保護者の方々の「地域全体で子どもたちを育てよう」という積極的な姿勢には助けられています。

普通学級と通級指導学級や各種専門教室のほか、特別なものではランチルームがあります。ランチルームでは、月に1回お誕生給食を開いたり、音楽会の練習、放課後の学童保育で使用するなど、多目的ルームとなっています。放課後のサポートも、在学中のお子さんを持つ保護者の方や一般の地域住民の方が「学校応援団」として、子どもたちを見守ってくれています。

ランチルーム

――教育目標と、それを目指すにあたって特に力を入れていることを教えてください

高野先生:教育目標は「自ら考える子」「思いやりのある子」「たくましい子」の三本柱で、現在は「自ら考え表現する力」の育成に力を注いでいます。たとえば、3年生以上の算数の少人数指導や、国語科を中心とした研究を進めることで、児童の表現力を伸ばす教育に力を注いでいます。また、遠足・社会科見学などの行事では、社会マナーや協調性などを養えるよう、バランスを考えた教育を目指しています。

学校としては、「楽しい学校」「安心できる学校」「きれいな学校」でありたいと考えています。「楽しさ」は友だちと遊んだりする楽しさだけでなく、“学ぶ楽しさ”、“発見する楽しさ”、“知らなかったことを知る楽しさ”、“できなかったことができるようになる達成感”なども感じられるようにしたいですね。「きれいさ」についても、外観や施設の清潔感だけでなく、教職員同士の情報共有や、学内の情報を包み隠さない、正確な情報を正しい経路で保護者の方たちに伝える“開かれた学校”としての「きれいさ」も表しています。

自ら考え表現する力を育てる

校門

――国語科での具体的な活動を教えてください

高野先生:国語科では、全学年それぞれのレベルに合った研究授業の中で「自ら考え表現する力」を育成しようというもので、2015(平成27)年からスタートしました。一時間の授業ごとに課題を設けるのですが、まず「自分で学びタイム」で児童一人ひとりが課題について考え、その後、グループでそれらを意見交換する「学び合いタイム」を行うことで、お互いの意見を交換します。他人の価値観を知った上で、「振り返りタイム」でさらに考えを深めていくという流れです。実は、以前から理科でもそうした授業体系を構築していたので、それを「国語科」に応用した形になります。「自ら考え表現する力」の育成については、「国語科」が中心にはなっていますが、全科目を通じて、子どもたちが自ら考えたり、他人の意見や主張を聞いたりする姿勢を養っていけるような授業を行っています。

すでに学習の流れがしっかりと出来上がっているため、「学び合いタイム」では子どもたちから活発に意見が出ますが、中には自分の価値観を積極的に表現できない子どもいます。そうした子どもたちにはワークシートなどを書いてもらうことで、できる限り、自らの考えを表現できるようなサポートを行っています。

校内の掲示物

――そのほか、特徴的な取り組みがあれば教えてください

高野先生:異学年交流やなかよし班活動などを通して、児童相互の交流を図ることで自己肯定感を育み、いじめや差別のない学校づくりを推進しています。いじめに成長してしまいそうな芽を発見したら、それが芽の内に解決するように、教職員がいじめとなる初期段階で察知するアンテナを高くするよう全校で共有しています。教職員に対しても、担任ひとりが悩まずに、教職員全員で考える風土が醸成されています。

さらに、本校は特別支援学級の拠点校となっており、「こぶし学級」というものがあります。「こぶし学級」は、在籍している通常学級に通学しながら、週に1日「こぶしルーム(特別支援教室)」に通い、自分の課題に合った学習に取り組んだり、支援を受けるスタイルとなっています。「こぶし学級」には担任が5名と、特別支援教室専門員が1名在籍しています。「こぶし学級」を通して、子どもたちに思いやりの心を育んでいけることを願っています。

こぶし学級

小中が連携して道徳心を育む

――周辺の学校との連携についてはいかがでしょうか?

高野先生:「光が丘第一中学校」との一貫教育を行っています。“児童・生徒・教師間の豊かなコミュニケーションを育む小中の連携”をテーマに、年4回の合同研修会や、授業・行事・生活指導などで連携を深めています。また、本校の児童がスムーズに中学校に移行できるよう、6年生になると中学校の授業や部活の見学も行っています。

教員同士も各教科の情報共有を行っており、「道徳」の授業では、教職員研修センターとも連携しつつ、小学校の授業内容を中学校に検証してもらい、中学校からフィードバックするなど、積極的な取り組みを推進しています。「道徳」の授業だけでなく、たとえば、家庭科であれば「家族の一員としての生活」、図工であれば「情操教育を通じての道徳観」、社会科であれば「社会形成者の自覚」といったように、全科目に道徳的な要素を盛り込んでいます。さらに、生活指導においても、より道徳的な考え方に配慮した指導を行っています。

図工室

――校長先生から見た「光が丘四季の香小学校」の印象を教えてください

高野先生:本校に着任して驚いたのが、8時半から開始する児童朝会でのことです。教職員・児童が8時半前に全員きちんと並び終わっていたのです。あたり前のようで、400~500人の児童がいる小学校では、意外と完璧にできることではありません。児童はもちろん、本校の規律の良さ、時間を守る意識など、教職員の意識が高いことも実感しました。

また、個人的な感想ですが、子どもたちが明るく元気であること、人懐っこいかわいらしさがあります。まさに“子どもらしい子どもたち”と言えると思います。保護者の方たちの協力体制も素晴らしいです。先日も、PTA主催のイベントを行ったのですが、教員や保護者だけでも約40人集まって、イベントを盛り上げてくれました。そんな地域との連携やPTAとの円滑なコミュニケーションは、副校長の力も大きいと思います。

地域連携により、地域全体で子どもたちを育む

地域や保護者の協力も手厚い

――それでは、地域連携について副校長先生からも教えてください

関根先生:本校は有志による「学校応援団」があり、在校中の生徒の保護者だけでなく、卒業生の保護者も参加して、児童を見守ってくれています。PTAも意欲的かつ協力的な方たちが多く、PTA主催のイベントでは「子どもたちが楽しめる環境を作ろう」という想いが実感できます。また、年に1回開催される「応援団まつり」では団長を中心に部会が設けられ、多くの模擬店などで参加してくださいます。児童と保護者で500人くらい集まり、私も驚いたほどです。さらに、本校が所属する青少年育成委員会の第五地区主催で、潮干狩りやミカン狩りといった行事も開催しました.

地域イベントとしては、光が丘の地区祭が行われた際、本校の図工作品展示を行ったり、金管バンドの演奏も行いました。どのイベントも、児童やその保護者の方々の参加率が高いのも特長と言えます。「光が丘公園」という自然環境面だけでなく、近隣住民の人たちに見守られている点でも、このエリアの子どもたちは恵まれていると思います。

――子育て環境としても恵まれた街だということですね

関根先生:先ほど挙げた「安心できる学校」という点においても、近くに防災公園でもある光が丘公園があるのも心強いですね。避難訓練も実態に即した実践的なスタイルで行っており、訓練のための訓練はしていません。また、「光が丘公園」の敷地内でも400~500名の児童を避難させるにはどの場所が安全かも検討しています。

光が丘公園

――光が丘エリアの街の魅力を教えてください

高野先生:光が丘という街は、新しく整備されて作られた街で、「光が丘公園」をはじめとするいくつもの公園もあるので、街並みとして圧迫感がないところでしょうか。また、警察、消防署、郵便局、図書館といった公共施設も多く、全てを近隣で済ませられる点でも便利だと思います。何より、「地域全体で子どもたちを育てよう」という姿勢を持った方たちが多いのが、最大の魅力ではないでしょうか。

光が丘のメインストリート

練馬区立光が丘四季の香小学校

光が丘四季の香小学校

校長 高野博文先生、副校長 関根幸男先生
所在地:練馬区高松5-24-1
TEL:03-3977-2712(事務室)
URL:http://www.shikinokaori-e.nerima-tky.ed.jp/
※この情報は2016(平成28)年11月時点のものです。

自ら考え表現する力の育成に力をいれる学校/練馬区立光が丘四季の香小学校 校長 高野博文先生
所在地:東京都練馬区高松5-24-1 
電話番号:03-3977-2712
http://www.shikinokaori-e.nerima-tky.ed…

「東戸塚に住んでいて良かった」 そう思えるような街にしていきたい。新一グループ株式会社の取り組みとは/新一グループ株式会社 代表取締役 福原稔さん

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1980(昭和55)年に開業したJR横須賀線の「東戸塚」駅周辺は、かつては「線路沿いの農地」だった地域だが、開発により現在では横浜市内でも屈指の人気を誇る住宅地に成長した。その開発はしばしば、「民間活力によって生まれた街」とも形容されるが、実際に、故・福原政二郎という一人の実業家の情熱によって、街の礎が作られてきた。今回は父である福原政二郎氏の理念を引き継いで精力的に活躍しておられる、新一グループ株式会社代表取締役、福原稔氏にお話を伺った。

福原政二郎氏が指揮を執った開発への道

開発の指揮を執る福原氏(中央)

はじまりは昭和30年代ごろです。私の父が、東戸塚の開発をするということでこの街に来まして、「東戸塚に新しい駅を作る」ということをまず第一の目的にして、開発に着手しました。最初は信濃中央(地区)から区画整備を始めようとしたんですが、反対もあったそうで、先に秋葉や名瀬など、周りから開発が進められることになったそうです。

開業当時の「東戸塚」駅

地元で農業を昔からやっていた人は、駅はできてほしいけれど、開発ということに対してはやっぱり不安だったんでしょうね。だから当時は反対に回る人が多かったようです。でも、しっかりと説明をして納得して頂き、今はそういう方もビルのオーナーさんになっていて、開発をして良かったと言ってくれています。

「陸の孤島」と呼ばれていた東戸塚

緑あふれる開発地域

開発前、この周辺エリアはほとんどが農地と山でした。農地があって、その間に谷戸があって、周りは山。バスも1日に何本かしか無く、地主さん以外は住んでいないような場所で、横浜市でありながら、「陸の孤島」とも言われていました。私はその頃小学生で、六角橋に住んでいたのですが、この辺りには夏休みに来て、カブトムシを捕ったりして、よく山で遊んでいましたね。そんな場所でしたよ。

バブル崩壊の影響で難航したまちづくり

「オーロラシティ」

現在、東戸塚のシンボルとなっている「オーロラシティ」は1999(平成11)年の開業で、この街の中では新しいほうの施設ですね。もともとは、もっと早いスピードで開発が進む予定だったのですが、ちょうどバブルの時期とぶつかってしまったので、開発がかなり遅れました。これに拍車をかけたのが、環状2号線の開通の遅れですね。オーロラシティには西武百貨店が入る予定があり、百貨店というのはかなり広範囲からお客さんを呼ばないと成り立たないですから、車で来るお客さんが重要で、結局環状2号線の開通に合わせて、予定よりもだいぶ遅れてのオープンになりました。

開発計画

上品濃地区などは、もともと企業の研究所用地としての開発をしていました。企業の研究所を作るという話もありましたが、バブルが弾けてしまって研究所どころではなくなってしまったので、研究所用地を住宅用に変更できるように地区計画の変更なども行って、そこから新しい住宅の開発を始めて、ようやく、上品濃の開発が完成しました。

“民間活力による開発”が街の発展へと繋がる

西口のビル

開発の内容については、住宅地を中心とした地区計画へとシフトしていきました。駅西口側のビルも、もともとはオフィスだけが入る予定だったのですが、時代のニーズに合わせて地区計画から根本的に変更し、10階以上をマンションにできるように変えました。時代の変化に応じて、そういう風に地区計画を変えていくことで、ニーズに合った環境が提供できるんですね。

「東戸塚」駅 東口

将来的にはさらに人口が増えていくと思われますので、次の開発をやる時には、50年後100年後を見据えた開発が必要になってくると思います。今までもそうだったように、民間で協力をしながら進めてきた”民間活力による開発”を今後も続けていきたいと思っています。

2つの街づくり推進協議会で常に客観的な視点を

「東戸塚」駅 東口ロータリー

東戸塚には、街づくり推進協議会が2つありますが、もちろんそれぞれに役割があります。ひとつが「東戸塚駅周辺街づくり開発委員会」というものですが、これは東口のことです。東口にはもともと地区計画や細かい規定が無いもので、それに代わる街づくりの決まりごと、たとえば壁面後退などについて、決まりを守って建築をしてもらおうということで、この委員会ができています。建築確認を取る前に一度申請を出してもらって、認可を出しているというのがこちらです。

「東戸塚」駅西口

一方、西口側のエリアにはもともと地区計画があるんですが、それによって縛りがある地域なんです。ですので、もうひとつの「東戸塚西地区街づくり協議会」では、そこの地権者さんに集まっていただいて、先ほど言ったように、時代が変わった時にこの用途だと良くないね、といったことがあれば再検討をしていく、そういった団体になっています。

※「ヤマダ電機テックランド東戸塚店」は2016年2月に閉店いたしました

コミュニティFMラジオもインフラのひとつ

「エフエム戸塚」

実は、コミュニティFMラジオ局の「エフエム戸塚」もこの街のインフラのひとつなんです。本来は、災害時に緊急放送をするための放送局です。私が代表をしていますが、協議会の人たちが発起人となり、戸塚区の方々に株をもってもらって、戸塚区の放送局として、ずっと残っていってくれればと思います。

目標は新陳代謝が進む街

「東戸塚開発記念碑」

将来的には「コンパクトシティ」を作ろうという話はしています。開発が一段落した段階で、何が足りないのかということを考えて、それを今後の開発の中で取り入れていく、ということが進んでいくと思います。

東戸塚周辺を俯瞰する

一例ですが、例えば東戸塚には映画館が無いので、今後そういった話も進むかと思いますが、こういった施設は早くに作りすぎてもいけないんですよ。経営が成り立たないんです。これくらい街が成熟してきたら経営が成り立つ、というタイミングがあります。だからそういった施設を、今後は造っていくことになると思います。
この街も年数で言えば30歳代になって、ようやく落ち着いてきましたから、これから50歳100歳になった時に若々しくいられるためには何が必要か、ということを考えていきたいですね。

あとは、この街の中で新陳代謝が進む仕組みも作っていきたいですね。駅近くの便利な場所には、団塊の世代の方が30年ぐらい前に購入したマンションが多いわけですけれど、今はそういった方々も現役を引退して、今後は介護付き住宅のようなものも必要になってくるでしょう。駅前に暮らしてきた方が新しいタイプの住宅に移動して、若い世代の方は駅前中古物件を買うことができる、そういった風に街の中でうまく循環するような街づくりをしていかないといけないと思っています。そのためにも「東戸塚に住んでいて良かった」と思える街にして、また同じ街に住んでくれるようにしないといけないですね。

バランスの良い街で充実した暮らしを

東戸塚再開発地域の駅前広場

やっぱり、子育て世代の人たちには非常にいい街だと思いますよ。緑は多いですし、横浜市全体では子どもの数が減っていますけれど、東戸塚だけは子どもが増えているという状態です。街に住む人の世代バランスも良いですね。開発が遅れたということが、逆に非常にいい傾向に結びついているんです。一度に開発が進んでしまうと、みんな一斉に年をとってしまいますけれど、東戸塚は開発が遅れたことで、いろんな世代がじわじわと増えてきました。

そういった意味では、若い方からお年寄りまでいろいろな世代が暮らしていて、生まれた時から老後まで、過ごしやすい街にできているのかと思います。これからは「コンパクトシティ」の完成を目指して、わざわざほかの街に行く必要が無いくらい「東戸塚は何でもあるよね」という街にしたいですね。みんなで一緒になって東戸塚をもっといい街にしていきたいです。

 

今回お話を聞いた人

新一グループ株式会社
代表取締役 福原稔氏
http://www.shin1.co.jp/
※この情報は2014(平成26)年12月の取材を基に作成した記事です。

上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生

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都心や横浜へのアクセス至便、商業施設や子育て施設が充実していながら、豊かな自然環境にも恵まれている東戸塚。再開発が盛んなこの地域で、「東戸塚」駅が開業する10年以上前に開校したのが「横浜市立川上北小学校」だ。駅前の商業地と住宅地に隣接し、年々児童数が増加している。今回は、武山朋子校長先生に学校の特色や地域とのつながりについてお話を伺った。

地域の方々にとって想い入れある学校

横浜市立川上北小学校

本校は、1969(昭和44)年開校で、平成27年度で創立47年になります。今でこそ「東戸塚」駅から徒歩ですぐそばという場所にありますが、創立当時はこの地域に駅はなく、とてものどかな田園地帯で、子どもたちはずっと平戸の方にある小学校へ歩いて通っていたそうです。それを、地域の方たちが少しずつ土地を出し合って用地を確保し、横浜市にお願いして本校を建ててもらいました。ですから、地域の方たちにとってもすごく思い入れのある小学校なんです。

児童数増加に伴い建替えた新校舎

川上北小学校 廊下

駅前に大きなマンションができたことなどから、児童数はこの10年で3倍に増え、現在30学級の約940人です。戸塚では3番目ですが、横浜市の中でもかなり大規模な学校になります。学区内のマンションから通っているお子さんがかなりの割合を占めていて、今後も学区に新しいマンションが建てば、1,000人ぐらいまで児童数が増えるかもしれません。
児童数の増加にともなって、数年前、校舎も増改築しました。東側にあったプレハブ校舎を鉄筋の新校舎に建て替え、同時に西側の校舎を改修して東西をつなぎ、L字型のとてもきれいな校舎になりました。

元気なあいさつは子どもたちの自慢

横浜市立川上北小学校 絵画

本校の教育目標として挙げられる一つ目は、きちんとあいさつができる子。そして、人の話をきちんと聞いて一緒に考え、活動できる子です。あいさつについては日ごろから教員が積極的に声を掛けていますし、子どもたちも朝校門に立ってあいさつ運動をしています。実際、本校の児童はあいさつがとても上手で、保護者や来校者などからよくお褒めの言葉をいただいています。高学年の子どもたちが積極的にあいさつをするので、それが自然と下の子どもたちにも伝わり、元気なあいさつが自分たちの自慢になっているようです。

国際理解教室を通して各国の文化を学ぶ

川上北小学校 図書室

学習面では、これまで読書活動に積極的に取り組んできました。お母さんたちの朝の読み聞かせはもちろん、保護者や地域ボランティアの方々の協力で、ペープサート(紙人形劇)やブックトーク、おはなしミニコンサートなどを実施しています。
明るく広々とした図書室もあり、2013(平成25)年から司書の方に常駐していただき、子どもたちの読書相談やニーズに応じて本を揃えてもらうなどして、蔵書がすごく充実してきました。子どもたちもよく利用しています。

川上北小学校 図書室

また、横浜市が力を入れている英語学習についても積極的に取り組んでいます。本校では、英語活動と国際理解教室のふたつの授業を行っていて、どちらも英語で話す外国人の先生がいらしています。英語活動では、各クラスとも英語専任の教員がメインで担任がサブティーチャーとなり、アクティビティを中心に楽しく英語活動をしています。また、国際理解教室は横浜市が昔から行っている取り組みで、言葉を学ぶというよりは、いろいろな国の文化に触れることを目的としています。2014(平成25)年はガーナの先生に来ていただいていますが、子どもたちは全く屈託なく英語を楽しんでいます。

いきいきと活動する!『わくわく三大行事』

川上北小学校 掲示

行事については、子どもたちがいきいき活動し、輝けるようにと「わくわく運動会」、「オータムコンサート」、「わくわくランド」という“わくわく三大行事”を開いています。
4色対抗の「わくわく運動会」では、オープニングやファイナルセレモニーの企画運営をする「セレモニーSP(SPはスーパープロジェクトの略)」、各色の応援を担当する「応援SP」など、計9つのプロジェクトチームに分かれて自分たちで運動会を作り上げます。毎年大々的に開催していて、2014(平成27)年は保護者や地域の方たちを合わせ、3,500人で校庭がいっぱいになりました。
また、毎秋、2日間にわたって開催している「オータムコンサート」は、各学年による歌や合奏の発表会で、学年ごとに子どもたちが成長している姿が見られます。

川上北小学校 栽培

2月に開催する「わくわくランド」はいわば、学習発表会です。それまで各学級や学年が生活科や総合的な学習の時間で取り組んできた学習を、ほかのクラスの子や保護者に見てもらう場となっています。例えば、5年生は今、東戸塚にある牧場の牛乳を使ったアイスクリームなど地域の特産品について調べていますし、6年生は備蓄品の調査や起震車の体験をするなど防災について調べているので、そういった発表が見られるのではと思います。

「川北体操」で体力づくり

川上北小学校 校庭

また、体力づくりについては、各クラス対抗のなわとび集会を設けていて、それに向けた縄跳び週間では休み時間もクラスで一生懸命練習しています。また、運動会で音楽に合わせて簡単なストレッチと体操をする「川北体操」を作ったので、毎週月曜日の朝は全校生徒でこの体操をしてから朝会を開いています。

部活や校庭のシェアで交流を深める

川上北小学校 廊下

周辺の小・中学校、保育園との交流も行っています。本校と「横浜市立名瀬小学校」は「横浜市立名瀬中学校」の学区にあたり、3校は教師間でも交流があります。特に「横浜市立名瀬中学校」とは、同校のブラスバンド部を招いて地域音楽祭を開き、中学生と6年生の演奏を地域の方に聴いていただくという活動をしています。また、すぐ隣の「横浜市川上保育園」からは、園児たちがよく校庭に遊びに来ています。自由に来てもらえるようにしているので、授業中などで空いている時間帯に校庭の遊具で遊んでいますね。

上級生への憧れが学校全体の成長へと繋がる

川上北小学校 花壇

本校の子どもたちの特長は、素直さ、明るさ、優しさ、前向きさです。特に、上の学年の子どもたちに下の学年の子どもたちが憧れを持っているところが素敵だなと思います。運動会では各色の応援団長が全学年の子どもたちを集めて一緒に応援練習をしたりするんですが、そうやって先頭を切っている6年生の姿を見て、下の子たちが「カッコいいな」と憧れる。6年生の姿を見て学ぶというのが、本校の伝統になっています。

保護者・地域が一緒に子どもたちを見守る

川上北小学校 校庭

地域の方々との連携については、読書活動だけでなく、クラブ活動でも保護者ボランティアの方にサポートや見守りなどで協力していただいています。PTA役員のみなさんもとても協力的で、運動会前の校庭の草むしりや夏休み中のラジオ体操など、積極的に参加してくださっています。

川上北小学校 かわきたっこ

近年始まったのが、“見守りPちゃん隊”です。朝の通学時、交差点などで保護者の方たちに黄色い旗を持って子どもたちの登校を見守ってもらうという活動で、校外委員さんの協力で全家庭に1本ずつ旗を配り、持ち回りで参加をしていただています。保護者の方たちに登校の様子を実際に見てもらうことで、危険な場所やよくない歩き方に気付いていただけますし、地域の方からもお母さんたちが一生懸命やってくれていると好評です。
このほか、地域の老人会の方たちが毎朝、グリーンのベストを着て1年生の子どもたちを送り出し、下校時に学校まで迎えに来てくださっています。保護者・地域が一緒に子どもたちを見守っていこうというのが、本当にありがたいですね。

今後は横浜市の研修を受けた「学校・地域コーディネーター」をつなぎ役に、これまで個別に活動してきた地域・PTA・支援団体・有識者の各代表などを“川北っ子支援隊”としてまとめていくことで、子どもたちの育ちを支えていく人や組織のネットワークを作っていきます。

自然や人とのつながりといった温かさが残る街

横浜市立川上北小学校

東戸塚という街は、買い物施設が充実しているなど、大人の生活にとっても便利ですが、ちょっと駅から離れるとのどかな畑があり、地域のお年寄りが子どもたちに気軽に声をかけて見守ってくれる街です。学校近くの団地にはすごく立派な桜並木があって、その近くの公園でクワガタが見つかるとか、豊かな自然がたくさん残っています。学習活動でも、子どもたちが近くのお店で社会科の学習をしたり、畑で農家の方からお話を聴き、芋ほりをさせていただいたりしています。便利さもあるけれど、自然や人とのつながりといった温かさが残っているところが東戸塚の魅力ではないでしょうか。

横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子 先生

今回お話を聞いた人

横浜市立川上北小学校
所在地:横浜市戸塚区川上町 63-1
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/kawakamikita/
※この情報は2014(平成26)年12月の取材を基に作成した記事です。

上級生に学ぶ校風を受け継ぎ 地域ぐるみで輝く子どもたちを育む/横浜市立川上北小学校 校長 武山朋子先生
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町63-1 
電話番号:045-822-0845
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/k..

生徒の“自己肯定感”を高める「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み/大田区立貝塚中学校 校長 岩崎数弘先生

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1961(昭和36)年の開校より54年目を迎える、おだやかな住宅地に囲まれた「大田区立貝塚中学校」。生徒の“自己肯定感”を高める取り組みのひとつとして2015(平成27)年度に「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」の指定を受け、生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあう学校づくりを実践しています。今回は校長の岩崎数弘先生に「大田区立貝塚中学校」の特色と地域の魅力についてお話を伺いました。

古代の人々の営みが息づく「貝塚中学校」

「大田区立貝塚中学校(以下、貝塚中学校)」は、1961(昭和36)年の開校より54年目を迎えます。学級数は各学年5クラスの計15学級506名で、区内では中規模から大規模の学校です。

大田区立貝塚中学校

生徒数の推移としては、ここ2、3年で急激に増え、もっとも多い「馬込第三小学校」をはじめ、「馬込小学校」「池雪小学校」「小池小学校」の地元4校から進学してくる生徒が全体の9割を占めています。
「貝塚」という校名はかつてこの土地が馬込村字貝塚と呼ばれていた頃の地名に由来するもので、古代の人々の営みを現代に伝える貝塚が多数発見されたようです。
また長原方面へと向かう途中にある「貝塚坂」も、周辺に貝塚を伴う集落遺跡が見つかったことから名づけられたようで、この土地の歴史を知る貴重な手がかりです。

貝塚坂

生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあう

2015(平成27)年度の教育目標には「進んで学び、広い視野をもった人間を育てる」、「思いやりがあり、責任を重んじる人間を育てる」、「健康で明るく、たくましい人間を育てる」の3つを掲げ、“笑顔と歌声と活気のある学校”をスローガンに学校づくりを行っています。

校舎入口

詳細については当校のホームページからもご覧いただけますが、生徒同士で学びあい、鍛えあい、お互いを支えあい、高めあうなかで豊かな人間性が育まれることを期待しています。また「挨拶が絶えない学校にしよう」というのも目指す学校像に掲げ、居心地の良い学校の雰囲気をみんなでつくりあげています。

生徒が書いたおすすめの図書

“自己肯定感”を育む「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み

また学校の特色としては、2015(平成27)年度に「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組みをはじめたことと、同時に「大田区体力向上モデル校」にも指定されています。

校庭からみた校舎

「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」とは、オリンピック・パラリンピックの歴史・理念の学習、国際的な文化理解、運動・スポーツへの興味・関心を高める取り組みなどを推進するものです。当校としては生徒たちの“自己肯定感”を高めるためのひとつのきっかけとして、この取り組みをはじめました。
また、「貝塚中学校」ではこれまでバレーボール部が全国大会に出場したり、バスケットボール部は区の大会で優勝したり、剣道部やバドミントン部、女子のソフトテニス部なども例年素晴らしい成績をおさめており、生徒たちの良いところを伸ばす取り組みとしても最適でした。

表彰状

“自己肯定感”を高めるためには、勉強に限らず運動でも文化・芸術の分野においても、生徒たちがチャレンジできる機会を増やすことが何より大切だと考えています。
校内をご覧いただくとお気づきになると思いますが、玄関や廊下など多くの人が行き交う場所に生徒たちの美術作品を数多く展示しています。これも“自己肯定感”を高めるためのひとつの取り組みで、自分の作品が校内に掲示されることで達成感や成就感も得られると思います。

受賞したポスター

また基礎的な体力を養うことは、集中力や持続力につながり、運動を通じて規則正しい生活を送ることで時間の使い方も上手になり、結果的に学力向上へと結びつくことも期待しています。

精神的な豊かさを感じられる地域の“人”の魅力

学校周辺の地域の魅力としては、古代の人々がこの土地を選んだことからも分かる通り、山も緑もあって自然に恵まれていた頃の面影は今も住宅地のなかにある農地として残っています。
起伏の多い地形は高齢者にとっては生活のしづらい不便な環境と捉える人もいるようですが、この地域に息づくゆったりとおだやかな雰囲気は実際に訪れてみてはじめて分かる心地良さです。

周辺は落ち着いた静かな環境

地域の魅力を具体的な例として挙げるのは難しいのですが、学校とのつながりという点では町会の方々がフレンドリーで、地域の防災拠点でもある学校の壁塗りを率先して行ってくださったり、ちょっとしたことがあってもギスギスしない物事に対する寛容さにいつも助けられています。

備蓄倉庫の壁塗りも地域と協力して行った

10月に行われた文化祭の「若木祭(わかぎさい)」にも、のべ1,000人もの保護者や地域の方々がご来校くださったようで、地域とのつながりを実感できる貴重な機会でした。

昨今、生活環境の魅力について語る際、駅から近いことや商業施設があることなど街の機能にばかり関心が向けられることが多い気がしますが、感覚的に肌で感じる落ち着いた雰囲気や街の静けさ、また地域に住む方々の精神的な豊かさも“住みやすさ”の大切な要素かと思います。

学園祭の看板

大田区立貝塚中学校

校長 岩崎数弘先生
所在地:東京都大田区中馬込3-13-1
電 話:03-3773-3991
URL:http://academic2.plala.or.jp/kizkj/
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

生徒の“自己肯定感”を高める「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進校」としての取り組み/大田区立貝塚中学校 校長 岩崎数弘先生
所在地:東京都大田区中馬込3-13-1 
電話番号:03-3773-3991
http://academic2.plala.or.jp/kizkj/

伝統的な“和菓子”の文化を次世代へと繋ぐ2人の和菓子職人/wagashi asobi 和菓子職人 稲葉基大さん

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2011(平成23)年4月のオープンより、大田区上池台のアトリエを拠点に、国内外のイベントや茶会など、海外にも活動の場を広げている「wagashi asobi」。稲葉基大さんと浅野理生さんの2人の和菓子職人によるお店で、「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」の2品しか提供しないこだわりも光り、和菓子の未来を切り拓く可能性に満ちた注目のお店です。今回は「ハーブのらくがん」を考案した稲葉基大さんに開店の経緯や和菓子への想い、また地域の魅力についてもお話を伺いました。

こだわりの和菓子が人気の「wagashi asobi」のお二人

地元の方にとって“自慢のできるお菓子”を提供したい

そもそも私は、老舗和菓子店で職人として働くかたわらで、アーティストや陶芸作家、ミュージシャンなどさまざまな業界の人とコラボしながら和菓子の可能性を探求していく「wagashi asobi」の活動を行っていました。ある時、プライベートで通っていたカフェが閉店するのを知り、「この場所を失いたくない」という思いでそのまま借り受けてアトリエ兼店舗としてオープンしたのがこのお店のはじまりです。

もともと石川台から洗足池のあたりに住んでいたため、この長原商店街も地元のような感覚で土地勘はありましたし、地域のみなさまに長年親しんでいただける商店街の小さな和菓子店を目指していた私たちにとってもちょうど良い場所でした。

「wagashi asobi」

地元にお店を開くにあたって大切にしたことは、“地元の方にとって自慢のできるお菓子を提供したい”という思いです。この地域の方々は、手土産を買うのにもわざわざ渋谷や二子玉川まで足を運ぶことが多いですが、この街に“自慢できるもの”を提供することで、この街の方に手土産としても選んでいただけるような、末永く愛されるお店であり続けたいと考えています。

“和菓子”の文化を次世代へと受け継ぐ2人の職人の挑戦

この店で「ハーブのらくがん」と「ドライフルーツの羊羹」の2つの商品に限定したのは、せっかくお店を開いてやるんだったら2人にとって、もっとも得意とする和菓子で挑戦したいという思いがあったからです。上手くいかなかったらそれはそのときで考えようと、今日まで2人で歩んで来られたような状況です。

おしゃれな内装にもこだわりがうかがえる

和菓子業界に目を向けると、店舗の大型化また多店舗拡大により、和菓子やお団子と並んでどら焼きやケーキ、クッキーなど何でも取り扱うお店の業態が主流となり、“おもてなし”にも通じる“和菓子”の文化がいつしか忘れ去られ、“売れるお菓子”を志向している今の状況に疑問を感じていました。

また、“老舗”を良しとする、和菓子に対する世の中の風潮は、若手の独立や開業を難しくしていると感じています。これまで先人たちが培ってきた“和菓子”の文化を次世代へと受け継ぐべく、「wagashi asobi」が小さな支流としてその役割を担っていると考えています。

見た目も美しい2種類の和菓子

和菓子づくりへのこだわりという点では、浅野が「ドライフルーツの羊羹」を、私が「ハーブのらくがん」を考案し共同で作業しています。得意なことに特化しているため、質とクオリティには自信があります。

とは言え、オープンした当初は「何のお店をやっているのか分からない」と地元の方にもなかなかお立ち寄りいただくのが難しく、テレビやメディアを通じてようやく「テレビで見たわよ♪」と徐々に知れ渡り、口コミでお客さんの層を広げてきたような状況です。今ではお客さんの約7割がリピーターの方で、地域の方にも浸透してきたような印象です。

明るいアトリエ兼店舗

「おおたの逸品」にも選ばれた大田区上池台発の和菓子

じつは、浅野のつくる「ドライフルーツの羊羹」は、もともと「wagashi asobi」の活動を通じて、アーティストから「パンのイベントを行うので、パンと一緒に食べる和菓子をつくってほしい」というオーダーをいただいたことから誕生したもので、沖縄県西表島の黒糖とラム酒で炊きあげた羊羹に、ドライフルーツの苺と無花果、胡桃をたっぷり使用しています。

「ドライフルーツの羊羹」

パンに合う和の素材や、和菓子の起源でもある木の実や果物などの食材を照らし合わせ、最良の味や食感の調和を導き出しています。1cmほどの厚さにスライスしてぜひパンと一緒に召し上がってみてください。

思わず手に取ってしまうきれいな外装

切った断面が常に違う“一期一会”の感覚も、まるで抽象画のような視覚的な美しさも楽しめる逸品で、2013(平成25)年度に大田区が認定する「おおたの逸品」に選ばれたのをはじめ、2015(平成27)年度には経済産業省の「TheWonder500™」にも認定され、日本が誇るべき優れた地方産品「ふるさと名物」として大田区上池台発の和菓子が認められました。

「TheWonder500™」の賞状

伝統的な“和菓子”にあらたな息吹きをもたらす職人の技

また、私のつくる「ハーブのらくがん」は、菊や蓮の花をかたどったお供え物としてのらくがんとは異なり、ローズマリーやハイビスカスといったハーブをはじめ、抹茶や果物など香料や着色料を一切使用せず、素材そのものを練り込んだお菓子で、らくがんの新たな楽しみ方を提案しています。

「ハーブのらくがん」

一般的に用いるものよりもきめの細かい砂糖と寒梅粉を使用しているため、口溶けがなめらかですし、素材の美味しさも引き立ちます。ラインナップは「ローズマリー」「ハイビスカス」「カモミール」「抹茶」「いちご」「ゆず」の6種類で、季節によって「南高梅」や今提供している「ほうじ茶」も限定商品として扱っています。

季節の味も楽しめる

「wagashi asobi」では今後も、“和菓子”という文化を次世代へと受け継いでゆくため、「一瞬一粒(ひとつひとつ)に想いを込めてつくる。」を理念に、地域に根ざしたお店として活動していきます。

店内に並べられた和菓子

将来的な可能性を秘めた水辺のある街

古くから水のあるところには文化が育まれてきていますが、吉祥寺にとっての「井の頭公園」のような、「洗足池公園」や「小池公園」といった水辺が近くにあるこの環境には、将来的な可能性を秘めた魅力ある土地として期待をしています。

「洗足流れ」沿いの落ち着いた街並み

代々続くお店が多いなかで、パン屋さんやケーキ屋さんなどあらたに出店するお店もあり、今後ますます感度の高い個人経営のお店が増えていって欲しいなと思います。

街の賑わいという点でも、個々のお店がそれぞれ専門店としてその魅力に磨きをかけることこそが大切で、個々の魅力アップが結果的に人の流れとなって街に活力をもたらすと考えています。個人的にはギャラリーを併設したカフェや本屋さんがあるといいなと常々感じています。

またこの地域のおすすめスポットとしては、「洗足池公園」や「小池公園」については先ほども触れましたが、「洗足池公園」から住宅地へと流れる“洗足流れ”も大好きな街並みです。

春は桜、秋は紅葉と、季節の移り変わりを楽しみながら散策できたり、地元の有志によるホタルを自生させようといった活動もあり、この地域ならではの魅力を感じます。

町の中にある立札

こだわりの和菓子が人気の「wagashi asobi」のお二人

wagashi asobi

(写真左)稲葉基大さん(写真右)浅野理生さん
所在地:東京都大田区上池台1-31-1
電話:03-3748-3539
URL:http://wagashi-asobi.com
※この情報は2015(平成27)年11月時点のものです。

伝統的な“和菓子”の文化を次世代へと繋ぐ2人の和菓子職人/wagashi asobi 和菓子職人 稲葉基大さん
所在地:東京都大田区上池台1-31-1-101 
電話番号:03-3748-3539
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
http://wagashi-asobi.com/index.html

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生

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20年前の開発で生まれたニュータウン、八王子みなみ野エリアは住民たちの愛情を受け、落ち着いた雰囲気の便利で美しい街へと成長した。駅から住宅街を抜けると、静かに姿を現す「八王子市立みなみ野小中学校」。2009(平成21)年に小中一貫校として新たに生まれ変わった学校は、全校舎2階建ての広々とした校舎で、小中併せて1,000名以上の子どもたちが毎日元気に通学している。今回は学校長の校長 石代(こくだい)俊則先生に、街とともに歩む学校の特徴や、ニュータウンの魅力を伺った。

ニュータウンの誕生と良好な学習環境

モダンな校舎外観。窓も大きくたっぷりと光が差し込む

―まずは学校の沿革からお聞かせください。

石代校長:本校は小学校・中学校とも1997(平成9)年4月に開校し、来年で20周年を迎えます。当時は「八王子みなみ野」駅もなく、周囲は畑や緑地に囲まれた自然豊かな地区だったようです。もともと八王子ニュータウンの開発と共に「八王子みなみ野」駅も開業し、学校も開校したという、まさに街の発展と共に歩んできた学校です。開校当時は小中学校は隣り合ってはいるものの、それぞれ独立した学校でしたが、2009(平成21)年4月から小中一貫校として新たな歩みを踏み出しました。

現在、小学生が6学年合計631名。中学生が合計498名、小中学校併せると全校生徒1,129名が在校しています。

小学校の廊下。外観からは想像もつかないほどふんだんに木材が使われている

―建物も非常にモダンな造りになっていますね?

石代校長:ご覧の通り小中学校ともども全校舎が2階建てで、コンクリート打ちっぱなしのモダンな造りになっています。20年経った今でも印象は変わらず、建設当時はかなり先駆的なデザインだったろうと想像します。駅から歩いて来ても、いわゆる学校らしい建物が現れないので、近くに来るまでどこに学校があるのかが分からないと言われたこともあります。新しい街の雰囲気に合った、景観にそぐわしい建物だと思います。

特に小学校は、低学年の校舎は木をふんだんに使った造りになっていたり、図書室はとんがり屋根で独立した建物になっていたりと、校舎の造り自体が楽しいんです。校庭は広々としていますし、晴れていればベランダから富士山も見えますし、非常に良い環境です。

小中一貫の特徴を生かした教育活動

景色もいい広々とした校庭。部活動をする生徒にとっては非常にうれしい環境だ

―小中一貫ということで、小中学生の交流はどのように行われているのでしょうか?

石代校長:中学3年生が小学校低学年の子どもたちと校内の草取り活動をしたり、小学6年生の子どもたちが“オープンクラブ”と称して中学校の部活動の体験に行ったり、中学の図書委員たちが小学生に本の読み聞かせに来てくれたりと、交流の機会は頻繁にあります。また小学生が「中学校の図書室を探検してみよう」と訪れたり、あえて交流と言うまでもなく自然にお互い行き来をしている、という感じでしょうか。職員室は小中合同ですし、校舎も玄関も中庭もつながっていますので(校庭だけは怪我の無いようにネットを張っていますが)、日常的に一緒にいるという雰囲気です。

また交流とは少し違うかもしれませんが、体育館や校庭など、小学生が放課後に使用しないときは、中学校の部活動で使用しています。普通はバレーボールやバドミントンなどの室内競技は狭い場所で活動したり、曜日交代にすることも多いのですが、本校では施設は目一杯利用できるので、それも大きなメリットです。

小学校の教室の様子

―小中学校の先生方の交流もあるのでしょうか?

石代校長:はい。小中の先生方が一緒に研修や研究授業を行い、それぞれの内容を確認したり意見を言い合ったりしています。昨年は「道徳」の授業で研究授業を行いました。小学校の授業内容を中学の先生が聞くことで、内容や進度を確認し、「どんなところでつまずくのか」「中学で勉強が分からなくなってしまうポイントはないか」などを考え、改善することもできます。また中学での内容を小学校の先生が理解することで、「どう中学の勉強につなげて行ったらよいか」が分かり、授業の組立ての参考にすることもできます。今後は連携する部分をもっと増やしていこうと考えているところです。

壁がなくオープンになっている教室もある

―小学校の子どもたちも中学の先生の顔が分かっていれば、安心ですね。

石代校長:そうですね。ただ私は中学入学時のリセットできるよさもあると思っています。というのは、小学校と中学校では先生の対応から授業の形態までかなりガラリと変化します。それまでは色々と面倒を見てもらえた小学生が、中学に入れば自分で考え判断する機会が増える。生徒会もあって、自治力も試される。つまり大人への一歩を踏み出すわけです。

小中一貫校ということで、小学校と中学校の垣根は低いのですが、その中学への一歩が少しステップが大きいという心構えと、背筋が伸びるような新たな気持ちは持ってほしいと考えています。

とはいえ、例えば中学に入ってから少し学校に来づらくなっている子どもや、小学校の時と様子が変わったなど、子どもに心配な様子があれば、小学校時代を知っている先生が同じ職員室にいる安心感はあります。小学校教諭も中学校教諭も、等しく子どもの健やかな成長を願っているわけですから、強い信頼関係のもと一緒に問題解決にあたりたいですね。

この地区独自の学校への協力体勢

木々や花々が多い学校内。保護者の協力もあってこそ、美しい状態で保たれている

―PTA組織がないというのも大きな特徴ですね?

石代校長:開校当初からPTAという組織ではなく、小学校には「みなみ野会」、中学校には「かたくりの会」という保護者たちのボランティアの会があります。毎年各クラスから選出されたメンバーで構成され、花壇の管理や防犯パトロール、掃除などを行っています。メンバー以外の人数が必要なときは、その都度ボランティアを募い、多くの保護者の方たちが手を挙げてくださり活動してくださっているようです。内容的にはPTAで担う役割を全てカバーしているので、学校としては大変助かっています。当時のことは詳しくは分からないのですが、みなみ野地区が新しい街として誕生したときに学校も開校し、みなみ野独自の新しいやり方で学校に協力しようという気運が高まったのではないかと思います。皆さんの協力的な姿勢や熱心な活動に触れるにつけ、保護者の方々のそういった思いは、今なおしっかり引き継がれていると感じます。

吹き抜けの昇降口

―地域コーディネーターの方はどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか?

石代校長:本校の地域コーディネーターは卒業生の保護者で、長年継続して担当してくださっているので、色々な行事や保護者ボランティアの役割などについて熟知した生き字引的存在です。保護者ボランティアは毎年メンバーが変わるので、コーディネーターの指導やアドバイスがあってこそ円滑に回っているのだと思いますよ。

また私も昨年から赴任したばかりなので、この地域の方々の考え方や感じ方など肌感覚の部分をずいぶんと教えていただきました。実は昨年、子どもたちの多くが感染症にかかったことがありまして、その時に私はコーディネーターに学校の取るべき対応を相談したことがあります。その時は「憶測や噂が飛ぶ前に、学校として公的な文章を出そう」「緊急保護者会を開こう」ということになったのですが、そのときも非常に的確なアドバイスをもらうことができて助かりました。

私自身、学校で起きたことは良いことも悪いこともオープンにしていきたいので、コーディネーターにも保護者ボランティアにも色々相談しながら学校運営をしていきたいと思います。そういう意味でも、コーディネーターは実に頼りになる存在です。

地域の協力を得て江戸東京野菜を育てる体験をしている

―地域の方々と子どもたちの交流はあるのでしょうか?

石代校長:この地域には「みなみ野自然塾」という里山環境の整備や畑作・稲作の活動をする市民団体がありまして、この方々と一緒に田植えをさせてもらっています。また学校のすぐ裏にある小比企町という街に農園をされている方があり、そこに農地を借りて子どもたちが江戸東京野菜を育てています。

「みなみ野サマーブリーズコンサート」に参加した際の様子。写真はみなみ野小の音楽クラブ

また地域の夏祭りに中学校の生徒会の子どもたちが出店を出したり、地域のイベントに吹奏楽部やダンス部の生徒が出演したりもしています。今後は地域の方々との交流をもっと深めたいので、地域の教育資源の発掘にも力を入れていきたいと考えています。

愛される子ども、愛される街

教室風景

―学校での子どもたちの様子はいかがですか?

石代校長:この街の成り立ち自体が、大きめの戸建ての住宅を中心に街づくりをしてきたこともあり、全体的に落ち着いた鷹揚な雰囲気があります。ですから子どもたちの性格や普段の生活態度においても、非常に落ち着いていて、アカデミックな雰囲気があると感じますね。保護者の方々にお会いしても、お父さん・お母さん・子どもがそれぞれの家庭の中で担う役割をしっかりと果たしているのが伝わってくる。学校としては非常によい環境だと思います。保護者会ひとつを取っても、参加率は7~8割とほとんどの保護者の方々が学校に足を運んでくださっています。教育にも熱心ですし、子どものことをよく見ているなぁという印象です。

実は八王子市の中学校は選択制で選べるようになっているのですが、このみなみ野小中学校周辺は治安もよく、子どもの非行率や犯罪率が非常に低いこともあり、毎年多くの希望者が集まります。

放課後の校庭の様子

―この街の魅力を教えてください。

石代校長:先ほども言いましたが、整然と並んだ街並や落ち着いた街の雰囲気を見ていると「ここに住みたい」と思っている人たちが住んでいる「愛されている街」だと感じます。駅前には大型のショッピングモールも建ち並び、かといって高層のビルが建っているわけではなく、少し歩けば自然も緑もたくさん残っている。実に暮らしやすい、住みやすい街だと思いますよ。

また古くから住んでいる人と言っても街の歴史自体が20年ですから、いわば全員がどこか別の土地から引っ越してきた人たち。新しく転入してくる人への目も優しく、温かいと思います。

石代 俊則 先生

今回、話を聞いた人

八王子市立みなみ野小中学校
校長 石代(こくだい)俊則先生

所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-2
TEL:042-636-0061
小学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmne/
中学校HP:http://hachioji-school.ed.jp/mnmnj/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。

街と共に歩み、成長する「八王子市立みなみ野小中学校」/八王子市立みなみ野小中学校 校長 石代俊則先生
所在地:東京都八王子市みなみ野6-14-1 
電話番号:042-637-1151
http://hachioji-school.ed.jp/mnmne/


「あ・そ・び・だいすき七里っ子」。児童一人ひとりの可能性を伸ばす取り組みとは

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さいたま市見沼区にある「さいたま市立七里小学校」は平成28年度に創立145周年を迎える歴史ある学校。初代校長先生は、第23代内閣総理大臣の清浦奎吾先生。「なかよく助け合う子。なんでもがんばる元気な子。しっかり考えて学ぶ子」を学校教育目標に掲げ、自然豊かな落ち着いた環境で子どもたちは健やかに成長している。そんな「さいたま市立七里小学校」について丸山雅夫校長先生にお話を伺った。

初代校長先生は第23代内閣総理大臣

初代校長先生 23代内閣総理大臣 清浦奎吾

―― 平成27年度で、創立144年を迎える伝統校ですね。これまでの歩みについて教えてください。

丸山校長先生:1872年(明治5年)に大円寺に「風渡野学校」として開校した、市内でも古い学校の一つで、2016(平成28)年には145周年を迎えます。本校の初代の校長先生は第23代内閣総理大臣の清浦奎吾先生で、23歳の時に校長をされ、後に総理に就任されたそうです。本校には、清浦先生の書が残っており、校長室に飾っています。1901(明治34)年4月21日から現在の場所になり、その日は開校記念日にもなっています。同年には、本校のシンボルツリーとなっているクスノキが植えられました。1975(昭和50)年前後には児童数が2千人を超え、校庭にはプレハブ校舎が立ち並ぶなどマンモス校でもありました。

丸山雅夫校長先生

―― 現在の児童数や、教育目標について教えてください。

丸山校長先生:児童数は男子200名、女子209名、合計409名です。クラスの数は1年生と2年生が3学級で、3年以上が2学級、全部で14学級です。教育方針としては、私が着任してから「あ・そ・び・だいすき七里っ子」を合言葉にしています。「あ」のあいさつは人間関係、「そ」の掃除は環境、「び」のびっくりは感動、「だいすき」は興味関心、それを「声」に出すという取り組みをしています。

子どもたちも楽しんで取り組むタブレット端末授業

一生懸命授業に取り組む子どもたち

―― 授業研究部と体力向上推進部、また、さいたま市教育委員会より「教育の情報化」の研究委嘱として取り入れている「ICT」についても教えてください。

丸山校長先生:2014(平成26)年までさいたま市教育委員会より体力向上の研究推進校の指定を受けていたので、授業研究部と体力向上推進部がありました。2015(平成27)年と2016(平成28)年は「教育の情報化」の研究校指定を受けており、その一環として「ICT」の取り組みを進めています。具体的には、およそ一学級分のタブレット端末を用意しており、子どもたちは図工、算数、理科、社会などの授業で、一人一台タブレット端末を使用しています。また、写真を撮ったり、画面に必要なことを書いたり、電子を資料集として使ったりと全学年で授業活用しています。子どもたちは授業にも楽しんで取り組んでいます。

児童も教師も垣根を越え、みんなでつくる七里小

活動の様子を掲示板で紹介

―― 七里小学校ならではの行事や取り組みについて教えてください。

丸山校長先生:2015(平成27)年から「七里っ子タイム」という、木曜日限定のみ昼休みの時間を長くとる取り組みをしています。子どもたちが思い切り遊べるようにと始めた取り組みですが、時には「くすのきタイム」という、縦割り活動の機会を設ける日もあります。「くすのきタイム」では、1年生から6年生で編成した縦割りのグループで子どもたちは活動します。2015(平成27)年には初めて「全校徒歩遠足」という縦割り班での遠足を行いました。6年生が中心となって近くの公園までお弁当を持って出かけ、クラスや学年の枠を超えてみんなで楽しく活動しました。他にも「縦割り掃除」や「交流給食」も行っています。

このような活動を通して、高学年はリーダーシップを発揮し、互いを思いやる心が育まれ、児童間や児童と教師間の人間関係の醸成が図れるようになりました。また2014(平成26)年には児童会が中心となって全児童からアイデアを募り、学校の「ゆるキャラ」を決めました。クスノキの形のキャラで、今後は名前を決めようと準備を進めています。教師だけで物事を決めるのではなく、児童も学校の取り組みに関わりながら、皆で一緒に学校をつくっていることも本校ならではの魅力だと思います。

授業風景

―― 小中一貫教育にも取り組まれているそうですね。

丸山校長先生:小中一貫教育はさいたま市が進めている施策です。本校は「さいたま市立七里中学校」、「さいたま市立東宮下小学校」の3校で定期的に連携をしています。今は中学校から数学と音楽の先生が週に2回授業のために本校に来て、指導にあたっています。また、さいたま市では小中一貫教育推進のために、年に1回「つぼみの日」という交流の日を設けています。その日を利用し、6年生が中学校を訪れ、授業を見たり部活を体験したりしています。この取り組みは中1ギャップへの対策にも繋がっています。また、教師間では各学期に1回、互いの学校を訪問し授業を参観したり、夏休みに長時間の小中合同の研修会を設けるなどの取り組みも行っています。

地域、教員一丸となって支える子どもたちの成長

歴史資料室の展示

―― 地域のみなさまとの関わりについても教えてください。

丸山校長先生:本校は歴史のある学校なので、地域のみなさまは、本校の卒業生も多く、おじいちゃんおばあちゃんも本校の出身という方が多いんです。また、地域のみなさまもそうですし、みんな「七小出身だよ」と、よく話をしています。そのような環境であることから、地域との結びつきが非常に強く、本校に対しても地域のみなさまは応援をしてくれています。登下校の防犯ボランティアは多くの地域の方が積極的に参加してくださっていますし、各行事や授業にもボランティアとして参加していただき、子どもたちにも近い存在になっています。地域のみなさまはとても温かく、学校教育にも協力的です。地域のみなさまへの日頃の感謝の気持ちも込めて、子どもたちが頑張る姿を見て頂きたく、学校公開日を毎学期に設けることに決めました。また、本校には郷土資料室があり、昔の資料や写真を展示しているので、本校を卒業された地域の方や保護者の方が懐かしそうに資料をご覧になっています。

小学校に保管されている昔の教科書

―― 七里小学校に通う子どもたちの特長について教えてください。

丸山校長先生:子どもたちは素直で明るい子が多いです。楽しい時は楽しい、嬉しい時は嬉しいと、全身で表現できる子どもたちです。また保護者の方々も協力的で、特にPTA活動では25年度には「優良PTA」として文部科学大臣賞を受賞しました。「おやじの会」という組織もあり、学校応援団として学校を力強くバックアップしてくれています。例えば2015(平成27)年では、運動会の前日まで大雨で、当日晴れたものの、グラウンドが水たまりでいっぱいでした。けれど、お父さん達がグラウンドを綺麗に整備してくれて、無事運動会を開催することができました。他にも児童が靴を脱ぐときに使うスノコを作ってくれたり、バザーなど色々な活動をしていただいています。本当に有り難いことです。

心を潤す言葉

―― 指導に際して、先生方が心がけていらっしゃることはありますか。

丸山校長先生:職員には「すべてはこどものために」という理念で取り組むようにと伝えています。職員一同、何かに取り組む時に、それが子どもたちのためになっているのか、という尺度で指導するようにしています。子どもたちのために何ができるのか、職員全員が考え、一人ひとりの子どもに温かい指導ができるように心がけています。子どもが中心にいるような学校づくりが目標です。

日本一、子どもの表情が良い、夢の持てる学校にしたい

卒業記念「夢」

―― 今後力を入れていきたい事柄について教えてください。

丸山校長先生:「日本一、子どもの表情が良い、子どもたちが夢の持てる学校にしたい。」と考えています。さいたま市は「ゆめをもち、未来を切り開く、さいたま市の子ども」という学校教育ビジョンを打ち出しています。「知・徳・体・コミュニケーション」のバランスの取れた子どもたちを育みたいというのが、さいたま市の目指す子ども達の「像」です。さいたま市の学校の一つでもありますし、子どもたちがいい表情で夢を持てるような学校になればいいなと思っています。「夢面談」と呼んでいる子どもとの面談を行い、2015(平成27)年の卒業生全員と一人ひとり面談をしました。一対一で話すと本心で話してくれて、「こういうことを考えていたのか」とようやく分かったこともあります。面談した後子ども達に「夢」と書いてもらってそのパネルを校長室に飾ってます。2016(平成28)年も引き続き実施しようと考えています。

子どもたちの作品

―― 最後に、子育て環境としての七里エリアの魅力について教えてください。

丸山校長先生:この街は緑が多く、自然と住宅が調和した地域です。カブトムシがよく採れるような広い公園が近くにあり、また岩槻ICや大きな幹線道路、「七里」駅も近くにあり、交通も便利です。子育てするには大変素晴らしい環境と言えます。

さいたま市立七里小学校

今回お話を聞いた人

さいたま市立七里小学校
校長 丸山 雅夫先生
住所:さいたま市見沼区大字東宮下312
TEL : 048-683-3513

※この情報は2016(平成28)年1月時点のものです。

「あ・そ・び・だいすき七里っ子」。児童一人ひとりの可能性を伸ばす取り組みとは
所在地:埼玉県さいたま市見沼区東宮下312 
電話番号:048-683-3513
http://nanasato-e.saitama-city.ed.jp/

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<前編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生

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「麹町中学校」の開校は終戦とほぼ同時期、学制が施行された1947(昭和22)年春であった。それ以来現在に至るまで、政治の中枢である永田町に最も近い公立中学校であり続けており、付近に住まう政財界の重鎮やその子弟も、かつてはこの学校に多く通っていたという。今は「進学校」と言えばまず私立校を思い浮かべる時代になっているが、公立学校がエリート街道だったという時代もあり、麹町中もその一角を占めていた。「番町麹町日比谷東大」という言葉も、昔から都内に住む人の間ではよく知られている。千代田区に住み、「番町小→麹町中→日比谷高→東京大学」と辿るのが、かつてのエリートコースの代名詞だった。
その後時代は変わり、学校群制の導入などもあり、カリキュラムの構築が比較的自由な私立校に「進学校」としての地位を奪われる形となった。そうした状況の中、昨年春、ここに赴任した工藤勇一校長が麹町中再建に向けて、ユニークな施策の数々を打ち出している。
今回はそんな工藤校長の施策とそこに秘めた思いについて取りあげながら、“麹町中の今の姿”を前後編の2本立てでご紹介していきたい。

良好な設備にも後押しされる環境

自身の思いや教育のなんたるかを分かりやすく聞かせてくれる工藤勇一校長

麹町中の生徒数は現在、約340名余り。3学年が4クラス、1・2学年が3クラス、特別支援学級が1クラスで編成されている。校舎自体は各学年4クラスの構造になっているので、十分なキャパシティを持っているが、千代田区の子どもの数は減少傾向にあり、私立へ流れる割合も比較的高いことから、生徒数はここ数年、不安定な傾向にあるという。「生徒数を4クラスで安定させたい。」というのも校長の願いのひとつであるという。

屋内にある温水プール

表千家の作法を学ぶこともあると言う和室

学校の特徴としては、「公立校でありながら非常に設備が充実している」という点がまず第一に挙げられるだろう。2012(平成24)年に建て替えられた地下1階、地上6階建ての鉄筋造りの校舎は頑強で、近代的な造りになっている。工事現場や首都高が隣にあっても、外からの物音はシャットアウトされており、静謐な学習環境が守られている。また、都心立地ながらも十分な広さの校庭を持っている。プールは屋内設置の温水プールで、屋上には天然芝の広い庭園があり、立派な和室や、最新設備を備えた会議室、まるで大学のホールのような、広い階段教室も備えている。

こうした恵まれた環境の中で、生徒たちは日々、勉学や自主的な活動に励んでいる。

千代田区立麹町中学校 外観

変革のフェーズその1 ~学校の組織改革、「麹中メソッド」の確立

「一昨年までここは、まだまだ普通の学校だった。でもこれからは違う。公立学校の目指すモデルにしたい」と、会う人すべてに公言しているという工藤校長。校長はもともと中学校教諭はもちろん、東京都や目黒区、新宿区等、教育委員会等にも在籍した経歴を持ち、都の教育行政には精通している人物だ。その工藤校長が「教育の世界を変えるきっかけになりたい」という麹町中の改革とは、一体どんなものだろう。

まず、校長が赴任した2014(平成26)年、早々に行ったのが、「問題点の洗い出し」だった。自らの経験から見えた問題点だけでも約300項目、さらに教諭との個人面談や、学年や部署ごとの討論から挙げられた問題点も加え、合計340項目にも及ぶ問題点のリストを作り、まずはその問題点について解消する、改善する、という方向で動き出したという。

背の高い窓からは外光がたっぷりと取り入れられる。

学校のシンボルでもあるソテツの木

この改革は半ば強引にスタートしたというから、当初現場は困惑しただろうが、1年目の年度末には、そのうちの半分、170項目について解決し、ほかについてもほぼ解決の方向性を見出したという。「最初はある程度のトップダウンは仕方ありません。でも今は、職員が一丸となって改革に取り組めるムードができてきました」と、校長は話す。

「どんな世界であれ、自分の意志をもって社会に出ていく人を育成する」というのが、工藤校長が目指す中学校の教育像だ。その実現を目指す手法に「麹中メソッド」という名前を付け、生徒はもちろん、教職員にも浸透を図っている。

放課後に図書室を自習室として開放したこともメソッドのひとつ。多くの生徒が集まり自習に励んでいた

その柱は主に二つ、
 1 社会で必要とされる学び方の習得を支援する
 2 個性・特性を伸ばす機会を支援する
という二つに集約される。さらにこれを実践する中でキーワードとなるのは、下に記した8つの言葉だという。

 ・様々な場面で言葉や技能を使いこなす
 ・信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する
 ・感情をコントロールする
 ・将来を見通して計画的に行動する
 ・ルールを踏まえて、建設的に主張する
 ・他者の立場で物事を考える
 ・目標を達成するために他者と協働する
 ・意見の対立や理解の相違を解決する

これらの言葉を見ても分かるように、普通の公立中学校の「学校目標」や「目指す生徒像」とはずいぶん言葉の質が違う。どちらかと言えば、大人の社会で用いられる言葉だ。

麹中の目指す生徒像

しかし工藤校長は、「今までの学校教育は“心の教育”ばかりを謳ってきた。しかしそれではいけない。私が目指しているのは“行動の教育”です。実際の社会では行動が問われることが多い」と語る。

「善い心を持っても、善い行動を起こさなければ、何もしないのと同じ。たとえ、不順な動機でも善いことを行動に移す人の価値が高い」という論は社会のなかで生活していれば納得せざるを得ない。そして、“常に道徳的であれ”という「ある意味、大人でさえもできないことを子どもの目標にしない」、というのも校長の一つのポリシーだ。
この8つの言葉は通知票にも評価項目として追加され、生徒たちは少しずつこの言葉を意識ながら行動するように、変わってきているという。

同窓会から寄贈されたIT教卓「映るんボード」各教室に1機完備されている

「生徒にはいつも、再現性のあるスキルを身に付けるよう話をしています」。経験を繰り返して身につけた力は、その後の人生で繰り返し再現され、再現するたびに強くなる。そのきっかけを与えるのが、中学校の役割であると工藤校長は語る。

普遍的な価値観に慣れてもらい、そこから社会で生き抜く「本物の力」を会得してほしい。そういった願いがあるのだろう。

公立校の限界を打破する、放課後の活用 ~「麹中塾」とサークルの誕生

麹中塾のスケジュール

公立校は国が定めたカリキュラムに沿わなければいけない。その自由度は低い。対して私立校は自由度が高く、学年をまたいだ内容も学ぶことができる。この差は授業だけではどうにも埋められない。それが今の公立校の低迷の原因の一つになっている。
その打開策は案外簡単に、意外なところに見出すことができた。「放課後の活用」である。

従来放課後は、部活で活動をしている生徒以外は早々に帰宅する、というのが一般的だ。だったらそこを、「放課後も残って色々できる学校にすればいいのでは?」というのが、改革の一つの目玉へと結びついた。それが「麹中塾」とサークルだ。

「麹中塾」とサークル活動は放課後に自由参加で行っているもので、イメージとしては部活や生徒会に準ずるもの。学校の教諭ではなく、外部から雇った専門の講師を呼んでいるのが大きな特徴である。

大学の講堂のような階段教室。この日は文化祭の合唱に向けた練習が行われていた

「麹中塾」には「補習塾」と「発展塾」がある。これは図書館に併設された自習スペースを使い、1コマ90分、大学生の指導の下で学習するというもので、「補習塾」ではその名の通り、その週の授業の補習について、大学生にサポートしてもらいながら進める。いわば個人指導型の塾のようなものだ。

「発展塾」は、授業では取り組めない高度な内容について大学生が教えたり、実験をしたり、討論をしたりと、大学生が考案したユニークなプログラムに沿って行われる。塾の講師となるのは東大、理科大、上智大などの名門校の研究室に声をかけ、校長が「一本釣り」をして招いたという学生達。授業内容は彼らに一任しており、工藤校長が唯一依頼したのは「見本であること」だ。「教師よりも身近な存在が大学で学びながら、楽しく・懸命に生きている姿を見せてほしい」。そうした熱意が届いてか、学生たちが面白い授業をするために趣向を凝らし、生徒たちにとって良い刺激となっているそうだ。

工藤校長がサークル等で使えるようにしたという屋上農園

一方、サークル活動の内容も充実してきている。例えばテレビ局から現役アナウンサーを講師に招いての「アナウンス塾」。これは単に喋り方だけではなく、朗読など感情の込め方、分かりやすいプレゼンテーションの仕方など、まさに社会で実践されていることを、教えてくれるという。

武道館・ダンス部の部活風景。いずれは放課後にたくさんの生徒が残って何がしかの活動をしているというのが理想だという

その他には屋上庭園で野菜を栽培し、それを販売して市場原理を学ぶ「麹中ファーム」についても、これから本格的に稼働させていく。その他、文化祭前の期間限定で行われる演劇サークルなども、外部からプロを招いて行っているもので、サークルの一環である。

今後は授業の中にも「その道のプロ」を招くことを考えており、近日中だけでも、陳建一シェフを招いての家庭科の授業や三國清三シェフによる生き方についての講演が決まっているそうだ。

後編へ続く

千代田区立麹町中学校

校長 工藤勇一先生
住所:東京都千代田区平河町2-5-1
TEL : 03-3263-4321
URL:http://www.fureai-cloud.jp/kojimachi-j/
※※2015(平成27)年10月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<前編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生
所在地:東京都千代田区平河町2-5-1 
電話番号:03-3263-4321
http://www.fureai-cloud.jp/kojimachi-j/

保護中: 私立のような公立中「千代田区立麹町中学校」の挑戦<後編>/千代田区立麹町中学校 校長 工藤勇一先生

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伝統を育む街で新しい懐石スタイルを。/「露庵 菊乃井 木屋町店」代表 村田喜治さん

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創業は1926(大正元)年と90年の歴史を育む京都の老舗料亭「菊乃井」。「菊乃井」の名は、豊臣秀吉の妻・北政所が茶の湯に用いたとされる東山の懐に湧く名水「菊水の井」を、代々守ってきたことに因んで屋号に用いられたことに由来している。創業以来、現在で三代目となる料亭「菊乃井」。現在の社長の弟である村田喜治さんが暖簾分けを引き継いだ「露庵 菊乃井 木屋町店」に訪れた。同じ「菊乃井」であっても東山の本店とは、少し趣の違うカジュアルなスタイルで楽しめる本格懐石をコンセプトとしている。「露庵 菊乃井」代表の村田喜治さんに店と京の街についてお話を伺った。

大正元年創業から受け継がれる京都の伝統

趣のある石畳の路地を抜けて、店内へ

――まず、お店の沿革からお話をお聞かせください。

元々は東山で1926(大正元)年に創業した京都の老舗料亭「菊乃井」から始まっています。現在の「露庵 菊乃井」があるこの土地で、当初は「寿司菊」という寿司屋、「三橋楼」というすき焼き屋、「菊亭」というおでん屋をやっていましたが、1976(昭和51)年に私の兄が修行から帰ってきたのを機に「菊乃井 木屋町店」として懐石料理を始めました。2011(平成23)年に、この木屋町店を暖簾分けという形で、兄から私が受け継ぎまして、それが現在の「露庵 菊乃井」となっています。

木屋町で懐石料理を楽しむという日常

彩り豊かな八寸

――お店のコンセプトを教えて頂けますか。

本店は全室個室の料亭になっていますが、この木屋町の「露庵 菊乃井」は、かしこまり過ぎずに、もっとカジュアルに懐石料理を楽しんでもらおうというのがコンセプトになっています。座敷でなくカウンターで本格的な懐石料亭を楽しめる、その先駆けのような存在です。

――店名「露庵」という茶室があるとお聞きしていますが。

京都の一流料理店では茶室が作るのが”夢”であり、また、ひとつのステータスのようになっております。この「露庵 菊乃井」を作るにあたって、数奇屋大工の第一人者として有名な中村外二さんに茶室や内装を手掛けていただきました。店内の一階にはカウンター席、二階には個室と茶室を設けております。

二階にある茶室「露庵」

――食材や料理のこだわりを聞かせてください。

食材に関しては地産地消で、野菜は契約農家から仕入れた、美味しい新鮮なものを使用しています。魚は毎日、淡路から瀬戸内の魚を届けてもらっています。当店の料理に合うように伏見の日本酒を「菊乃井」オリジナルで作っていただいています。料理へのこだわりは”情・才・気”と、「菊乃井」創業以来のコンセプトとなっている言葉があります。これは「愛情があって。技術を使って。パワーのある料理」という意味があります。これが代々引き継がれてきた「菊乃井」の料理へのこだわりです。

美しい盛り付けが器に映える

またお客様に対して「Noと言わない」。どんなリクエストにも応えるようにし、また応えられる努力をする、ということを心がけています。外国人のお客様も多いですし、最近ではアレルギー関連に体が敏感なお客様もいらっしゃいます。そうしたお客様の事情に配慮して、料理を組み立てさせていただいています。

地元を愛する心と、新しい価値を見据えて

「露庵 菊乃井」代表の村田さん

――お店に来られるお客様は、どのような方が多いですか。

カジュアルに懐石料理を楽しんでもらうという店のコンセプトで、カウンター席も用意させていただいておりますので、若いお客様にもよく御利用していただいておりますし、外国人のお客様も多いです。四条に近い立地で若者も多いことに加えて京阪、阪急の駅からも近いですので、気軽に御利用していただいております。

趣ある座敷で穏やかな時間を過ごせる

――地元の方との繋がりはいかがでしょうか。

やはり地元の食材を使用していますので、店同士の繋がりに限らず、そこから回っていろんな方と繋がっていきます。例えば、食材を提供していただいている向こう様から、「露庵 菊乃井」を紹介していただいたり、当店で食事をしていただくお客様から、お味噌や野菜やお漬け物のことを尋ねられたりもします。どこの包丁を使っているか、なんてこともお客様から尋ねられたりもしますが、そういう食事だけに留まらないお話をすることで、地元と地元以外の方ともどんどん繋がりが広がっていきます。地元・京都のものだけを使うから狭い付き合いなのではなくて、地元・京都を大切にするからこそ、より多くの人との繋がりが広がっていくのだと思います。

カウンター席で、カジュアルに懐石料理を楽しめる

――伝統ある京都の街でお店を続けていく思いと、また京都においてどのようなお店でありたいと考えておられますか。

新しいことも取り入れなくてはならないとは考えていますが、見せかけだけの流行りには流されないようにしたいと考えています。お客様からはカジュアルに利用していただいていても、料理は先代から継承してきたことをしっかりと土台に据え、一本筋は通していきたいと思います。
逆に言いますと、伝統の中にも「菊乃井」らしい新しさを提案できる店でありたいと、そういう努力を店の皆と行っていきたいと考えています。

京の伝統的だが革新的な魅力がある「露庵 菊乃井」

――最後にお店の周辺の魅力を教えてください。

四条通りの歩道が拡幅されて以来、観光に来られる方も動きやすくなって、街並みもより魅力的になってきました。四条は若者も多くて活気のある賑やかな観光地という雰囲気ですが、少し離れて五条に行けば、落ち着いた雰囲気になり、先斗町では伝統のあるお店と、この周辺ではいろんな京都の街の顔を見ることができると思います。また、京都の人は、案外、考え方が硬くないです。老舗の店でも、若者に合わせて新しいものを作っていくような柔軟なところもあります。伝統の中にも新しさがあるのは、そんな柔軟な考え方があるためだと思います。そういった革新的な部分は、五条から四条、そして先斗町にかけた地域の魅力だと思います。

露庵 菊乃井 村田喜治さん

露庵 菊乃井 木屋町店

代表 村田喜治さん
所在地 :京都市下京区木屋町通四条下ル斉藤町118
TEL :075-361-5580
URL:http://kikunoi.jp/store/roan/
※この情報は2016(平成28)年9月時点のものです。

伝統を育む街で新しい懐石スタイルを。/「露庵 菊乃井 木屋町店」代表 村田喜治さん
所在地:京都府京都市下京区木屋町通四条下ル斉藤町118 
電話番号:075-361-5580
営業時間:11:30~13:30(最終入店)、17:00~20:30(最終入店)
定休日:不定休(年末年始は休み)

古き良き京都の街に集まる手作りショップ/藤森寮 オーナーの皆さん

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京都の町並みに溶け込む『町家』。この木造の趣ある建物は、人気を増す一方で、保存のコストや利便性の低さというデメリットもあり、年々減少の一途をたどってきている。しかし、近年はリノベーションを施して店舗として活用する事例も出てきて、注目を集めている。鞍馬口のエリアでその先陣を切ったのが「藤森寮」。アトリエとショップを兼ねた手作りショップがテナントとして集まっている。古くは学生寮として重宝されていた建物が空家になっていたところを活用したもので、今では県外から多くの方が訪れる人気スポットとなっている。今回はそんな「藤森寮」を訪ねて、「ガラス工房nazuna薺」の望月さんをはじめ、お店のオーナーさんたちにお話を伺いました。

遠方からも人が訪れる人気スポット

望月ひとみさんと「ガラス工房nazuna薺」店内

――素敵な建物にセンスのよいテナントばかりですね。「藤森寮」の概要を教えて頂けますか。

望月さん:元々は「学生寮」として使われていた建物で、空家になっていたところを手直しして今の形になったのが13年前だと聞いています。私は10年ほど前からですが、知人に「空きが出たよ」と聞いてすぐに入居を決めました。現在は全部で9つのお店が入っていて、ウチはガラス工芸ですが、他には一閑張りやフェルト工芸、漆器や紙細工に竹細工、そして植物のお店も入っています。どれも個性豊かで関東をはじめ遠方からのリピーターも多いようです。

望月さんが手掛けるガラス細工

――これほど素敵な空間だと入居希望の方も多いでしょう?

望月さん:確かに人気があります。そして出ていく人が少ないので、なかなか空くことがありません。そういう私も「藤森寮」の中で2回動いて今のところにたどり着きました。ただ私はキレイになったところに入りましたが、当初は「個々に直しながら使う」という条件だっということで、初期に入居された方は大変だったと思います。でも趣味のよい方ばかりなのか、とても趣のある仕上がりになっているので、私もとても気に入っています。

「ガラス工房nazuna薺」

――望月さんのお店「ガラス工房nazuna薺」について教えて下さい。

望月さん:私はバーナーを用いたガラス細工を手掛けていて、他のショップさんと同様、ここは工房兼ショップとして使っています。また制作と販売だけでなく、ガラス細工、バーナーワークの体験も常時可能受け付けていて、とんぼ玉やスプーン、箸置きなど色々なコースを用意しています。ほぼ毎日体験にお見えになって、ガラス細工に触れていただいています。

藤森寮の中庭

――周辺でオススメのスポットがありましたら教えて下さい。

望月さん:私は空が広くて自然がある「賀茂川」が好きですね。天気のよい時は川辺を歩いて通勤することもあります。また「藤森寮」の近くは古くからある京都、という感じの穏やかな住宅街で、毎日同じ顔の人が同じ時間に散歩をしていたり、そんな温かい雰囲気が好きです。「藤森寮」の中の庭もオススメです。京都らしい風情はもちろん、表の車の音も聞こえない、本当に静かで街中のオアシスという感じです。

不便さをも楽しむ風情ある空間

「アートスペース CASAne」店内

続いて、奥のテナントに入られている「アートスペース CASAne」さんを訪ねて、店主にお話しを伺いました。「アートスペース CASAne」さんはニットや紙の手づくり商品の制作を手がけながら、陶器をはじめ多岐にわたる創作物も販売するセレクトショップ。お店としてはもちろん、その作品自体も書籍で大きく紹介される人気ぶりです。「藤森寮」がある京都市北区に生まれお育ちということで、鞍馬口の魅力についてお聞きしてみました。

9つのお店が集まっている

――鞍馬口、そして「藤森寮」の魅力を教えて下さい。

CASAne 店主:このエリアの一番の魅力は、昔の京都がここにあるということでしょう。あちらこちらと身近に良き時代の京都を感じることができます。その一方で若い方が新しいお店を出されているので、町全体としてより魅力的になっているのではないでしょうか。

歴史を感じる「藤森寮」の外観

「藤森寮」は「おばあちゃん家に来たみたい」とお客さんもおっしゃいますが、そのイメージはよくわかります。ここは町家リノベーションのはしりで、最初に入居された方は改装が大変だったと思いますが、私たちはキレイになったところに入らせてもらいました。私もそうですが、皆さんマイペースに仕事をされていますよ。

リノベーションが施された建物内観

町家や今の建築に比べると利便性は低いかもしれませんが、そんな不便さも楽しむような空気がこここにはあります。この雰囲気を東京の方なんかは特に喜ばれますね。ぜひお気軽にお越しください。

人の温もりを感じる街、鞍馬口

「夢一人」の店内

さらに取材に伺った時間に在廊だったのが、紙や竹に和紙を張り重ねて制作する伝統工芸、一閑張のお店「夢一人」の店主である尾上瑞宝さん。「藤森寮」が現在の形でオープンした当初から入られているとのこと。尾上さんは、400年にわたって一閑張りの技術と心得を継承する飛来一閑 泉王子家の十四代家元を務める方でした。しかし、気さくに一閑張についてご教示くださった尾上さん。こちらでも鞍馬口という町と「藤森寮」の魅力についてお伺いしました。

尾上瑞宝さん

――閑張りについて簡単にご説明願えますでしょうか?

尾上さん:約400年前に中国から日本に渡った飛来一閑(ひらい・いっかん)が伝えたとされる、和紙を張り重ね渋柿や漆を塗って固める工芸の手法です。二代目で茶道具を扱う派と生活道具を作る私ども泉王子家の二派に別れたとされ、現在にいたるまでそれぞれが継承しています。当方の四代目の時には徳川吉宗将軍に天体望遠鏡を納めた実績もあり、昨年の春にその現物が長崎県から出てきて、その鑑定に私も立ち会った。そんなエピソードもあります。

――尾上さんにとって、この町、そして藤森寮はどのようなところでしょう?

尾上さん:私は「智恵光院」という通りに縁を感じてここへ入ることを決めたのですが、この界隈は本当に温かくて「ここに来てよかった!」と心から思っています。

一閑張の職人の技が光る

私が出張などで不在の時は向かいのタバコ屋さんがいつも荷物を預かってくださり、近所の方はみな親切な方ばかりです。今日もガレージからココへ来るまでに3人の方とおしゃべりをしました。時に「これ持っていき」とお裾分けをいただいたり、困ったことがあれば駆けつけて下さったりしますよ。

そして「町家を残すのは大変だけれども保存しなければ」という大家さんの思いとともに皆さんが手を加えて素敵な空間になっているのが藤森寮です。私は自宅から車で45分くらいかかるのですが、元気で通える限り、一生ここに入っていたいと思っています。

学生寮時代の風情を残す建物内観

個性的で魅力的な方が集まる「藤森寮」。皆さんが口を揃えるように、「藤森寮」の中にはまるでタイムスリップしたかのように古き良き時代を思わせる優雅な時間が流れていました。そして、周辺にもリノベーションを施して店舗活用されている歴史ある建物がたくさんありました。その魅力に惹かれ、リピーターが多いということも肯ける素敵な街並みです。是非、機会をみつけて散策されてみてはいかがでしょう?

古き良き京都の街に集まる手作りショップ「藤森寮」

藤森寮

「ガラス工房nazuna薺」望月ひとみさん
「Art Space CASAne」店主
「一閑張 夢一人」尾上瑞宝さん
所在地:京都府京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
※この情報は2016(平成28)年12月時点のものです。

古き良き京都の街に集まる手作りショップ/藤森寮 オーナーの皆さん
所在地:京都府京都市北区紫野東藤ノ森11-1 

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